16 / 24
16 何も気付かないままに
――父が先に話を整える前に、あちらの家で何か一つ、引っかかればいい。
その考えを胸の内に静かに置いたまま、セリーヌは机へ向かった。
窓の外では、玄関前の砂利を均す音がしている。馬車が出る前の、あの細かな支度の音だ。
御者が足場を確かめ、若い下男が踏み台を運び、誰かが革具を拭う。
晴れた日の昼前らしい乾いた気配が、そこだけ家の外から滲んでくる。
セリーヌは衣装箱の底から抜いた紙を、もう一度だけ広げた。
――四月半ば。
――ベッリーニ家の若君、庭より来訪。奥様ご承知とのこと。
この一枚そのものを外へ出す気はなかった。
帳面から抜いた紙がそのまま消えれば、いずれ誰かが気づくかもしれない。
気づかれないままでも構わないが、自分の手元からはまだ離したくなかった。これは、この家が何を見過ごしてきたかの、初めて触れた手触りだったからだ。
だから必要なのは、これをそのまま渡すことではない。
あちらの家へ、父が持っていく顔を一瞬でも曇らせるだけの、薄い刃のようなもの。
小机の引き出しから細い便箋を取り出し、ペン先を選ぶ。
普段の書状に使う柔らかな太さではなく、もっと硬く、記録用の乾いた線が出るもの。インク壺の蓋を開けると、金属の匂いがわずかに立った。
セリーヌは少しだけ呼吸を整え、書いた。
――四月半ば以降の庭側出入りをお確かめください。ヴァレール家庭番記録に、「ベッリーニ家の若君、庭より来訪。奥様ご承知とのこと」とあります。
それだけだった。
名乗りも、責めも、飾る言葉も入れない。親切な忠告の顔もいらない。
むしろ短いほうが、読む側の胸に残る。商家の会頭なら、こういう短さの嫌さをよく知っているはずだ。
書き終えてから、セリーヌはしばらくその紙を見ていた。
自分のいつもの字ではない。帳面を写す時の、少し角張った、乾いた字に寄せた。
女の私信にも、父の書状にも見えない手。誰が書いたかは分からなくても、ただの悪意の落書きでは済まないくらいの体裁だけ残した。
紙を細く折る。
父が使う銀の名刺入れは、昼前になると一階の小卓へ置かれる。出る直前、帽子と手袋と一緒に持たせるためだ。
革の書類挟みはラウルが預かるが、名刺入れだけは父が自分で持つ。訪問先で最初に差し出すものだから。
その習慣を、セリーヌは昔から知っていた。知っていて、今まで何にも使わなかっただけだ。
紙を袖の中へ滑らせ、部屋を出る。
二階の廊下は明るかった。昼が近いせいで、朝よりずっと影が薄い。
だからこそ、人は安心して物を置く。見えているのだから大丈夫だと思うのだ。
階段を下りると、一階の空気にはもう出発前の硬さが混じっていた。
玄関広間の扉は半ば開けられ、外の陽が石床へ斜めに差し込んでいる。その脇の小卓に、父の帽子、薄革の手袋、銀の名刺入れがきちんと並べられていた。
誰もそこを見ていない。
というより、見ていても、ただの家の支度としてしか見ていない。
父はまだ小書斎。母はたぶん居間か、その手前。ラウルは馬車のほうへ行っている。
下男は玄関の外。ほんの短い、けれど確かに空いた時間だった。
セリーヌは小卓の前へ寄った。
名刺入れは、小ぶりで平たい銀細工のものだ。蓋の縁に細い蔓草の模様が入っていて、父はこれを気に入っていた。
手に取ると、ひんやりしている。留め具を押せば、小さく乾いた音がして開いた。中には父の名刺が十枚ほど。
その一番上と二番目のあいだへ、細く折った紙を滑り込ませた。
見た目は変わらない。厚みもほとんど出ない。
だが、最初の一枚を抜けば、その次に指へ触れるはずだ。
父が自分で気づくにしても、訪問先で相手の前で気づくにしても、どちらでもよかった。
大事なのは、ベッリーニ家の敷居をまたぐ時、父が昨日までの顔ではいられなくなることだ。
