いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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741:大胆

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「お目覚めですか?」

なぜか床に寝ているワイプ様を、
セサミナ様と2人でなんとかモウ様のクッションの上に寝かすことができた。
妻も気に入っているものの大型の物だ。

「ぐっと包み込むような安定感!素晴らしい!
これ以上の物は出来ないね。
あるとすれば、マティスのまたぐらだ。」
「うれしいがここで言う言葉ではない!」
「え?おまた?」
「愛しい人!」
「どういえばいいの?ものすごく安心、安定するおまた?あんあんまた?」
「ち、違う!!言わなくていい!」

モウ様のお言葉は間違いではないのだが、大胆だ。
妻も同じ事を言ってくれる。
わたしがクッションにもたれ、わたしに妻がもたれる。
そして息子、ローチが妻の腹に寄り添う。
そして、3人でいろいろのことを話す。
新しい家族、5人でのことも。
とても幸せなひとときだ。

そのクッションの上に。
移動は出来なかったのだ。

事務書類の整理を進めているうちに、
目が覚めたようだ。

「んー?セサミナ殿!おや!ルグも!
いやー、ここまで、安心しきって寝てしまったのは久しぶりですよ!」
「そんなに長くはないですよ?
しかし、いい頃合いです。鍛練場に向かいたいのですが?
あ、お体の方は?
兄上からこれを売るようにと言われていますが、
どうぞ?進呈しますので、カップの様子をみて来てくれませんか?」
「鍛練場に?・・・・ドーガーとだれ?」
「わかりませんのでそれを見に。
カップの客は、大丈夫そうなので。」
「わかりました。モウとマティス君は?」
「兄上が4階に。・・・あの。」

珍しい。
セサミナ様が言いよどんでる。


「・・・?ああ!マティス君に叱られたんでしょ?」



「はい。ワイプ殿、投げ飛ばしたこと、申し訳ない。」

それか!
セサミナ様は何もおっしゃらなかったから。

本当に事務処理の方が忙しかった。
ドーガーでは手が回っていない。
なにか考えなければ。


え?投げ飛ばしたの?


「いえいえ。臣として当然ですからね。
が、主としては未熟ですよ?」
「はい。重々に。」
「では、カップの様子を見てきましょうかね。
敷地外?ああ!資材置き場!
あの手合いの土地の管理もしなければいけませんね。
これ?あの水ですか?
少なくないですか?」

小さな、しかし一目で高級そうなビンから落ちてくる水滴を飲んでいる。

「!!!
売ってください!!」
「これの管理は姉上です。それは兄上からです。
そちらで交渉を。」
「・・・・んー、モウは必要な時だけですね。
マティス君も売ってくれるでしょうが、モウに共々叱られるな。
これ、モウにも飲ませてました?」
「いえ。打ち身と擦り傷のみここで。
あとは2日ほど寝床だろうと。」
「そのほうがいいですね。得たものが半減する。」
「ワイプ殿は?」
「はははは!弟子との鍛錬でそれはないですよ?
意地でもね!
ああ、鍛練以外には有りましたがね。」
「それは?」
「もう少しまとめてからお話しますよ。では。」


カップのところに移動したのだろうか?
わたしではわからない。
それより!

「セサミナ様!投げ飛ばしたんですか!?それで、あの状態だったんですか!」
「ふふん。自慢してもいいと言われているが、特殊な状態だったからな。
しかし、ま、そういうことだ。」
「素晴らしい!!」
「そうだろ?さ、ドーガーのところに行こう。
兄上は死にはしないと言っただけだからな。
死にはしなくても動けないと話にならん。」
「それもそうですね。急ぎましょう。」

見習いの2人は?
よろしいのですか?

─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



「こ、これは!」
「やめてくれ!!う、う、う!!」



なにをやってるんでしょうか?カップは?



