いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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外に出て、チャーたちが待機しているところに廻ると、
馬たちが興奮しているようだ。
厩係りが、なだめている。


「おい!落ち着け!」

なにかあったのだろうか?
スー兄たちとツイミさんの馬、オート君の馬だろうか、
一緒いた。

「スー兄もここで待ってるの?
師匠はお仕事でここを離れたけど?近くなのかな?」


ここで待っているように言われている
この者たちの護衛も兼ねているんだ


「おお!そうだね。これは特別手当請求だね。」

いや、これはいい
仲間のことだから


「兄貴!かっこいい!!姐貴もだ!!
で、何みんな興奮しているの?」


チャーたちはわたしを見ると一目散にすり寄ってきている。
こちらに廻るときに着替えているが、
そんなすり寄られたら、あのドレスならめくれあがってるよ?


どうやら歌が聞こえたらしい。
耳良いね。部屋の中だし、かなり離れてるのに。


「馬は歌が好きなんかな?
ルポイドで、延々歌わされたよ?」

どんな?

「お馬の歌。パッパカ走るっていうの。」

歌って?

「ん?いいよ。」


ブラッシングしながら歌てみる。
その間、マティスとセサミン、ドーガーはなんか話し合いをしている。
わたしには繋げていない。
ということは、聞かなくていい話だ。
マティスがそう思うのならそれでいい。

ん?ガイライとニックさんもいてる?
気のせいか。

先にブラッシングだ。
もちろん、身内だけね。

「そうそう、西馬って肉食なんだって!
知ってた?」



馬は肉食だ

「うそ!だって、いままでお肉食べてるところ見たことはないよ?」

そうか?
我々も食べる
たまにだ
それは自分で調達する

「知らなんだ。自分で?そこらへんは怖いから聞かなかったことにするよ。
で、その西馬がね、こっちに来てから食べてないって。
向こうにいる子たち。
だから力が出ないんだって。わたしが浮いてくれたから助かったって。
ん?わたしが重いってことを暗にいってるのか?失礼な。」

人、1人分の重さが助かったということだ


「スー兄はほんとフォローがうまいよね。
でね、沼トカゲの干し肉あげたの。
喜んでたよ?皆も食べる?塩分控え目だよ?」

沼トカゲの肉は少し臭い。
干せば砂トカゲよりも柔らかくなり、臭みも抜ける。
塩は控えめだが、一番おいしい塩を使っているのだ。

7頭に振舞って、おいしい水も出す。
スー兄とホー姐の専用袋に補充をリクエストされた。
ちょっと多めに入れておこう。
そうしたら師匠に分けてくれるかもしれないから。
それとなく、師匠も好きなんだよーって言っておこう。
スー兄は嫌そうな顔?をしたが、ホー姐は笑っていた。


「ちょっとあんた!どこの人?」
「わたしですか?コットワッツですね。なんですか?」
「コットワッツ?今、なにを馬にやった?
そっちの馬はコットワッツの馬じゃないだろ?」
「資産院のワイプ様の馬ですね。許可はもらっていますよ。
オート院長も、ツイミ様にも。」

スー兄たちはいいけど、ほかの子たちは事後報告だ。

「許可があっても厩の中では勝手なことをしないでくれ!」

馬が騒ぐのを押さえられなかったのに、
あなたが来たから静まっただろ?
それでどうやったか知りたいんだ
肉食のことも、歌のことも言わなくていい

「それもそうですね。」

(ごめんね。迷惑かけたみたい。じゃ、帰るね)

「愛しい人!帰るぞ!」
「はーい。じゃ、失礼します。」
「おい!だから今何をやったんだ?」
「ん?馬に聞いてくださいよ。厩係りなんだからわかるでしょ?」
「は!馬の言ってることが分かるなんてそんな奴がいるか!
あとで、こいつらの調子が悪くなったら俺のせいになるんだぞ!」
「資産院ワイプにはこちらから報告しておく。
それでいいな?」
「そんなことを言って責任逃れする気か!」

(しつこいね)
(ワイプを呼ぶか)
(え?仕事中だよ?迷惑だよ)
(近くにいる)
(お!マティスのワイプセンサーだね?)
(・・・それはいい意味ではないということはわかるんだが?)
(いい意味だよ?)

「モウ!マティス君!」

あ、ほんとに来た。

「どうしました?」
「スー達にご飯をあげたんですが、厩係りの人が、
勝手なことをしないでくれって。」
「ああ。それはそうですね。
ここで、馬に何かあれば、責任は係りの者に行きますから。
が、この人はコットワッツに雇われていますが、
私の弟子なので、心配無用ですよ?ああ、彼も弟子です。」
「なぜそこで私のことを言う?」
「いや、いい弟子だというのは言いふらさないと。」
「・・・・。」
「師匠のお仕事は終わりですか?」
「ええ。オート院長も帰りますよ。夜会も終わりです。
あの二人も無事ですよ。」
「よかった。」
「それはどうでしょうね。尋問はありますから。」
「それは仕方がないと思います。」
「ええ、そう考えることが出来ていれば問題ないですよ。」
「はい。」



「モウ殿!!」

オート院長が走ってくる。
テール君みたいだ。

「え?もう着替えられたんですか?
ああ、称賛の言葉を送ることもできなかった。
それにあの歌!!」
「あはは!ものすごいく恥ずかしいですね!
もう、しーんってなっちゃって!
こっちは満足して歌い切ったからよかったんですけど。
あの後どうなりました?」
「あの後!
それが、これがまたおかしかったんですよ!
あの後は誰もが嫌がったんですが、フレシアの領主が、
自分のところの詩人を無理矢理に。
で、その内容が、美しいものを称えるものだったんですよ。
お蚕様のことなんですけどね。それが、モウ殿のことに重なってしまうんです。
美しき声、美しきしぐさ、えーとなんだったかな?
美しきほほえみ?そのすべてが!
みなが拍手しましたよ!心から!
大満足の夜会でしたよ!
王もいらっしゃいましたし、お言葉も頂きまし!
マトグラーサ領主も自慢げでしたよ!」

ふんぬーと鼻息荒く教えてくれた。
終わり良ければ総て良しだ。

「そうですか。余計なことをしたなと思っていたんですよ。
うまく、詩人の方がまとめてくれたんですね。感謝せねば。」
「モウ殿はそのように物事をとらえるのですね。」
「うふふふ。」
「あ!フル!お前もモウ殿にブラッシングしてもらったのか?
こいつずっとうらやましがってたんですよ、スー達のことを。
良かったな!」

フルというのか。
ブラシングしている間、ずっと、感激っす、うれしいっすって言ってた子だ。
オート君の愛馬だけど、馬序列では一番下のようだ。
そうだろう、そうだろうと、スー達が満足そうに頷いていた。

そんな話をしている間に、
師匠が厩係の人になにも心配はいらないと言ってくれていた。
ものすごく不服そうだ。
いい感じなら話すんだけど、ちょっとやな感じがしたからね。
スーも言わなくていいっていうし。


とにかく帰ろう。

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