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198:ローブ
しおりを挟む船を舫いでる場所まで行く。
月明かりは有るので、問題はない。
よく見ると、取れるものはとってあるのだろう、
磯臭い匂いを放ちながら山となっているの見えた。
「マティス様?わざわざ声を掛けなくてもよかったんでは?」
「そうなんだがな、黙って持っていくとあとで問題が起こるかもしれんだろう?」
「その気持ち悪い卵?どうするんですか?まさか、食べるんですか?」
「わからんな。ダメなら捨てればいいだろ?」
「ごみかもしれないのに酒を渡したんですか?」
「もし、これが彼女の言った言っていたものだとすると、私は褒められる。
そのとき、礼はちゃんとしたのかと聞かれ、していないというと彼女に褒めら指数が半減する。
そんな間抜けはしたくないな。
どちらにしろ、こちらが望んで譲ってくれたんだ、礼はするものだ。
しかし、金だとラーゼムのようになっては嫌だからな。」
「そうですね。しかし、ここの人たちは、価値のあるものをみな捨ててるんですね。
このコンブの価値に気付いたら、手に入らなくなるのでは?」
「そうなったらそうなったでいいだろ?独り占めするわけではない。売り物にするだけだ。
ここまで取りに来なくても手に入る。
彼女がな、王都のソースの作り方を教えてもらった時に言っていたことだが、
例え作り方を知っていても売っていれば買うそうだ。
労力と時間を考えれば買うほうがいいと。」
「なるほど。では、この昆布の作り方を広めればいいのでは?」
「わざわざ、教えることもしない。そこまでする義理もない。
誰かがいつか気付くことを先にしているだけだ。
捨てるものを2回もとりに来た夫婦がいると、海藻に価値があるのか?と気付けばいいし、
気付かなければ今まで通りだ。誰も困らない。そうだろ?
今困るのはあの出汁の味をしってしまった我々と、戦闘中にあれを補給することを覚えてしまったお前だ。」
「そうです!わたしが一番困る!」
「ほら、小袋は借りたんだろ?まずは櫂に絡んだものを移動させてみろ。
それは、向こうの山にな。持って帰る分は、海から直接取れるか試してみろ。」
「はい!やってみます!」
海にあるものは生きている。それを移動させる。
見えないがあるとわかっている。
根こそぎ取ってくれば移動できるだろう。
「海からのものはできるだけ早く小袋に入れろ。どこでだれが見てるかわからんからな。
海からでた時点で死んでいるから袋に入るだろう。」
「はい!」
ドーガーが昆布を引き上げている間に、飛び跳ねるエビも収穫できた。
カニとウニも移動できた。抵抗はないようだ。
昆布と同様、当分はいらないだろうというくらいとったと思う。
量は把握できないくらいだ。
海鮮の食料はとりあえず確保はできた。
「いってらっしゃい。」
「で?隣国の領主殿が何のはなしだ?
ああ、言葉遣いがどーのというのは勘弁してくれよ?}
「もちろん。姉上が、トックス殿のことを推薦されていたので、
ぜひ相談に乗って欲しものがある。」
「あー、殿も、様もいらない。トックスで。
姉上というのはあの砂漠の民の奥さんのことだな?そうか、兄貴の嫁さんだから姉上か。」
「それだけではないんだ。姉上は兄上の奥方でなくても姉なんだ。」
「?よくわからんな。で?相談というのは?」
「この生地なんだ。コットワッツ産だ。綿から作っている。」
「へー、面白いな。肌触りもいい。艶もあるな。綿か。糸を輪っかにか?考えたな。」
「これで、風呂上がりに着るローブを作ってもらいたい。」
「風呂上がり?贅沢だな。湯あみではなくて風呂?
