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792:立場
しおりを挟む血のり袋は狙ったであろう人物の、
どこかが弾ける。
「近くに来たら砂漠に飛んでいくからね。
その弾道ならこの人にあたるかもっていうのを推測してください。
つまり弾道は、こういう放物線を描くと思われます。
しかる後に・・・・」
血のり袋相手に講義をしていた。
血が出ると同時にトンというあたった感覚もだすようにと。
これが難しいようだった。
仕方がなく、血のり袋にあたるならばそのまま弾を確保。
その勢いを99%吸収し、のこり1%を伝える。
数値を具体的に指示するのがよかったらしい。
それができたときは大絶賛祭りだった。
そして血だらけ。
私も一緒にだ。べっかんことはまた違う踊りで。
寝もしないで。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
愛しい人は演技ではなく、崩れ落ちる。
「あ・・・。」
そのまま目をつぶり私に寄り掛かる。
腕の中で、彼女のそのままの重みを感じた。
体温も高いな。
余程眠かったんだ。
油断していたな。
背中から血が流れる。
素晴らしい仕事ぶりだな!
しかし、ここに命中させたということか?
また違う銃?
これが1%の衝撃?
することはしないとな。
撃ったものに気を飛ばし、認識されたことを把握してもらう。
それに、土産を持たせ、
冷気を出し、
気を上げる。軽く?皆が気を失わない程度か?
あと豚の血と交換。
うまくできたな。
「!!」
セサミナは、流れ落ちる血と、
私の気に取り乱している。
「オーロラ!」
ルグの指示でオーロラが飛び出す。
「ガイライ!落ち着け!!」
ニックが、ガイライの鳩尾を打った。
?ああ、わざとか。
ニックは見抜いてるな。
愛しい人が寝ているのを。
(カップ?愛しい人は寝ただけだ)
(え?寝た?え?)
(落ち着け!ワイプには見たまま報告と心配無用と)
(あ!ああ!承知!)
(でないとうるさいからな!)
(あはははは!ええ!)
「マティス!!待て!!!」
ニックがガイライを抱えながら叫んだ。
「なにを待つんだ?
先にな、皆に言っておこうか?
私は緑の目だ。
対象は愛しい人。」
面布を外し緑目を見せた。
「愛しい人も緑の目を持った。
対象は私だ。
彼女の黒髪と緑の目はそれはそれは美しいものだ。
ああ、血だらけだ。先にきれいにしないとな。
緑目の対象を除外しようとした行為。
どういうことかよくよく考えることだな。
セサミナ様?先に帰っています。
ルグ?ドーガー?後は頼むぞ?」
「承知!ルグさん!!」
震えるセサミナを庇いながらドーガーが叫んだ。
その声で、
ルグはすぐに馬を走らせる。
それを見送り先に館に戻る。
剣のマティスは緑目で移動ができる。
これが新たな認識だ。
いや違うな。
緑目の夫婦だ!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「セサミナ様!
モウ様はご無事です。マティス様は冷静でしたから。
どうぞ、どうぞ、お心をお沈めください。」
「わかっている。ああ、もちろん、わかっている。」
セサミナ様が落ち着こうと、目を強く閉じている。
大丈夫だ、こちらへの指示もあったんだ。
先に乗り込んでいた2人が笑っている。
?
「すごかったですね!自分じゃなくてよかった!」
「練習したけど、無理だな!
モウ様、あ、モウ監督に怒られるな!」
「チミネー?やる気あんの?あぁん?って?」
「顎出しながら?似てる!!」
「「あははははははは!!」」
「お前たち?なにを言ってるんだ?」
「「え?」」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「ルグ、ダメだった逃げられた。」
オーロラが横に座り込んだ。
この速さに追いつくのか!
いやそんなことより!
「あれはお前を狙ったんだ!」
「え?俺だったの?」
「そうだ。最後に乗るのが新人だと思われていたんだ!
セサミナ様、傍付きの俺たち!
何かあったらそれこそ戦争だ!護衛2人にも何もできない!
