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780:乙女
しおりを挟む(愛しい人?なにが?)
(ん?考えてみ?移動できるんなら言わないよ?本当はね。
できないから言うんだよ。でも見せないといけない。
砂漠石の気配を探ってみ?
かなり大きなものが建物の外、
4隅にある。で、その横に人もいるね?)
(そうだな?)
(彼らか、彼女かしらんけど、その4人が彼女を移動するんだよ)
(!)
(事前に事細かに、服装は把握している。移動できるよね?)
(そうだな)
(体は?平常心だと大丈夫なんだろ?練習無しでしないでしょ?)
(で?)
(彼女の心音、心の音はさっきから丸聞こえだ)
(そうだな)
(軍隊長を引き受けたんだ、親が無理矢理だけではないんだろうね。
できると、そして移動もできる。
が、さっきの命のやり取りはなかなかに強烈だった。
まだまだ心は落ち着いていない。
おとっつんもあとで披露すればいいのに。
娘のことをちっとも考えてないね。
強引に移動を披露しようとする。
服は移動するだろうね。髪飾りもみんな)
(あ!)
(そ、体だけ残るよ。丸裸で。
もしくは体を縛ってるかも?
それを移動するってくくりね。
気持ちがついていかないと、体がちぎれるよ?
抵抗できるかな?
傷は付くだろうね。
複数での移動なんて無理だ。
心が一つにならないと。
わたしたちだって、マティスは厨房、わたしはコタツってなるんだよ?
無理だね)
(そうだな)
(か、やっぱりできるのかも!これくらいな距離ならいいって感じ?)
(どっちなんだ!)
(わからんよ。
ニックさんは2度助けた。もう助けないね。
王も、こんなことどうでもいいんよ。だから、そのまま進む。)
(あなたは?)
(乙女が傷つくのは許せんけど、実は、乙女ってのは強い。
落ち着けばできるんだろ?どれだけの石を消費するかはわからんけど。
女は度胸っていうからね。
だからこのまま見守るよ?)
(そうなるな)
話している間に移動を見せるようだ。
彼女は引きずられるように、隅に。
あー、やっぱりかわいそうだな。
丸裸で済めばいいけど。
小さな砂漠石を取り出した。
それで移動ができればいいんだが、
四隅に陣取っている配下に指示が行くようになっているんだろうな。
ん?どんな仕組み?
音の伝達ができるのか?
『石よ、我の石よ、我が命に応えよ。
わたしを部屋の向こうに移動せよ!
3!2!1!はい!』
バサリ!
服だけが向こうに行くのと、
わたしのマントをかぶせるのは同時だ。
『見るな!!
許可なく乙女の柔肌を見るものに
この赤い塊モウ!
一切の容赦はせぬぞ!!
見たものは対価を払え!!一目100億リングだ!!
払えぬというのなら7代先までも回収に出向いてくれるわ!!!』
ぁぁぁぁぁぁぁ
ガタガタ震え、目をつぶる。
ローブを身にまとわせ、
からだを抱きしめた。
いつ着せられたのかはわからない。
それどころじゃないからね。
そして耳元でささやく。
『レディ?100億リングは安すぎたか?
安心しな?一瞬たりとも見えてはいないから。
さ、こういいな?
先程の雰囲気を和ませるためにした、
ちょっとしたおふざけだったのに
邪魔が入ってしまった
が、ただで見せることもない
100億リングではちと安すぎるのでは?
とな。
お前の心が落ち着いていれば、もちろん向こうまで移動していたんだろ?
が、おやじたちのやり取りにうんざりしていただけだ。
そうだろ?レディ?お前は強い。軍の隊長でなくてもだ。
これからは鼻で笑ってやれ!
これも笑い話に持って行け。こっちもそれに合わすから。』
「!はい!」
スーっと息を吐く。
マントの中から、一歩前に。
「先程の雰囲気を和ませるためにした、
ちょっとしたおふざけだったのに!
邪魔が入ってしまったわ!
でもそうね、ただで見せることもないわね。
だとしても、100億リングでは少し安すぎるのでは?」
『はっ。出過ぎた真似を、お許しください。
やはり1000億?』
「そうね?それくらいじゃない?
