245 / 869
245:自身の話
しおりを挟む
きゃいのきゃいのやっていたが、
コットワッツ組は明日の用意もあるし、
師匠とトックスさんは糸のことで話をまとめるそうだ。
残ったのはガイライとマティスとわたし。
「さ、待たしたね。
ガイライの質問に答えるよ。
ガイライを守ると約束したからね。わからないままでは不安だからね。
いいよね?マティス。」
「ああ、かまわない。」
「ありがとう。では、、、、」
異国の事、ここではないどこか。
気付いたらここにいたこと。マティスが受け入れてくれたこと。
砂漠石の事。言霊の事。妖精のお酒の事。
呼び寄せ、移動の事。
「妖精の酒。あるのですか?」
「うん。あるよ。
これの検証もしないとね。そんときは協力してね。」
「ええ、もちろん。妖精の酒を飲むことが出来るとは、、」
「ん?さっき食べたのにもはいってるよ?」
「え!!」
どうしてそうなったかも話す。皆で眠ってしまった話も。
「なんと。妖精の言葉もわかり、妖精の酒が何かを知り、
酒もあると。」
「うん、でも、妖精とはかかわりあいになりたくないな。
匂いもダメなんだ。
わたしたち、気をまとって、ここの匂いを遮断してるの。
師匠も今はそうしてる。いやな臭いなんだ。
ここはしないでしょ?」
「ええ。ここの敷地にはいるとすがすがしい気になります。
出ると違和感がありますね。すぐになくなるのですが。」
「うん、とりあえず、ガムかんでみる?
ガイライならすぐに気をまとえると思うけど。」
「その、呼び寄せと移動はわたしにもできるでしょうか?」
「んー、先にさ、砂漠石のことはどう思ってる?真名こととか?
夜は明るいけど、月が沈んだ後はなにが光って明るいのとか?
どう思う?」
「え?え?え?」
「不思議だよね。じゃ、わたしのことは?砂漠石がなくても
大体のことはできる。人殺しも。ただしないだけ。
あー、一度わたしの気を受けてみる?
試合で受けたのは施主殺し。で、話に出てくる、Gってのは
師匠かマティスの許可がいる。
でもま、スポット的に出せるかな?いい?マティス?」
「さきにワイプに知らせておく。そうでないと飛んでくるぞ?
いつのまにか、愛しい人のことのモウと呼び捨てしているしな。」
「ふふ、師匠だもの。いい?」
「・・・、・・・。ああ、いいぞ。」
「じゃ、行くよ?」
「ええ。」
『受けよ、ガイライ!』
上から押さえつける感じ。こんな軽い感じでできる。
受け入れられる?
グぅ、、、、、、、、、
握りこぶしをテーブルに押してけ耐えている。
うわ、きつかったか?
マティスを見ると、大丈夫だと頷いてくれた。
「ふー、ふー。」
「お茶のんで。緑茶。少し冷ましてるから。」
「い、いただきます。」
お茶請けはスイートポテト。1つだけにしておこう。
寒天ってないのかな?羊羹たべたい。
「はー。震えが、まだ、止まりません。」
「さすがだね。気を失ってないもの。息も苦しかったでしょ?
廻りの空気も飛ばしたからね。でだ、これくらいならすぐにできる。
剣を槍を、拳を出さなくても、一発だ。
これに自分の中で殺してもいいって気持ちを混ぜると、たぶん皆死ぬよ?
移動もさ、口と鼻に水の塊をぶつければ窒息させられる。
小石を心臓に打ち抜けば、今日の銃どころの騒ぎじゃない。
あとここ、首に鋭利な風を起こせば切れて死ぬ。
こんな知識はわたしの世界ではみんな知ってる。どんだけ殺伐としてるんだ?
