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228:優勝賞品
しおりを挟む本選の後半には王族、貴族も見に来るそうだ。
それを見に来ている一般客もいるという。
ちなみに入場料は1人1リング。無料ではない。
それでも無料だった予選よりも人数が多い。
娯楽が少ないんだとつくづく思う。
昨日は使われなかった客席側に案内される。
上から王族、貴族、各院・軍部、領国、といった順番だ。
コットワッツは一番端っこ。一番小さい空間らしい。
一番従者が残っているのに。おかしい。
それぞれブースになっているから、トックスさんも安心したようだ。
廻りから見えるが、他人が行き来することはない。
みながそれぞれ快適空間づくりをしている。
わたしたちもさっそく始める。
テーブルとカウチ、クッションと不思議水筒から出しましたよ的に出す。
アルコールカウンターも設置。ミニキッチンも。
おつまみも出します。
ちなみに頂いたリングはすでにコットワッツに移動している。
箱はきれに洗って、最初に売り出す冷蔵庫づくり利用する。
リサイクルです。
豪華にすれば王族の物より豪華にできるけど、
見た目ではご近所さんのレベルよりちょっと上ぐらいで。
でも、物はいいです。座ればわかります。
部屋の隅にあるお便所はさっくり砂漠の中に移動させ、
定番トイレを設置した。
これはトックスさんの家にも取り付けることになっている。
なかなかに良い空間ができたと思う。
もちろん、必要な音以外の防音、衝撃吸収は施している。
総当たりというから、18人が一気に戦うのかと思ったが、
いわゆるトーナメントだそうだ。
コットワッツ以外はなんとか1人の従者が残っている。
マトグラーサは2人だ。
あとは中央院お嬢の護衛の2人と、クッション泥棒の天文院3人。
賞品の発表もありました。
優勝1万リングか副隊長の座か望みのものとの対戦。
この場合の対戦相手には5000リング、勝てばさらに1万リング進呈。
優勝者が勝てば2万リング。相手が断ればそれまで。
「偏ってますね。」
「そりゃそうでしょう。軍部の2番副隊長が勝つことが前提ですから。
勝って望みのものと対戦して、当然勝つ。これで2万リングです。
軍部の予算を個人のものになるだけですよ。
領国から出ているものは副隊長の座は魅力的でしょうがね。」
「優勝して、望みのものと対戦して負けるのが一番損か。」
「損というか、致命的ですね。相手の技量を見抜けなかったということになります。
籍を置いている領国は恥さらしになりますし、腕がよくてもどこからも誘いもないでしょう。
大体これは、おまけですね。演武の披露ですよ。
領国を交えてのここまでの大会は初めてですが、軍部ではよくやってるんですよ。
一般の客を入れて、賞金を軍部の予算で出して、個人がせしめると。
中央院も天文院も参加しますね、生産院も。1番副隊長はいつも途中で棄権しますからね。
資産院は参加しませんよ?」
「そうか、だから、指名しないとガイライさんが指名するって知ってたんだ。
じゃ、あの20名は知らなかったんだ。」
「ま、そういうことですね。こずるいことを考える輩はある程度いますから。
しかし、4番隊ではないんです。腕には自信があるんでしょう。」
「んー、知ってた連中も最初にわたしが相手をした人たちだよね?
やっぱり、弱いんじゃない?セサミンが言うように不安しかないよ。」
「そうですね。軍部の弱体化は噂以上ですね。問題です。」
「愛しい人。」
「あ、お帰り。何番目の試合?」
マティスたちは選手として説明を受けていた。
各領国で控えて、呼ばれれば、ここから中央に進む。
よかった。離れていたら、マティスがまた駄々をこねるところだった。
前回の指名が残っているが、ルグとマティスは1回勝たないと
2番さん、3番さんには当たらない。。
ドーガーはわたしとガイライさんとの試合で1人の残った人とだ。
運も強さだよね。
「奥方様、この空間は?」
ルグとドーガーが驚いている。
「ん?くつろぎ空間?クッキーも別に小袋に入れることなかったね。
邪魔になるからここに置いとけばいい。ドーガーもこの距離なら問題ないでしょ?」
「はい、大丈夫です。」
ルグが1番目、勝てばそのまま3番さんと。
ドーガーが4番目。マティスは9番目、勝てばそのまま2番さんと。
「へー、じゃ、ルグとドーガーは勝ち進めばあたるんだね。
ドーガー頑張って!ぎゃふんと言わしたれ!」
「はい!」
「え?奥方様?わたしへの応援はないのですか?」
「んー、いかに筆頭と次席の違いを見せつけるか、かな?」
「ふふ、わかりました。思う存分、教えてあげましょう。」
「そ、そんなー。」
「それで勝ち進めば、マティスと?」
「いや、剣技を見せれば棄権する。」
「そうなの?じゃ、おわったら一緒にゆっくり見られるね。」
「え?兄さん?姉さんも。いいんですか?」
「コットワッツとしてなにかまずい?」
「いいえ。ここまで参加できたことで十分です。兄さんなら優勝ですよ?」
「この衣装で剣技が見たいだけだから、それで十分だよ。
ルグとドーガーを応援するほうがいいな。マティスと2人で。」
「そうですか。2人がそれでいいのなら。」
「なんだ、領主さんしらなかったのか?
旦那はそのつもりで、ふとももだしたドレスに変更したんだぜ?
膝枕してもらうからって。」
「・・・なるほど。」
「そうなの?マティス?」
「そうだ。問題か?」
「なんだ、ゆってくれれば、あんなに大騒ぎしなかたのに。」
「そうか?かわいかったぞ?」
「・・・さ、ルグ、ドーガー、できるだけ上を目指してくれ。
優勝賞品は1万リングか軍部副隊長の座だ。
どれを選んでもかまわない。」
「いえ、優勝は目指しますが、我々はセサミナ様に一生お仕えする身です。」
「あははは!お間抜けだね、ルグとドーガーは?優勝したら迷わず副隊長だよ?」
「奥方様!!なんてことを!」
「それで、王都軍部からコットワッツを助けるんだ。影響力は大きいよ?」
「「「おお!!さすが悪だくみの宝石箱!!」」」
「でしょ?でも、けがはないようにね。引く時は引く。いいね?」
「「はい!!」」
さ、やっと開戦!
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