以後気を付けて?」
『はい。申し訳ありませんでした。
ほれ!そこの女官殿!そこにある服をもって、
向こうの部屋に。
この姿でも、請求できる美しさだ。
あ、それ、コットワッツのローブです。
で、スリッパです。
無粋なことをした詫びにお納めを。』
「ええ、ありがとう。では少し失礼します。
皆さま?すこしは和みましたでしょうか?
ニック殿が言うように、
こういう賭け事はよろしくないですわね?
申し訳ありませんでした。
父上?よろしいですね?」
「あ、ああ。そうだな。」
「では。」
悠々と退場していく。
いいね!
「あははははは!なんだよ!
全財産どころか、
死ぬまでただ働きになるんじゃないかと焦ったよ!!」
と、ニックさん。
「わたしも!目の前ですからね。
しかし、あはははははは!
ここにいる全員が焦ったのでは?
一目100億リング!
なるほど!その胆力!それ以上の価値ですね!」
マトグラーサも合わせてくる。
さすがだ。
みなが、あはははははと笑う。
軍内の予算、両家の争いごとなんて、
ほかはどうでもいいのだ。
両家はこれ以上何も言えないだろう。
不満いっぱいの顔はしているが。
大きな砂漠石の気配は消えている。
そのそばにいた人間もだ。
あの掛け声のタイミングで移動なのかな?
聞こえたのかな?
音関係は音石君は特殊だけど、
遮断はできる。
増幅とかもできるってこと?
「さ!これで、軍関連の話は終わりだ。
次は、ナソニールの話だ。よろしいか?」
諾!
「中央院領土管理部部長ストリンだ。
先に通知があったように、ナソニール領国、統治一族が出奔した。
これは、先日の重加算税等の問題だと思われる。
理由がどうあれ、一番の重罪だ。
回収等は資産院で執り行うが、
翌月のに雨の日が控えている。
領民に食料等の配布が統治者としての義務。
今は一時預かりとして王都直下となっているが、
皆皆さまに分担していただきたい。
競売です。
なお、今回のことは、
資産院にも問題あるということで、
習得から新年までの期間は、無税とする通知が来ています。
が、必ず、領民に食料配布を。
地図を広げます。
まずはご検討ください。」
「では少し休憩をはさもう。
休憩!」
はーーーー。
「疲れたよ、ねーちゃんは。」
「お疲れ様です。かっこよかったですよ!」
「そう?そう言ってもらえれば、良しだよ!
んーマティスはご機嫌斜めだね?」
「・・・・耳元でささやいていただろ?
抱きしめて!
許せん!始末してくる!」
「くふふふふふ。おいで?」
「ん。」
「きゅー!こしょこしょのこしょしょ。で、ふー。」
「うふふふふふふふ。」
「それしてほしい!あ!違う!!
兄さん!姉さん!ここではやめてください!」
「「はーいい。」」
うちの新人3人がちょっとドン引きだった。
ルグとドーガーが説明している、
これが普通だと。
大所帯になったコットワッツは
積極的に買う気はないので、まったり中。
だけど、おおきな地図があるので、
皆で地理の勉強。
「買わないの?」
「悩みますね。隣接している領国が買い取るのが一番いいのでしょけど。
マトグラーサと揉めたくはないのが本音です。
鉄鋼関連が欲しいのか、砂漠が欲しいのか。
湿地廻りを買うのもいいかもしれません。
が、どれほどの金額になるか。
確固たる産業があればいいのですが。
職人たちはほとんど出ていっている。
一から作っていくとなると時間がいる。
それは、残念ながら今ではない。」
「そうだねー。」
王様は別室に。
王族、貴族は競売には参加しない。
直接関わりがない領国も控室に。
なかなか始まらない。
コーヒーを入れるぐらいに。
ファンファンとテール君にも。
テール君はほぼミルク。
歌の話もする。
あひるのうたは、
カーチと一緒に歌うことができず、
仕方なく一人でマーロとカーチの前で歌ったそうだ。
そのあと?
誘い笑いが誘いに誘って、仕事ができなくなったそうだ。
結果、禁止令が出たそうな。
トイレにもいった。
ふむ、長丁場になるな。
メディングを呼んでちょっと打合せ。
準備はする。無駄になることはないだろう。
「愛しい人?始まるぞ?」
「ん。」
「ナソニール領主が戻ったようだ。」
「へ?」
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