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229:品質管理
しおりを挟む開戦までは長い道のりだった。
軍部のあいさつ、大会の概要、優勝賞品の説明、
本選に残った人の名前の発表。
長い!
朝の朝礼なら絶対に貧血起こして倒れている。
でも大事なことを言っている。
砂漠石の使用は可。防御の無効化もOK。
「これってより多くのお金をかけたもの勝ち?」
「そうなりますね。」
「もったいないなー」
「王都と産出国は儲かりますね。産出国以外は買わないとないですから。」
「えー、セサミン、こんなんで儲けていたの?」
「いいえ。こういうことにコットワッツに声はかかりませんから。」
「いかんね。」
「そうですね。反省しています。」
「うん、それが出来れば一歩前進。どちらにしろ、石はもう出ないんだから。
別の者で営業、営業。作戦Tは?」
「はい、奥方様!抜かりなく。」
「モウ殿?作戦ティとは?」
「うふふふ、見ててください!セサミン!師匠!」
「では第一戦、コットワッツ領国・ルグ対メジャート領国・ライール、中央へ!」
メジャートはマティスに4人やられた領国だ。
「あんたを倒せば、メジャート筆頭だ。」
「では今はまだ違うんだな?」
「まだな、でも、すぐだ。」
「勝者、ルグ!」
ルグが、一撃で倒す。当然だ。
ぶっ倒れてる相手を引き起こし、こういう。
「よかったら使ってくれ、コットワッツのタオルだ。
冷やしているから、気持ちいいだろう。」
これが作戦T。
小さなハンドタオルを冷やして、小袋にいれています。
それを懐から出してさりげなく相手に渡す。
よっぽど嫌な奴以外は受け取りだろう。
「あ、ああ、すまない。?冷たい。いいな、これ。」
「冷たさはすぐになくなるが、汗を拭くのにいいぞ。踏み込みの勉強になった。
ありがとう。」
「あ、いやいや、さすが、コットワッツのルグだ。こちらこそ勉強になった。」
ね?相手のほんとにいいところを認めれば、向こうもこちらを認めてくれる。
「さ、礼をしよう。」
2人で観客に礼。
1番試合は大歓声だ。
「どうですか?この作戦!」
「さすが姉さんです!」
「いい考えですね。」
「でしょ?ドーガー、1番にあの人の国と名前を書いといて。」
「はい!」
「姉さん、それは?」
「ん?たとえばよ、あのタオルが誰かの殺人現場に落ちていたとする。
は!これを知っている!
これはコットワッツの新製品のタオルだ!
ふかふかの肌触りの良いタオルなんだ!
犯人はコットワッツの誰かだ!つっかまえろー!
ってなった時にね、
ジャジャヤーンってセサミンが登場するの。
お待ちください!
これは限定商品なので品質管理の番号が刺繍されています。
そしてこれが、誰がこの番号のタオルの持ち主かわかる一覧表です。
まずはこの持ち主を疑うべきです!!
ちがう!これは夕べ盗まれたものなんだ!
と持ち主が言う。
では、その盗んだものが、殺人を犯し、このタオルを落としたと?
最初のあなた?これがよく新製品のタオルだとわかりましたね?
あなた?コットワッツを陥れようとこんなことを?
犯人はお前だー!!
うわー!なんてことだ!
こんなことになるなんてー!!ただ、タオルがほしかっただけなんだー!!
崩れ落ちる犯人。
ふふ、名探偵セサミンに解けぬ謎はない!!
シャキーン!!」
ちょっと、それはどうなんだという小芝居を披露する。
もちろん最後はジョジョ立ちだ。
試合が見やすいように、扇形になってる小部屋。
技場を背にポーズ。後ろには戻ってきた、ルグ。
正面には、セサミン、師匠。
アルコールカンターでトックスさん。その横でおつまみを作るマティス。
入り口にはなぜかガイライ。
うん、このピンクのドレスかわいいねって話。
別名現実逃避ともいう。
「ルグ、お疲れ様。次はすぐに始まるんじゃないの?」
「あ、いえ、石の準備にもう少しかかるということで。
わたしの戦いぶりを見てもう少しおおきな砂漠石を使うようです。」
「お!さすが、ルグだね。一撃だもの。3番さん、ビビったんだ。」
「あの、今のは?殺人?だれが?セサミナ様が?え?」
「姉さん!誰ですか!コットワッツを陥れようなどと!」
「モウ殿?そもそも誰が死んでいるんですか?」
「死んでいるのはお前だ、ワイプ。愛し人!なんてかわいいんだ!」
「モウ殿、そのお姿は?」
「奥方様、今の型!教えてください!!」
「すげな!芝居だろ?帝都で見たことあるんだ!こんな近くでみれるとは!
