いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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861:幼子

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「どうする?モウの言う通りにするか?」
「テルマ様がルポイドに帰ればいい!!」
「それはできない。2日ほど帰らない。」
「荷物をもってきてください!」
「それはかまわない。が、後は何もしないぞ?
食うものもしらないし、寝床もしらない。
お前たちが勝手に準備すればいい。」
「山に入らない?」
「山に入るんだろ?マティス達はそのつもりのようだ。
ついてくるのか?
だったら、山に入ってもわしは何もしない。
山は、そうだな、ピクトの山はクマと蛇がいる。」

「「・・・・。」」

「お前たちが、管理者としてわしの傍にいることは、
そう、仕事だ。
しかし、いま、わしは元老院の仕事はしていない。
だったら、お前たちもしなくていい。
傍にいないとお前たちの体を維持できないのなら
傍にいればいい。
仕事をせず、傍にいるだけなら、モウの言う通り、
食うもの、寝床は用意するし、命を守りもしよう。
さ、どうする?」

「「・・・・仕事はしない。傍にいる、だけ。」」
「わかった。」
「「死なない?」」
「わしが守るんだ。死なない。」
「「違う!テルマは死なない?」」
「・・・・死なない。逆に元気になる。
お前たちもな。」
「「うん!!」」


幼くなっている。
国を離れたからか。

父、デンラはなんてものを作ったんだ。

ん?
やはり、シェジェだ!

「できるだけ下ってろ!」
「「うん!」」

シェジェが来る前にモウが叫ぶ。

ルンバ!
ヒギ!
ブンシンノジュツ!

え?


なにかが、モウの廻りでうごめいている!
喰われる!

「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」


ギィン!
シェジェか!!

「生きていたのか!」
「当然!!」


シェジェ、ピクトの王位継承18位の男。
最後はこいつが王位に付くと思っていた。

もう一度、上段からふり降ろす。
横からの大剣は避ければ次手が遅い!!


グギィン!!


『やめなはれ!!』


な!


お互いに距離を取るが、そこにモウがいる。
両手をあげて威嚇しているのか?
圧が重い。

え?


『此度のこと!
伏してお詫び申し上げます!!
申し訳ございません!!!』


地面に張り付いている。
え?


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「止めてくる。」
「いや、自分で!後お願い!」

飛び降りドゲザ式で謝っている。
仕方がないな。

「オーロラ?大丈夫か?」
「う、うん。」
「下りて、飯にしよう。そのあとに甘いものを食べよう。」
「チョコ?」
「そうだな。それの飲み物だ。」
「ルグと飲んだ奴?さきに飲みたい!」
「そうか?」



愛しい人は何がしたかったんだろうか?
ガイライと練習していたものだよな?
ガイライと2人で鍛錬するのはいいが、
ガイライも結局は愛しい人に流されている。

オーロラは油断したというより、恐怖で固まってしまった。

ルンバはそのまま、突進。
ルンバの気配に気づいていたテルマもだ。

この小さいものが管理者か?
とにかく、下りて甘いものを用意しよう。


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「いやいや!
ほら、石使いって移動ができるでしょ?
それの応用ね。わたしは異国のものだから、
結構石の消費は少なくていいのよ。
で、さっきのはちょっと頑張りました的な?」
「いや、それに、お二人がお知り合いとは!
世間って狭いよねー。」
「そうそう!
テルマのお話は終わったの?
ルンバは爪靴?もってきてくれたの?
ちょっと高いよね?テルマ?ルンバにバシッと言っちゃって?
悪徳すぎんって?」
「それでさー、
わたし、そろそろお暇しないといけないのよ?
あとは、マティスから説明あると思うから!」
「じゃ!そういうことで!!」
「マティス?オーロラ?行ってくるね?
その2人はいま寝てるから!
起してあげてね。
なにか食べるものをあげるときはテルマの許可をもらってね?
体に悪い場合もあるから!」

「愛しい人!ネリー殿への手土産だ。箱弁当もある。
親方たちの分もだ。
パルパー殿にもらったものはいってるから。」
「やった!ありがとう!
じゃ、行ってきます!!」

何も言わない2人に対して、早口でまくしたて、
コットワッツに戻っていった。

・・・逃げるが勝ちということか。

─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「「マティス?」」
「少し早いが飯にしよう。それらも起してくれ。ああ、テルマがな。」

