いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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217:御飯処

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「じゃぁ、あれか?実質、明日1日で、衣装を考え、縫製して、
ドレスの仕上げをするってことか?」
「試合時の服の縫製はこちらで。あ、おかわりは?」
「ああ、いくらだけのもので。」
「はい、いくら丼一丁!喜んで!」
「モウ殿、卵ご飯にします。そのあと、もう一度、いくら丼で。」
「はい、TKG入ります、お後、いくら丼一丁!喜んで!」

御飯処モウモウ亭です。
ご飯を大量に炊き、いくら、うに、カニをのせます。
貝の網焼きも。日本酒を少し垂らすのがポイント。

お醤油のいい匂いです。
「これはどうやったらこうなるんですかね?」
「うーん、偶然だと思うよ。小麦、豆、塩。
樽で旨く発酵したんだと思う。あの大樽が小麦は入ってたっていうのがよかったんだと。
あのお兄さん、ああ、子供なんだっけ、あの子が知らないだけで、
もしかしたら、北に行けばちゃんとしたものがあるかもしれません。
師匠、よかったら、小分けするのでもらってください。」
「奥方様!わたしも欲しいです!お澄ましにはこれです!」
「ああ、そうだね。たくさんあるから、大丈夫。」
「あ、俺も欲しいな。カニの足が食えることも驚きだが、これが魚の卵か。
それで、これがあの海藻から作ったスープ。すごいな。」
トックスさんは感心しきりです。



鶏館に戻ってすぐにしたことは、
トックスさんを確保です。

「トックスさーん」
「お、奥さんかい?どうした?ローブもドレスもできてるぜ?」
「うん、あのね、またちょっとお願いしたいことがあってね、
又、時間もらえないかな?とりあえず、お店閉めてもらって、
ごはん食べに行きません?」
「ああ、かまわないぜ?ちょっとまってろ。
ん?旦那ももちろんいるんだろうな?
あの旦那は嫉妬深いぜ?奥さんも大変なのに捕まったな。」
「もちろんいますよ。捕まったのはマティスの方なんよ。
わたしがここに一人で来るのを許すくらいトックスさんは信頼されているということで。」
「はは!そうかい!じゃ、どこに行くんだ?」
「あ、すぐそこなんで。ちょっと肩掴ましてもらいますね。」


「うわー!!」
「とりあえず、ご飯にしましょう。」

することが沢山ある。

試合用のコスチューム
師匠の家の移設及び改造
お土産の買い出し
食料の買い出し
ドレスの調整
ローブの調整
装飾品の調整





「そうだな。結局、今年も毛皮を着こむまで寒くならねえようだから、
こっちで稼ぐとするかな。うまい飯を食わせてくれよ」

いったん店に戻り、
店の道具、一切合切を小袋に収納。
ドーガーはトックスさんの指示で作業部屋を再現している。
途中で自分の服を選び出すからなかなか終わらない。

完成したローブはさすがで、これをもとに大量資産にかかる。
ドレスは一度わたしが試着して仕上げる。しかし、これは後で。

師匠とルグとわたしで買出し。
あと、師匠の家を探す。天井の高い家を探す。
師匠はみんなの中で一番背が高いのだ。
古くても新しくできるから、ちょっとレトロな、わたしからすればすべてだが、
作りのしっかりしたものを探す。
買い物がてら、物件を探し、即購入。
外から見えないように囲いだけ作ってもらう手配をして、準備OK。
紅屋さんと画材屋さんとを廻った。
「奥方様?画材?絵具ですか?筆も?」
「うん、同じようなのがあってよかった。」
「それを土産にするのですか?紅だけではなくて?」
「うん。女性陣だけね。セサミンの奥さん2人と、ルグの奥さんでしょ?
ドーガーの妹ちゃんとお母様と、わたしの分。
師匠の分も作るね。いい人によかったら使ってもらって?
あ、じゃ、ドーガーのいい人ようもいるね。」
「はぁ。」
「ドーガーっていい人いるの?」
「聞きませんね。」
「じゃ、今回の大会の後でする懇親会でいい出会いがあるかもね。」
「王都の貴族連中にロクな人間はいませんよ?」
「あーそうなんだ。」

携帯用の絵具パレットがフタ付だったので、
それに鏡と口紅を何色か詰める。
筆を付ければ、リップパレットの出来上がり。
ワンポイントに宝石もつけるよ。小さいダイヤだ。
本物のダイヤでデコ。うん、きれい。

この間、マティスとセサミンとトックスさんは鬼のように
デザイン画を書いていく。ドーガーもお手伝い。
フルーツタルトの時も思ったが、ドーガーは色遣いのセンスがいい。
セサミンはアクセサリー類。
マティスはドレスの補正。
トックスさんはユニフォーム。

ご飯を作って、横に置いて、冷たいタオルと、あったかいタオルもセット。
ルグとドーガーは師匠の家の改築。
さくっと移設はしたが、土にぼんと置くわけにもいかず、中庭に土台作り。
鶏館の置くスペースはそのままに、奥の中庭に師匠の家。
地下に運動場とお風呂、トイレ。料理はしないらしいが、一応台所。
冷蔵庫と冷凍庫も設置。一番の最新式モデルだ。

テンたちのところにもいってお茶葉の差し入れ。
帰りが遅くなったことを謝る。
厩の横に専門の運動場があるから退屈はしないし、
辺境領国のさまざまな馬が集まっているからおしゃべりも楽しいらしい。
あとで、珍しい食べ物の話を教えてもらう約束もした。

ユニフォームの意匠をもとに、
絹地を裁断していく。あとはお願いをしてくっつけていく。

コットワッツ組はお揃い。
ああ、かっこいい。
ベルサイユだ。バラしょってるよ。

「奥さんよ?あんたが言うようにしたつもりだが、
試合なんだろ?向こうは鎧着込んでくるぜ?
こんなペラペラで大丈夫なのか?」
「え?鎧?セサミン!ほんと?」
「おそらくは。華やかさはわかりますが、防御力はどうでしょう?」
「なに、かまわない。あたらなければいい。」
「そうですよ?しかし、この服を来てこれを着るのは無理では?」

さっきまでみな芋ジャーを着ていました。
重さを変えれるのを気に入ってます。

「薄い下着で重さを変えれるのを作っておきます。
けど、試合中は重くしないでしょ?」
「相手によりますね。」
「師匠も参加するのにこの衣装でいいですか?」
「服は何でも構いませんよ?」
「コットワッツ組ってひとくくりにされますよ。」
「なるほど。では、出向という形にしておけばいいでしょ。」
「さすが師匠です。即対応できるのが素晴らしい。」
「ははは。これぐらいはね。では、手続きだけ済ませてきます。
あのあとどうなってるかも見てきましょう。地方に出てたものも戻ってるはずですしね。」
「いってらっしゃい。」

芋ジャーに着替えて行きました。
服には無頓着な師匠もお気に入りです。
もしくはベルバラが恥ずかしかったのか。

砂漠石を薄くしたもので下着も作る。
反転は効かないようにする。石の効果を無効化されても
わたしの願いだ、大丈夫。

なんとか、作るものはできたと思う。


「愛しい人、試着してくれ。」
「じゃ、先にお風呂入ってくるね。」
「風呂!風呂があるのか?俺も入りたいな。」
「そうか、トイレは案内したけど、お風呂はしてなかったね。
マティス、お願いしてもいい?わたしは下で入ってくるし。」
「ああ、わかった。」
「便所もすごかったけど、風呂があるのは贅沢だな。」
「まぁ、そうだな。こっちだ。」


試着というからには下着はつけないほうがいいのだろうか?
マティスのことだから、こうキワキワまでのラインを見せてそう。
とりあえず、おパンツだけはいてバスローブでいいか。

肌の手入れもしようか。全身脱毛しておいてよかった。
顔のうぶ毛、口廻り、眉は剃刀で。
黒い実のオイルをまだ水分がついた状態の肌に
薄く伸ばせばいい。
ベビーオイルの方法だ。
爪も整える。トカゲの皮で磨く。

スリッパをはいてみんながいるであろう暖炉の部屋に行くと
マティスしかいなかった。

「あれ?みんなは?」
「トックスがじゃぐじいを気に入ってな。上も気持ちがいいぞと、
皆で屋上に行った。ひと段落ついたからな。
それに、ドレス姿を最初に見るには私だけでいい。」
「ははは。えっと、これ?」
「そうだ。」

濃い青にダイヤが散りばめてある。
ああ、裾はサファイヤか。グラデーションがきれい。
マメードタイプ。ものすごいスリットだ。
が、マティスが考えたにしてはシンプルだ。
胸元はかなり開いているが。

「これ、下着は?」
「無しだ。」
「なぜに?」
「トックスが言うには、体の線を見せるには何もつけないほうがいいと。」
「胸はわかるけど、下も?」
「いいから、まずは着てくれ。靴はこれ。」

ピンヒールまで行かないがかなり高いパンプス。
でも走れそう。
マッパになって、着せてもらう。
うん、誰もいなくてよかった。
大きな鏡をいつの間にか、こっちに持ってきてたようで、前に立つ。

「おお!すごいね。自分じゃなければ惚れてるよ。」

くるりとうしろを映してみる。なるほど。背中からお尻、ぎりぎりまでオープンだ。
肩甲骨から上に向かって花柄のレースが伸びている。
どうやってこの位置を維持してるんだろう?吸い付くようにくっついている。

