いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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「匂いがなくなった。」
「そうだな、しないな。」


絶壁の家に戻って、収穫物を整理している。

月無し石たちは用意した真水のプールに入ったり、
また海に飛び込んだりとフリーダムだ。

収納袋から出した瞬間は香りが出ていたが、
荷物の整理をしているうちに何ともなくなった。
なれたのかとおもったが、違う。
慌てていろいろ試したが、うんともすんとも。

「一瞬だけなのかな?
この種の状態で売ることができればいいと思ったのに。」
「割ってみたか?」
「うん。ボロボロした粉が出てきただけ。」
「それに水を加えては?」
「したよ?湯がいたり、炙ったり。何も。」
「そうか。あのドロっとしたものは?」
「ああ!これ!ん!変色してるし、匂いも、変わってる。」
「どれ?・・・。あー、ルロイドだ。」

マティスは手に取り、匂いを嗅いでそう答えた。

「ん?知ってるの?」
「痛み止めだ。鎮静効果もある。
東諸国から入ってくる薬だ。」
「鎮静?ケシ!アヘンか!!あー!これはアウトだ!」
「ん?どうして?」
「ダメダメ!中毒性は?ちょっと手に着いたの拭いて!」
「それは聞いたことはない。」
「んー、そうだよね。嫌な感じはしない。痛み止めって塗るの?飲むの?
精製して煙を吸うとか?」
「?直接傷口に塗るな。私も何度か使っているぞ?」
「それで、これをみてどこかに塗ってほしいとかある?」
「?ないな。これを使うということは傷をつくっているということだろ?
嫌な思い出だ。それに、痛みと興奮は落ち着くが、
しみるんだ。そのほうが痛いから傷の痛みを忘れるって言われるぐらい。」
「あはははは!それはあるね。
んー、でもこれはダメだ。
これが青い花からできるって知ってた?」
「乾燥させた状態で、水で練るんだ。
そうすると、ルロイドなる。」
「乾燥か。このボロボロの物も練ったらこんな感じなった。
痛み止めの効果とかわかんなかったな。
これね、たぶん中毒性が出る。いや、わかんないけどね。
炙って煙を吸ったりすると。あー、残念だ。」
「中毒性?」
「こればっかり吸って、働かなくなる、これの為なら人殺しだってする。」
「そんな話は聞かない!」
「うん。まだそんなものができてないかもしれないし、
全く違うものかもしれないけど。
ごめん、コットワッツからは売り出せない。」
「そうだな。ではあの香も?」
「うん。あの香りがこの花からするって知っている人がいたら困る。
草原の草と、谷間に咲いてる花は別種だ。
駱駝と馬が掛け合わさるように、ここでは同じ系統なら繁殖できるんだ。
気を付けないと。
東から流れついて、ここで、青い花は繁殖したのかな?
掛け合わさってできた草はまた別種?。
花のがくからでた白いのがルロイドの主成分なのかな?
薬学に詳しい人とあったら、聞いてみよう。
中毒性がないのなら痛み止めはできるしね。
それは、素晴らしいことだ。」
「そうだな。問題なければ香りも売れる商品になるだろう。」
「うん。だから、月が沈む前は見に行こうね。」
「そうだな。そうしよう。」



月が昇る前はラーメン屋さんだ。準備をしないとね。

一応多めに。
5人分ぐらい。それ以上の人になると、
あの人、バイルさんとやらは逆に信用できない。
国境沿いのお店は今日だけだ。


境界石のギリギリに簡易テントを作る。
カバーは熊の皮だ。狭いけどなんとか。

「ラーメン屋さんで大陸を廻ってもいいよね。
その土地の食べ物を入れたさ。」
「食べ物屋はしないんじゃないのか?」
「店を構えてはね。こんな感じで、限定的にね。」
「ああ、それはいいな。」
「ね?で、コットワッツのティータイのラーメンが本場ですよーって。
2人はそこで修行したとか言ってさ。」
「あははは!逆だけどな。」
「うふふふ。伝説のラーメン屋台!」
「伝説か!それもいいな!」

