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僕の運命のαは兄さん
しおりを挟むこの世界は、
α(アルファ) < 優良種 >
β(ベータ) < 通常種 >
Ω(オメガ) < 劣化種 >
この3種で成り立っている。
世間の認識で言えば、
αは、頭脳明晰・スポーツ万能。α男性のみΩ男性を妊娠させる事が可能。
βは、どう足掻いても普通。
Ωは、普通のβより体力・知力が劣る。男性でも妊娠可能(α男性との性行為に限る)。
こんなものだ。
後は、αとΩにのみ、『運命』と呼ばれる特殊な絆が生まれることがある。
誰にでも起きる現象ではなく、
個人と個人の相性が全て合致している場合にのみ起きる『一目惚れ』みたいなものだ。
世界人口77億人の中の、さらにβを抜いた25億人のαΩで
たった一人の相手を見つける事など奇跡であり
だからこそ運命という呼び方をされる。
運命に出会ってしまうと他の人間には興味が出なくなるという事は
これまた一般常識になっている。
そして僕は奇跡のような出会いをして、運命に出会った。
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僕は、母親はβ。父親もβ。
両親がβの間に生まれたΩだった。
通常、αとΩの両親からしかΩは生まれないので
変わった家族としてご近所でも有名だった。
お医者さんが言うには、100%ありえない事では無いので事例はありますよ
との事だった。
両親はそれぞれ会社の経営をしていて多忙だった。
僕はΩという事もあったのか子供の頃から身体が弱かった。
家政婦さんが家の事をしてくれたので、熱が出れば病院へ連れて行ってもらえるし
育児放棄などではなかったので有難かった。
自分という意識が出来たのは3歳くらいだったと思う。
ある日、よたよたと家の中を歩いて遊んでいたら
知らない男の子が部屋の中に居た。
危ないから行っては駄目だと言われていた3階の部屋を探検していた時だった。
「だぁれ?」
背中を向けていた男の子に向かって声をかけた。
なんだかドキドキして嬉しかった。
振り返った男の子は、とても整った顔立ちで両親に似ていなかったので
知らない人が家の中に居るなぁと思いながらも
自分を見てくれた男の子に、早く抱きしめて欲しいと心がざわついた。
「君こそ、誰だい?」
傍に近寄ってきて僕の目線まで腰を落としてくれた男の子は
僕の頭を撫でながら聞き返してきた。
「ぼく、ゆきお(雪緒)、これ!」
3歳と言えなかったので指を3本立ててみせる。
いつもだと指を立てて見せても、皆は僕が何を言いたいのか分からずに曖昧に笑うが
この男の子はどうだろうかと見つめる。
「そっか。雪緒、3歳なんだね。
俺は君のお兄ちゃんで、10歳だよ。」
指を全部立てて10歳だと教えてくれた。
「おにーちゃん?ぼくの?」
「そうだよ?今まで会えなかったから、初めましてだね」
クスクスとお互い恥ずかしがって笑った。
「おにーちゃん、ぎゅー!」
両手をいっぱいに伸ばして兄に抱き着く。
優しく抱きしめ返してくれた兄に、心がいっぱいになった。
これが、僕が運命に出会った日だった。
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初めて兄に出会い、泣きそうなくらいに嬉しくなった僕は
そのまま熱を出して何日か寝込んでしまった。
兄は、両親や家政婦さんと出くわさないタイミングで僕に会いに来てくれた。
なんとなく、両親は兄を隠しておきたい事情でもあるんだろうなと思ったので
不安になった僕は兄の事を誰にも言わない事にした。
僕は、学校の授業や身体の成長と共に 兄に特別な感情を持つようになっていった。
そして気付いた。
兄は運命の相手であると。
兄に、αβΩのどれかと聞いた時、αであると言っていた。
もう間違いない。僕は奇跡と言われる運命の相手と巡り合えたのだ!