蓋を閉じ、元の位置へ戻す。それだけ済ませて身を引いた時、奥の廊下から母の声がした。
「セリーヌ?」
振り向くと、母がこちらへ歩いてくるところだった。光の中では、その濃紺の昼のドレスが朝よりさらに落ち着いて見える。
けれど表情は落ち着いていなかった。整えてはいるが、疲れがもう薄く滲んでいる。
「こんなところで何を」
「外が明るいので、少し見ていただけです」
母の目が、小卓の上を一度だけなぞる。帽子、手袋、名刺入れ。
ほんの一瞬、何かを確かめるような目だったが、すぐに戻った。
「お父様はもう出るわ」
「そうでしょうね」
「あなたは部屋へ戻っていなさい」
昨日も今日も、母はそれを繰り返す。見えないところにいなさい、という意味だ。
波立てないために。都合の悪い顔を、外へ出さないために。
「分かりました」
そう答えると、母はわずかに息をついた。まだ従う。まだ返事をする。その確認の息だと、もう分かってしまう。
その時、小書斎の扉が開いて父が出てきた。
上着はきちんと整えられ、髪もいつも通りに撫でつけられている。
書状を失くした朝の苛立ちは、表向きにはもう見せない顔だった。
会頭として外へ出る時の顔。セリーヌはそれを見て、胸のどこかがひどく静かになった。
父は小卓へ寄り、帽子と手袋を取り、最後に名刺入れを上着の内ポケットへ滑らせた。
――何も気づかないままに。
その動作はあまりにもいつも通りで、かえって可笑しかった。
家というものは、こんなふうにいつもの手つきで、自分の足元のずれに触れずに済むと思い込んでいる。
「行ってくる」
父が母に告げる。母が頷く。
二人のあいだにあるのは、夫婦の情ではなく、今日の用向きを失敗なく運ぶ者同士の合図のように見えた。
玄関の外で御者が姿勢を正す。砂利を踏む音。馬具の軽い鳴り。
父は振り返らなかった。セリーヌのほうも、もう見ようとはしなかったのかもしれない。
ただその背中が玄関を出て、陽の中へまっすぐ歩いていくのを、セリーヌは黙って見ていた。
扉の外は、よく晴れていた。
その明るさの中で馬車が動き出し、車輪が乾きはじめた砂利をかすかに鳴らす。
やがて門のほうへ向かって遠ざかっていく。
名刺入れの中には、薄い紙が一枚。
それだけで、本当に何かが変わるのかは、まだ分からない。
けれど少なくとも、父はもう、何も知らない顔のままベッリーニ家の敷居をまたぐことはできない。
どの瞬間に気づくにせよ、その時には、向こうの家の空気もまた昨日までとは同じではなくなるはずだった。
その考えを胸の内に静かに置いたまま、セリーヌは机へ向かった。
窓の外では、玄関前の砂利を均す音がしている。馬車が出る前の、あの細かな支度の音だ。
御者が足場を確かめ、若い下男が踏み台を運び、誰かが革具を拭う。
晴れた日の昼前らしい乾いた気配が、そこだけ家の外から滲んでくる。
セリーヌは衣装箱の底から抜いた紙を、もう一度だけ広げた。
――四月半ば。
――ベッリーニ家の若君、庭より来訪。奥様ご承知とのこと。
この一枚そのものを外へ出す気はなかった。
帳面から抜いた紙がそのまま消えれば、いずれ誰かが気づくかもしれない。
気づかれないままでも構わないが、自分の手元からはまだ離したくなかった。これは、この家が何を見過ごしてきたかの、初めて触れた手触りだったからだ。
だから必要なのは、これをそのまま渡すことではない。
あちらの家へ、父が持っていく顔を一瞬でも曇らせるだけの、薄い刃のようなもの。
小机の引き出しから細い便箋を取り出し、ペン先を選ぶ。
普段の書状に使う柔らかな太さではなく、もっと硬く、記録用の乾いた線が出るもの。インク壺の蓋を開けると、金属の匂いがわずかに立った。
セリーヌは少しだけ呼吸を整え、書いた。
――四月半ば以降の庭側出入りをお確かめください。ヴァレール家庭番記録に、「ベッリーニ家の若君、庭より来訪。奥様ご承知とのこと」とあります。
それだけだった。
名乗りも、責めも、飾る言葉も入れない。親切な忠告の顔もいらない。
むしろ短いほうが、読む側の胸に残る。商家の会頭なら、こういう短さの嫌さをよく知っているはずだ。
書き終えてから、セリーヌはしばらくその紙を見ていた。
自分のいつもの字ではない。帳面を写す時の、少し角張った、乾いた字に寄せた。
女の私信にも、父の書状にも見えない手。誰が書いたかは分からなくても、ただの悪意の落書きでは済まないくらいの体裁だけ残した。
紙を細く折る。
父が使う銀の名刺入れは、昼前になると一階の小卓へ置かれる。出る直前、帽子と手袋と一緒に持たせるためだ。
革の書類挟みはラウルが預かるが、名刺入れだけは父が自分で持つ。訪問先で最初に差し出すものだから。
その習慣を、セリーヌは昔から知っていた。知っていて、今まで何にも使わなかっただけだ。
紙を袖の中へ滑らせ、部屋を出る。
二階の廊下は明るかった。昼が近いせいで、朝よりずっと影が薄い。
だからこそ、人は安心して物を置く。見えているのだから大丈夫だと思うのだ。
階段を下りると、一階の空気にはもう出発前の硬さが混じっていた。
玄関広間の扉は半ば開けられ、外の陽が石床へ斜めに差し込んでいる。その脇の小卓に、父の帽子、薄革の手袋、銀の名刺入れがきちんと並べられていた。
誰もそこを見ていない。
というより、見ていても、ただの家の支度としてしか見ていない。
父はまだ小書斎。母はたぶん居間か、その手前。ラウルは馬車のほうへ行っている。
下男は玄関の外。ほんの短い、けれど確かに空いた時間だった。
セリーヌは小卓の前へ寄った。
名刺入れは、小ぶりで平たい銀細工のものだ。蓋の縁に細い蔓草の模様が入っていて、父はこれを気に入っていた。
手に取ると、ひんやりしている。留め具を押せば、小さく乾いた音がして開いた。中には父の名刺が十枚ほど。
その一番上と二番目のあいだへ、細く折った紙を滑り込ませた。
見た目は変わらない。厚みもほとんど出ない。
だが、最初の一枚を抜けば、その次に指へ触れるはずだ。
父が自分で気づくにしても、訪問先で相手の前で気づくにしても、どちらでもよかった。
大事なのは、ベッリーニ家の敷居をまたぐ時、父が昨日までの顔ではいられなくなることだ。
蓋を閉じ、元の位置へ戻す。それだけ済ませて身を引いた時、奥の廊下から母の声がした。
「セリーヌ?」
振り向くと、母がこちらへ歩いてくるところだった。光の中では、その濃紺の昼のドレスが朝よりさらに落ち着いて見える。
けれど表情は落ち着いていなかった。整えてはいるが、疲れがもう薄く滲んでいる。
「こんなところで何を」
「外が明るいので、少し見ていただけです」
母の目が、小卓の上を一度だけなぞる。帽子、手袋、名刺入れ。
ほんの一瞬、何かを確かめるような目だったが、すぐに戻った。
「お父様はもう出るわ」
「そうでしょうね」
「あなたは部屋へ戻っていなさい」
昨日も今日も、母はそれを繰り返す。見えないところにいなさい、という意味だ。
波立てないために。都合の悪い顔を、外へ出さないために。
「分かりました」
そう答えると、母はわずかに息をついた。まだ従う。まだ返事をする。その確認の息だと、もう分かってしまう。
その時、小書斎の扉が開いて父が出てきた。
上着はきちんと整えられ、髪もいつも通りに撫でつけられている。
書状を失くした朝の苛立ちは、表向きにはもう見せない顔だった。
会頭として外へ出る時の顔。セリーヌはそれを見て、胸のどこかがひどく静かになった。
父は小卓へ寄り、帽子と手袋を取り、最後に名刺入れを上着の内ポケットへ滑らせた。
――何も気づかないままに。
その動作はあまりにもいつも通りで、かえって可笑しかった。
家というものは、こんなふうにいつもの手つきで、自分の足元のずれに触れずに済むと思い込んでいる。
「行ってくる」
父が母に告げる。母が頷く。
二人のあいだにあるのは、夫婦の情ではなく、今日の用向きを失敗なく運ぶ者同士の合図のように見えた。
玄関の外で御者が姿勢を正す。砂利を踏む音。馬具の軽い鳴り。
父は振り返らなかった。セリーヌのほうも、もう見ようとはしなかったのかもしれない。
ただその背中が玄関を出て、陽の中へまっすぐ歩いていくのを、セリーヌは黙って見ていた。
扉の外は、よく晴れていた。
その明るさの中で馬車が動き出し、車輪が乾きはじめた砂利をかすかに鳴らす。
やがて門のほうへ向かって遠ざかっていく。
名刺入れの中には、薄い紙が一枚。
それだけで、本当に何かが変わるのかは、まだ分からない。
けれど少なくとも、父はもう、何も知らない顔のままベッリーニ家の敷居をまたぐことはできない。
どの瞬間に気づくにせよ、その時には、向こうの家の空気もまた昨日までとは同じではなくなるはずだった。
あなたにおすすめの小説
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました
皇 翼
恋愛
「リーシャ、君も俺にかまってばかりいないで、自分の趣味でも見つけて自立したらどうだ?正直、こうやって話しかけられるのはその――やめて欲しいんだ……周りの目もあるし、君なら分かるだろう?」
頭を急に鈍器で殴られたような感覚に陥る一言だった。
彼がチラリと見るのは周囲。2学年上の彼の教室の前であったというのが間違いだったのかもしれない。
この一言で彼女の人生は一変した――。
******
※タイトル少し変えました。
・暫く書いていなかったらかなり文体が変わってしまったので、書き直ししています。
・トラブル回避のため、完結まで感想欄は開きません。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
逆行令嬢の反撃~これから妹達に陥れられると知っているので、安全な自分の部屋に籠りつつ逆行前のお返しを行います~
柚木ゆず
恋愛
妹ソフィ―、継母アンナ、婚約者シリルの3人に陥れられ、極刑を宣告されてしまった子爵家令嬢・セリア。
そんな彼女は執行前夜泣き疲れて眠り、次の日起きると――そこは、牢屋ではなく自分の部屋。セリアは3人の罠にはまってしまうその日に、戻っていたのでした。
こんな人達の思い通りにはさせないし、許せない。
逆行して3人の本心と企みを知っているセリアは、反撃を決意。そうとは知らない妹たち3人は、セリアに翻弄されてゆくことになるのでした――。
※体調不良の影響で現在感想欄は閉じさせていただいております。
※こちらは3年前に投稿させていただいたお話の改稿版(文章をすべて書き直し、ストーリーの一部を変更したもの)となっております。
1月29日追加。後日ざまぁの部分にストーリーを追加させていただきます。
まねをしてくる令嬢に婚約者を取られたので、偽りの情報で破滅させます
泉花ゆき
恋愛
伯爵令嬢のセレスティーヌは、学園で出会った男爵令嬢メアリィのことで悩んでいた。
彼女は、セレスティーヌの髪型から髪色、持ち物すべてを真似してこようとするのだ。
それどころか、メアリィはどう見てもセレスティーヌのものだったアクセサリーまで身に着け始める。
そしてとうとう、メアリィはセレスティーヌの婚約者さえも奪ってしまった。
やがてメアリィは、セレスティーヌの欲しいものを先回りして求めだす。
伯爵家のメイドやセレスティーヌの友人が、買収されてメアリィへと情報を流していたのだった。
それを知ったセレスティーヌは、逆に自分から情報を流して彼女を破滅の道へと導くことを決意する……
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。