お気軽夫婦の夢はふくらみんぐ。
これは体が健康で、ある程度のお金があって、
世間様ときちんとつながっているから。
ものすごく贅沢だ。

ああ、日々に感謝。





「あ!行商兄弟!!」
「あ!」

テルニの親切な守衛さんだ。グリクさんだったかな?
2人馬に乗ってやって来た。

「どうもです。あの時は兄弟ってことにしてたんですよ。
夫婦と言えど、女連れの行商はいろいろ危険ですから。」
「そうなのか?」

ん?ここじゃ、見目のいい男の人の方が危険なのか?
そういえば強制的に石を拾わされていた人たちはみな男の人だった。
んー。

バイルさんが連れてきたのは、グリクさんだけだった。
勤務交代の帰りに寄ってくれたそうだ。


「こいつがさ、コットワッツのらあめん?
っていうのが食えるっていうからさ。
誰にも内緒だって。
なるほどな。このやり方は誰にも言えないよな。
で?らあめんってどんなの?
いや、その前に、その地に立ってれるの?管理者?
管理者になれば大丈夫なの?」
「そうみたいですね。
で、ラーメンはスープに小麦粉をひも状に伸ばしたものを
この2本の棒で挟んで食べます。
お味は豆ソースと骨の濃厚なスープとどちらがいいですか?
あ、これ、1杯1銀貨です。」
「どうしたらいい?そっちから手が出るが、
こっちからは手も入れないからな。」
「そうですね。まずは作りますから、座って待っててください。
で、お味は?」
「どんなものかわからないから。両方食べたいな。」
 「では、濃い方からね。とんこつ2丁!」
「あいよ!」

トレーに水と、お箸と、トウミギの酢漬け。
ビールも出したいが、また機会があればだ。

2人は待っている間に、境界石の上に手を何としても入れようとしている。
足でも一緒だろう。はじかれてこけていた。

「あがったよ!」
「はーい。できましたよ!すいませんが、取りに来てください。
出しますよ?」


テーブルと椅子を出し、
トレーでの受け渡しだ。
小さいトレーに2銀貨入れてもらった。
馬には水とカンラン。これはサービス。


「え?これどうやって食べるの?」
「こうですね。」

わたしたち小さいテーブルを出して食べる。
相席で食べてるような感じだ。


「うまい!これ肉?やわらかいな!
スープ?骨の?なんの?いろいろ?いや、うまいな!」
「これいいな。これがラーメンか。
コットワッツのティータイ?へー。あれだろ?食の祭り?
こっちからは誰も行かなかたんだよな。ちょっと遠いしな。
あー、ちょっと足らないかな?違う味?豆ソース?
それを!」
「お肉おまけしますね。醤油2丁!チャーシュー大盛りで!」
「あいよ!」


満足してもらったようだ。
あとはトウミギの酢漬けもおいしいと。
ちょっとした保存食、酢漬け、タオルと買ってくれた。



「あんたが女の人なら相談なんだけどさ?」
「なんでしょう?」
「あの紅茶屋の子、覚えてる?」
「ええ、とても可愛らしい方ですよね。」
「そうだろ?いま通ってる子なんだ。
雨の日はきっときてくれると思うんだよ。」
「おお!それはワクワクしますね。」
「だけど、ほかに3人ほどいる。」
「それは、争奪戦ですね。でも、笑顔が素敵ですもの、
仕方がないですよね。」
「仕方がないってことにしたくない!俺を選んでほいしんだ!!」
「みんがそう思ってるんですよね?彼女自身は?
今回の雨の日で結婚するつもりなの?俺を選んでくれっていってるの?」
「?そんなこと聞かないし、言わない。」
「え?彼女自分でお店持ってるんですよね?
お仕事のこと理解を示しましたか?
結婚してもお互いにお仕事がんばろうなとか、お店を手伝わせてとか?
なにより、結婚してほしいって言ってないの?
ないわー、それ、ほんとないわー。」
「え?なんでそんなこと言うんだ?」
「え?なんでそれすら言わない男と結婚しないといけないの?」
「「?」」

2人で首をかしげてしまった。
マティスを見るとマティスもだ。もちろん、バイルさんも。

「俺はまだ結婚を考えていない。だから乾季に入ってから
通いはしていない。」
「それは相手が雨の日に自分の家に来ないように?」
「来られちゃ困るだろ?」
「え?じゃ、その彼女が今年結婚してなかったらまた通い出すの?」
「そうだな。それもいいし、次は別の女のところかもしれない。」
「え?その彼女は毎年?で、乾季になったら通わないで、
雨の日後また通うと?それ、何年やってる?」
「そうだな、3年かな?
この頃は声をかけても無視されるしな。目線も会わない。」
「ないわー、わたし的にはないわー。
結婚する気がないなら通うなって思うんだけど、
女性の方も承知なんだよねー。
それでもないわー。このネタで2晩以上友だちと議論できそう。」
「?」

