790 / 869
790:閉会
しおりを挟むだれも、何もしゃべらない。
もう一度、ブックナが耳打ちをした、
軍隊長タゼリーに。
「・・・・ラ、ランサー殿、どうぞ?」
あとはランサー殿に投げてしまえということ。
縁切りをされてしまった。
スダウト家のじーちゃんは、馬鹿を一掃をしたかったということかな?
それは親族会議内でしてくれ。
「はー。
わかりました。
セサミナ殿?よろしいですか?」
「ランサー殿の進行が全てです。コットワッツ、セサミナは
従いましょう。
が、その前に銃弾のつかみ取り?それは、皆さまが思うところなのでしょう?
モウ?かまいませんよ?」
『セサミナ様?それ公表すると商売あがったりなんですが?』
「しかしできると思って練習を命令されて死なれるのは嫌でしょ?」
『それもそうですね。
同じ系統でもう一つあるんですけどね、それも披露しましょう。』
「楽しみだ!」
「なんだ?するのか?
だったら早く見せろ!」
『旧式でまず撃ってくださいね?』
「あははははは!先に言っておくぞ!
これで、お前が死んでも誰の責任もないぞ?
お前が撃てと言ったんだからな?」
とことんお約束だな。
『もちろん、自己責任ですね。
これからこの場で、あなたが旧式で1回、新式で1回と銃を撃つ。
合計2回。2回ね。連射も含めて1回と数えてます。
その撃った弾にあたって死んでも、けがをしても、
それはあたったものの責任だ。
よろしいですね?』
「当然だ!」
『わかりました。
しかし、わたしは小心者だ。
もう一度確認させてください!
タゼリー殿!よろしいか?』
「!もちろんだ!」
自分の言葉で答えた。
これはわたしが死ぬと思ってではない。
わたしへの認識は優秀なる異国の石使い。呪いにもたけている。
それが事細かにこの場だけ、2回だけと念押しをしているんだ。
回避できるとわかったんだろうな。
このことに気付いているのは?
数えるほどか。
『さすが、タゼリー殿。
軍を束ねる頂点、軍隊長のお言葉だ!
力強いお言葉にこの赤い塊モウ!安心いたしました!
これからもご自身で考え、そのお言葉を発言なさってください!
相談は大事ですがね!
では。あー、みなさん、離れてくださいね。
あたったら、自己責任だから。
念のため。どうぞー。』
もしかして殺してしまうかもしれないというのに、
あの笑顔。
それとも、わたしの腕を信じているのか?
銃の腕にとことん自信がないのか?
いや、あるんだろうな。自分の中で。
あれか?撃てばあたると思っているとか?
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン
弾は何もしなくても明後日の方向に。
上にいく傾向があるのかな?
適当に手を出し握り、そして手を開く。
サービスで、2弾だ。
「なんだ、2つしかと取れなかったのか?情けないな。」
え?それどういうこと?
全弾取れる思ったの?
それとも全弾わたしにあてれるとおもったの?
「次は新型だな?」
構えたときに、眼前まで踏み込む。
弾倉を撫ぜるふりをし、パラリと弾を下に落とした。
ちゃんと15弾。
そのまま、セサミンの所に戻った。
「なに?弾?取ったのか?」
銃口を覗き込む馬鹿。
そしてトリガーに手を掛ける。大馬鹿だ。
パーン!
ギャーーーーー!!!!
同時だ。
それだけ声が出るんだ、かすっただけか?
またしても沈黙だ。
それからざわついた。
「お静かに!
あれは元々手に持っていた弾を落としただけだ!
慰労会でもそう!
ほとんどのものは見抜いている!
そして、その銃から弾を抜いたわけではない!
触ってもいない!同じように弾を捨てただけだ!!」
ガイライが説明してくれる。
ふふふ。ほとんどのものだって。
セサミンとルグ、マティスは下を向いた。
ドーガーはちょっとうれしそう。
新人3人はあんぐりだ。
「ええそのようで。
そんなことできるとお思いなのが驚きです。
はったりは効くでしょがね。」
そう思っていたセサミンが答える。
ココエートのとーちゃんは応急処置をしてもらっているようだ。
それで済んでいるのならたいしたことないんだ。
よかったね。
「貴様!不敬罪では済まされんぞ!極刑だ!
その雇い主コットワッツ領主もな!!