って思うかもしれないけど、
実際にそういうところで生きてる人は沢山いる。
幸いわたしの住んでいた国は平和だ。物語として知ってるだけ。
でもね、ここでは思う通りにことが進む。
それを長年、砂漠石が使っているからという、それこそ教育がなされている。
だから、石が出来なくてもできるよっていってもダメなんだ。
マティスはわたしの半身。すべてを受け入れてくれてる。わたしもね。
だからわたしができることは疑問を思わなければ大抵できる。
わたしの言霊を上書きができるくらいだ。緑の目だしね。
セサミンたちはわたしを受け入れてくれてるから、
姉さん、一番弟子、赤い塊が言うんだからできるんだ、って思ってるからできる。
この縛りがあるからできるんだ。
わたし自身にもいろいろ縛りをかけてるよ。声を出すとか、声色を変えるとかね。
でないと気がくるってしまう。
いつでも心の平穏は必要なのよ。
ちょっと違うかもしれないけど、
酸っぱい葡萄っていう話があってね。ああ、ここの葡萄は土の中か。
ま、木の上にね、おいしいってしってる果物がなっているのよ。
それをね、一生懸命とろうと動物が、ぴょんぴょん飛び跳ねて取ろうと頑張るの。
でも、頑張っても、頑張っても、取れない。
だから動物はね、こう思うの。
”あれは酸っぱい果物だ。だれが食べてやるものか”って。
努力しても、頑張っても手に入らないかったら、そうやって
言い訳じゃないけども、理由をつけて心の平穏を保つのよ。
今回の銃のことはね、聞こえてたでしょ?
良いこともあるだろうけど、悪いことの方が記憶に残る。
わたしの力なら、無かったことにもできそうでしょ?
でもしない。きっと知ってる人が銃で殺されても、
嘆き悲しむだろうけど、それ以上はなにもしない。
心の平穏はね、
”わたしは神様じゃない、神様でもなにもしない”だ。
ふふ、それがわたし。」
「・・・マティスがもし、もし、マティスが銃で倒れることがあれば?」
「んー、もしもの話はよくないんだけど、その時点でわたしはつとめを辞めるよ?
生きるということは権利ではなくつとめだ、っていうのがあってね。
この言葉が好きなんだ。
つとめを果たして死にたい。
でも、マティスと、っていうのがある。
マティスがいなければつとめはそこで終わり。
マティスもだ。報復とかもない。その時点で終了。
わたしも見えないけど緑の目なんだ。
けがとかはまた別の話よ?
たとえば、なんか戦争があって、わたしたちが参加していて、
どっちかが、死んだとする。でも、セサミンたちは頑張ってる。
どっちかがもうすこし頑張れば勝てる、セサミンたちが死ななくてもいい、
そういう状況でも、どっちかが死ねば終わりだ。
片方が片方を見送ることはない。」
「そんな・・・」
「セサミンたちは理解してくれている、と思っている。
人がどう思うかは別にかまわないけどね。」
「子が、子供が出来れば?」
「ああ、そうか。んー。」
「愛しい人、セサミナには話した。それを憂いてお前を悲しませるなといわれた。」
「そうか。あのね、ガイライ。異国は理解したよね?ああ、お便所いったの?そう。
ま、それでだ。ああ、ちなみにガイライはいくつ?へ?102?ははは。
ここの平均寿命は170だっけ?わたしの世界は80だ。で、わたしの年齢は48歳。
1年は12か月で1か月だいたい30日で365日。ここは18か月で1か月40日、1年が720日。
時間の長さが違う。1年は長いし、寿命も長い。
単純にわたしの年齢はここでは120歳。あら、ガイライより上だね。
子供を産む年齢ではないの。故郷でも、少ない。余程のことだ。
わたしは子供を持つことはないと思っていたよ。
それは想像できない。だからここではありえない。
だからね、ガイライ、あなたに母さんと呼ばれてうれしかった。
あなたがなにを思ってわたしを支えようと思ってくれたかは、
わからないし聞かないよ?
わたしが理解する必要もない。
あなたを守りたいと思ったのはわたしの気持ち。
セサミンたちもね。
でも、大前提はマティスがいるから。マティスがあなたを認めているから。
ふふふ、惚気話になっちゃうね。んー、だいたいこんな感じだね。
セサミンたちよりかはくわしく話したつもりなんだけど?
あとはなにが聞きたい?」
「・・・。」
「いっぱい、話したから喉かわいたね。
芋系のものは水分を取られるから。今度はなにが飲みたい?
ああ、水もおいしいのがあるよ?それでいい?」
目の前で砂漠石をコップに加工して、
また、冷たい水を出す。おいしい水。
ガイライから少し離したところに置いた。
「砂漠石は大賢者。感謝の言葉と共に願えば英知を与えてくれる。
でもね、ここの世界そのものが砂漠石なんだ。願えば叶う。
ただ、皆知らないだけ。
できないことはないといってもいい。
ただ、知らないだけ。お願いしてごらん?