まずは、グリクさんだ。

「これはあくまでわたしの考え。
わたしはマティスと出会うまでは結婚はしない、できないと思っていた。
する必要もないとね。そんな結婚適齢期をとうに過ぎた女の意見です。
結婚に実は夢見ていた女の意見です。」
「?よくわからない。」
「わからなくていいけど、一つの意見として助言を求めているんでしょ?」
「そうだ。あんたは旦那といい感じだからな。」
「これをあげよう。」

またマティスがクッキーを渡す。

「あ!これ!やった!バイルが隠れて食べてた奴だな!うまいな!!」
「これも売ってほしいんだが、あるか? 」
「それは後!先にお話ね?」
「ああ。」

「紅茶屋の彼女にははっきり言うほうがいい。
結婚して欲しい。結婚した後のことも話してほしい。
仕事を続けるのか、辞めるのか。
それは自分もだ。守衛の仕事をやめて、店を手伝うのか。
女が仕事を手放す選択しかないのはおかしい。
彼女の考えが見えない、というか、知らない。
もしかして、家で、
愛する旦那のことを待っていることにあこがれているかもしれない。
それは聞いたことないだろ?聞け!将来のことを聞け!
そもそも結婚についてどう考えているのか聞け!
自分の思い描いてる結婚後を話せ!
そして自分と結婚してほしいと、将来を一緒に生きてほしいと言え!
愛を伝えろ!」
「・・・・。」

下を向いてしまった。

「次はバイルさんだ。
これは別に助言を求めていないから言う必要はないな?」
「え?いや、できれば聞かせてほしい。なんでそれはないっていうんだ?」
「では聞け。何度も言うが、これはわたしの意見だ、一つの考えだ。
わたしがその彼女の身内なら、こんな男と結婚は辞めちまえと言うね。
彼女の時間を3年も無駄にした。挙句、次は違う女?
いい加減しろ!いや、彼女はお前を捨ててるね。通いも認めない。
街であっても声をかけない、目の中に入れない。お前は居ない存在だ。
だって、3年待ってたんだ。お前は選ばれない。
今頃は違う素敵な男性と2人で進む将来のことを考えている。
過去の男に用はない!彼女は今年結婚するね!」
「そんなことはない!通ってる男はいない!」
「は!そんなことをいちいち確認しているのか?
お前は結婚する気はないんだろ?だったらそんなことを何で知ってるんだ?
彼女は結婚しないと思い込んでいるのか?
今年が最後だ。通いをしなくなったあと初めて彼女はどんな目でお前を見た?
それの後だろ?お前を見なくなったのは?
女が男を選ぶんだろ?お前は選ばれない。」
「・・・泣きそうな眼だった。」
「そのときお前はどうした?」
「毎年のことだから笑った。」
「それが最後だったんだ。残念だったな。来年から別の女のところ通え。」
「・・・・。」
「それが嫌なら、今から通え。少し仕事が忙しかったんだ。
今年は雨の日に俺の家に来てほしいって。将来のことを話せ。
待たせたこと詫びろ!愛を伝えろ!
それで、彼女の表情が変わらないなら、あきらめろ。
残念だったな。お疲れ様だ。」
「い、いやだ!」
「知らんがな。」
「あ、あ、これ、この菓子を売ってくれ。
それと、ああ、なんか、喜びそうなもの!」
「んー、そうだな。ここに、冷たいプリンがある。
そして冷たいアイスも。氷が入った箱もある。
家は?4番?馬で?だったら持つかな?
プリンは1つ3銅貨、アイスは1つ5銅貨。
氷入りの箱は氷が解ければ便利なブラスの箱だね。
それを包む絹の布もある。
一緒に食べる?
プリン、アイス2個ずつ、クッキーも入ってる。
ブラスのスプーン付きの籠セット。
風呂敷に包んで、1リングです。」
「俺もだ!」



「毎度あり!」



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