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340:危険なお菓子
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「蜘蛛さん?ここにお仲間いますかね?」
「・・・それを聞くためにか?」
「そうですよ?なんとなくはわたしもわかります。」
「そうか。なんと?」
「いるようですね。」
「ん?糸をだしていないか?」
「おや、いつも食事の後に出すのに?」
「すごいな、これに糸が寄っていってる。」
「そのようですね。これをもっておけばいい?」
「糸よけということか?」
「素晴らしい。これだけで、カンラン1個ですよ。」
「褒美はまたくわしく愛しい人に言えばいい。わかってくれるだろう。」
「モウはあの4人に話をするでしょうか?」
「するだろうな。だから残ったんだろう。」
「あの者たちはあなたの役には立たないですよ?」
「しかし、お前の役に立つのだろう?
愛しい人はお前には甘すぎるからな。」
「ありがたいですね。さ、なにを埋めていたんでしょうか?
マティス君のほうが詳細が分かるでしょ?人の気配はしますか?」
「向こうに。寝ているのか?20人ほどだ。それは生きている。
この下に埋まってるのは死体かと思ったが、鼓動が聞こえる。」
「え?」
「ああ、だが、その鼓動は遅い。」
「・・・なにが考えられます?」
「聞くのか?それを?」
「ええ、一応。」
「死体に近い状態にしているなにか。
蜘蛛がいるというなら、そのための餌?
死んでいるものを食べて糸を出しても操りの糸にはならない。
生きているものを食べて糸を出せば操りの糸になる。
虫を食べれば虫を、人を食べれば人を、
それらを操れる糸が出る。生きてること前提だ。」
「・・・あなた、よくそんなことを考えられますね。」
「お前も考えただろう?蜘蛛がいる、ここは操りの糸の工場だ。」
「・・・そうですね。しかし、生きているものを?
あなた?そうなんですか?」
「なんと?」
「食べるだけだと。そうりゃそうか、あれば食べる。本能ですね。」
「ナソニール主導?」
「違いますね。
ここをそのままマトグラーサに貸していると考えたほうがいい。」
「自分のところですればいい。」
「ここでないといけない?ああ、糞尿か。それと砂?
マトグラーサは海に廃棄している。
いまさら陸地には作れない。
砂と陸地に糞尿があるのはここだけだ。
コットワッツはデジナとの渓谷に落としているから。」
「月が昇る直前が蜘蛛の飯の時間だ。
もうそろそろだぞ?」
「あなた、戻るまでがまんできますよね?
え?いるんですか?マティス君なにかありますか?」
「カンラン、キトロス、砂漠石、どれだ?」
「キトロス?だそうです。」
「皮?実?種?」
「種?え?」
「ああ、なら炒ったものがある。これは食べ始めると止まらない。」
「おいしいんですか?」
「まずくはないが、うまくもない。ただ、とまらない。」
「わたしもいいですか?」
「十分ある、食べよう。」
ポリポリポリ・・・・・
「これ、止まりませんね。」
「そうだ、愛しい人は危険なお菓子だといった。」
「ええ、まさしく危険です。え?おいしいんですか?
それはよかった。蜘蛛さんも気に入ったようです。」
「そうか。・・・・地面が動く。蜘蛛だ。」
愛しい人には見せられない光景だった。
「ツイミさんもなんとかできたね。素質はあるんだよ。
武の方面に進んでいたらいいとこにいってたんだろうね。
で、君たちも大丈夫だね?」
「「「はい!」」」
「やっぱり若いからね。
なんなく受け入れたね。んー、心配だな。」
「モウ様?」
「・・・ツイミさん?殿から様になってるよ?モウでいいよ?」
「なにを!無理です!」
「・・・そうなの?たかが呼び名だ、何でもいいけどね。
ちょっと、この子たち、あまりにも純粋で単純すぎる。」
「「「モウ様!!」」」
「ああ、君たちもなのね、うーん。そうやってわたしを敬ってくれるのは
うれしいんだけどね、だったら、わたしを悲しませないでね?
師匠の手伝いを頑張ってね。
師匠も無茶なこと言うからその時はわたしにね。
マティスの言うとおり、なにかほかの仕事があればそれについてもいい。
だけど、この移動と呼び寄せは師匠の配下であることが条件だ。
それでも、師匠に付いて、武を極めれば、それこそ軍部で通用する。
鍛えて損はない。ツイミさんは資産院で頑張れると思うよ?」
「ありがとうございます。」
「モウ様!一度、マトグラーサに戻ってもいいですか?
