いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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651:煙

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「ニバーセルになんの利がある?」
「ごもっともなご意見ですね~。」


うなぎ三昧が終わると、タンダードと師匠の交渉が始まった。
もちろん、ミーキ狩り経験者のタンダードは泣いた。

ニバーセルのり?
ニバーセル海苔ってなんか高級そう。ニバーセル王都に海はないのに。
この頃は意味と音と別々に聞こえてきても、
翻訳機能がグレードアップしたのか私がこちらの言葉に慣れてきたのか、
すんなり咀嚼できる。
だから、1人で笑ってしまうのだ。

利ね。
国民の健康を損ないますっていうのは、
いまは分からない話だ。
言えることは、塩袋を使って、いままで取引出来なかった
高額商品がニバーセルに入ってくること。
そのなかに、エルトナガ国の最高機密が含まれているということだ。
で、わたしがまずいものだと言っている。
それだけだ。
依存性のことを話せば、逆に素晴らしいものだというかもしれない。

師匠はマンザスにエルトナガ国のものを混ぜて売っているようなんで、
雨の日後にネルウカート国が証明するのを待ってもいいが、
分からないものがニバーセルに入ってくるのは事前に防ぎたい、
という話をしている。
それがエルトナガ国の青い花だとは断言はしていない。

塩袋の話もした。
たまたま、師匠の知り合いが卸している。
税金の関係上、経営上の助言はしているので、
塩屋から他国から、
東側からの引き合いはややこしくなるから今後取引はやめると言われ、
手持ちは引き取ってくれたからこれからどうしようと相談を受けている。
このことかと思い、今後様子を見るためにも、
こちらで商店を立ち上げるつもりだということも。
その時の店の名前は決まっている。
ロミオとジュリエットの店、略してロミジュリ商店。

「ニバーセルが噛むのもよろしくないんですよね、あとあとね。
なので、タンダードさんがやってくれればいいなと。」

で、ニバーセルの利は?となる。
つまり、タンダートにはおいしい話なのだ。
死んだことになっているが、最終的にネルウカート国の動きが分かればいい。

「洗いざらい話すわけにはいかないでしょう?
あなたもほとんど話していないですよね?
その極秘の植物がどんなものかもいっていないし、
外に出た経緯もあいまいだ。
それを詳しくこちらが知る必要はないでしょ?
それと同じですよ。
わたしたちは、マンザスの動きを把握したいだけです。
その中に、あなたが言う植物が入っているかもしれないということですよ?」
「それがおかしい。マンザスは確かにエフエがこちらに持ってきたものだ。
塩袋もいいだろう。
だが、その中にどうして、ルロイドが含まれているとわかるんだ?
こちらだって調べいる。そんなことはなかった。」
「どうやって調べました?」
「・・・砂漠石で封をしているが、封印ではないんだ。
そこに穴を開ければ中身は取り出せる。
後は、また砂漠石で補修すればいいだろ?
見ればわかるが、誰も底まで見ない。」
「あちゃー、そうか。
塩袋自体柔いもんね。これは盲点だ。水を入れる訳じゃないしね。」
「どう思います?」
「んー、塩袋ね、エフエが持って来た時、
袋に対して、6割ぐらいしか入れてなかった。
で、出した時に結構混ぜてたのよね。バッサ、バッサと。
こっちが調べるっていえば、新たに出そうとしたから断ったのよ。
まずいな。完全に混ざるわけでもないんだ。
上の方が割合が高い。あの言葉は意味をなさない。」


運搬中に比重の重いマンザスは下に沈む。
ふりだしに戻ってしまった。



「どういうことだ?」
「お聞きの通りですよ。
彼女ね、向こうにいるマティス君と夫婦でわたしの弟子なんですよ。
二人ともね。
それで、エフエがマンザスの葉を出した時にカリク殿の護衛をしていました。
分からぬものを買い付けるというので、簡易で調べたんですよ。
簡単に比重を調べたんです。それで、マンザス以外の物が混じっていると、
師匠のわたしに話してくれたんですがね。
ああ、彼女たちの名誉のために言っておきますが、
むやみやたらに報告があるわけじゃないですよ?
師として分からぬものが出てくれば報告するようにといってますから。
そこで、塩袋と結びついて、今回の話です。」
「ひじゅう?」
「モウ、見せてやってくれますか?」
「はい。」

