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386:顎
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「テルマ様ご友人、砂漠の民、ティス様、モウ様、入場です。」
扉が開き、しずしずとマティスがエスコートしてくれる。
かなり大きな広間。そして、正面に、あの4人が座っている。
一番端っこはライガーだ。出してもらえたのかな?
また、わたしを見て、目をぱちくりしている。
なんだ?今度こそ喧嘩は買うぞ?
にっこり微笑んで、席に。
まだ座れない。
「ドルガナ公国 パラベン大公、アデラ様、ご入場です。」
この公国やら、大公やら、元首やら。
翻訳でそう聞こえるけど、実際どうなんだろうね。
適当なんだろうな。食べ物じゃないし。
奥方がものすごいインパクトだ。
ん?女の人が大公なんだ。女性が治めているのね。
へー。
お局様の最終形態のようだ。
そのお局様が正面のエデトさんを見て、
ふふんと笑った。
彼女が着席をして、やっと座れる。
エデトさんのあたりさわりのない挨拶が始まる。
ドルガナ公が来てくれたので、
臥せっている場合ではないと元気になったこと、
公のおかげだと感謝し、
皆に心配かけたと謝罪し。
遠くニバーセル、ルカリア領から
銃を買うこと、その道筋をつけてくれたライガーに感謝をと。
ライガーは踏んだり蹴ったりの人生だな。
「そして、今宵はテルマの友人の孫にあたる方が、
結婚をしたとの報告をしに来てくれた。
テルマの孫のようなものと聞く。
その伴侶があのニバーセルで剣のマティスと称えられた御仁だ。
テルマも驚いたそうだ。モウ殿?よき伴侶を得たな。
テルマの孫なら、私の娘だ。その伴侶もな。
トマイザー、マレイン?お前たちの妹、弟になるぞ?
が、実質は姉と兄だな。
ん?だってそうだろ?テルマは我が父なのだから。
はははは!」
他の客はルポイドの商人か、親戚筋か。
同じように笑っている。
トマイザー、マレイン?お前たちは笑うな。
お前たちが頼りないから笑いになってるんだぞ?
その時のドルガナ公の顔!
すごい!顎が落ちるってリアルで見たよ。
ほんとに知らなかったからか、糸の効果がなくなったからか。
糸は誰かが、不備を突けばほころびるのか?
テルマさんもにこやかに笑っていいるが、
冷たい視線はドルガナ公に。
料理が運ばれてくる。
お上品なお味だが、もうひとひねりほしい。
そして全体に甘い。テオブロマを使っているのか?
料理の甘味は食材そのものか、みりんの家で育った
わたしの味覚には甘すぎる。
メインは肉。そりゃそうだ。
なんのお肉なんだろう?うまい。
弾力があるのだ。
でも噛みしめれば肉汁があふれる。
かぶりつきたい。
マティスを見ると、品よく給仕を呼ぶ。
小声で聞いているようだ。
様になるな。
「愛しい人、クジラだそうだ。
私もこうして食べるのは初めてだ。討伐対クジラの大型獣だ。」
「・・・クジラ。あとで絵を書いてね。」
「モウ?すまなかったな、あのまま2人だけにして。」
「いいえ。おじい様。いえ、テルマ様。素敵なお部屋に、
2人して驚いてしまいました。
良き思い出ができました。ありがとうございます。
そして、元首エデト様。
このように晩餐会に招待していただき、ありがとうございます。
また、娘とお呼びいただけたことうれしく思います。」
「ははは、そうか。モウ殿、いや、モウと呼ぼうか。
モウはクジラは初めてか?うまそうに食するな。」
「ええ、初めてです。噛めば噛むほど味が溢れますね。
クジラ、どのような姿のでしょうか?大型?馬ぐらいですか?」
「あははは!それだと大型とは言わない。
そうだな、この部屋に1頭はいるか入らないくらいだ。」
へ?