水が飲みたい。ここに来て。」
「水が飲みたい。ここに来て。」
水の入ったコップが移動する。ガイライの手の中に。
縛りを掛けないと。
「できたね。
じゃ、自分も移動できる。
声を出して、やってみよう。緊急時は仕方がないけどね。
生きた人間から血だけを抜くのができないように、それはできない。
できないって思うことはできない。
じゃ、できるとおもえば?それは無理だ、人としての倫理がある。
人のものは取れない、盗めない、知らないものは、ないも同じ。
倫理がないような殺人狂ならそもそもわたしを受け入れないし、
『わたしが受け入れない』」
「それが縛り?」
「そう。セサミンたちは
人の移動と呼び寄せはできないみたいだけどね。
どこかで抵抗があるのかな?
自分自身はできるよ。先に自分の姿かたちを鏡で見るほうがいいかな?」
「鏡があるのですか?」
「うん。大きいの。マティス?持ってこれる?。」
「後ろに。」
マティスが移動してくれたみたいだ。
「これは、すごい。」
「うん、自分の姿ってあんまり把握しないからね。
一度じっくり認識すればいい。
それで、物を移動させる感じで、自分を移動。
向こうに行きたいってね。そのときはやっぱり初めての場所やあいまいなところはダメ。
ガイライは気配は消せるよね?
急に現れても、気配を消していたんだっておもってくれるよ。」
「はい。」
「ふふふ。受け入れてくれてよかった。
ガイライ、今日はもうお帰り。軍部のこともあるでしょ?
また、月が沈めばここに来ればいい。
朝ごはん、ああ、月が沈んだら食べるご飯があるの。
半分のときは昼ごはん、で月が昇ったら夜ご飯。
3度のご飯を食べるんだ。
明日はボルタオネの人たちが来るからお昼はちょっと豪勢にしようかな?
よかったらおいで。ああ、仕事を3番さんに押し付けちゃだめだよ。」
「ええ、わかりました。」
「わたしのためになにかをしようとか思っちゃだめだよ?
自分のするべきことは自分で決めればいいけどね。
軍部の弱体化は師匠もびっくりしてたよ?
軍部がきちんとしていればニバーセルは安泰だ。
そうなると領国コットワッツも安泰。
セサミンも安泰。そうなるとわたしもうれしい。」
「ええ、もちろん。では、わたしはこれで。
モウ殿とこれから呼んでも?」
「ああ、中央院の人ね。ちょっとあれだったね。
悪気がない分たちが悪い。あの人も無意識に言霊を使ってると考えればいい。
おかしいなっておもったらまじないね。
何もかも拒否することはないけどね。
呼び名はモウと、モウとだけ。」
「ありがとう。モウ。軍部まで移動してみます。
明日また。」
「うん、明日は時間が取れるならお風呂入っていって。
下のジャングル風呂は好評だよ?」
「風呂ですか。それは贅沢ですね。向こうで湯気と泡が出ているのも?」
「あれはジャグジー。下にもあるから。風呂上がりのビールは格別だよ。」
「ああ、それはいいですね。ぜひ。」
「うん、じゃ、おいで?ガイライ」
「はい。」
きゅっとハグをする。
「おやすみ、ガイライ。」
「ええ、母さん、おやすみなさい。」
離れると、マティスに一礼してから消えた。
すごいな、移動も問題ないようだ。
「マティスありがと。」
「いや。疲れただろう?今日はもう寝るか?」
「うん。寝よう。」
「おいで。」
「ん。ベットまで連れてって?」
「もちろん。」
きゅっと抱きしめてもらえば、わたしはそのまま寝てしまった。
「ワイプ、もういいぞ?」
「ええ。彼女は寝ましたか?」
「ああ、体力のあるなしではなく、精神的に疲れたのだろう。
自身の話をするということは、疲れるものだ。」
「寿命の話は?」
「聞いた通りだ。」
「そうですか。ま、寿命が200だとしても死ぬときは死にますしね。」
「そういうことだな。」
「しかし、あの気によく耐えましたよね、ガイライ殿は。さすがだ。」