でも、まだだ。
まだ僕の身体は大人になっていない。
兄ともっと深く触れ合いたい。
学校の授業で性の勉強をしてから僕は早く大人になりたいと願った。
そして僕が高校3年の秋。
身体が弱かった僕は、やっと精通を迎えた。
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「兄さん!兄さん!兄さんっ!!」
身体の調子がおかしくて家に着いてすぐトイレに入ったが、
暫くして慌てて3階の兄さんの部屋に入る。
「こら!雪緒!ノックくらいしろ。」
酷く慌てて部屋に入って来たのが可笑しかったのか笑いながら注意されて
お帰りと言われた。
「ごめんなさい。兄さん。ただいま!
あ。でもね。それよりも!兄さん、僕、大人になったよ!」
7歳年上の兄は、現在は父の会社で働いているが
基本的には家で事務職のような事をしているので
今日もパソコンに向かって色々と作業しているようだった。
兄は僕の言葉に首を傾げていたが、
「あ、んん…もしかして、精通したのかい?」
ずばり言い当てたのだった。
「そうなんだ!!ねえ、兄さん。僕大人に、やっと、うっ、やっとだよ…」
兄さんも両親も、僕の遅すぎる精通に対して病院に行くべきか悩んでいた。
高校を卒業するまでは様子見しようかと言われ、
僕も不安ながら頷いたのだった。
通常であれば中学に入った頃には、男性なら精通・女性なら初潮を迎え
Ωの妊娠が可能になる合図にもなっているため、薬の処方などして貰えるようになる。
僕は身体が弱い事もあり、特別遅いのではと言われていた。
でも、これでやっと想いを伝えられる
「ねえ、兄さん。兄さんは運命の相手って出会った瞬間に分かると思う?」
「…どう、かな。雪緒は分かると思う?」
「思う。思ってる。ずっと想ってた。」
「…」
「兄さんは気付かない?僕は出会ってから、段々と分かっていったよ」
「…雪緒」
「僕の運命の相手は兄さんだ!ずっと言いたかった…やっと言えたぁ…うぅ」
感極まって涙があふれた
兄さんは僕の涙を優しく拭うと、強く抱きしめてくれた
「…うん。分かる。知ってた。
でも、雪緒が精通して…もし別の人を運命だと思っていたら…
何も言わずにおこうと決めてた。」
「兄さん…」
「雪緒、俺たちは兄弟だ。
いくら運命だからって、世間では許されない関係になってしまう。」
「僕はっ、兄さんが居てくれたらそれでいい!
お父さんもお母さんも、今持ってる物ぜんぶ無くなってもいい!」
「うん…うんっ!雪緒、愛してる…」
きつくきつく抱きしめあう。
幸せだ。いまこの時になら、兄さんと一緒なら死んでもいい…
僕の目じりにキスをすると
兄さんは額を合わせて嬉しそうに笑った。
「雪緒、雪緒の全部、俺にちょうだい」
「いいよ。じゃあ僕は兄さんの全部、もらうね」
兄さんは僕の手を取ると、兄さんの部屋にあるベッドに向かった。
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次の日。
兄さんと愛し合って、同じベッドでお互い裸のまま目が覚めた。
「おはよ…兄さん」
「おはよう雪緒、ちゅ…」
朝の挨拶をしてそのまま額にキスを貰う。
ほわほわとした気持ちで顔が緩む。
僕はひとつ深呼吸すると、ずっと考えていた事を兄さんに伝える
「父さんと母さんには僕たちの事を話したいんだ」
「…関係を反対されたら?」
「そしたらさ、遠くに行こうよ。二人だけで居られる街に行こう。
僕、貯金けっこう貯めてたからね」
「用意がいいな」
「ずっと、もしもって可能性ばっかり考えてたし。
もし僕の精通より前に兄さんが僕以外と結婚をしたら…とか、
もし兄さんが海外に住む事になったら…とか、色々とさ」
「ふふっ。もしも雪緒じゃない人と結婚になってたらどうしてた?」
