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134:仲裁
しおりを挟む「え?この大きさ、この柄で?
こ、これはおれの嫁の実家でつくった図柄なんだ。
図柄で家が分かるんだ。似たようなものはまだあったと思う、
まるっきり同じじゃないが似たようなものだ。
それを売る!100リング!いいのか!」
「ええ、でも、あれですよ、街でもっと高値で売れるかもしれない。
その時あのとき安く売るんじゃなかったって
後悔しないでくださいね?」
「するもんか!!取ってくる!!」
卵屋さんは外に出て行ってしまった。
「これが売れるのですか?」
「少なくともわたしは欲しいです。街の家のいすが置いてある部屋の真ん中に
この絨毯があれば素敵でしょ?売れないと思うのなら強気の値段で売ってみてください。
最初はなかなか売れないかもしれないけど、誰か一人がかってくれれば儲けものでしょ?
でも、その部屋に誰かが来る、おや、なんて素敵な敷物なんだ?
これはどこで?ほう?なかなかの値段だが
我が屋敷にも欲しいな、紹介してくれないかってなったらいいでしょ?」
「あははは、モウ殿はなかなかに想像力豊かですな。
でも、そうですね、売れなくてもいいんですから、強気でいきましょうか?
この大きさで100リングを基準にあははは、なんて金額なんだ!」
また卵屋さんが入ってきた。
「これ!これ!100リング!!」
「ああ、きれいです。ティス?これをベットの横にひいてクッション置いて寝そべるの?どう?」
「ああ、それはいいな。この色合いにお前の肌が映えるだろう」
「いまそういうのはいいの!!では、100リングで。」
「ダメよ!200リングよ!!」
「え?」
「だまれ!お前何言ってるんだ?」
「この方は?」
「俺の嫁です。今日は一緒に帰ってきたんだ。お前!黙れ!」
「強気でいいんでしょ?だから200リングよ!!」
「え?この絨毯があなたの家の家宝で200リングじゃないと売ることはしないっていうことで
200リングの値が付いたのではなくて
強気で行けと言ったから200?」
「そうよ!偉そうに!!あるんでしょ?この人に聞いたわ!
あの時だって安くする必要なんかなかったのに!!
だから200よ!!」
「んー、、マティス?」
「いいよ?愛しい人のいいように。なに、肉は手に入ったんだ、
セサミナも動いてる。もういいさ。」
「うん、ごめんね。」
「なに?200リング!出しなさいよ!!」
この女の人の声で、村長さんの奥さんと娘さんが復活した。
事情を聴いて、先にここにあるものが100リングだ、いや、250リング出しなさい、となった。
買ってくださいではなく、出しなさいだ。
こちらが悪かったな。
黙っていると村長さんが仲裁し始めた。よかった。
「お前たち黙りなさい!
モウ殿、申し訳ない。では、この2つを、250、200?500リングで
お買い上げください。」
「・・・」
仲裁ではないんだ。
もう何も言えない。
こちらが悪いのもわかる。
いきなり来て金持ちのいやな 買い方をしたんだ。
慣れないことはするもんじゃないな。
「なに黙ってるのよ!出しなさいよ!!」
そこらも女同士の金切り声、揉み手ををするような村長。
まずは100リングで売ってしまおうという卵屋さん。
マティスが私の腰を抱き寄せた。
「村長殿、今回の買い取りは取りやめだ。
我らも商売の何たるかを語るような資格はないが、
相手を見て金額をあげるのは、ここの絨毯をすべて買い取るリングを
持っていても出したくはないな。そして他の物もいらない。
金持ちが慇懃にふるまっているように見えたなら、申し訳なかった。
ああ、手紙のことは他言無用だ、そのことも書いてあるな?疑うなよ?
卵屋の主人、今回はすまなかった。ぬか喜びをさせた。
もう、このまま、国境を超えることにする。
荷はいらない。乳の販売がうまくいくといいな。
ゼムにも領主にもよろしく言ってくれ。
ではな。」
幕を跳ね上げると同時に気配をたち上に昇った。
「ごめんマティス!わたしが悪いかったんだ。
あんな風に言われたらわたしだって、倍の金額で売りつけようとするよ。
わたしが悪かったんだ!セサミンがあんなにがんばってるのに!!
邪魔をしたかもしれない!マティスにも謝らせてしまった!
悪いのはわたしなのに!ごめんなさい、ごめんなさい。」
涙が出た。情けなくて。自分が。
下のゲルから怒号が聞こえる。
嫁をしかりつける卵屋。
奥さんと娘をしかりつける村長。
息子にもしかりつける、そもそもお前が100リングに目がくらんだからだと。
最初に売りつければそれで100リングだったのにと嘆く奥さんと娘。
聞きたくない。
周囲を見渡せば、
村長のゲルは集落の中心で奥にはメーウーがほんとにたくさん密集していた。
南に見える山が国境の山で万年雪が、なるほど見える。
メーウーの柵の向こう道が続く。あの先が北の国なんだろう。
そこにも人がいる。この道からくる人間を監視しているのか?
ゆっくり、マティスの腕の中で落ち着くまで
ふわふわ浮いていた。
メーウーの動きを見ながら。
「もう、いこうか?ここで買うつもりだったものは、
きっとジットカーフでも買えるはずだ。気候が似ているからな。」
「そうだね。もう、いいや。わたしは世直しをする旅に出てるんじゃないもの。
それこそ何様って奴だ。」
「私のお嫁様だよ?」
「もう!」
「ああ、いつもの愛しい人だ。」
「うん、ありがとう。行こうか?
あ、月無し石の諸君で残る子いる?え?ここはいいの?
嫌な感じがするから?え?それならいてくれたほうがいいんだけど?
あ、そうだね。うん。ありがとう」
「なんて?」
「ここはいいって。嫌な感じがするのはここの人の気持ちがだって。
職場は選びたい、気にするなって。」
「そうだ、気にするな。」
月無し石にも慰められた。情けない。
もう一度礼をいう。
「ありがとうね。え?いつの間に?いいけど、大丈夫なの?
そう、いいよ、好きなように。事後報告でもいいよ。」
「ん?」
「3つ、ワイプさんについていってるんだって。資産院を見たいからって。」
「いつ?」
「2回目にスーとホーにお水あげたときに離れて、スーとホーの背中に乗せてもらってるって。
2頭には承諾はもらってるらしい。」
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「うん、国境を超えるときは歩きがいいからね。なんか手続きとかあるの?」
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コムも行軍しただけだからなにが名産かは知らない。
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「今度は一般人として少しずつ買おう。で、お茶の木をかって育てよう。」
「ああ、それはいい考えだ。そうしよう。」
あっけなくラーゼム草原を後にした。
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