いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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820:可愛い子供

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「クロモなのか?」
「わからんな。最後の声は違う。
御者だろう?
それが袋の中を改めようとしたから戻ってきたんだな。
だれかが馬車に入れたか、やはりクロモか。」
「いつもわからんばっかりだな!」

オーロラが言う。

「そうだな。銃だけでも回収しようか?
今の最新の銃はあるか?旧式と従来のものと。」

ツイミがすぐに持ってきた。
その間にニックとガイライは、もう一度聞いているようだ。

「最新のは旧式の2倍。
弾は5倍ですよ。どうするんです?」

「確実にあるものは呼び寄せることができる。
そして身代わりを送ることもできる。
場所がわからなくてもな。
あのときワイプの身代わりを送っただろ?
呼寄せてすぐに身代わりを送る。
愛しい人が作った白磁は自身で身代わりを作ってもらったが、
白磁そのものは愛しい人が作ったものだからできたのだろう。
銃は無理だな。無理だと考える時点でな。
このどれかの重さが似ているものか。形が似ているもの。
変形まではいいだろう。
誰かが、それを手に取るとどうにかなるようにもできる。」
「そんなことができたら、あなた、何でもできるじゃないですか!」
「ん?すればだろ?愛しい人の眠気が無くなれば、
どんな銃なのかやはり興味が出るから先に回収するだけだ。」
「それはわかりますが、何でも呼寄せられる!」
「なんでもではない。知らないものはないのと同じだといったろ?
銃は愛しい人が欲しがるもので、必ず存在するものだからだ。
そして今、本来の持ち主の手元から離れている。
そうなると、誰のものでもないというわけだ。」
「・・・・・。あなたがモウが対象の緑目でよかった。」

ワイプが一人で納得している。
愛しい人のため以外で私が何かをするはずがないだろ?

「それで?どうする?」
「どうとは??」
「袋を開けたときに、粉々になるか、
誰かに見せたときに戻ってくるとか?」
 「できるんですね?」
「お願いするからな。」
「ちょっと待って!」
「はやくしろよ?おそらく御者の手元だ。それをクロモに相談するか、
捨てるか。本来の持ち主に戻すか。
そのまま見なかったことにするかだから。」

ワイプはツイミ、ニックとガイライとで相談し始めた。
ツイミがいればどうお願いすればいいかもわかるだろう。


「それ、俺もできるようになるの?」
「何とも言えんな。
悩めばそれだけでできないと思ってしまうかもしれないな。
目が覚めれば先に話を聞いたほうがいいな。」
「それで、できないと、俺は働けない?コットワッツで?」
「どうして?できなくても十分働ける。ドーガーより強いんだから。
それに、愛しい人はお前のことを可愛がってる。」
「なんで?」
「そうだな、なんでだろうな。」

愛しい人は子供が好きなんだ。
可愛い子供が。

そう答えれば、オーロラは拗ねるだろうから濁しておこうか。

気を使っているのか?
愛しい人以外に?



「マティスはそれで怒らないの?」
「ん?どうして?」
「その、えっと、モウに抱き付いたら怒っただろ?」
「それは怒るな。それはお前でも、セサミナでもだ。」
「え?領主だろ?弟だろ?ダメなの?」
「ダメだ。ルグもダメだと言ってなかったか?」
「言ってた!ドーガーも!!
ムキムキの話で、モウは背中と腹にあるからって。
見せてくれるって言ったんだけど、
ドーガーはマティスがダメだっていうから、
ダメだって。」
「愛しい人のムキムキを見るのか?
背と腹だったら別に構わないが?」
「え?いいんだ。
でも、ドーガーは、見ていいのは自分の嫁さんだけだって。
俺はムキムキの話をしてたんだ。
なのに、ドーガーの嫁さんたちのオッパイの話になってた。」
「?良くわからんが、ドーガーだからな。仕方がない。」
「そうか。ドーガーだからか。
それは、なんか、納得できるな。」
「ははは!彼は器用なんだ。身体手品は?見たか?」
「見た!あれな。
あのシクロストの廻りにいたコープルがあんな動きなんだ。
ちょっと、ちょっとだぞ?怖かったんだ。」
「その話な。人間の首のない動物か。
それで、急所の鍛錬をしたと?
それを聞くためには愛しい人以外は報酬がいるんだな?
私も聞きたい。なにがいい?」
「え?マティスも?」
「金と命のやり取り以外だが?」
「それ以外ならなんでも?」
「何でもではないけどな。できることでだ。」
「・・・・。」
「ゆっくり考えろ。食べ物でもいいし、鍛錬でもいい。
服でもいいぞ?愛しい人が来ている服は、
トックスか私が作ったものだし、
装飾も得意だな。ゆっくり考えろ。」
「計算だ!数!それを教えてほしい!」
「・・・・。」
「ダメなのか?」
「すまない。それは得意ではない。」
「え?剣のマティスなのに?」
「・・・・。」