「兄さんを攫って、安全な家を借りて僕が先に兄さんと結婚する!」
「熱烈だな」
「兄さんは僕のだし、僕は兄さんのだし」
「そうだな。じゃあ起きて、父さん母さんに話に行こうか。
朝なら2人とも居るから」
「うん!」
僕は怠い身体を起こして部屋にあるシャワーを借りて、自分の部屋に戻り着替えた。
身体が弱いと思っていたけど、兄さんとの行為をしても怠いと感じるくらいなので
高校に入ってから始めた水泳で大分体力がついて健康的になったのかもしれない。
昨日の事を思い出しながら、1階にある食卓に向かった。
2人が食事を終わらせて珈琲を飲んでいる所で兄さんが降りて来たので
聞いて欲しい話があるんだけど、と2人に向き直した
「お父さん、お母さん。僕、運命を見つけたんだ。」
2人とも、突然の事に頭が追い付かないようでポカンとした表情をしていた
「あのね、僕の運命は…兄さんだったんだ!」
「父さん、母さん。俺はもう雪緒じゃないと駄目なんです!」
兄さんも続いて2人に話しかけた
「会社の事もあるし、2人には迷惑かけると思う。
血の繋がった兄弟でもあるし、世間でも許されない話だ。
でも、2人にだけは認めて貰いたいんだ」
「お願い!僕、兄さん以外は要らないから!」
2人がハッと表情を戻し、僕を見つめる。
「雪緒、それは、それは……」
「雪緒、いいかい?お父さんとお母さんの話をちゃんと聞いて…」
咄嗟に、2人が言いたい事が分かってしまった。
兄弟で許されない事だ、と。
お父さんもお母さんも許さない、と。
何を言っても理解してもらえないと。
僕は立ち上がり、階段を上って自分の部屋に行くと
何かあった時の為に通帳から降ろしておいた現金と何日か分の服などを詰めたリュックを持って
呆然と立ち尽くす兄さんの手を取り
そのまま駆け下りて家を出た。
後ろから、父と母の声が聞こえたが振り向かず
兄の手の温もりだけに集中して走った。
兄さんは何も言わなかった。
ただ黙って着いて来てくれた。
それだけで、とても安心できた。
大通りでタクシーを拾い、3駅先で降ろしてもらい
そのまま切符を買って北に向かう特急に乗り込んだ。
もし両親が追いかけてきたとしても
これから冬になるのに、北に向かう事はないだろうと思うはずだと思ったからだ。
兄さんはずっと無言だった。
チラと兄さんの顔を見ると、困ったような笑顔で
「俺は手ぶらで来ちゃったよ」
と、笑った。
「大丈夫!僕が兄さんを養ってあげるから!」
「ふふっ。父さんと母さんから貰ったお小遣い貯金で?」
イタズラっぽく笑う兄さんに、僕も笑ってしまった。
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住み慣れた街を離れ、特急電車で3時間ほどかかる県まで来た。
駅から少し離れた所にあるネットカフェを仮住まいにする事にした。
最初は家を借りたくて、不動産屋に行ってみたけど
僕は未成年だし、兄さんは手ぶらだったので身分証明が出来ず借りる事が出来なかったからだ。
「不自由かけてゴメンな」
「兄さんは悪くない!…それに2人用の広さの個室だからそれほど窮屈じゃないし
ずっとくっついていられて嬉しいというか…」
「人の目があるから、雪緒の中を味わえないのが残念だ」
耳元で言う兄さんに、もう!と笑って軽く胸を叩く
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そんな逃走劇も、2ヶ月すると終わりを告げた。
警察署まで連れて行かれた時は、何がなんだかという混乱があったが
両親が必死に探してくれていたので僕たちは見つかってしまったという話だった。
両親は泣きながら僕を抱きしめて、静かな所で暮らそうと言ってくれた。
きっと、たった2ヶ月の茶番に見える逃走劇でも
僕たちの本気を見て貰えたのかもしれない。
僕は嬉しくなって、ありがとう!と両親を力いっぱい抱きしめた。
静かな環境で兄さんと2人で愛し合えると思うと、今度は早く帰りたくて仕方なかった。
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東京に戻り家に着くと、父さんが僕が行く場所まで車を出すから
先に食事をしていなさいと言い、お母さんは料理を出してくれた。
母の手は少し震えていたが、
きっとまだお父さんほど僕たちの関係を割り切れていないのかなと思う。
兄さんは、食事の前にシャワーを浴びると言って部屋に戻った。
食事は僕だけで食べた。
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ボソボソと話声が聞こえる…
僕はいつの間にか寝てしまったようだった。
「それでは、先生。息子を宜しくお願いします。」
「責任をもって…」
その後も何か話しているみたいだったけど
僕はボンヤリした頭で考えがまとまらなかった。
シャッとカーテンが開いたと思ったら、白衣を着た50代くらいの男性が話しかけて来た。
「目が覚めていたんだね。おはよう、雪緒くん」
「?…お、はよう、ございます…?」
「君は少し心の病が悪くなっていたので、しばらくこの病院で安静にする事になりました」
「ぇ…?」
「食事は定時に3食。シャワーは部屋に備え付けがあるので、いつでも使ってね」
「………」
「自由に散歩は出来ない決まりだけど、体を鍛えたいとか運動不足解消のジムはあるから
使いたい時は声を掛けてね」
僕はゆっくりと顔を両手で覆った。
両親は、静かな場所に連れて行ってくれるはずだった。
でもここは、避暑地のような場所ではなく
精神的に不安定になったり病気になった人の為の病院…
僕は…兄さんを愛した僕は、心の病気扱いになっていた。
医者が他にも何か言っていたが、僕の耳には届かなかった。
いつの間にか部屋には誰も居なかった。
僕1人だけ。
あれから、兄さんはどうしたんだろう。
母が食事を持ってきた時に震えていたのは、
薬を盛って僕を眠らせる罪悪感の為だったんだ。
兄さん。食事、食べないまま逃げられていたらいいけど…
きっと兄さんもどこかに連れて行かれたのではないかと思う。
僕はベッドから起き上がって唯一のドアを見た。
厳重な鍵付き。
ふと上を見ると窓があった。
細かい格子付き。
逃げる為の道具も無さそうな殺風景な部屋。
「兄さん…兄さん兄さん兄さん、兄さん会いたい会いたいよおぉ…」
このままでは本当におかしくなりそうだ。
ボタボタと涙が止まらない。
そのうち、部屋の鍵が開く音がして顔を上げると
夕食が運ばれて来たようだった。
運んできた人と料理に興味は無かったが、今なら開きっぱなしのドアから出られるかも
そう思って走り出そうとしたら首元がチリリと痛んで眩暈がした。
立っていられずそのまま床に腰を落とした。
「首のチョーカー、それ逃走防止用に微弱な電流と麻酔が流れるようになってるから。
気を付けた方が良いよ」
食事係りの人が何か言ってる。
「それよりもさ。あんた、何か感じないか?」
スルリと頬を撫でられる。
「キモチワルイ。触らないで。消えろどっか行け!!」
腕を振って相手を威嚇していたら、いつの間にか食事係りは居なくなってた。
「にいさんにいさん…」
食欲も無かったので食事には手をつけず、そのままベッドに入って目を閉じた。
次の日から、
食事係りは無言で食事を用意すると
離れた場所にある椅子に座って待つようになった。
そもそも片付けもあるし、食べない患者には体調を見て無理にでも食べさせるように
言われているのかもしれない。
食事に手を付ける気分では無かったが、大事にされると面倒だと思ったので
仕方なくモソモソと出された分は食べきるようにした。
食事係りには、いつも監視されているようで居心地は最悪だった。
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ここに入れられてから、1ヶ月経った。
最近不思議な事が起きるようになった。
夕食を食べるとすぐに眠くなるのだ。
もともと毎日の眠りが浅くなっていた事もあったし
きっと身体が疲労を訴えているんだろうと思った。
そしてさらに1ヶ月が経った。
奇跡が起きた。
何がどうして?という考えでいっぱいになるくらい不思議で嬉しい事に、
兄さんがこの施設に入る事になったみたいだった。
みたい、というか 兄さんがひょっこり部屋に遊びに来たのだ。
昼食を持って来た係りの人の後ろから、一緒に入って来た。
係りの人も黙認しているのか何も言わない。
「に、にぃ、兄さん!?本物!!」
「待たせてゴメンな。ずっと1人にさせて悪かった。」
「にぃ、にいあうわ、あああああああぅうぅぅぅ」
僕はべちゃべちゃに顔を汚して泣きじゃくった。
兄さんは強く抱きしめてくれて、汚い顔になってるぞーと顔を拭いてくれた。
「雪緒が大人しく生活できていたから、俺も雪緒の部屋に入る事が許可されたんだ」
「そうなんだ…よかった嬉しい!兄さんは今までどこに?」
「それがさ、ここに居たんだよ。」
「へ?」
「この施設で、雪緒と同じ扱い受けてたよ」
灯台下暗しというか…こんな事ならもっと色々部屋の外を調べるんだった!!
「ううううううー!!!!」
ベッタリくっつくと兄さんは笑って、
夕飯が終わった後で、こっそり忍び込むからと頭を撫でると
ご飯はちゃんと食べなさいと言って出て行った。
ドアを見ながらニヘヘと笑う僕を
食事係りが変な物を見るみたいな目で見ていた。
夕飯が終わり、またいつの間にか寝ていた僕は
ふと兄さんの香りを感じて目が覚めた。
「兄さん!」
「おはようお寝坊さん」
「ずっと見てた?来たらすぐに起こしてよ恥ずかしいなーもう!」
「大丈夫。今来た所だから。」
「デートの待ち合わせの台詞みたいだ」
「久々だから、したいよ。雪緒…」
「に、さん。うん。良いよ…」
「ん…っ、ちゅ、ちゅっ」
「は、あぁ、兄さん、胸ばっかりくすぐったい」
「じゃあ、くすぐったく無い所にしようか…ん、」
「ひゃ、にいさ、あ、あぁ、だめ、おちんちん舐めるのぉ、」
「きもひいい?」
「うんっ、うん、気持ち良いよ、ぉあ、ああっ!」
兄さんの口の中で達してしまった。
はふはふと息が上がる僕に、久々ですぐ出ちゃったのかな?って兄さんが笑う
「も、ばか!」
恥ずかしくて横を向くと今度は後孔に指が入る。
兄さんとの行為は久々だからキツくなってると思ったけど
スルッと入ってすぐに3本目も入る。
久々の兄さんとの行為に興奮して柔らかくなっているのかもしれない。
クチュックチュと指の抽挿する粘りつく音が響く
「にぃさぁん…」
指だけで2回ほど達してしまったので、体がクテンとして力が入らない
「分かったよ」
後孔にミチリと熱いものをあてがい少しずつ中に押し入ってくる
「ふ、ぐ、ぁぁあああっ、う」
3分の1ほどまで中に入った所で、一気に全部中に入れられる。
「ごめん、雪緒、もう、我慢むりだ」
「あぐぅ、あ、あっあ、あつい、ひ、ああぁ」
パンッパンッと肌がぶつかる音と、
一度中で達しながらも止まらずに腰を動かす音と、
後孔からあふれ出す精液の粘着音が
狭い部屋に響く
グチュグチュグチュブチュッグチュッズチュッズチュッ
「ひ、もう、やめえ、ひってる、もうゃめ、はぁう、あっあっゃぁぁ」
容赦ない抽挿で意識が溶けかかる
達しても達しても追いかけて来る快楽に、いつの間にか意識が落ちてしまっていた
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施設で再会し、行為をするようになって 3ヶ月経った頃。
僕は突然の眩暈と吐き気に襲われ、医師の診断を仰ぐ事になった。
それからは周囲がとても慌ただしい事になった。
僕は妊娠していたようだ。
もちろん兄との行為で出来た子供だ。
僕はとても喜んだ。
愛する兄との愛の結晶が実を結んだからだ。
医師から妊娠を伝えられた日から、
食事係りが別の人になっていたが特に気にならなかった。
両親が面会に来て、何度も謝るので
気にしないで欲しい。でも子供の為にも此処を出たいとお願いした。
両親は、
愛おしそうにお腹を撫でる僕を見て
父親は…と言うので
もちろん兄さんしか居ないよ?と伝える。
母は泣き崩れるが、
父は、そうか…と言って僕の頭を撫で続けた。
両親は海が見える高台に綺麗な白塗りの家を建ててくれた。
これから子供はもっと増えると思うから…と、恥ずかしいが伝えると
そこそこ大きな広さの家にしてもらえた。
両親も一緒に住むと言うが、お互い気を使ってしまうと思ったので
1階の広間で通り抜け出来るような、隣接した家をそれぞれ建てる事になった。
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9ヶ月ほどが過ぎ
無事に出産し、可愛いαの男の子が生まれた。
生まれたばかりの時は、
小さなパーツが全部誰に似ているのか分からなかったけど
5歳に成長すると
兄さんにそっくりの可愛い男の子になっていた。
兄さんの子供の頃の写真などは1枚も無かったし、
両親に聞くと、
兄さんは居ないからと言うので
きっと小さな頃は僕と同じ病弱で、入退院をしていたので
家に居ない時間が多くて写真などを撮っていないんだろうなと思った。
子供は、小さな頃の兄さんはこんな感じだろうな~と分かる可愛さに成長している。
「ゆきおー!ほん、よんでぇ!」
「いいよ~。どれが良いか選んで持ってきてー」
やったーと笑う声と、走る小さな足音。
ちなみに僕は子供に、ママやお母さんとは呼ばせずに
雪緒と名前で呼ばせている。
そういえば、子供が2歳になる頃。
両親は、仕事に向かう途中の飛行機事故で帰らぬ人となった。
会社の方は優秀な部下が居るらしくてそのまま引き継いで経営すると連絡が来た。
弁護士さんが来て、
自分たちに何かあった時の為に遺書と財産を残すと
両親が言っていたと言われて、諸々手続きをして貰った。
僕はとっても幸せだ。
小さな時に、両親共働きでとても寂しくて誰か傍に居て欲しい時に兄さんに出会えた。
辛い時は、必ず兄さんが隣に居てくれた。
兄さんは、たくさんたくさん愛をくれる。
子供も成長するごとに、兄さんにとても似て来る。
本当、楽しみ。
早く大きくなってほしい。
僕はたくさん兄さんに会いたいよ。
もっと子供も欲しいな。
兄さんそっくりの子供。
兄さん。兄さん。兄さん。
僕の運命のαは、
兄さんだけだよ。
【ネタバレ(補足説明)】
<雪緒>
・裕福な家庭のβの両親を持つ美少年。
・子供の時に、イマジナリーフレンドの兄と出会う。
・他人には、兄の存在を無意識に隠そうとするが、兄の為というより現実を認識したくない自分の為。
・夢見がちな所があるが兄一筋なので、同性・異性ともに告白される事が多いが全てその場で断っている。
・兄を運命の相手だと認識したのは、10歳の頃。
・精神病棟に入れられてすぐに、食事係りに薬で眠らされて毎晩、一方的な身体の関係にあった。
妊娠の兆候が出る前に兄の姿を見るようになり、兄と何度も身体を重ねる(実際は自慰をしている状態)。
・子供が生まれてからは、子供が起きている時に兄が出てこない為、段々と顔を合わせる時間が減っていき、その分、子供に兄を重ねていくので子供に対する異常な愛が深まっていく。
<兄さん>
・雪緒のイマジナリーフレンド。
・雪緒が困った時や辛い時に必ず出て来て優しくする存在。
・雪緒の理想が全て詰まっているので、かなりの美青年。
・雪緒には両親の会社経営を手伝っていると思われていたが、あくまで兄は
雪緒の理想を全て詰め込んだ想像であり、実際は仕事をしていたように見えていただけ。
<子供>
・雪緒と病院施設の食事係りとの間に出来た子供で男性α。
・雪緒を産みの親と認識しているが、周囲にあまり人が居ないような環境で育った為
雪緒を名前で呼ぶことに違和感もなく成長する度に性的な接触をする雪緒に嫌悪感も無い。
・通信教育で高校まで出ている。
・止める人間が居ないので、雪緒と子供を作って(雪緒の両親の遺産で)幸せに暮らしている。
<施設の食事係り>
・実は雪緒の運命の相手でα。
・一目見て雪緒が運命の相手だと分かったが、雪緒に認識もされず拒否され打ちひしがれる。
・しばらくは雪緒を見守っていたが、耐えきれず薬を盛って寝ている雪緒に何度も中だししてしまう。
・行為が終わったらすぐに雪緒の体を綺麗にしているので本人にはバレていないと知っている。
・妊娠が発覚してすぐに雪緒に謝罪と結婚を申し込むつもりだったが、
兄の子供だと言い張る雪緒を見て、雪緒の両親がこのままでいさせてくれと言い、
その代わりに強姦を訴える事もしないから二度と目の前に現れないでくれと言われる。
施設をクビになったのを機に雪緒から離れる事を決める。
・雪緒が出産して数年後に、雪緒の両親が亡くなったと知り、会いに行く事を決めたが
セキュリティが強い家に近付くこともできず、ストーカーのような状態になる。
<両親>
・子供に不自由させたくない一心で、会社を興して頑張る苦労人。
・雪緒の次にも子供が欲しかったが、妻の身体が雪緒の出産を機に妊娠できない状態になり
雪緒は一人っ子になってしまった。
・子供をたくさん作って大家族になる夢を持っていたし、家族に窮屈な思いはさせたくなかったので
自宅は3階建てにして部屋毎に簡易のシャワールームを作っていた。
(トイレは各階に1つずつ)
・雪緒が兄と結婚すると言った時は、近所の年上の男性に唆されているのではと疑った。
(雪緒の兄さんの声も姿も雪緒にしか見聞き出来ないので、話し合いの場では雪緒が1人で両親と会話していた)
・泣く泣く施設に入れたが、施設内で妊娠させられたと知って激しく後悔する。
運命の相手だったからと白状してきたαに怒りが沸いたが、
雪緒が、妄想の兄との子供だと幸せそうにしていたので怒りを抑えてその場は収めた。
・雪緒の将来を心配して、諸々と準備をし安心していた所で事故により2人とも死亡。
<弁護士さん>
・雪緒の両親の友人。
・雪緒を自分の子供のように心配しているが、雪緒がする事に対して注意はせず
基本的に怪我や病気をしないか心配し見守っているだけ。
・雪緒を妊娠させた、元・施設の食事係りが周囲をうろつき始めたので
家の警備のレベルを跳ね上げた。
それでも侵入してきたら、秘密裏に処分しようと思っているので
雪緒の平穏を守るという目的の為なら、手段は問わない人。
1
この作品は感想を受け付けておりません。
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強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
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