男と女の話よりよっぽど面白い!それで?続きは?」
ショートコント、小芝居、寸劇。
ざくり説明しました。
「だから、あれだよ。物語をな、人が演じるんだ。
殺しのはなしは初めてだが、大体が男と女の恋の話だ。
よくその衣裳を作ったりするんだよ。」
さすが、帝都。あの要塞のような城なのかでするらしい。
「はー、驚きました。作り物なのですね。」
「いやいや、問答の話の時もしたでしょ?こう、向きを変えて、声の調子を変えるの。
それで、役柄変えてるだけだから。」
「ああ、そうですね。そういえば、そうです。」
セサミンは正面のソファに座り、その横に師匠。
横に置いてる椅子には、トックスさんとガイライさん。帝都の芝居のことで盛り上がっている。
わたしはその対面のカウチでマティスの膝枕をしている。
ドーガーは、後ろでジョジョ立ちを練習している。いつ披露するんだ?
「それで?ガイライ殿は?」
「モウ殿に菓子の礼をと思っていたんだが、
声が聞こえなかったので、ここまで来ました。
ああ、ルグの試合が始まりますね。ここで一緒に見ていても?セサミナ殿?」
「ええ、かまいませんよ?」
「第二戦、王都軍部・ルカリ対コットワッツ領国・ルグ、中央へ!」
「いやー、待たした。あの突きを食らえばさすがにな。急遽石を用意してもらった。」
「いえ、かまいません。」
「ん?石は使わないのか?」
「ああ、ここでは使いません。」
「そうか!さすがだな!俺はもう一度この槍でマティス殿と勝負がしたいから使うぞ!」
『石よ、コットワッツの一突きを防ぐのだ。』
大きな石は砂となっていく。
これで、ルグの一突きは効かない。
「はっ!」
では、2突きは?
しなる柄を打ち付けたら?
わたしの蹴り技を習得していたら?
ルカリは防戦のみ。
大きな体が舞う。
「ルグはまとってるの?重さは?」
「最初は重さもまといもしていたが、今は、まといと、ははは、重さもそのままだ。」
「はー、すごいね、ルグは。ドーガー?頑張れ?死ぬな?」
「奥方様!このドーガーには秘策があるのです!」
「あー、そうなの?うん。楽しみにしてるよ?」
「はい!!」
ドーガーは後ろでまだ練習をしている。
あれだ、どうせ、二刀流とかだろう。
ドーガーはわたしと思考回路が同じだから。
「勝者、ルグ!」
おお!とどよめきが起こる。
そりゃそうだ、突きが効かないはずなのに、2突きで後退していたのだ。
一般には一突きに見えただろう。
コットワッツルグには石が効かない。きっとあれより大きな石を使っていたんだ。
一般の客はそう思ってる。
でも、王族、貴族、他の領国は?
ーコットワッツの砂漠石枯渇は嘘だったんだ。
-独り占めするつもりだ。
「セサミン、師匠、まずい。」
「そうですね~。モウ殿、ちょっと、中央に出て説明してあげなさい。」
「はい!ちょ、マティス!起きて!」
「ワイプ、お前がいけ!」
「ダメですよ。宣伝も兼ねるんでしょ?かっこいいモウ殿が見れますよ?」
「愛しい人、行ってこい。」
「アイアイアサー」
『見事!ルグ!!』
ちょっと跳躍して、倒れたルカリを起こした前にでる。
ルグはすかさずわたしの後ろでに控える。
『ルカリ殿!我が配下のお相手、ありがとうございます。
槍術の奥深さを知ることができ、誠に感謝でございます。
ルカリ殿おっしゃった、”一突き封じ”まさに、このルグの成長の言葉。
見事、”二突き”の技を開眼することが出来ました。
高速にての同点2度突き。それを成し遂げルグには見事の一言ですが、
下位のものを成長させる、この偉業、さすがは、軍部副隊長でございます。
此度のこの試合、わたくし赤い塊モウ、勉強になりました。ありがとうございます。』
「一突きではなく、同時に二突き?
な、なるほど。石が効かないわけだ!がはははは!
これは、俺の作戦負けということか。
え?赤い塊殿なのか?いやいや、こちらこそ礼を言いたい。
ルグ!次はこうはいかぬぞ?」
「はっ!さらなる上を目指して精進いたします。」
うわーっと歓声が上がった。
二突きだったんだ、わからなかった!
え?あの人が赤い塊?
コットワッツだからそうだろ?
3番さんとルグが礼をして終わり。
わたしは控えて惜しみない拍手を。
ルグは抜け目なくタオルを渡している。
喜んでくれているようだ。
よかった。すこし嫌味かとおもったが、単純、いや、純粋な人で良かった。
わたしを前にルグと席に戻ると、あらゆるところから視線を感じる。
ブース近くに戻ると、ガイライさんが立って、セサミンの横にエスコート。
ん?マティスは?
「ここは、兄さんより、わたしのほうがいいのです。にっこり笑ってください。」
どうやら営業の一環のようだ。
とりあえず、できるだけ優雅に微笑みながらソファに座ることにする。
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