だから新人を狙ったんだ!
あの位置!最初からわかってたんだ!!
この大型馬車が待機する場所も!
考えればわかるものを!何をやってたんだ!俺は!
いや、落ち着け!セサミナ様を守らなくては!」
「だったら、もっとゆっくり走らせろよ?
馬も困ってるぞ?
しかし、モウの言うとおりだな?
俺でなくてよかったよ。
あんなの無理だよ。
チミネーって言われるところだった。
さすが、カントク!お上手ですって言わないとな!
3人でやったら喜んでたから。
あはははははは!!!」
「?オーロラ?何を言ってるんだ?」
「へ?」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「すまんな。
これは、あれに腕を捧げてるんだよ。
誰に腕を捧げるかは本人の自由なんだが、なんともな。
あとで言い聞かせるからさ。
さ、話の続きだ。」
「ニック、殿!!
今!目の前でモウ様が撃たれたのですよ!
早く!撃ったものを捕まえなければ!
いえ、それよりも先に医家の手配を!!」
「それはこちらの方がいいでしょう。専属がいますから!
すぐに!」
「ええ。そうしてください。こちらは私兵を。
スダウト家であったとしても、それこそ極刑だ!」
「それはこちらも同じこと。
我がタレンテ家のものだとしても容赦しません。
モウ様!どうぞご無事で!!」
「おいおい。お前らいい加減にしろよ?」
「何を言ってるのです!モウ様が!」
「うん、あー。まず、落ち着け?
な?死んでないから。」
横の従者も落ち着けとなだめている。
この2人の顔に見覚えあるんだが、思い出せん。
「ニック?あ?ああ、すまない。」
ガイライが目をさました。
軽くだからな。
状況はわかっている。
ここに残っていたもの、
この2人と、その従者。
そして、両家の従者。
あとはそれぞれの密偵達か?
これらは本当に撃たれたと思い込む。
臣の腕を捧げたガイライが取り乱すので、
俺が気絶させたと思うだろう。
しかし、この2人が取り乱すとは。
この2人を納得させないと。
「血があれだけ出てたんですよ?
そのまま死んでしまうかも知れないのに!!
あのマティスも、あんな恐ろしい気を出していた!
気に疎いわたしでも寒さを感じました。
お互いが緑の眼で対象もお互い?
本当の話だったんだ!」
「あー、気に疎いのね。そうね。寒かったね。」
「軍会議は後程!連絡はすぐ致します。」
「わたしも行きます。」
「いいから、座れ!!」
「「ニック殿!!」」
ダメだ、この2人は。
ん?ガイライの機嫌が悪い?
モウちゃんに何かあったか?違うよな?
なんだ?拗ねてる?怯えてる?
いや、先にこの2人だ。
「まずな、モウを人前で様付で呼ぶな。
呼び捨てでいい。立場は対等なんだ。
俺がモウちゃんって呼ぶのは立場が関係ない時だけだ。
たのむから、軍隊長の自覚を持て。
撃ったのはあんた達の手か?
そうかもしれないって真っ先に口に出るんだ、
オヤジたちのことで揉めたな?
コットワッツが邪魔か?
護衛赤い塊モウを手に入れたい?その夫、マティスもか?
で、無理なら排除?
思惑があって当然。
が、それを口に出すなよ?
ほかは?他領国か、院か?
わかりませんでしたってなるなら、領国護衛のことだ捨て置け。
調べるんなら結果を出せ。もしくは極秘だ。
こっちも調べるが、出ないだろうな。
でたら出たで、極秘だな。
表向きに調べるなら、
王都で、会合の館前で銃を使ったのがいるってことだ。
飛距離の伸びた命中率の高い新型の銃でな。
今後王都内での銃の使用は禁止されるか?
ならんだろうな。
考えろ!
あれが我らが王だったら?
撃たれるわけがないって?そんなのわからんだろ?
王の護衛方法も考えないといけない。
王あっての軍だ。
それを頭に入れろ!心の中で何を崇拝してもいい。
立場を覚えろ!」
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