いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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740:ストレッチ

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「では、ワイプは操られていたと?」
「操るって表現はちょっと違うな。
それが正しいと、
それが仕事だと思って行動してるのね。
当然自分の意志だ。
で、それは、悪いけど、この大陸、グラシオル大陸人みんなだ。
新年に王の言葉を聞く人すべて。
いや、聞こえる人すべて。」
「聞こえる?」
「いや、そもそもよ?
なんで聞こえるのよ?
おかしいでしょ?
電話もスピーカーもないのに。
糸電話で驚くぐらいなのに。
で、声を飛ばして会話するのにも驚くのに。
ん?これはすぐに受け入れられたな。
そうか、あるからか。
だけど、王様だからって制限なのかな?
そういう技術があるなら、応用しようって思わなかったんだよね?」
「・・・・思わない。制限されている、のか。」
「そういうものだと思い込んでいる、疑問に思わない。
いいんよ?それは。
みんなで、王、帝王、領主、中央人を盛り立てよう!
それが、国、帝国、領国の繁栄につながるよーって。
それが、国民の繁栄、自分自身の豊かさにつながるからね。
これ、別にどうってことない、普通のことでしょ?」
「そうだな。」
「あとは、それぞれの立場に応じて、余計なことはしなくなっちゃう。
ルンバの村の人は、高いところに登ってきれいな月を見るっているのが、
第一使命なのね。
村とか、小さな集落の年に一度のイベント、催しだ。
もうね、力の入れ方が違うから。
故郷でもそうなの。
一年に一度の祭にすべてをかける人、地域もある。
だから、この場合、王の言葉は2の次なの。
でも、多くの人は日々の生活がより良くなるように努力している。
だから大それたことはしでかさない。
ボルタオネ国のすべての人が、自分の欲望に走るっているのも、
新年である程度薄まる。
だけど、長年蓄積されていたらダメなんだろう。
3歩進んで2歩下がるって奴だ。
日々の鍛錬と一緒。蓄積される。
いいことも悪いことも。」
「では、新年の月を見ながら、
王の言葉より先になにか命令をすればいいのか?」
「そうなるね。
ダートがどうして気付いたんだろうか?
そこだね、新たな疑問は。
ルタネの人心掌握術もね。」
「?」
「人の心を掴む術?ドーガーやあの、なんとかさん、館の管理人の。」
「グリク?」
「そうそう。
石でも糸でも、粉でもない。中央院院長の言霊でもない。
なんだろうね。
なんかあるとは思うんだ。」


今はマティスとお風呂、湯舟のなか。
ストレッチをしてもらった後、
抱っこされながらつかっています。
そのストレッチは鍛錬後の軍仕様のもの。
それはそれで辛いものが有ったけど、これをすれば、
後に響かないと言われれば、仕方がない。
お陰でかなり元気だ。


師匠の考えていたこと、思い出したことを、
なんとか箇条で説明できたとは思う。

師匠がこのことをガイライやセサミンに説明するかどうかは分からない。
わたしは身内に問題なければもうなにも言わない。
とりあえず、ただ働き、プププって、
指をさして笑うだけだ。
手合わせの様子を撮影してもらった砂漠石たちも、
回収して編集しなければ。
あ、ルカリさんとやった後の奴、回収して何もしてないな。
宿屋の音石君たちは師匠達がするだろう。

ニックさんが話してくれたリーズナ先生の話、考え方。
馬鹿以外はちょっかいを掛けてこないはず。
掛けてくれば、始末してもいいということだ。
それでなくても、ニバーセル内でのパワーバランスがリセットされる。
みなと、表立っての交流は出来ないだろうな。
そのほうがいい。
コットワッツの産業も10年内で軌道に乗る。
いや、乗せないとね。
すぐには無理なのはわかっている。
そのために使う砂漠石の備蓄なのだから。
そうか、だから集めることができたのか。
なるほど。

納得できてしまえば、あとはわたしのすることはない。
するべきことはマティスの、愛する人の不安を取り除くだけ。

「それを調べるか?」
「そこまではいかないのが、困ったちゃんなのね。
どうでもいいというか、優先順位が低い。
自分の興味と利益がかなりの上位なのよ。
だから、よそ様のことはかなり後回しになる。
これは、故郷ならおかしいとは思う。
で、ものすごく調べるとはおもう。
面倒くさがりのわたしでも。
でもしないんだ。
ここの風土?そういう世界なのよ。
だから、別にいいかなって。
わたしもここの、この大陸の住人になってるのよ。」
「そうか!」
「うふふふふふ。
それでねー、あのねー、うふふふふ。」
「ん?どうした?」




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「痛い!痛い!!!ちょ!待てよ!
あ、今の似てた!
いや、ほんと、
無理無理ムーリー!ぶひゃひゃひゃひゃひゃあああ!ぎゃーーーー!!!」

2日は寝床だというと、
時期が悪い、
もったいないけど、筋肉の疲労も言霊で取ったほうがいいかと
悩んでいるので、だったら、少し辛いがと、
軍での後鍛錬を愛しい人に施した。

終始叫んで笑っていた。

「鍛錬より、厳しいっす・・・・。
ストレッチとは言わない。
うん、後鍛錬だ。
でも、うん、ほんと、疲労感はないね。
でも、うん。
時間的に余裕があるのなら寝床の住人がいい。」
「はははは!そうか!私もだ。」

そこから、ワイプとの鍛錬の話を聞く。
見えてきたダートの不正の話。
何もかもにたぶんが付くが、
ただ働きご苦労と、ワイプを笑うことにするらしい。
それは楽しい。



「ん?どうした?」

愛しい人がとても楽しそうだ。


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