いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
上 下
172 / 841

172:燃費

しおりを挟む



開始の合図がおりる。
一応審判らしき人がいるようだ。

110人の中に一人。逆に攻撃しにくいだろう。
2重3重に取り巻く。

「モウ、どう見ますか?」
「そうですね、わたしが指揮官で、110人の命を握っているとするなら、
100人を一斉にとびかからせ、ひるんだ一瞬をのこり10人で仕留めます。
あのように間合いを仲間に剣先が当たらないように間合いを取ることはしません。
50リングでは命は捨てれませんね。そこが敗因ですね。」
「さすがです。素晴らしい回答だ。」
「ありがとうございます!」
「2人とも怖い」

試合内容何ぞ見なくてもいい。
マティスの両腕遣いの槍を躱せるのは師匠ぐらいだろう。
2人、3人だとまだ、取り掛かることが出来るが、大人数が仇だ。
振る回せば誰かに当たる。切れ味が落ちることもない。

あっという間に終わったしまった。
最後に型だけ決めてくれた。かっこいい!!

「ダーリン!素敵です!」
思わず声をあげる。
競技場は110人のお昼寝会場だ。

マティスは恐ろしい跳躍力ですね、というわざるを得ないジャンプで
こちらに帰ってきた。
「愛しい人、私のハニー、どうだった?」
「うん、素敵だった。でも、団体さん相手だからね、
技はあまり出せなかったね、それは残念だ。」
「そうだな、すまない。次はそうしよう。
今回は美しき愛しい人の横にすぐに帰りたかたんだ、ゆるしておくれ?」
「ふふふふ、もちろん。わたしもはやくそばにいてほしかったもの。ダーリン」

「我が弟子、ティス、ちょっと離れなさい。あれは死んでいるのですか?」
師匠がマティスを引きはがしながら聞いてきた。
「いや、突けば血が出るからな、逆先で打っただけだ。死んではいない。」
「そこが槍と棒の違いですね。棒術では確実に打って仕留めています。」
「力は抜いている、だいたい、、、」

また2人でじゃれてる。仲いいな。


「モウ殿、みなで、110人の片付けがおわりました。次が始まります。」

セサミンが次の試合の始まりを教えてくれた。
ドーガーの出番だ。



合図で始まる。

軽やかに相手を倒していく。
息さえ持てば、問題ない。広場で合わせたときよりもキレがある。
が、マティスが一人も殺していないので、ドーガーもそうしているようだ。
向こうは容赦なく来るのにね。
あ、口に何か入れた。また動きが戻る。
燃費が良すぎるのか?おなかがすくから息が上がるの?

セサミンに聞くとまた大笑いしていた。
「そういわれればそうかもしれません。なるほど。そいうことか。」

4人ずつ、つぎつぎ倒していく。
ちなみにファンロはもう、顔色なく座っているだけ。
選手控えにいるタンタンは鬼の形相でルグを睨んでいる。
で、わたしは奥方、娘1・2ににらまれている。


かなりの速さで試合がおわった。
「ドーガー!さすがです!今日のおやつはフルーツタルトにしますよー!!」
自分が食べたいだけだが、ドーガーが頑張ったというのを口実にしよう。

「うぉぉぉぉぉ!!」
ドーガーが珍しく雄たけびをあげている。
どういうものかはわからないが甘いおいしいものだと想像できたのだろう。
その証拠に師匠が食いつく。

「モウ!それは甘いものですね?」
「ええ、ティスに説明して作ってもらいます。昨日の果物がありますし、
あ、買った食材は届いてるのかな?」
セサミンがファンロの横についている人に問うている。

「はい、それはお預かりしている馬車に入れております。
セサミナ様とワイプ様のに分けて。乗る場所がないほどに。」
「ああ、届いていればいいのです。氷も?ああ、それでいいです。」

問題なく届いているようだ。

「それはどういうものなのだ?」
何気に腰を手に回し、うっとり愛の言葉をささやくように
フルーツタルトの作り方を聞いてくる。
「んー、クッキーを砕いて、こう丸くして
カスタードクリームってゆってプリン液に小麦粉入れて
トロトロにして、クッキー地にながして、果物のせたもの?」
「なるほど、わかった。作ってみよう。」
「うん、ティス、大好き!あ、バターとリコッタチーズを作らないと。
あれのフルーツの組み合わせもおいしいから。」
「ああ、作ろう。だったら、乳を振りながら移動しよう。」
「あははは、そうしよう。」

マティスは武の天才だけでなく、料理の天才なのだ。

次はルグだ。
これも問題ない。ただ、タンタンが参加していない。
ドーガーのように何かを補給することなく見事に50人倒した。

『ルグ!見事です!よくやりました!わたくしの自慢です!!』
ルグのご褒美はこれで。

同じように雄たけびを上げている。

「ではこれで、我らは引き揚げます。
こちらの後始末もありましょうから、王都のへの同道は無理ですね。」

「お待ちください!わたしはまだ対戦しておりません!」

タンタンが声をあげる。その声にファンロもようやく現実に戻る。
「そ、そうです。まだ、タナガがいる。1対1なら負けない。
複数人との対戦が得意なのを黙っているとは卑怯なやり方だ!」

え?そうなの?

「わたしは、このルグと試合ではなく、決闘を申し込む!!」

うわ、ルグが恨まれてるの?なんで?

「ファンロ様?卑怯呼ばわりは心外ですね。この経緯を大審判に掛ければ、
罰せられることはなくても世間に非難されるのはそちらですよ?
それで、よろしいか?」

そうか、そこに行きつくまでの経緯が世間に公表されるんだ。怖いねー。
「ぐ、ぐ、」
ぐうの音が出てる。だめだ、笑ってしまう。


「それで、タナガ殿の決闘は?」
「もちろん、許可する!負けるわけがない!!」
「お父様!あのドレスを取り返してください!」
「お父様!わたしは、この女との決闘を申し込みます!」
「あなた、この者を配下にしてください。」

わたしと決闘してどうするの?それをなんでとーちゃんにいうの?
で、マティスを配下に?あはははは!笑かしてくれる!






しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

奴隷の奴隷_女帝国恥辱紀

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:391pt お気に入り:2

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:13,604pt お気に入り:3,347

【R18】呪い、叶え、給え!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:20

セイギの魔法使い

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:89

【R18】体に100の性器を持つ女

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:2

【R-18】泥中の女

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:52

処理中です...