コットワッツはそんなに風呂があるのか?」
「館には従者がだれでも入れる風呂がある。
それと同じようなものを街にも作る。公衆浴場だ。湯あみのあとでもいい。
寝るまでにちょっと着ておくもの。ゆったりできるもの。そんな程度だ。
こんな感じなんだが、これは姉上が作った特殊なもので
縫い目がない。これは姉上しか作れないから真似はできないんだ。」
「縫い目がない?ほんと、どうなてるんだ?」
「それはあまり疑問に思わないでくれ。姉上だから、ということで納得しほしい。」
「あー、なんとなくは納得できるな。あの2人は悪い意味ではないがちょっとおかしい。」
「ああ、その認識であってる。あ、先にこれを渡しておこう。
姉上からだ、先日のドレスの礼だという。あのドレス姿は素晴らしかった。
裾に煌めく石を付けろと行ったのはトックスさんだとか。それがよかった。」
「そうなのか?どうなったかは見てないから何とも言えないし、光物を付ければといっただけだぜ?」
「それがよかたんだ。それで、これは、我が領ティータイの街で雑貨屋を営んでいるものが作っているガムだ。
ここではガムを噛む習慣はあまりないと思うが、これを噛んでいるといやな臭いを消してくれる。
この店では感じないがこの帝都は少し特殊なにおいがするな?
それを消してくれる。コムの茶葉を利用しているそうだ。」
「コムの茶!ここではそれを焚いているんだ。あの奥さんにもらってから
この店内ではいやな臭いはしなくなったんだ。みな、店の中に入って商品を見ていく。
その効果があるのかね?へー。ここでは匂いがないだろ?
だから逆に外に出ると辛かったんだ。それがなくなるのならいいな。」
「気にいたんなら、ティータイまで買いに来てくれ。ほら、包んで捨てる紙に
店の宣伝がのってるだろ?雑貨屋ザバスだ。」
「へーこれも面白いな。」
「それと、これはいまそのティータイで流行っている菓子だ。プリンという。
これは兄上が作ったものだが、街ではいろいろな店が出している。
店ごとに味が違うので、食べ比べるのもいいぞ。
あ、先に食べたほうがいいな。兄上が帰ってきたら、たぶん長くなる。」
「そうなのか?じゃ、遠慮なく。これは菓子?食べ物だな?冷たい?
こんなに柔らかいのか?すくって?
甘い。うまいな。ああ、もうない。飲んでしまう。
これは何で?隠匿がかかってる?」
「いや、隠匿はない。あったら街で流行らない。卵と乳だ。それと砂糖と樹脂蜜。
わたしも作れるんだ。」
「へー。俺は料理はダメだからな。また、食べたいな。」
「ああ、街に来てくれ。」
「なんだ、そればっかりだな。」
「ああ、できればコットワッツに来てほしい。」
「ははは、それは考えておこう。まずは、ありがとうと、あの奥さんに言っといてくれ。
でだ。これの話だ。縫い目がない。これ真似できない。それはわかる。ローブもわかる。
どうしたいんだ?」
「肌に直接あたるものだからできるだけ、無くしたい。
あるとしても肌に優しく。それを考えてほしい。」
「へー。それは面白いな。あの旦那は?あの人の意見は?」
「ああ、兄上はダメだ。兄上は姉上の為だけに生きている。
だから、これにはなにも意見はない。」
「はは!なるほど。これに時間はもらえるのかい?」
「そんなに長くはダメだが、これの染色も考えている。
雨の日までに商品は完成させたい。」
「雨の日ね。いや、違うな。雨の日の前だ。」
「?」
「雨の日は家に籠るだろ?で、することもする。
裸でいることはできるが、普通はなにかを羽織ってる。
それがこれになればいいと思わねえか?
肌触りもいいし、すぐに着れる。ということすぐに脱げる、脱がせるってことだ。
女物と、男物。そろいの色違い。どうだ?」
「素晴らしい!!しかし、それでは製作する時間、売り込む期間
それを考えると、すぐにでも意匠案がいります。」
「なーに、3、4日あれば大丈夫だ。」
「さすがです!!姉上が絶賛するわけだ!お願いします!!」
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