母さんのところに!」
「ああ、そうだね。かまわないよ。じゃ、なにかおいしいものを手土産にしよう。
もちろん、チョコと、アップルパイ。あとは?」
「キトロス!あのジュースがおいしかったから!」
「あのシチューも!」
「あ!それ俺は食べてない!厩に行ってる間だった!!」
「そうか、カップ君がいるって知らなかったんだ。ごめんね。
じゃ、チョコと、アップルパイと、ジュースとシチューパイとリンゴ飴かな?
あのラーメンはマティスが作ってるからわたしは無理なの。
もし、長旅が大丈夫なら、食の祭りに来ればいい。
村から来る人もいるんじゃないの?
リンゴの根元、掘ってみ?アップルパイに入ってる部分が出てくるよ?
それを薄く切って乾燥させたものも好きなんだ。
もちろん甘煮にするのもおすすめ。飴もね。
チョコ以外は好きにしてくれればいい。
けど、チョコは秘密ね。母様だけのお土産ね。
あとは食の祭りに出したら?売れるよ?というか、わたしは買うね。」
「わたしも戻っていいですか?
それにその根のことは?教えてもいいことなんですか?」
「もちろん。ちょっとゆっくりしておいで?
母様と、4兄弟で生きていけるならもどらなくてもいい。
師匠にはわたしからいっておくよ?」
「いえ、それはあり得ません。」
「けど、母様をひとりにするには心配だよ?」
「いえ、こうやって移動ができるのなら、問題ないです。」
「そう?じゃ、この白い石ね。3つもっていって。
で、そとに置いてくれればいい。勝手になくなってるから。」
「?」
「あー、そこらへんはあまり疑問に思わないで?ね?」
「はい。」
「じゃ、ちょっと待ってね。お土産、籠に入れるから。
うんと、こんなもんかな?ここにはマティスたちが戻るまでいてるから。
まだかかりそうだけどね。」
「いえ、そんなにかかりません。」
「いいよ、ゆっくりしておいで。」
「モウ様!お土産にリンゴ酒買ってきますよ!」
「おお!いいね!じゃ、これ、500リングね。」
「え?」
「買ってきてくれるんでしょ?ここから出せばいい。」
「モウ様!これいただけません!!」
「大丈夫、師匠から預かってたから。支度金だね。
これから寒くなる。いろいろ買っていかないと。
さ、行っといで。」
4人は深々と頭を下げて消えていった。
戻ってきてくれたらうれしいな。
月が昇り、まだだれも帰ってこない。
建物の中には2人の気配はする。ほかにも。
デッキに炬燵をだしてのんびりしている。
密封容器のパッキンにあたる部分のゴムを作っていた。
ポキュンっとはまる。
素晴らしい!
これで、ジャムは日持ちする。
ガラスでできれば見た目もいいだろう。
ここで詰め替えをしたいが、膜を外すと臭い場所なので
後でね。
今日は湿地の2人はセサミンのところに行ったのだろうか?
油紙はいい方法だと思うんだけどな。
ん?誰か来た。
(マティス?誰か来た)
(わかった。お前は?)
(わたしは大丈夫。膜張って隠匿してる)
(5人だな?)
(うん。中に入ったよ?)
(わかった)
(ちょっと馬さんと話してくるよ)
(いや、どこの馬かわかる。動くな)
(はーい)
(モウ?あの4人は?気配がないですが?)
(いま里帰り)
(?)
(移動ものにしてちょっとかーちゃんとこに)
(そうですか)
(来たぞ?)
(無理しないで!)
(わかった)
なんだろうか?
ここの人?
師匠を痛めつけた人たち?ふーん。
この距離からお馬さんとおはなしできるかなー?
(どーもー)
(こっち、ずーっといってちょっと大きな木があるところ)
(そそ。やっぱりわかるのね?)
(いや、ちょっと休憩?あ、お茶葉食べます?)
(うん。口に直接入れるから、ちょっと開けて?)
(どう?わかります?3番茶だけどね?え?そうなんだ)
(そんなに噂になってるってしらなかったよ。
今度の会合でみんなに振舞えるようにするよ)
(えー、そんなこと自慢してたの?たぶんテンだ。はははそうなん?すごいね)
(ああ、リンゴあるよ?実じゃなく根のほう)
(ちょっと小さく切って。ほい!どう?)
(あはははは!マトグラーサの辺境の村の人には教えたから。んーどうだろ?)
(やっぱり人優先だからね。うん、仕方がないね)
(でも、時々はね。そうそう。ご褒美は必要だと思う)
(ああ、茶葉はその効果があるよ?あー、仕事だもんね)
(うん、ご褒美、ご褒美)
(いや、今日だけ。うん、毎日?うわー、つらいね。)
(あ、育つかどうかわかんないけど、そこに植えておこうか?)
(こっそり食べたらわかんないんじゃない?)
(そうそう。うん、ダメもとで。)
(うん、帰ったらやっとく。で、どこに帰るの?)
(うわー、大変だね。今日で終わり?お疲れ様です)
(うん、うん。あー、そうなんだ。そうかー)
マトグラーサの馬で、会合にでた若い馬から聞いた話だ。
そこで、コットワッツの馬がうまいもの自慢大会をしたらしい。
テンだ。それで、各自うまいものを発表していく。
しかし、たいてい、飼葉だ。
テンはサボテンとか茶葉とか、おいしい水とかをあげていったらしい。
こっちはリンゴがあると言いたかったけど、そこまでうまくはない。
蔓が歯に詰まる。そこで若い馬は発言はしなかったらしい。
悔しかったと嘆いたそうだ。
しかし、このリンゴ!うますぎる!毎日食べたいとのこと。
合わさりの月から、今日まで毎日ここに来ていた。
とりあえず、今日で終わり。マトグラーサに帰る。
臭くてみなが嫌がる仕事だ。
茶葉を食べてからそれも消えた。近くに植えておくことを約束する。
あとは仕事の愚痴を聞いた。馬の世界もストレス社会だ。
それをリセットができるのはおいしいもの!
おお!ひらめいた!
お馬さんうまうまセット!
茶葉とリンゴ、サボテンとカンラン、キトロスはだめか。
じゃ、おいしい水。
これをセットで、んー、ちょっとお高めに?
いまのペットブームで結構たかい餌をあげる飼い主がいるから
ここでもきっとそうだ。
んー、1銀貨。いいんじゃない?
ちょっと食の祭りに出店しようかな?
茶葉は4番茶あたりで、金額アップで2番茶?
お楽しみ袋的に?
1銀貨、3銀貨、5銀貨。
おー!大ヒットの予感!!
(あ、ごめんごめん。なんかいい商売が閃いたんよ)
(え?今度コットワッツで食の祭りあるの。あ、知ってるんだ)
(それにお馬さんうまうま籠!
ってこう、普段食べ慣れていないものをまとめて販売)
(そそ。ね?行ける?まじ?ああ、本気で?そそ、まじまじ!!)
(キャーいいね!へ?リグナ?リグナおすすめ?いいの?)
(わかった!リグナもおすすめうまうま籠!まじです!)
(絶対来てね?うん、うん)
(あ、戻ってきたね!うん!わたし?砂漠の民モウ!うん!わかった!)
リグナさんおすすめと看板に出していいそうだ。
すごい!わかんないけど!
馬界では有名なのだろうか?
おこたから出て、見えないと思うけど手を大きく振り見送った。
「戻りました。」
「あ!ツイミさん?あれ?残りは?」
「もう少し、母のそばに。宿に戻ったら迎えに行きます。」
「そうか、一度行ったところは行き来き自由だからね。」
「はい。ワイプ様はまだ?」
「うん、もう戻るよ?」
「待たせたか?」
「マティス!あ!消臭して!師匠も!!」
何とも言えない匂いだった。
茶葉のスプレーをかけてもらう。
「んー、お帰り、お疲れ様。師匠も。お疲れ様。」
「ああ、退屈しなかったか?」
「うん、ここからお馬さんとおしゃべりしてたよ。
ぐふふふふ。いい商売2人で考えたんだ~。」
「2人?」
「そそ、リグナさん!馬の!」
「?」
「またくわしく話すよ。あ!師匠!おこたにはいったら出れないよ!
靴は脱いで!」
「これはいい。」
「あーあ。じゃ、ちょっとお茶でも飲もう。
お茶にはお芋か、あんこもちか。」
4人でまったりしてしまった。
「ワイプ様。支度金までいただきまして。
母にも十分な雨支度ができます。
ありがとうございます。
あの3人は宿に戻り次第呼びに行きますので。」
「?」
(500リング帰るときに渡しておいた)
「ああ、そうですか。ナソニールのあの状態では
ロクに給金も出ていなかったでしょうね。
王都ではそこらへんは大丈夫ですよ?そこは安心してください。
それで、移動と、呼び寄せものにしたんですね。」
「はい。モウ様のお話で。」
「でも、ごめんね。それは師匠の配下っていう縛りを付けている。」
「ええ、このお力、モウ様、ワイプ様以外の為に以外には使いません。」
「ああ、自分の為にもつかってね。
基本はちょっと楽したいっていうのだから。」
「ははは!なるほど。わかりました。」
「師匠のお仕事は?」
「ええ、収穫もありました。蜘蛛さんのおかげですね。」
「そうなんだ。」
時間外労働となった蜘蛛ちゃんにカンラン1個。
キトロスの種も気に入ったとのことで、それも。
「愛しい人は?リグナ?」
「そうそう。ここに来てた馬さんと世間話。
あ、お茶葉植えるの覚えててね。」
そこで、ざっと聞いた話を伝える。
「・・・馬、馬ね。スーともっとよく話し合わないといけませんね。」
「それで、愛しい人は馬向けのその餌籠を売るのか?」
「そう。セサミンに頼まないとね。
ラーメン鉢の話もつけてるんだ。あした、6人前出前しにいくね。」
「でまえ?」
「あの器屋さんにラーメン届けるの。」
「?」
「うふふふ。大丈夫。さ、宿に帰ろう。」
きっとここでのことは教えてくれない。
だったらもう、ここには用はない。
おっと、茶葉を植えなくては!
4人で壁際に植えていった。
宿に戻り、今日はこのままここに泊まることになった。
ツイミさんもまたマトグラーサにもどる。
そのときに、リンゴの根を50リング分、買ってきてほしいと頼む。
ツイミさんはいらないといったが、
商売になるのできちんとしてほしいとお願いした。
あと、リンゴジャムとキトロスのジャムも密封容器に入れて渡す。
熱湯消毒もした。割れないのもすばらしい。
この容器はメジャートの器屋で売り出すことも教えておく。
なんか忘れてる。
しまった!ガイライに連絡だ!
(ガイライ!ごめん遅くなった)
(ああ、モウ。大丈夫ですよ。いま、部屋に戻ったところです)
(え?今?遅くない?)
(そうですね、ちょっと忙しいですね。でも、明日は休みです。ニックも)
(いやいや、それはいいけど、じゃ、ルカリさん一人?)
(そのためにルカリは今日が休みでしたから)
(そうなの?じゃ、いいか。明日半分ごろにコットワッツに戻れると思うんだ)
(?いまどこなんです?)
(ん、ナソニールの宿。師匠といっしょ。)
(・・・いま呼んでもらえますか?)
(仕事なのね?)
(ええ。あ、モモあります。)
(やった!)
(この時期に海に打ち上げられるんですよ)
(へー。時期ものか)
(ええ)
(じゃ呼ぶね)
(お願いします)
『ガイライ、ここに』
「モウ!元気そうだ。」
「そうなの。おいしいものいっぱい食べたしね。
いい商売も思いついたの。あ、馬のリグナって知ってる?」
「軍馬リグナ?」
「お!やっぱり有名なんだ。そのリグナさんと商売するの。」
「?」
「愛しい人。あなたも説明がへただ。」
「おお。それ、親にも言われてたよ。」
「ガイライ、どうした?」
「いや、ワイプと話をしたい。」
「隣の部屋でツイミと話をしている。」
「ツイミ?ナソニールの?」
「あ、戻ってきたの?リンゴの根は?」
「明日だ。あの3人が取ってくるそうだ。」
「あ、悪いことしたな。ゆっくりしてもらうつもりが。」
「かまわんだろう。」
「んー、じゃ、また、扉君の家にわたしは籠るよ。
モモも仕込まないとね。ホワイトチョコも作りたい。
マティスもお話聞きたいでしょ?」
「そうだが、あなたと一緒にいたい。」
「うん。もちろん。でも、聞いておいて。
わたしはマティスが知ってくれてるだけで、
これ以上関わらないから。
どっちがが知っておかないと。」
「なら聞いておく。」
「うん、ありがとう。
マティス、マティス。嫌なことはない?だったら、聞かなくていい。」
「嫌なことはない。私も知っておきたい。」
「うん。お願いね。」
「・・・それを聞くためにか?」
「そうですよ?なんとなくはわたしもわかります。」
「そうか。なんと?」
「いるようですね。」
「ん?糸をだしていないか?」
「おや、いつも食事の後に出すのに?」
「すごいな、これに糸が寄っていってる。」
「そのようですね。これをもっておけばいい?」
「糸よけということか?」
「素晴らしい。これだけで、カンラン1個ですよ。」
「褒美はまたくわしく愛しい人に言えばいい。わかってくれるだろう。」
「モウはあの4人に話をするでしょうか?」
「するだろうな。だから残ったんだろう。」
「あの者たちはあなたの役には立たないですよ?」
「しかし、お前の役に立つのだろう?
愛しい人はお前には甘すぎるからな。」
「ありがたいですね。さ、なにを埋めていたんでしょうか?
マティス君のほうが詳細が分かるでしょ?人の気配はしますか?」
「向こうに。寝ているのか?20人ほどだ。それは生きている。
この下に埋まってるのは死体かと思ったが、鼓動が聞こえる。」
「え?」
「ああ、だが、その鼓動は遅い。」
「・・・なにが考えられます?」
「聞くのか?それを?」
「ええ、一応。」
「死体に近い状態にしているなにか。
蜘蛛がいるというなら、そのための餌?
死んでいるものを食べて糸を出しても操りの糸にはならない。
生きているものを食べて糸を出せば操りの糸になる。
虫を食べれば虫を、人を食べれば人を、
それらを操れる糸が出る。生きてること前提だ。」
「・・・あなた、よくそんなことを考えられますね。」
「お前も考えただろう?蜘蛛がいる、ここは操りの糸の工場だ。」
「・・・そうですね。しかし、生きているものを?
あなた?そうなんですか?」
「なんと?」
「食べるだけだと。そうりゃそうか、あれば食べる。本能ですね。」
「ナソニール主導?」
「違いますね。
ここをそのままマトグラーサに貸していると考えたほうがいい。」
「自分のところですればいい。」
「ここでないといけない?ああ、糞尿か。それと砂?
マトグラーサは海に廃棄している。
いまさら陸地には作れない。
砂と陸地に糞尿があるのはここだけだ。
コットワッツはデジナとの渓谷に落としているから。」
「月が昇る直前が蜘蛛の飯の時間だ。
もうそろそろだぞ?」
「あなた、戻るまでがまんできますよね?
え?いるんですか?マティス君なにかありますか?」
「カンラン、キトロス、砂漠石、どれだ?」
「キトロス?だそうです。」
「皮?実?種?」
「種?え?」
「ああ、なら炒ったものがある。これは食べ始めると止まらない。」
「おいしいんですか?」
「まずくはないが、うまくもない。ただ、とまらない。」
「わたしもいいですか?」
「十分ある、食べよう。」
ポリポリポリ・・・・・
「これ、止まりませんね。」
「そうだ、愛しい人は危険なお菓子だといった。」
「ええ、まさしく危険です。え?おいしいんですか?
それはよかった。蜘蛛さんも気に入ったようです。」
「そうか。・・・・地面が動く。蜘蛛だ。」
愛しい人には見せられない光景だった。
「ツイミさんもなんとかできたね。素質はあるんだよ。
武の方面に進んでいたらいいとこにいってたんだろうね。
で、君たちも大丈夫だね?」
「「「はい!」」」
「やっぱり若いからね。
なんなく受け入れたね。んー、心配だな。」
「モウ様?」
「・・・ツイミさん?殿から様になってるよ?モウでいいよ?」
「なにを!無理です!」
「・・・そうなの?たかが呼び名だ、何でもいいけどね。
ちょっと、この子たち、あまりにも純粋で単純すぎる。」
「「「モウ様!!」」」
「ああ、君たちもなのね、うーん。そうやってわたしを敬ってくれるのは
うれしいんだけどね、だったら、わたしを悲しませないでね?
師匠の手伝いを頑張ってね。
師匠も無茶なこと言うからその時はわたしにね。
マティスの言うとおり、なにかほかの仕事があればそれについてもいい。
だけど、この移動と呼び寄せは師匠の配下であることが条件だ。
それでも、師匠に付いて、武を極めれば、それこそ軍部で通用する。
鍛えて損はない。ツイミさんは資産院で頑張れると思うよ?」
「ありがとうございます。」
「モウ様!一度、マトグラーサに戻ってもいいですか?
母さんのところに!」
「ああ、そうだね。かまわないよ。じゃ、なにかおいしいものを手土産にしよう。
もちろん、チョコと、アップルパイ。あとは?」
「キトロス!あのジュースがおいしかったから!」
「あのシチューも!」
「あ!それ俺は食べてない!厩に行ってる間だった!!」
「そうか、カップ君がいるって知らなかったんだ。ごめんね。
じゃ、チョコと、アップルパイと、ジュースとシチューパイとリンゴ飴かな?
あのラーメンはマティスが作ってるからわたしは無理なの。
もし、長旅が大丈夫なら、食の祭りに来ればいい。
村から来る人もいるんじゃないの?
リンゴの根元、掘ってみ?アップルパイに入ってる部分が出てくるよ?
それを薄く切って乾燥させたものも好きなんだ。
もちろん甘煮にするのもおすすめ。飴もね。
チョコ以外は好きにしてくれればいい。
けど、チョコは秘密ね。母様だけのお土産ね。
あとは食の祭りに出したら?売れるよ?というか、わたしは買うね。」
「わたしも戻っていいですか?
それにその根のことは?教えてもいいことなんですか?」
「もちろん。ちょっとゆっくりしておいで?
母様と、4兄弟で生きていけるならもどらなくてもいい。
師匠にはわたしからいっておくよ?」
「いえ、それはあり得ません。」
「けど、母様をひとりにするには心配だよ?」
「いえ、こうやって移動ができるのなら、問題ないです。」
「そう?じゃ、この白い石ね。3つもっていって。
で、そとに置いてくれればいい。勝手になくなってるから。」
「?」
「あー、そこらへんはあまり疑問に思わないで?ね?」
「はい。」
「じゃ、ちょっと待ってね。お土産、籠に入れるから。
うんと、こんなもんかな?ここにはマティスたちが戻るまでいてるから。
まだかかりそうだけどね。」
「いえ、そんなにかかりません。」
「いいよ、ゆっくりしておいで。」
「モウ様!お土産にリンゴ酒買ってきますよ!」
「おお!いいね!じゃ、これ、500リングね。」
「え?」
「買ってきてくれるんでしょ?ここから出せばいい。」
「モウ様!これいただけません!!」
「大丈夫、師匠から預かってたから。支度金だね。
これから寒くなる。いろいろ買っていかないと。
さ、行っといで。」
4人は深々と頭を下げて消えていった。
戻ってきてくれたらうれしいな。
月が昇り、まだだれも帰ってこない。
建物の中には2人の気配はする。ほかにも。
デッキに炬燵をだしてのんびりしている。
密封容器のパッキンにあたる部分のゴムを作っていた。
ポキュンっとはまる。
素晴らしい!
これで、ジャムは日持ちする。
ガラスでできれば見た目もいいだろう。
ここで詰め替えをしたいが、膜を外すと臭い場所なので
後でね。
今日は湿地の2人はセサミンのところに行ったのだろうか?
油紙はいい方法だと思うんだけどな。
ん?誰か来た。
(マティス?誰か来た)
(わかった。お前は?)
(わたしは大丈夫。膜張って隠匿してる)
(5人だな?)
(うん。中に入ったよ?)
(わかった)
(ちょっと馬さんと話してくるよ)
(いや、どこの馬かわかる。動くな)
(はーい)
(モウ?あの4人は?気配がないですが?)
(いま里帰り)
(?)
(移動ものにしてちょっとかーちゃんとこに)
(そうですか)
(来たぞ?)
(無理しないで!)
(わかった)
なんだろうか?
ここの人?
師匠を痛めつけた人たち?ふーん。
この距離からお馬さんとおはなしできるかなー?
(どーもー)
(こっち、ずーっといってちょっと大きな木があるところ)
(そそ。やっぱりわかるのね?)
(いや、ちょっと休憩?あ、お茶葉食べます?)
(うん。口に直接入れるから、ちょっと開けて?)
(どう?わかります?3番茶だけどね?え?そうなんだ)
(そんなに噂になってるってしらなかったよ。
今度の会合でみんなに振舞えるようにするよ)
(えー、そんなこと自慢してたの?たぶんテンだ。はははそうなん?すごいね)
(ああ、リンゴあるよ?実じゃなく根のほう)
(ちょっと小さく切って。ほい!どう?)
(あはははは!マトグラーサの辺境の村の人には教えたから。んーどうだろ?)
(やっぱり人優先だからね。うん、仕方がないね)
(でも、時々はね。そうそう。ご褒美は必要だと思う)
(ああ、茶葉はその効果があるよ?あー、仕事だもんね)
(うん、ご褒美、ご褒美)
(いや、今日だけ。うん、毎日?うわー、つらいね。)
(あ、育つかどうかわかんないけど、そこに植えておこうか?)
(こっそり食べたらわかんないんじゃない?)
(そうそう。うん、ダメもとで。)
(うん、帰ったらやっとく。で、どこに帰るの?)
(うわー、大変だね。今日で終わり?お疲れ様です)
(うん、うん。あー、そうなんだ。そうかー)
マトグラーサの馬で、会合にでた若い馬から聞いた話だ。
そこで、コットワッツの馬がうまいもの自慢大会をしたらしい。
テンだ。それで、各自うまいものを発表していく。
しかし、たいてい、飼葉だ。
テンはサボテンとか茶葉とか、おいしい水とかをあげていったらしい。
こっちはリンゴがあると言いたかったけど、そこまでうまくはない。
蔓が歯に詰まる。そこで若い馬は発言はしなかったらしい。
悔しかったと嘆いたそうだ。
しかし、このリンゴ!うますぎる!毎日食べたいとのこと。
合わさりの月から、今日まで毎日ここに来ていた。
とりあえず、今日で終わり。マトグラーサに帰る。
臭くてみなが嫌がる仕事だ。
茶葉を食べてからそれも消えた。近くに植えておくことを約束する。
あとは仕事の愚痴を聞いた。馬の世界もストレス社会だ。
それをリセットができるのはおいしいもの!
おお!ひらめいた!
お馬さんうまうまセット!
茶葉とリンゴ、サボテンとカンラン、キトロスはだめか。
じゃ、おいしい水。
これをセットで、んー、ちょっとお高めに?
いまのペットブームで結構たかい餌をあげる飼い主がいるから
ここでもきっとそうだ。
んー、1銀貨。いいんじゃない?
ちょっと食の祭りに出店しようかな?
茶葉は4番茶あたりで、金額アップで2番茶?
お楽しみ袋的に?
1銀貨、3銀貨、5銀貨。
おー!大ヒットの予感!!
(あ、ごめんごめん。なんかいい商売が閃いたんよ)
(え?今度コットワッツで食の祭りあるの。あ、知ってるんだ)
(それにお馬さんうまうま籠!
ってこう、普段食べ慣れていないものをまとめて販売)
(そそ。ね?行ける?まじ?ああ、本気で?そそ、まじまじ!!)
(キャーいいね!へ?リグナ?リグナおすすめ?いいの?)
(わかった!リグナもおすすめうまうま籠!まじです!)
(絶対来てね?うん、うん)
(あ、戻ってきたね!うん!わたし?砂漠の民モウ!うん!わかった!)
リグナさんおすすめと看板に出していいそうだ。
すごい!わかんないけど!
馬界では有名なのだろうか?
おこたから出て、見えないと思うけど手を大きく振り見送った。
「戻りました。」
「あ!ツイミさん?あれ?残りは?」
「もう少し、母のそばに。宿に戻ったら迎えに行きます。」
「そうか、一度行ったところは行き来き自由だからね。」
「はい。ワイプ様はまだ?」
「うん、もう戻るよ?」
「待たせたか?」
「マティス!あ!消臭して!師匠も!!」
何とも言えない匂いだった。
茶葉のスプレーをかけてもらう。
「んー、お帰り、お疲れ様。師匠も。お疲れ様。」
「ああ、退屈しなかったか?」
「うん、ここからお馬さんとおしゃべりしてたよ。
ぐふふふふ。いい商売2人で考えたんだ~。」
「2人?」
「そそ、リグナさん!馬の!」
「?」
「またくわしく話すよ。あ!師匠!おこたにはいったら出れないよ!
靴は脱いで!」
「これはいい。」
「あーあ。じゃ、ちょっとお茶でも飲もう。
お茶にはお芋か、あんこもちか。」
4人でまったりしてしまった。
「ワイプ様。支度金までいただきまして。
母にも十分な雨支度ができます。
ありがとうございます。
あの3人は宿に戻り次第呼びに行きますので。」
「?」
(500リング帰るときに渡しておいた)
「ああ、そうですか。ナソニールのあの状態では
ロクに給金も出ていなかったでしょうね。
王都ではそこらへんは大丈夫ですよ?そこは安心してください。
それで、移動と、呼び寄せものにしたんですね。」
「はい。モウ様のお話で。」
「でも、ごめんね。それは師匠の配下っていう縛りを付けている。」
「ええ、このお力、モウ様、ワイプ様以外の為に以外には使いません。」
「ああ、自分の為にもつかってね。
基本はちょっと楽したいっていうのだから。」
「ははは!なるほど。わかりました。」
「師匠のお仕事は?」
「ええ、収穫もありました。蜘蛛さんのおかげですね。」
「そうなんだ。」
時間外労働となった蜘蛛ちゃんにカンラン1個。
キトロスの種も気に入ったとのことで、それも。
「愛しい人は?リグナ?」
「そうそう。ここに来てた馬さんと世間話。
あ、お茶葉植えるの覚えててね。」
そこで、ざっと聞いた話を伝える。
「・・・馬、馬ね。スーともっとよく話し合わないといけませんね。」
「それで、愛しい人は馬向けのその餌籠を売るのか?」
「そう。セサミンに頼まないとね。
ラーメン鉢の話もつけてるんだ。あした、6人前出前しにいくね。」
「でまえ?」
「あの器屋さんにラーメン届けるの。」
「?」
「うふふふ。大丈夫。さ、宿に帰ろう。」
きっとここでのことは教えてくれない。
だったらもう、ここには用はない。
おっと、茶葉を植えなくては!
4人で壁際に植えていった。
宿に戻り、今日はこのままここに泊まることになった。
ツイミさんもまたマトグラーサにもどる。
そのときに、リンゴの根を50リング分、買ってきてほしいと頼む。
ツイミさんはいらないといったが、
商売になるのできちんとしてほしいとお願いした。
あと、リンゴジャムとキトロスのジャムも密封容器に入れて渡す。
熱湯消毒もした。割れないのもすばらしい。
この容器はメジャートの器屋で売り出すことも教えておく。
なんか忘れてる。
しまった!ガイライに連絡だ!
(ガイライ!ごめん遅くなった)
(ああ、モウ。大丈夫ですよ。いま、部屋に戻ったところです)
(え?今?遅くない?)
(そうですね、ちょっと忙しいですね。でも、明日は休みです。ニックも)
(いやいや、それはいいけど、じゃ、ルカリさん一人?)
(そのためにルカリは今日が休みでしたから)
(そうなの?じゃ、いいか。明日半分ごろにコットワッツに戻れると思うんだ)
(?いまどこなんです?)
(ん、ナソニールの宿。師匠といっしょ。)
(・・・いま呼んでもらえますか?)
(仕事なのね?)
(ええ。あ、モモあります。)
(やった!)
(この時期に海に打ち上げられるんですよ)
(へー。時期ものか)
(ええ)
(じゃ呼ぶね)
(お願いします)
『ガイライ、ここに』
「モウ!元気そうだ。」
「そうなの。おいしいものいっぱい食べたしね。
いい商売も思いついたの。あ、馬のリグナって知ってる?」
「軍馬リグナ?」
「お!やっぱり有名なんだ。そのリグナさんと商売するの。」
「?」
「愛しい人。あなたも説明がへただ。」
「おお。それ、親にも言われてたよ。」
「ガイライ、どうした?」
「いや、ワイプと話をしたい。」
「隣の部屋でツイミと話をしている。」
「ツイミ?ナソニールの?」
「あ、戻ってきたの?リンゴの根は?」
「明日だ。あの3人が取ってくるそうだ。」
「あ、悪いことしたな。ゆっくりしてもらうつもりが。」
「かまわんだろう。」
「んー、じゃ、また、扉君の家にわたしは籠るよ。
モモも仕込まないとね。ホワイトチョコも作りたい。
マティスもお話聞きたいでしょ?」
「そうだが、あなたと一緒にいたい。」
「うん。もちろん。でも、聞いておいて。
わたしはマティスが知ってくれてるだけで、
これ以上関わらないから。
どっちがが知っておかないと。」
「なら聞いておく。」
「うん、ありがとう。
マティス、マティス。嫌なことはない?だったら、聞かなくていい。」
「嫌なことはない。私も知っておきたい。」
「うん。お願いね。」
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