「砂漠石を糸にいた。それを端に縫い付けている。
その位置を維持できるように。」

形状記憶ですか。また、無駄な知識だけがマティスに蓄積されている。
そう思えば、胸あたりも、ぐっと持ち上げられている。
ブラをしていないのに結構楽だ。これは普段のブラに採用だ。

「胸元の飾りと耳飾りはセサミナと考えた。
お前が身に付けるものはすべて私だけが作り出したいのに。」
「マティスだけが考えたものは、わたしだけが付けるから。
売りものになるなら、良いんじゃない?」
「そうか?」

おお!
これも、ダイヤ。
ところどころにエメラルドとサファイヤ、ルービーも使われている。
下品でないところがすごい。

ふむ。髪はどうする?
まさかゴムで結ぶわけにもいかないから、後ろに流すか。
紅は少し濃いめ。月無し石君たちにもらった砂をものすごく細かく砕いてラメとして目元に付けてみる。


「どう?」

黙っているマティスに聞いてみる。

「いいか?」
「ん?すこし重い気がするけどジャージに比べればないも同じ。
スリットが深いから、これ、大股であるくと見えるよ?例のひもの如しの下着を
外に出ないようにして履くよ。後ろには出ないようにね。」
「いいか?」
「ん?いいよ。すごく。わたしもすごくうれしい。顔がにやけてるのわかる?
化粧っていうほどしてないけど、おかしくない?」
「ああ。」
「ん?」
「抱いていいか?」
「え?今?ダメ、ダメ!なんでそうなるの!」
「こんなに美しいのに、めちゃくちゃにしたい。」
「え?ダメ!この服ではダメ!夜用のは?2人だけの時のドレスは?
それだったらいいよ。今はダメ!」
「わかった。しかし、これはダメだ。」
「え?なんで?」

「姉さん!姉さん!」
久々の連呼だ。
屋上に行く階段はあるが、みな移動を使う。
急に現れたから驚いた。
「おや、モウ殿。さすがのわたしもわかりますよ。美しい。」
師匠も戻ってきて、褒めてくれる。ちょっとうれしい。
「奥さん、化けるな。」
階段で降りてきたトックスさんまで。それは誉め言葉だ。

ルグとドーガーは立ち尽くしている。

前みたい傅いてくれるとは思ってないけど、なんかないの?
『ルグ、ドーガー?おかしいですか?』
赤い塊の声で聞いてみる。

「ああ、旦那。これはダメだ。」
「なるほど。ダメですね。」
「姉さん!姉さん!」



「愛しい人。皆がお前を見てしまう。目立ちすぎる。
その声もダメだ。」
「なんですと?」

「ああ。声でここまで変わるか。奥さんすごいな。」
「モウ殿ですね。」

結局上に羽織るもの、毛皮の羽織を用意することになった。
羽織を脱いで赤い塊の声で話すのは厳禁。
気を付けます。

トックスさんも試合を見たいということで、いったん外に出て、
門から入ってもらう。
コットワッツ領主に用事ということで。
ワイプ師匠もバタバタしてるところでこっそり出向届を出し、
院長の許可まで取ってきた。
いまだ犯人は見つからず、それよりも面白いことが分かったとか。
「今回、急遽25000リングが金庫から出たんですが、それ以外がないんですよね。
通常、預けてもらったリングとは別に、資産院の資産としてある分が、
すっからかんなんですよ。
貸し出しているにしてはその明記もない。
わたしもそこまで管理はしていなかったんでね。
書類上の間違いなのかはこれからです。よかった、降格していて。」
「いまは無役だが、間違いがあった時は副院長だったんだろ?責任取ってこい。」
「残念ながら貸し付けは院長のみ指示できるので。不足分はダード院長個人の資産で穴埋めですね。
これは、大事ですよ。あ、まだ内緒のお話です。」
「使い込みいかな?だからコットワッツの資産が欲しかったとか?」
「そうかもしれませんね。ただ、中央院が黙ってるのが不気味だ。」
「ふーん。」

とにかく、ダードは失脚するだろうとのこと。
もちろん、妹のルタネも。
これが25000リングくすねるように指示したことがばれるのは時間の問題。
じゃ、師匠は副院長に返り咲きですか?と聞くと、
もういいですよ、めんどくさいとの返事。さすがです。

晩御飯は何にしようかということになり、
昨日は海鮮だったので焼肉になりました。

トックスさんはビールが気に入ったようです。
自分自身が料理をしない、無頓着なので、
こういうのもがあるんだなーで終わります。
でも、うまい、と言ってもらえるのはうれしいです。

大根、赤根をすりおろし、お醤油をおとし
それを撒いて食べるおろし焼き肉が今回の大ヒットでした。

バター醤油もおいしい。

お醤油屋をすれば儲かりそうです。









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