マンザスをトレーで振るだけで別れる。

「これがマンザスですね。で、こちらにあるのはなにか分からない。
エルトナガ国とネルウカート国が絡んでいる、塩の湖のうわさばなしで、
ルロイドの原材料が枯れたというのは聞いています。
エルトナガ国がネルウカート国に探りを入れるのはルロイド絡みなのかと。
ルロイドは鎮静剤。
エフエはこのザスの葉はより良い効果を出すという。
ルロイドが混ざっているのかと考えたんですよ。」

単純だが間違ってはいない。


「これがルロイドかどうかは分からない。
だが、ザスの葉ではないんですよ。重さが違う。
枝かとも思ったけど、そうでもない。
違うものだ。隠匿を掛けているものを混ぜているとはエフエは認めました。
が、それが、中毒性のないものだとネルウカート国で証明できるのは、
雨の日後だと。初荷は次の離れはじめの月の日だ。
証明書なしに入荷はするでしょう。例え、先に証明できたとしても、
なにも役には立たない。それは分かっています。
危険性があったとしても、知らなかったと言えば終わりな話だ。
知っていれば、巧妙に隠すでしょう。」
「余計なことをしただけなんじゃないのか?」
「いいえ。何かが混ざっている、危険性を問われている、
このことが相手に伝わるだけでかなり違う。
自分に置き換えてください。
危険性がないときちんと証明するか、ばれないようにするか、
必ず動きが出る。そこを把握しておきたいだけです。」
「だから、それのどこにニバーセル、違うな、
お前たちの利があるのか聞いている。」
「おかしなことを。利があるとわかってから動くのは遅いんですよ。
なにか、おかしいと少しでも思えば調べるのが、我が師、ワイプ流棒術の教え。
それと、東諸国がニバーセルにちょっかいをかけてきているという話もある。
もしかして、おたく?
ニバーセルというより、コットワッツにだ。それも調べているんですよ。
剣のマティスと赤い塊に懸賞金を出しているという話、知ってるでしょ?
赤い塊が我らの護衛業の2人を差すのか、わたしの曾祖父のことなのか、
赤い塊のモウと呼ばれているわたしのことなのかは分からないんですけどね。
このことに関して時間も労力もかけている暇と手がない。
じゃ、手っ取り早く使えそうな人間がいるから使おうかという話なだけだ。」
「モウ、そこまで言ってしまってはいけませんよ?
実際にそうだとしてもね。」
「はーい。」
「ワイプもモウも、いいから。
タンダード?
お互い手の内を見せれない立場だということは分かっているのだろう?
お前もこちらを利用すればいい。当然こちらも利用する。
その手始めに塩袋屋をしないかという話だ。」

振り分けた、暫定ルロイドを手に取り、匂いを嗅いでいる。
それでわかったら世話はない。
単独では問題ないんだよ。まさしく鎮静剤だろう。
マンザスの中に合った依存性というのが強調されているんだ。
そして、マンザスと組み合わさって初めて効果がでる。

袋の中の比率で隠匿を掛けることは出来なくなった。
塩袋の中に入れられたものは程よく混ざるという効果を付け加える?
そんなことを協力するのは本末転倒だ。
あるだけの原石を使ってルロイドの依存性を無効化?
それはダメだ。進化の妨げだ。
袋から出して売るときに攪拌するような装置を考える?それを売る?
こっちも商売なんだ。うん、悪いことではないはず。
だけど、なにも思い浮かばない。そもそもどうやって煙を吸うんだろう?


「ニックさ、ん?」
「マティス君とまだやってますよ?」

食事が終わった後、明日から槍一本というのがまだ納得できないマティスは、
ニックさんと手合わせをすることになった。
なぜに?と思うのだが、師匠曰く、

「明日、一日付き合えばニック殿と舞が舞えるでしょ?
そうなると自分も舞いたくなるので、
自分の底上げを先にしたいんじゃないんですか?」

なるほど。


「これ、どうやって煙を吸うか知ってますか?」
「そんなことも知らないのか?」
「世代が違うんですよ?ニバーセルで知ってるにはニック殿止まりですよ?」

「専用の筒をおいて、中に煙を溜めるんだよ。火を付けてな。
それを管で吸うんだ。」

水タバコの水がない版?
パイプか煙管でいいんでないの?紙巻きとか?



「煙って熱くないんですか?火傷しそう。」
「煙でやけどは初心者だ。恥ずかしくて誰にも言えんぞ?」
「じゃ、さめるまで待てると?その筒に充満するまで?
煙なくなってしまいそう。」
「安物の筒だと抜けるがな。」
「?時間の経過で消えるでしょ?」
「穴が空いていればな?」
「そうか。」
「?」

消えるよ。
けど、時間がかかるんだ。
だから、焼鳥したときの煙が凄かったんだ!
久々の異世界ショックだ!




「やって見せようか?
コップがあればいい。」


小さなお皿にザスの葉をのせ、
砂漠石で火をつけた。
チリチリと燃え、煙が出る。
それにコップをさかさまにして蓋をする。
少しずらして下から空気が入るようにしている。



「皿ごとひっくり返して、すこしずらすんだ。
そこから煙を吸う。」
「タンダードさんは喫煙者?」
「?」
「煙を吸う人?」
「ザスサかってこと?」
「?」
「ザスの葉を好む人のことだ。」
「なんか宇宙を感じるね。いや、そのザスサ?」
「そこまではいかないな。みながやってるところにいれば、吸うぐらいだ。」
「なるほど。じゃ、無理しなくていいですよ。その皿をどけてみて?」



煙がコップの中にたまっている。
煙そのものは個体だから上昇気流がないと上に上がらないとか?
それでも、煙にそのものの維持する時間が長い。
これを吸うの?なんか、依存性がどうのという前に体に悪そうだ。
ストローで吸えそう。
香はまさしくタバコだ。
金木犀の香りではない。少し残っている程度?
だったら、お茶を炙ってそれを吸っておけと言いたい。
ん?お茶の煙はすぐに消えるよね?


「これ、火をつけるときなんか特別な言葉言ってます?」
「ん?」
「わたしが付ければ、火が付くだけだ。」

また少しお皿に出して火をつける。
これね、練習したんよ、火をつける練習。
最初に覚える願い言葉を。

渇き潤せ水の姿を
熱求めよ火の姿を
流れるもの風の姿を

じゃないと、まさに紅蓮の炎が出たからだ。

皿のザスの葉はボッと燃えただけ。
このほうが金木犀のいい香りがした。
お香で売り出してもいいくらいだ。

「いや、それは燃やしてるんだよ。
燻すんだよ。」
「うん、だから、なんて願ってる?」
「え?願いとかじゃなくて、煙を出せ?」


お茶葉を炙るときは、いい香りが出ればいいなと、
ザスの葉は煙を吸うんだから、煙がいっぱい出ればいいなと。
そう願っているということか。
・・・・焼き鳥は換気がない土中なんだ、当たり前か。
気を付けないと、異世界ショックで片付けるのはまずいよね。
煙は極力出ないようにと願っても、
化学反応で、出るものは出るのだろう。

科学、科学の知識が欲しい。


願い言葉として幼い時に習うくせに、
願いではないという。
なんて不安定な世界なんだ。

お!香種も炙ったら匂いの煙が長持ちするかも!
ああ、また、金儲けの思考になる。
が、実験しなくては、クリーンルームを作ってから!



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