オーロラのこともある。
起すのはテルマがするべきだろう。

「寝ている?
だったら、そのままでいい。」
「それはダメだ。飯時に起さないのは。」
「どうして?」
「飯を食う回数が減るだろ?」
「?」

『起してまだ寝るというのならかまわないが、
一度起してくれ』

これは愛しい人との約束だ。
寝かすのはかまわない。
が、飯時には必ず起こす。

「何を食うんだ?」
「しらない。」
「起したら聞こうか。
ルンバ!お前は?なにがいい?
そうだ、土蜜の菓子がある。食べてみるか?
後でいいんだが、行商をしたい。
剣の相手もお願いしたい。」
「マティス!!乳があったまった!!」
「お!火からおろせ!少しとって、これを溶かすんだ。
練るようにな。
で、乳酪と塩をいれる。そのあと、また乳で薄める。できるか?」
「わかった!!」
「火傷するなよ?それ、ちょっとだけなら舐めてもいいぞ?匙を使えよ!」
「うん!」

ダメだといっても舐めてしまうだろうから、
さきにちょっとだけといえばいい。
愛しい人の母君がやったやり方らしい。

うまいやり方だよね、と愛しい人は笑い、
匙に少しだけの料理を、
いつも本当にうれしそうに食べている。

「「・・・・マティス。」」
「なんだ?」

「「・・・・なんでもない。」」





─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

モウが呼ぶ。
廻りのものはなんだ!

連れてきたものか!

違う!!
テルマ!!

ルポイド元首。
いまは息子に代替わりしたんだったな。

ルポイド、いや、それこそ大陸一と言われた。
あこがれようがないほどの力量。



剣を交えたテルマは昔のままだ。
いや、少し疲れているか?

モウはひとしきり話した後どこかに行ってしまった。
あれはモウがしたことなのか?

移動ができるというのは本当なんだな。
手土産というがなにももっていなかったぞ?



振り返れば、
大きな覆いの中にテーブルと椅子が並んでいた。

その横に布の塊。
マティスが起せという。

マティスは、あいかわらずマティスだった。

寝ているのならこのままの方がいいのでは?
テルマも渋るが、ダメだという。
抗いがたい。

土蜜の菓子?
それはいいな!


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


起さねばいけないのか?
そうだな、わしが守るんだな。

「起きろ!おい!起きろ!」

布にくるまり幼子のように寝ている。
また少し小さくなった。

ーテル、マ!
ーテル、マ!

こちらに飛びついてきた。
裸だ。
そして、かろうじて聞こえる小さな声。

着ている服が合わない。
ん?
それに気付いてまた布の塊に潜り込んだ。
ほおずりしている。
気に入ったのか?

そのまま抱き上げようか。

「いまから飯を食うらしい。
お前たちはなにを食うんだ?」

ーしらない
ーしらない


そもそも飯は食うのか?
デンラの資料にあったのか?
読んでおけばよかった。
いや、見るべきものではない!!

「マティス!なにか、適当に出してくれ。」
「わからないのか?アレルが出たら困るんだが。」
「アレル?なんだ?」
「詳しくは知らないが、人によって食うもので、
息ができなくなったり、発疹がでるそうだ。」
「・・・・なにか、そういうのあるか?」

ーしらない
ーしらない


「そうだな。どうするか?」

ーいい匂い!これ!
ーいい匂い!これ!

「マティス?それは?いい匂いだそうだ。」
「ココアだな。熱いのと冷たいの。どっちだ?」

「どっちだ?」

ーわからない
ーわからない

「両方だ。」
「そうか。飯前だが、アイスも少し出そうか。

椅子がいるな。服も。

小さいな。
子供用?ないな。つくろうか?」
「・・・・。この布で作ってくれるか?」
「?それで?新しい布で作るぞ?」

「服を作ってくれるそうだ。
この布がいいか?別のがいいか?」

ーこれがいい
ーこれがいい



「これが気に入ったようだから、これで。」
「そうか。が、それは後だな。
これを飲んでてくれ。その間に飯の用意をするから。
オーロラ?できたか?」
「できた!見て!!」
「お!いいな。酒を入れるとまたいいんだ。
オーロラはルグがいいと言ったらな。
お前たちには少しだけ入れてやろう。
それらもまだ早いな。
さ、皆座れ。」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

冷たいチョコの飲み物の上にアイスが乗っていた!
赤い丸いものが乗っかってる!!

黙って食べた。
しゃべることができないくらいうまいからだ。


しかし、警戒はしないと。

俺の横にシェジェがすわり、
その前に爺がすわった。
膝の上に布にくるまったもの、2つ。

管理者なのか?
カイコじゃないのか?
だったら、なにも言ってはいけない。
























ーカイコのことは言うな、触れるな
ー気付いても黙っておくことが何よりも大事だ












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