わたしも顎が落ちそうだ。
「しかし、食せる肉はほんの少しだ。
これぐらい?日持ちはするからな。」
両手を広げる。
なんか、がっついて聞いてしまいそうなので
マティスを見る。
「愛しい人、その他のものは骨と皮とあとは固い。
石と言ってもいいな。
その外の肉だ。遠征時は専用の持ち帰り部隊がいる。
貴重なんだ。」
「マティス殿か。うわさはかねがね。
軍は独立した機関、
元首がおいそれと顔を出すわけはいかないからな。
2回の遠征で3頭仕留めたと聞くが?」
「それはその時所属していた小隊の成果です。
私個人の手柄ではありませんよ。」
「はは、なるほど。次回はニバーセル軍が参加するが、
その時は?」
「エデト殿、私はいま、一砂漠の民。
今回はモウの伴侶としてここに。
ニバーセルもそうですが、
コットワッツでの肩書なぞないのですよ。」
「は!ならばすぐに退席されよ。場違いだ。」
「ドルガナ公、彼らはマレインが招待したのだ。
わたしもテルマも歓迎している。
招待客のあなたがそのように言う権利はない。」
お局様がお怒りです。
そうだよね、じゃ、帰ろうか。
甘味まで食べたから。
定番の葡萄です。年中あるのかな?
「しかし、場違いというのは正しい。
では、エデト殿、テルマ殿。歓待ありがたく。
モウ、愛しい人。会の途中だが失礼しよう。」
「ええ、あなた。」
「エデト殿、わたしもこれで。
なに、マティス殿とモウ殿は旧知の間柄。
久しぶりにこのようなところで顔を合わせたのだ。
少し話がしたい。場違いと言われればわたしもそうだ。
わたしもルカリアの肩書なぞないのだから。」
えー。もう帰りたいのに。
「それはいけない。ではこの会はこれで終わろう。
ドルガナ公、見舞いありがたく。
今後このような晩餐会に招待することはないが、
健やかにお過ごしください。」
「・・・それはどういう意味ですか?」
「わからぬと?そんなことはないでしょう?
前回の会食時の話は楽しいお話だったと言えばお分かりか?」
「・・・・。」
「そうだ!マティス殿!
肩書がなくともコットワッツ、セサミナ殿の実兄。
話がしたのだ。まずは内内でな。
紹介してもらえるだろうか?
砂漠石が枯渇した話は承知だ。
その後どのような対策を取っているのか
お教え願いたいのだ。
我が国も砂漠石の購入手段がなくなりましたので。」
「・・・・。失礼する。」
お局様と、横のご主人だろうか、
2人が帰っていく。
ご主人は苦笑いで会釈していった。
正面に座っているので、目がよく合った。
別に色目とかではない。
これうまい!と頷くタイミングが同じだったのだ。
あとは、目線を動かし、これは?とか、
これとこれの組み合わせ?おお!!とか。
あれは味覚の同士だ。
なかなかの食いしん坊と見た。
ドレス姿のわたしを、お客の女性が何人かがまとまって声を掛けていく。
その煌めくものはガラス?
「いえ、コットワッツの金剛石と緑玉です。
コットワッツの領主様が義理とはいえわたしの弟なるので、
こういう席で恥をかかぬようにと持たせてくれました。
まだ販売はしていないそうです。
しかし、高貴なものを身に付けていても、
心の中は今日頂いた、クジラのことでいっぱい。
ルポイド大公様が気を悪くするのは当然。
皆様に申すわけなく。
少し宣伝用の装飾があります。
後日になりますが、エデト様にお渡ししますので、
今回の詫びにお納めください。
そして、コットワッツの装飾をよろしくお願いいたします。」
何人?6人か?
セサミンに持ってきてもらおう。
「モウ。これから身内だけの集まりだ。
ライガー殿、モウたちを独り占めするのはよくない。
さ、もう一度中に。
皆皆さま、本日はありがとうございます。」
そう言われれば、ほかのお客さんは帰っていく。
今度はサロンのようなところに案内された。
んー、着替えたい。
「モウ殿。その節は。」
「ははは!敬称なぞいらん。このようなドレスを着ているが、
中身はお前が言う卑怯者だ。遠慮するな、ライガー?」
「モウとライガーはそのように軽口が言える間柄なのか?」
「ええ、おじい様。あの、着替えてきてもよろしいですか?
本当に、これ、大変なんです。」
「ん?」
「わたしはもともと、こういう席には不慣れ。
しかも、これ、脚もそろえないといけないし、
なんていうんですか、斜めに座る?
おじい様もやってみてください。新しい鍛錬ですよ?」
「うむ。脚をそろえて、斜めに。ご婦人方が座る体制だな。
・・・・なるほど。手はこのように添えているな。」
「父上?どうなのですか?」
私的な空間では父上なんだ。
「エデト、お前もやってみろ。」
元首、息子2人も同じように。
ある種の集団のようだ。
みんなで、しなを作る。
マティスも、ライガーも。
「ああ、それで、このように笑っているな。
オホホホ。」
オホホホホホ。
馬鹿だ。
「「「「「「「・・・・・。」」」」」」」
「んっ。」
控えてる女官が咳を我慢する声を出す。
「・・・そうだな。落ち着いて話したい。
着替えてこられよ。」
さすが元首だ。
よく気付いた。
これ以上やったらいろいろ危ない。
「ありがとうございます。」
女官さんの後ろをマティスと2人で歩く。
さっきの笑い上戸の人だ。
ふ、っとか、ぶっとか、思い出して笑いを我慢していた。
部屋の外で待っててくれるそうなので、
急いで着替えねば。
入ってすぐ防音はもう癖のようなものだ。
「どう?」
「そうだな、2人ほど入った形跡があるな。
背負子の中身は皆見たようだな。
音はどうだ?」
『だれか来たかな?教えて?』
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
お前は向こうに
・・・・
ぶ
なにこれ 布
静かに
金も砂漠石もない
持ち歩いてるの
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
どう
そうだな
『ありがとう。もういいよ。』
「すごいな。」
「ね?とにかく着替えよう。
どこの人かな?ここの手癖が悪い人?
ルポイド?ドルガナ?」
「わからんな。
わかったところで何ともな。戻って、早々に退散しよう。」
「うん。」
月が昇って半分から始まった晩餐会。
合わさりの月までは1日16時間だ。
もうすぐにでも月が沈む。
扉が開き、しずしずとマティスがエスコートしてくれる。
かなり大きな広間。そして、正面に、あの4人が座っている。
一番端っこはライガーだ。出してもらえたのかな?
また、わたしを見て、目をぱちくりしている。
なんだ?今度こそ喧嘩は買うぞ?
にっこり微笑んで、席に。
まだ座れない。
「ドルガナ公国 パラベン大公、アデラ様、ご入場です。」
この公国やら、大公やら、元首やら。
翻訳でそう聞こえるけど、実際どうなんだろうね。
適当なんだろうな。食べ物じゃないし。
奥方がものすごいインパクトだ。
ん?女の人が大公なんだ。女性が治めているのね。
へー。
お局様の最終形態のようだ。
そのお局様が正面のエデトさんを見て、
ふふんと笑った。
彼女が着席をして、やっと座れる。
エデトさんのあたりさわりのない挨拶が始まる。
ドルガナ公が来てくれたので、
臥せっている場合ではないと元気になったこと、
公のおかげだと感謝し、
皆に心配かけたと謝罪し。
遠くニバーセル、ルカリア領から
銃を買うこと、その道筋をつけてくれたライガーに感謝をと。
ライガーは踏んだり蹴ったりの人生だな。
「そして、今宵はテルマの友人の孫にあたる方が、
結婚をしたとの報告をしに来てくれた。
テルマの孫のようなものと聞く。
その伴侶があのニバーセルで剣のマティスと称えられた御仁だ。
テルマも驚いたそうだ。モウ殿?よき伴侶を得たな。
テルマの孫なら、私の娘だ。その伴侶もな。
トマイザー、マレイン?お前たちの妹、弟になるぞ?
が、実質は姉と兄だな。
ん?だってそうだろ?テルマは我が父なのだから。
はははは!」
他の客はルポイドの商人か、親戚筋か。
同じように笑っている。
トマイザー、マレイン?お前たちは笑うな。
お前たちが頼りないから笑いになってるんだぞ?
その時のドルガナ公の顔!
すごい!顎が落ちるってリアルで見たよ。
ほんとに知らなかったからか、糸の効果がなくなったからか。
糸は誰かが、不備を突けばほころびるのか?
テルマさんもにこやかに笑っていいるが、
冷たい視線はドルガナ公に。
料理が運ばれてくる。
お上品なお味だが、もうひとひねりほしい。
そして全体に甘い。テオブロマを使っているのか?
料理の甘味は食材そのものか、みりんの家で育った
わたしの味覚には甘すぎる。
メインは肉。そりゃそうだ。
なんのお肉なんだろう?うまい。
弾力があるのだ。
でも噛みしめれば肉汁があふれる。
かぶりつきたい。
マティスを見ると、品よく給仕を呼ぶ。
小声で聞いているようだ。
様になるな。
「愛しい人、クジラだそうだ。
私もこうして食べるのは初めてだ。討伐対クジラの大型獣だ。」
「・・・クジラ。あとで絵を書いてね。」
「モウ?すまなかったな、あのまま2人だけにして。」
「いいえ。おじい様。いえ、テルマ様。素敵なお部屋に、
2人して驚いてしまいました。
良き思い出ができました。ありがとうございます。
そして、元首エデト様。
このように晩餐会に招待していただき、ありがとうございます。
また、娘とお呼びいただけたことうれしく思います。」
「ははは、そうか。モウ殿、いや、モウと呼ぼうか。
モウはクジラは初めてか?うまそうに食するな。」
「ええ、初めてです。噛めば噛むほど味が溢れますね。
クジラ、どのような姿のでしょうか?大型?馬ぐらいですか?」
「あははは!それだと大型とは言わない。
そうだな、この部屋に1頭はいるか入らないくらいだ。」
へ?
わたしも顎が落ちそうだ。
「しかし、食せる肉はほんの少しだ。
これぐらい?日持ちはするからな。」
両手を広げる。
なんか、がっついて聞いてしまいそうなので
マティスを見る。
「愛しい人、その他のものは骨と皮とあとは固い。
石と言ってもいいな。
その外の肉だ。遠征時は専用の持ち帰り部隊がいる。
貴重なんだ。」
「マティス殿か。うわさはかねがね。
軍は独立した機関、
元首がおいそれと顔を出すわけはいかないからな。
2回の遠征で3頭仕留めたと聞くが?」
「それはその時所属していた小隊の成果です。
私個人の手柄ではありませんよ。」
「はは、なるほど。次回はニバーセル軍が参加するが、
その時は?」
「エデト殿、私はいま、一砂漠の民。
今回はモウの伴侶としてここに。
ニバーセルもそうですが、
コットワッツでの肩書なぞないのですよ。」
「は!ならばすぐに退席されよ。場違いだ。」
「ドルガナ公、彼らはマレインが招待したのだ。
わたしもテルマも歓迎している。
招待客のあなたがそのように言う権利はない。」
お局様がお怒りです。
そうだよね、じゃ、帰ろうか。
甘味まで食べたから。
定番の葡萄です。年中あるのかな?
「しかし、場違いというのは正しい。
では、エデト殿、テルマ殿。歓待ありがたく。
モウ、愛しい人。会の途中だが失礼しよう。」
「ええ、あなた。」
「エデト殿、わたしもこれで。
なに、マティス殿とモウ殿は旧知の間柄。
久しぶりにこのようなところで顔を合わせたのだ。
少し話がしたい。場違いと言われればわたしもそうだ。
わたしもルカリアの肩書なぞないのだから。」
えー。もう帰りたいのに。
「それはいけない。ではこの会はこれで終わろう。
ドルガナ公、見舞いありがたく。
今後このような晩餐会に招待することはないが、
健やかにお過ごしください。」
「・・・それはどういう意味ですか?」
「わからぬと?そんなことはないでしょう?
前回の会食時の話は楽しいお話だったと言えばお分かりか?」
「・・・・。」
「そうだ!マティス殿!
肩書がなくともコットワッツ、セサミナ殿の実兄。
話がしたのだ。まずは内内でな。
紹介してもらえるだろうか?
砂漠石が枯渇した話は承知だ。
その後どのような対策を取っているのか
お教え願いたいのだ。
我が国も砂漠石の購入手段がなくなりましたので。」
「・・・・。失礼する。」
お局様と、横のご主人だろうか、
2人が帰っていく。
ご主人は苦笑いで会釈していった。
正面に座っているので、目がよく合った。
別に色目とかではない。
これうまい!と頷くタイミングが同じだったのだ。
あとは、目線を動かし、これは?とか、
これとこれの組み合わせ?おお!!とか。
あれは味覚の同士だ。
なかなかの食いしん坊と見た。
ドレス姿のわたしを、お客の女性が何人かがまとまって声を掛けていく。
その煌めくものはガラス?
「いえ、コットワッツの金剛石と緑玉です。
コットワッツの領主様が義理とはいえわたしの弟なるので、
こういう席で恥をかかぬようにと持たせてくれました。
まだ販売はしていないそうです。
しかし、高貴なものを身に付けていても、
心の中は今日頂いた、クジラのことでいっぱい。
ルポイド大公様が気を悪くするのは当然。
皆様に申すわけなく。
少し宣伝用の装飾があります。
後日になりますが、エデト様にお渡ししますので、
今回の詫びにお納めください。
そして、コットワッツの装飾をよろしくお願いいたします。」
何人?6人か?
セサミンに持ってきてもらおう。
「モウ。これから身内だけの集まりだ。
ライガー殿、モウたちを独り占めするのはよくない。
さ、もう一度中に。
皆皆さま、本日はありがとうございます。」
そう言われれば、ほかのお客さんは帰っていく。
今度はサロンのようなところに案内された。
んー、着替えたい。
「モウ殿。その節は。」
「ははは!敬称なぞいらん。このようなドレスを着ているが、
中身はお前が言う卑怯者だ。遠慮するな、ライガー?」
「モウとライガーはそのように軽口が言える間柄なのか?」
「ええ、おじい様。あの、着替えてきてもよろしいですか?
本当に、これ、大変なんです。」
「ん?」
「わたしはもともと、こういう席には不慣れ。
しかも、これ、脚もそろえないといけないし、
なんていうんですか、斜めに座る?
おじい様もやってみてください。新しい鍛錬ですよ?」
「うむ。脚をそろえて、斜めに。ご婦人方が座る体制だな。
・・・・なるほど。手はこのように添えているな。」
「父上?どうなのですか?」
私的な空間では父上なんだ。
「エデト、お前もやってみろ。」
元首、息子2人も同じように。
ある種の集団のようだ。
みんなで、しなを作る。
マティスも、ライガーも。
「ああ、それで、このように笑っているな。
オホホホ。」
オホホホホホ。
馬鹿だ。
「「「「「「「・・・・・。」」」」」」」
「んっ。」
控えてる女官が咳を我慢する声を出す。
「・・・そうだな。落ち着いて話したい。
着替えてこられよ。」
さすが元首だ。
よく気付いた。
これ以上やったらいろいろ危ない。
「ありがとうございます。」
女官さんの後ろをマティスと2人で歩く。
さっきの笑い上戸の人だ。
ふ、っとか、ぶっとか、思い出して笑いを我慢していた。
部屋の外で待っててくれるそうなので、
急いで着替えねば。
入ってすぐ防音はもう癖のようなものだ。
「どう?」
「そうだな、2人ほど入った形跡があるな。
背負子の中身は皆見たようだな。
音はどうだ?」
『だれか来たかな?教えて?』
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
お前は向こうに
・・・・
ぶ
なにこれ 布
静かに
金も砂漠石もない
持ち歩いてるの
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
どう
そうだな
『ありがとう。もういいよ。』
「すごいな。」
「ね?とにかく着替えよう。
どこの人かな?ここの手癖が悪い人?
ルポイド?ドルガナ?」
「わからんな。
わかったところで何ともな。戻って、早々に退散しよう。」
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