「ん?あれ?ワイプ様!お戻りですか?」
「ええ。」
「モウ様は?」
「マティス君が介抱していると思いますよ?」
「ああ!いや、すごかったですね!
というか、あれで平然としているセサミナ様がすごかった!!」
「わたし、そんなにまずかったですか?」
「そうですよ!あの時一番焦っていたのは
ニック様でしたけどね。」
「?どうして?」
「ガイライ様から腕を返してもらったとかで、
そのほうがいいって、えーとリーズナ先生?が言ったとか?」
「リーズナ殿?先生?」
「マティス様がそう呼んでいましたよ?さすがだって。」
「?マティス君が?ガイライ殿はその時は?」
「わたしたちと同じで、冷静でした。」
「ああ!なるほど。
リーズナ殿と話をしたほうがいいでしょうね。で?
彼らにもその話をするのはどうして?」

そんな話ここでするべきことではないし、
聞かすことでもない。
声を掛けてきたから姿を出したが。
他にもいるな。

「なんでも話していいとモウ様から指示はもらってますから。」

話したところでどうにでもなるということか。
隠せば隠すほど相手は動いてくる。


空いているイスに座ると、
すかさず、あたたかいおしぼりと緑茶が出てきた。
「何も食べてないでしょ?どうぞ?」

それとサラゴハン、焼肉、唐揚げ、あのエビのスープもだ。
温泉卵もありますね。
これはマティス君の教えでしょうね。
素晴らしい!!
樽便を食べ損ねましたから、ここでいただきましょう。

「チュラル達は?」
「先に食べたと言ってましたよ?」
「ならよかった。では、遠慮なく。」
「ええ。」

「ピザも焼いてます。あの釜です!エビと照り焼きと乗せてます。」
「あの3人にしれると怒られますね。」
「もちろん内緒です。あと、冷たい甘味もありました!」
「ほうほう!」
「選べるんですよ!アイスと、くれいぷつつみ、シフォンケーキのアイス添えも!
パイもありました!!」
「食べ放題ですね!ここに住みましょうか?」
「それが、扉を開けるのに問題があって答えないとダメみたいで、
答えたら取り出せる見たいですよ。難しかったです。」
「なんですそれ?」
「計算と早口言葉?それとなぞなぞっていうんですか?
池に石を投げたら、ゆらゆらと、沈んだり潜ったりしました。
なぜでしょう?
わかります?」
「?」
「計算と早口言葉は友達が解いてくれました。
すごいでしょ?
ああ、紹介しますね。俺の友達です。」
「・・・・。
そのイスにしばりつけて、さっきから、あなたが食べさせている?」
「ええ。ラートとフーサカです。
そのなぞを解いたらおそらくチョコが出ると思うんですよね。
だって、後何があるっていうくらい、あらゆるものがありましたから。」
「チョコ!これは素晴らしい!!
えーと、そのお二方のことは後で話しましょうか?
ちょっと、おなかに入れてから考えましょう。」
「そうしましょう。あ、ピザ焼けましたね。ビールいります?」
「それも!いいですね!!」
「ほら!ワイプ様も夢中になるんだ、ピザとビールは。
食べてからでいいけど、セサミナ様とコットワッツに忠誠を誓ってくれる?」
「ぶっ!友達じゃないんですか?」
「友達は友達ですよ?」
「・・・・。食べさせながらだと、あなたが食べれないでしょ?
外のも押さえれますから、かまわないですよ?」
「やはりいますか?」
「いますね。ここから離れたら始末するんじゃないんですか?
ラート殿?フーサカ殿?
ここに来たのは単独でしょ?
今この時期は無謀でしたね。」
「友達が尋ねて来ただけですよ?」
「あなたがそういうのならいいでしょう。」
「あとで、ツイ兄のところに行くんですよ。」
「寝込んでますよ?彼。」
「どこにもいないみたいですよ?知ってます?どこにいるか?」
「もちろん。面倒見てますから。
これが終わったら一緒に行きますか?」
「お願いします。ラート良かったな!あとはフーサカの頼み事か。」
「なんです?」
「石の変動のことをコットワッツではどう捉えていたか聞きたいって。」
「ああ。その類ですか。それはモウも聞きたがるでしょう。
彼女の話は天文院には興味深いのですは?
2つの月ね、左右で色が違うって知ってますか?
で、大きさも違うらしい。」
「!」
「へー。さすがモウ様ですね。
じゃ、これも後だな。
さ、食べましょう!で、石の問題わかりましたか?」
「食べてからでいいですか?」
「そうですね!」



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