少し、悔しいと思ってしまった。
この感情は久しぶりだ。

「先生?ソヤ、ああフランは?
計算室で張り切ってますよ?」

傍で話を聞いていたカップが言う。

「そうだな。それはソヤ、ああ、フランか。
彼に教えてもらえばいい。」
「そうなの?それ誰?」
「計算が早い。かなりの知識もあるぞ。」
「だったら、俺が報酬を払うのか?」
「いや、教えてくれと頼めば、いやでなければ教えてくれる。
ああ、報酬がどうのといったのは、
労働の対価は請求してもいいことを、
お前は分かっていなかったからだ。
その価値もな。
お前が求めるなら要求すればいいし、
いらないと思えば、求めなくていい。
それは相手にもだ。
教えてもらうのに報酬を要求されれば、
はらってでも教えてほしければ払えばいいし、
別の方法を探してもいいんだから。」
「そうなんだ。うん。
コープルの話は別に報酬はいらないかな。
ルグといっしょに机とイスは作ることになってるけど。」
「それこそ、報酬としてでなくてもルグは作ってくれるぞ?」
「そうか。ドーガーには型を教えてもらうんだ。
それは教えてもらおうかな。じゃ、やっぱり報酬はもらおう。
そのフランって奴を紹介してくれる?それで。
教えてくれるかどうか、それは交渉するよ。」
「型ってこれ?」

カップも教わっているからできるのか。
兄弟子だったな、ドーガーは。

「あ!それ!けど、もうちょっと、なんかかっこよかった。
ドーガーのは。ドーガーなのに。」
「進化したんだ!」

オーロラは話が好きなようだ。
カップは誰とでも仲良くなれるというか、
警戒を持たれない。
みなに可愛がられているとセサミナが言っていたが、
そうではないな。
ワイプ、ツイミと同じだ。
警戒を持たれないように意識している。
自然なのはドーガーだけだな。
だから子供に、大人なのにと逆に警戒されるのか?

あははははは!

「マティス?」
「先生?」
「いや、ドーガーはドーガーだからな。」

なにか、特別に甘味を作ってやろう。
ん?
ドーガーにか?
どうして?笑かしてくれたからか?
ああ、これは愛しい人と同じだな。
なるほど、なにかしてやりたくなる。
気に入ったもの限定だが。
それは愛しい人が喜ぶからだ。


「マティス!」
「ん?どうするか決まったか?」
「何もしなくていい。」
「身代わりは?」
「それもいらない。」
「なくなったと、すぐに大騒ぎになるぞ?」
「かまわん。それは誰かが、盗んだってことだろ?
あの女が袋に入れて、それを誰かが持ち出した。
それがクロモかそうでないか。
持ち出したものがクロモの手に渡るようにしたか?
袋か何かを開けようとして、
見つかりそうになったから戻ったんだろ?
で、今誰かの手元にある。
持ち主ではないとして、
誰もいなくなったら呼び寄せるんだな?
それだけでいい。
が、それができると?」
「なら、簡単だ。」

『愛しい人を狙い撃った銃と銃弾の残り
誰にも気づかれずここにおいで』


「それで来るんですか?」

ニックもワイプも疑っているのか?

「来るだろ?誰にも気づかれない状況になったら来るさ。」

少しの間もなく、すぐに、ここと指さした
テーブルにやってきた。
銃本体と、弾丸が3つ。


「「来た!すごい!」」

オーロラとカップの2人だけ喜んでいる。
あとは、ただ眼を瞠っただけだ。

「形が違う?重さは?同じぐらい?
在来のものと同じか?」

かなり手が込んでいるようだが、これは試作品か?
これを量産するにはかなり手と時間がかかると思うのだが?
弾はモモの殻に入れたものより長いな。
匂いは?
ないか。

「・・・・ほんとにできるんだな。
それはモウちゃんもか?」
「愛しい人ができるから、私もできるんだ。
どうした?」



できないとでも思っていたのか?
できないことをできるとは言わないぞ?


「・・・・マティス。」
「ん?」


ニックが震えて、
自分自身を抱きしめていた。


「マティスよ、マティス。
頼むから、俺より強くなってくれ。
俺を力で押さえれるほどに強くなってくれ!
頼むから!!」




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