「そりゃそうだろ。ニバーセルの実質1番なんだ。
そこに移動ができるようになったんだ。さらに上に行くぞ?」
「ああ、鍛錬せねば。
わたしも一度資産院にもどって蜘蛛の様子を見てきます。
あさごはんとひるごはんはこちらで食べるので、頭数に入れておいてください。
もちろん夜も。では。」
入れるも入れないもいつも食べてるくせに。
また食い扶持が増えた。
食料を買い足さないと。
彼女を抱きしめ寝床に入った。
コットワッツ組は明日の用意もあるし、
師匠とトックスさんは糸のことで話をまとめるそうだ。
残ったのはガイライとマティスとわたし。
「さ、待たしたね。
ガイライの質問に答えるよ。
ガイライを守ると約束したからね。わからないままでは不安だからね。
いいよね?マティス。」
「ああ、かまわない。」
「ありがとう。では、、、、」
異国の事、ここではないどこか。
気付いたらここにいたこと。マティスが受け入れてくれたこと。
砂漠石の事。言霊の事。妖精のお酒の事。
呼び寄せ、移動の事。
「妖精の酒。あるのですか?」
「うん。あるよ。
これの検証もしないとね。そんときは協力してね。」
「ええ、もちろん。妖精の酒を飲むことが出来るとは、、」
「ん?さっき食べたのにもはいってるよ?」
「え!!」
どうしてそうなったかも話す。皆で眠ってしまった話も。
「なんと。妖精の言葉もわかり、妖精の酒が何かを知り、
酒もあると。」
「うん、でも、妖精とはかかわりあいになりたくないな。
匂いもダメなんだ。
わたしたち、気をまとって、ここの匂いを遮断してるの。
師匠も今はそうしてる。いやな臭いなんだ。
ここはしないでしょ?」
「ええ。ここの敷地にはいるとすがすがしい気になります。
出ると違和感がありますね。すぐになくなるのですが。」
「うん、とりあえず、ガムかんでみる?
ガイライならすぐに気をまとえると思うけど。」
「その、呼び寄せと移動はわたしにもできるでしょうか?」
「んー、先にさ、砂漠石のことはどう思ってる?真名こととか?
夜は明るいけど、月が沈んだ後はなにが光って明るいのとか?
どう思う?」
「え?え?え?」
「不思議だよね。じゃ、わたしのことは?砂漠石がなくても
大体のことはできる。人殺しも。ただしないだけ。
あー、一度わたしの気を受けてみる?
試合で受けたのは施主殺し。で、話に出てくる、Gってのは
師匠かマティスの許可がいる。
でもま、スポット的に出せるかな?いい?マティス?」
「さきにワイプに知らせておく。そうでないと飛んでくるぞ?
いつのまにか、愛しい人のことのモウと呼び捨てしているしな。」
「ふふ、師匠だもの。いい?」
「・・・、・・・。ああ、いいぞ。」
「じゃ、行くよ?」
「ええ。」
『受けよ、ガイライ!』
上から押さえつける感じ。こんな軽い感じでできる。
受け入れられる?
グぅ、、、、、、、、、
握りこぶしをテーブルに押してけ耐えている。
うわ、きつかったか?
マティスを見ると、大丈夫だと頷いてくれた。
「ふー、ふー。」
「お茶のんで。緑茶。少し冷ましてるから。」
「い、いただきます。」
お茶請けはスイートポテト。1つだけにしておこう。
寒天ってないのかな?羊羹たべたい。
「はー。震えが、まだ、止まりません。」
「さすがだね。気を失ってないもの。息も苦しかったでしょ?
廻りの空気も飛ばしたからね。でだ、これくらいならすぐにできる。
剣を槍を、拳を出さなくても、一発だ。
これに自分の中で殺してもいいって気持ちを混ぜると、たぶん皆死ぬよ?
移動もさ、口と鼻に水の塊をぶつければ窒息させられる。
小石を心臓に打ち抜けば、今日の銃どころの騒ぎじゃない。
あとここ、首に鋭利な風を起こせば切れて死ぬ。
こんな知識はわたしの世界ではみんな知ってる。どんだけ殺伐としてるんだ?
って思うかもしれないけど、
実際にそういうところで生きてる人は沢山いる。
幸いわたしの住んでいた国は平和だ。物語として知ってるだけ。
でもね、ここでは思う通りにことが進む。
それを長年、砂漠石が使っているからという、それこそ教育がなされている。
だから、石が出来なくてもできるよっていってもダメなんだ。
マティスはわたしの半身。すべてを受け入れてくれてる。わたしもね。
だからわたしができることは疑問を思わなければ大抵できる。
わたしの言霊を上書きができるくらいだ。緑の目だしね。
セサミンたちはわたしを受け入れてくれてるから、
姉さん、一番弟子、赤い塊が言うんだからできるんだ、って思ってるからできる。
この縛りがあるからできるんだ。
わたし自身にもいろいろ縛りをかけてるよ。声を出すとか、声色を変えるとかね。
でないと気がくるってしまう。
いつでも心の平穏は必要なのよ。
ちょっと違うかもしれないけど、
酸っぱい葡萄っていう話があってね。ああ、ここの葡萄は土の中か。
ま、木の上にね、おいしいってしってる果物がなっているのよ。
それをね、一生懸命とろうと動物が、ぴょんぴょん飛び跳ねて取ろうと頑張るの。
でも、頑張っても、頑張っても、取れない。
だから動物はね、こう思うの。
”あれは酸っぱい果物だ。だれが食べてやるものか”って。
努力しても、頑張っても手に入らないかったら、そうやって
言い訳じゃないけども、理由をつけて心の平穏を保つのよ。
今回の銃のことはね、聞こえてたでしょ?
良いこともあるだろうけど、悪いことの方が記憶に残る。
わたしの力なら、無かったことにもできそうでしょ?
でもしない。きっと知ってる人が銃で殺されても、
嘆き悲しむだろうけど、それ以上はなにもしない。
心の平穏はね、
”わたしは神様じゃない、神様でもなにもしない”だ。
ふふ、それがわたし。」
「・・・マティスがもし、もし、マティスが銃で倒れることがあれば?」
「んー、もしもの話はよくないんだけど、その時点でわたしはつとめを辞めるよ?
生きるということは権利ではなくつとめだ、っていうのがあってね。
この言葉が好きなんだ。
つとめを果たして死にたい。
でも、マティスと、っていうのがある。
マティスがいなければつとめはそこで終わり。
マティスもだ。報復とかもない。その時点で終了。
わたしも見えないけど緑の目なんだ。
けがとかはまた別の話よ?
たとえば、なんか戦争があって、わたしたちが参加していて、
どっちかが、死んだとする。でも、セサミンたちは頑張ってる。
どっちかがもうすこし頑張れば勝てる、セサミンたちが死ななくてもいい、
そういう状況でも、どっちかが死ねば終わりだ。
片方が片方を見送ることはない。」
「そんな・・・」
「セサミンたちは理解してくれている、と思っている。
人がどう思うかは別にかまわないけどね。」
「子が、子供が出来れば?」
「ああ、そうか。んー。」
「愛しい人、セサミナには話した。それを憂いてお前を悲しませるなといわれた。」
「そうか。あのね、ガイライ。異国は理解したよね?ああ、お便所いったの?そう。
ま、それでだ。ああ、ちなみにガイライはいくつ?へ?102?ははは。
ここの平均寿命は170だっけ?わたしの世界は80だ。で、わたしの年齢は48歳。
1年は12か月で1か月だいたい30日で365日。ここは18か月で1か月40日、1年が720日。
時間の長さが違う。1年は長いし、寿命も長い。
単純にわたしの年齢はここでは120歳。あら、ガイライより上だね。
子供を産む年齢ではないの。故郷でも、少ない。余程のことだ。
わたしは子供を持つことはないと思っていたよ。
それは想像できない。だからここではありえない。
だからね、ガイライ、あなたに母さんと呼ばれてうれしかった。
あなたがなにを思ってわたしを支えようと思ってくれたかは、
わからないし聞かないよ?
わたしが理解する必要もない。
あなたを守りたいと思ったのはわたしの気持ち。
セサミンたちもね。
でも、大前提はマティスがいるから。マティスがあなたを認めているから。
ふふふ、惚気話になっちゃうね。んー、だいたいこんな感じだね。
セサミンたちよりかはくわしく話したつもりなんだけど?
あとはなにが聞きたい?」
「・・・。」
「いっぱい、話したから喉かわいたね。
芋系のものは水分を取られるから。今度はなにが飲みたい?
ああ、水もおいしいのがあるよ?それでいい?」
目の前で砂漠石をコップに加工して、
また、冷たい水を出す。おいしい水。
ガイライから少し離したところに置いた。
「砂漠石は大賢者。感謝の言葉と共に願えば英知を与えてくれる。
でもね、ここの世界そのものが砂漠石なんだ。願えば叶う。
ただ、皆知らないだけ。
できないことはないといってもいい。
ただ、知らないだけ。お願いしてごらん?
水が飲みたい。ここに来て。」
「水が飲みたい。ここに来て。」
水の入ったコップが移動する。ガイライの手の中に。
縛りを掛けないと。
「できたね。
じゃ、自分も移動できる。
声を出して、やってみよう。緊急時は仕方がないけどね。
生きた人間から血だけを抜くのができないように、それはできない。
できないって思うことはできない。
じゃ、できるとおもえば?それは無理だ、人としての倫理がある。
人のものは取れない、盗めない、知らないものは、ないも同じ。
倫理がないような殺人狂ならそもそもわたしを受け入れないし、
『わたしが受け入れない』」
「それが縛り?」
「そう。セサミンたちは
人の移動と呼び寄せはできないみたいだけどね。
どこかで抵抗があるのかな?
自分自身はできるよ。先に自分の姿かたちを鏡で見るほうがいいかな?」
「鏡があるのですか?」
「うん。大きいの。マティス?持ってこれる?。」
「後ろに。」
マティスが移動してくれたみたいだ。
「これは、すごい。」
「うん、自分の姿ってあんまり把握しないからね。
一度じっくり認識すればいい。
それで、物を移動させる感じで、自分を移動。
向こうに行きたいってね。そのときはやっぱり初めての場所やあいまいなところはダメ。
ガイライは気配は消せるよね?
急に現れても、気配を消していたんだっておもってくれるよ。」
「はい。」
「ふふふ。受け入れてくれてよかった。
ガイライ、今日はもうお帰り。軍部のこともあるでしょ?
また、月が沈めばここに来ればいい。
朝ごはん、ああ、月が沈んだら食べるご飯があるの。
半分のときは昼ごはん、で月が昇ったら夜ご飯。
3度のご飯を食べるんだ。
明日はボルタオネの人たちが来るからお昼はちょっと豪勢にしようかな?
よかったらおいで。ああ、仕事を3番さんに押し付けちゃだめだよ。」
「ええ、わかりました。」
「わたしのためになにかをしようとか思っちゃだめだよ?
自分のするべきことは自分で決めればいいけどね。
軍部の弱体化は師匠もびっくりしてたよ?
軍部がきちんとしていればニバーセルは安泰だ。
そうなると領国コットワッツも安泰。
セサミンも安泰。そうなるとわたしもうれしい。」
「ええ、もちろん。では、わたしはこれで。
モウ殿とこれから呼んでも?」
「ああ、中央院の人ね。ちょっとあれだったね。
悪気がない分たちが悪い。あの人も無意識に言霊を使ってると考えればいい。
おかしいなっておもったらまじないね。
何もかも拒否することはないけどね。
呼び名はモウと、モウとだけ。」
「ありがとう。モウ。軍部まで移動してみます。
明日また。」
「うん、明日は時間が取れるならお風呂入っていって。
下のジャングル風呂は好評だよ?」
「風呂ですか。それは贅沢ですね。向こうで湯気と泡が出ているのも?」
「あれはジャグジー。下にもあるから。風呂上がりのビールは格別だよ。」
「ああ、それはいいですね。ぜひ。」
「うん、じゃ、おいで?ガイライ」
「はい。」
きゅっとハグをする。
「おやすみ、ガイライ。」
「ええ、母さん、おやすみなさい。」
離れると、マティスに一礼してから消えた。
すごいな、移動も問題ないようだ。
「マティスありがと。」
「いや。疲れただろう?今日はもう寝るか?」
「うん。寝よう。」
「おいで。」
「ん。ベットまで連れてって?」
「もちろん。」
きゅっと抱きしめてもらえば、わたしはそのまま寝てしまった。
「ワイプ、もういいぞ?」
「ええ。彼女は寝ましたか?」
「ああ、体力のあるなしではなく、精神的に疲れたのだろう。
自身の話をするということは、疲れるものだ。」
「寿命の話は?」
「聞いた通りだ。」
「そうですか。ま、寿命が200だとしても死ぬときは死にますしね。」
「そういうことだな。」
「しかし、あの気によく耐えましたよね、ガイライ殿は。さすがだ。」
「そりゃそうだろ。ニバーセルの実質1番なんだ。
そこに移動ができるようになったんだ。さらに上に行くぞ?」
「ああ、鍛錬せねば。
わたしも一度資産院にもどって蜘蛛の様子を見てきます。
あさごはんとひるごはんはこちらで食べるので、頭数に入れておいてください。
もちろん夜も。では。」
入れるも入れないもいつも食べてるくせに。
また食い扶持が増えた。
食料を買い足さないと。
彼女を抱きしめ寝床に入った。
13
あなたにおすすめの小説
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる