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521:贔屓
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「ではクラサ殿は当主ではないと?」
「もちろん。そのように振舞っていただけですよ。
まだ、次期当主の指名もされていない。
現当主は高齢なので、そろそろとは言われていますよ?
それを当主が黙っているのをいいことに勝手にね。」
「エボニカ殿は当主ですよね?」
「当主と言っても隙あらば次にというものはたくさんいますね。」
「それはどこも同じでしょう?わたしのところはまだ次期を決めていないし、
メラフル殿のところは?」
「は!まだまだ先の話しですな。あなたが次期を指名されたのは
余程のことだったんですよ?あのときは驚きましたし、
今度は若干3歳の領主!どうなっているんだ!」
「テール殿ですね。しかし、彼にはカーチ殿とマーロ殿が付いている。
言い換えれば2人の領主だ。イスナ殿は残念でしたけどね。」
「そうだな。しかし、彼は領主には不向きだった。
どちらかと言えばあの、カーチか?あれの方が領主と言われれば納得するな。
先にボルタオネの滞在館に行ったんですよ。そこでね。」
「メラフル殿がそうおっしゃるとは。」
「それでも、あのテール殿か?あれのほうが上だ。
馬車でのやり取り。
あれはファンロ殿をうまく誘導していた。」
「ええ。ファンロ殿も感心しておいでだった。」
「つまり、そういうことですよ。
若くして次期に指名、そして領主になるということは。
セサミナ殿とこうして話すのは初めてだが、テール殿と同じでしたよ。
が、以前と違う。良いようにね。なにやら肩の荷が下りましたか?」
「はははは!メラフル殿には敵いませんね。
ええ、兄のこと、砂漠変動こと。いろいろが重かった。が、今は違います。
ええ。違うのですよ。」
「なるほど。わたしももっと早くこうして話をすればよかったですな。
そうすれば、少しでも力になれたと思いますよ。」
「ありがとうございます。そのお言葉だけで十分です。今は。」
「ええ。今はね。」
あははははは。
と、たぬきときつねだ。怖いわー。
「で?タレンテ家は別のご兄弟が?」
「それもあるでしょうか、当主もその御兄弟もまだまだご健在だ。」
「王族の方々は長命ですからね。スダウト家も同じような?」
「あの一族も同じようなものでしょ。
・・・・ここだけの話ですよ? 」
「ええ。」
2人して身を乗り出す。
両脇のきれい処も、
「・・・・2つの一族の狙いは一つです。
次の王になるつもりらしい。」
2人、いや、4人か。
ものすごくオーバーリアクション!
身を引いて、口元を押さえた。
4人とも。
それをみて満足げなメラフル。
うん、うん、と頷いている。
「これは、その、聞かなかったことにしてよろしいか?」
「ははは!若き領主にはきつかったですかな?」
「ええ、いささか。」
「はははは!かまいませんよ。ただ、そうですな。
そうならば、そうならばですよ?
タレンテ家の現当主の弟君、
ネンサー様にならばいいなと、わたしは考えているわけです。」
セサミンは黙って頷いた。
馬車が到着。
「有意義なお話、ありがとうございます。」
「そういってもらえればこちらも。
会合の時は話の流れ上、なにも食することが出来なかった。
気を悪くされていたのではと。」
「いいえ。当然でしょう。モウ。」
「はい。ドーガー!」
横に付いたドーガーの荷物から
手土産セットを出す。
これは焼き菓子セットだ。
クッキーとパウンドケーキ。
「これは、日持ちのするものです。
よろしければ、後でお食べください。
いえ、マトグラーサの夜会の後ではかすんでしますね。」
「ははは!そんなことはないでしょう。
遠慮なくいただきますよ。
・・・しかし、先に頂きたいですね。」
「そうですか?では、モウ。」
「わかりました。」
馬車の中で簡易なお茶会。
折りたたみのテーブルと、
テーブルクロス。
お皿を出して、パウンドケーキをカット。
生クリームを添えればいい。
お持ち帰りとは別のものだ。
あとは温かいコーヒー。紅茶のほうがいいかもしれないが、
ドリップ式のコーヒーを飲んでほしい。
アイスクリームも出そう。
小さなお皿に、クッキーと大人のお菓子も添える。
わたしは馬車から降りて外で準備。
給仕はマティスだ。
セサミンも一緒に食べる。
毒ではないですよということで。
マトグラーサの滞在館の馬車だまりの片隅。
タフトの馬車が止まっている。
中にはコットワッツ一行が乗っているのは一目瞭然。
護衛と従者が馬車の前を陣取っているのだ。
ドーガーとマティス、わたし。
そして、ラフルと他2人。
火をつけようとした奴ではないな?
イネーと名乗ったか?
名前を覚えるのほんと苦手。
放火犯でいいか。
タフトの領主からは嫌な感じはしなかった。
領主としては当然、ご贔屓の一族から王が出るのなら、
そうなるように支援もするだろう。
正統な根回しというのだろうか。
放火犯は領主の為に動いたのではないな。
このラフルは?
あの3人組をけしかけたんだ。
それもタフト領主の手法ではない。
そんな廻りくどいことをする人物には見えなかった。
単純なのだ。が、筋は通っている。
なにより、イスナの力量を見抜き、カーチを評価する。
それよりもテールが上だと評した。
これからはうまく付き合っていけるだろう。
信頼するとかではない、取引相手としてだ。
「もちろん。そのように振舞っていただけですよ。
まだ、次期当主の指名もされていない。
現当主は高齢なので、そろそろとは言われていますよ?
それを当主が黙っているのをいいことに勝手にね。」
「エボニカ殿は当主ですよね?」
「当主と言っても隙あらば次にというものはたくさんいますね。」
「それはどこも同じでしょう?わたしのところはまだ次期を決めていないし、
メラフル殿のところは?」
「は!まだまだ先の話しですな。あなたが次期を指名されたのは
余程のことだったんですよ?あのときは驚きましたし、
今度は若干3歳の領主!どうなっているんだ!」
「テール殿ですね。しかし、彼にはカーチ殿とマーロ殿が付いている。
言い換えれば2人の領主だ。イスナ殿は残念でしたけどね。」
「そうだな。しかし、彼は領主には不向きだった。
どちらかと言えばあの、カーチか?あれの方が領主と言われれば納得するな。
先にボルタオネの滞在館に行ったんですよ。そこでね。」
「メラフル殿がそうおっしゃるとは。」
「それでも、あのテール殿か?あれのほうが上だ。
馬車でのやり取り。
あれはファンロ殿をうまく誘導していた。」
「ええ。ファンロ殿も感心しておいでだった。」
「つまり、そういうことですよ。
若くして次期に指名、そして領主になるということは。
セサミナ殿とこうして話すのは初めてだが、テール殿と同じでしたよ。
が、以前と違う。良いようにね。なにやら肩の荷が下りましたか?」
「はははは!メラフル殿には敵いませんね。
ええ、兄のこと、砂漠変動こと。いろいろが重かった。が、今は違います。
ええ。違うのですよ。」
「なるほど。わたしももっと早くこうして話をすればよかったですな。
そうすれば、少しでも力になれたと思いますよ。」
「ありがとうございます。そのお言葉だけで十分です。今は。」
「ええ。今はね。」
あははははは。
と、たぬきときつねだ。怖いわー。
「で?タレンテ家は別のご兄弟が?」
「それもあるでしょうか、当主もその御兄弟もまだまだご健在だ。」
「王族の方々は長命ですからね。スダウト家も同じような?」
「あの一族も同じようなものでしょ。
・・・・ここだけの話ですよ? 」
「ええ。」
2人して身を乗り出す。
両脇のきれい処も、
「・・・・2つの一族の狙いは一つです。
次の王になるつもりらしい。」
2人、いや、4人か。
ものすごくオーバーリアクション!
身を引いて、口元を押さえた。
4人とも。
それをみて満足げなメラフル。
うん、うん、と頷いている。
「これは、その、聞かなかったことにしてよろしいか?」
「ははは!若き領主にはきつかったですかな?」
「ええ、いささか。」
「はははは!かまいませんよ。ただ、そうですな。
そうならば、そうならばですよ?
タレンテ家の現当主の弟君、
ネンサー様にならばいいなと、わたしは考えているわけです。」
セサミンは黙って頷いた。
馬車が到着。
「有意義なお話、ありがとうございます。」
「そういってもらえればこちらも。
会合の時は話の流れ上、なにも食することが出来なかった。
気を悪くされていたのではと。」
「いいえ。当然でしょう。モウ。」
「はい。ドーガー!」
横に付いたドーガーの荷物から
手土産セットを出す。
これは焼き菓子セットだ。
クッキーとパウンドケーキ。
「これは、日持ちのするものです。
よろしければ、後でお食べください。
いえ、マトグラーサの夜会の後ではかすんでしますね。」
「ははは!そんなことはないでしょう。
遠慮なくいただきますよ。
・・・しかし、先に頂きたいですね。」
「そうですか?では、モウ。」
「わかりました。」
馬車の中で簡易なお茶会。
折りたたみのテーブルと、
テーブルクロス。
お皿を出して、パウンドケーキをカット。
生クリームを添えればいい。
お持ち帰りとは別のものだ。
あとは温かいコーヒー。紅茶のほうがいいかもしれないが、
ドリップ式のコーヒーを飲んでほしい。
アイスクリームも出そう。
小さなお皿に、クッキーと大人のお菓子も添える。
わたしは馬車から降りて外で準備。
給仕はマティスだ。
セサミンも一緒に食べる。
毒ではないですよということで。
マトグラーサの滞在館の馬車だまりの片隅。
タフトの馬車が止まっている。
中にはコットワッツ一行が乗っているのは一目瞭然。
護衛と従者が馬車の前を陣取っているのだ。
ドーガーとマティス、わたし。
そして、ラフルと他2人。
火をつけようとした奴ではないな?
イネーと名乗ったか?
名前を覚えるのほんと苦手。
放火犯でいいか。
タフトの領主からは嫌な感じはしなかった。
領主としては当然、ご贔屓の一族から王が出るのなら、
そうなるように支援もするだろう。
正統な根回しというのだろうか。
放火犯は領主の為に動いたのではないな。
このラフルは?
あの3人組をけしかけたんだ。
それもタフト領主の手法ではない。
そんな廻りくどいことをする人物には見えなかった。
単純なのだ。が、筋は通っている。
なにより、イスナの力量を見抜き、カーチを評価する。
それよりもテールが上だと評した。
これからはうまく付き合っていけるだろう。
信頼するとかではない、取引相手としてだ。
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