コットワッツは全てスダウトアンリのものだ!!」
「・・・アンリ、黙れ。」
「え?」
その声、とても小さな声なのだが、
それにアンリは硬直した。
あとは、ブックナの指示で
私兵だろうな、その人たちに連れていかれる。
抵抗もなしで。
「セサミナ殿、どうかお許し願いたい。」
「わたしのほうは何も。
ただ、配下のものを管理できるのかと言われる筋合いはない。
それは、こちらが言いたいことだ。
スダウト家はコットワッツ領国を侮辱した、
その資産全て差し出せと言われても仕方がない。
それをしないのは、先程のことがあるからだ。
そして、ランサー殿を信頼しているからだ。
こちらに謝罪はいらない。
礼を言うべきは、
リーズナ殿、ニック殿、ランサー殿でしょう。
あとは、ランサー殿のご指示に従います。」
「まさしく。
リーズナ殿、ニック殿、ランサー殿に感謝を。
セサミナ殿にも感謝を。
ランサー殿。どうぞ、お許し願いたい。
あの者は私が責任をもって処罰いたしますので。」
「マルアル殿。やはり貴殿が当主に戻ったほうがよろしいのでは?」
「耳の痛いお言葉。なんとか回避したかったんですが。
タレンテ家の方々にお願いいたします。
当主ブラート殿に面談がしたいとお伝え願いたい。」
「確かにお受けいたしました。」
あの時の従者が答える。
「フェクトか?久しいな?では、よろしく頼む。」
両家の間でなにかあるのだろうか?
タフト領主もそんなことは言ってなかったけどな。
「では、3軍で協議することがあるでしょう?どうぞ。
各領国の皆さま、
各自協議があるというのならばどうぞ。
これで臨時会合は閉会いたします。」
皆が息を吐いた。
やっとだ、やっと終わったよ。
「マリー!!手は!!」
テール君が走ってやってくる。
セサミンと一緒だね。
「うふふふふ。ガイライ殿が説明した通りですよ?
騙されました?」
「だけど!!」
「テール様?もし、わたしが弾丸を手で受け止め、
血を流していたとしても冷静に。
領主たるもの心を動かしてはいけません。
ましてや、他領国領主の護衛。
優先順位をお間違えなく。」
「!」
「ええ。心配していただけたのは、このマリーの自慢ですね。
少しずつでいいので、学んでいきましょう。
カーチ殿、マーロ殿、クック殿たちが教えてくださいますよ。」
「・・・・わかった。」
「うふふふふふ。では、そんなテール様にこれをお見せしましょう。
クック殿もご一緒に。」
簡単なコイン移動のマジック。
「移動?」
あら?リアクションは薄いな。
石使いは移動できるものね。
「いいえ?種明かしです。」
種は簡単だ。
こちらのほが驚いている。
あとは練習あるのみ。
「練習してカーチ殿たちにお披露目しては?」
「わかった!」
「それと、今回使われていた、あの材木。
ボルタオネ産?」
「そうだ!マトグラーサから依頼があってな。
急遽用意した。」
「そうですか?カーチ殿?」
一歩引いていたカーチを呼ぶ。
「ええ、わかっておりますよ。
コットワッツに木材に関して詳しい方がいると聞きました。
戻り次第話を伺う予定です。セサミナ殿が手配していたただけるとか。」
イスナさんのことだ。
「ええ。そうですね。それはよかった。」
「ええ。」
「では、その時にそれ、お披露目できればいいですね。
こういうのうちのドーガーが得意なんですよ?
ドーガー?」
「もちろん。お見せしましょう!」
ギャー!!!
身体手品。
ほんとこれで食べていけるよね。
ただ、ドーガーはものすごくテール君に気味悪がられていた。
すまん。
13
あなたにおすすめの小説
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない!!
アキナヌカ
ファンタジー
ある時、ある場所、ある瞬間に、何故だか文字通りの草食系ヴァンパイアが誕生した。
思いつくのは草刈りとか、森林を枯らして開拓とか、それが実は俺の天職なのか!?
生まれてしまったものは仕方がない、俺が何をすればいいのかは分からない!
なってしまった草食系とはいえヴァンパイア人生、楽しくいろいろやってみようか!!
◇以前に別名で連載していた『草食系ヴァンパイアは何をしていいのかわからない!!』の再連載となります。この度、完結いたしました!!ありがとうございます!!評価・感想などまだまだおまちしています。ピクシブ、カクヨム、小説家になろうにも投稿しています◇
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる