30 / 36
幕間4 座ったはずの椅子は、思っていたよりずっと冷たかった
「だから何だ」
ようやくカルダンが言う。
「だから何だって?」
「親族が入ろうが、一時のことだ」
「へえ」
「私はこの家の跡取りだ」
「だったらどうして、そんな顔をしているの?」
それは、たぶん言わないほうがよかったのだろう。でも言ってしまった。
カルダンの表情が変わる。怒ったというより、強ばった。
「……お前は最近、ずいぶんとうるさいな」
「最近?」
「前はそんな女じゃなかった」
「前は、あなたがもっと私を見ていたもの」
「……」
「今は違うじゃない。何よ、あの家へ行ってからずっと」
アーシャの喉が熱くなる。言いたくなかったのに、言葉は止まらない。
「まだパールのことが気になるの?」
「違う」
「違わないわ。だって、あなた、あの人の名前を出されると顔が変わるもの」
「違うと言っている」
「じゃあ何なのよ!」
「……自分の愚かさが腹立たしいだけだ」
その答えに、アーシャは一瞬だけ黙った。
愚かさ。自分でそう言うのは初めて聞いた。
でも、その愚かさの中に自分も含まれていると気づいて、余計に腹が立った。
「勝手ね」
アーシャは言った。
「何もかも勝手だわ。欲しい時だけ私を選んで、今になってその選び方が悪かったみたいな顔をして」
「そうは言っていない」
「同じことよ!」
その声に、子供が隣室で泣き出した。
甲高い泣き声。乳母があやす声。それでもすぐには収まらない。
アーシャは目を閉じた。こめかみが痛い。
正妻になれば、全部が落ち着くと思っていた。名分も立場も手に入る。だから、少々冷たくされても、最終的には自分が家の女主人になるのだと。
でも現実は違った。立場だけでは足りない。
座った椅子を温めてくれるものが、何ひとつなかった。
人望も、教養も、使用人たちの信頼も、親族の後ろ盾もない。あるのは子だけ。
けれどその子ですら、今では「だから大丈夫」とは言ってくれない。
「お子様が」
外から侍女が言った。
「泣いておりますが」
「聞こえてるわ!」
アーシャが叫ぶ。扉の向こうが、しんと静かになる。その静けさがまた、彼女の神経を逆撫でした。
カルダンはもうこちらを見ていなかった。窓の外を向き、顎に手を当てている。
考えているふうの姿勢だったが、アーシャにはただ逃げているようにしか見えない。
「行けばいいでしょう」
彼女は吐き捨てた。
「どうせあなたは、何が泣いても自分が一番可哀想なんだから」
「アーシャ」
「行って。顔も見たくないわ」
カルダンは、その言葉に少しだけ肩を動かした。だが言い返さず、そのまま部屋を出ていった。
去り際に、子の泣き声が一段高くなる。なのに彼はそちらにも行かなかった。
アーシャはしばらく立ったまま、その閉じた扉を睨んでいた。
睨んだところで何も変わらない。わかっている。でも、そうするしかなかった。
一方、カルダンは長い廊下を歩きながら、ひどく気分が悪かった。
アーシャの言葉が耳に残っている。パールの目も残っている。
親族の名も、若い養子候補の噂も、全部が同じように頭の中を回っていた。
窓の外では庭師が枝を整えていた。庭はいつも通り整っている。屋敷もきれいだ。何ひとつ壊れてなどいないように見える。
なのに、自分だけがじわじわ削られていく感覚があった。
父は最近、以前ほど屋敷のことを相談してこない。母は冷たい。親族は勝手に動き始めた。
アーシャは不満ばかりで、子は泣く。ベルジャン家は署名まで取った。王都では噂が流れている。
何ひとつ思うようにいかない。
それでも、ほんの少し前までは、自分はまだ立て直せると思っていた。
パールに会えば。ベルジャン家が少しでも態度を和らげれば。親族へも上手く言えば。
けれど今は、どこへ手を伸ばしても先に冷たいものがある。
その時、廊下の先から叔父が歩いてくるのが見えた。
四十前後の男だ。無駄のない服装で、どこか領地の土の匂いがしそうな落ち着きを持っている。
王都ふうの派手さはないが、目の前の帳面と人をきちんと見て、淡々と片づけていくタイプだと一目でわかる。
「カルダン」
「……叔父上」
父の歳の離れた弟。親しみを込めた呼び方をしたくなかったが、他に呼びようがない。
「今、兄上に呼ばれていてな」
「そうですか」
「お前も後で来なさい」
「何を」
「王都屋敷の出入りと、来月からの人の配置だ」
「人の配置?」
「ああ。少し手を入れる」
さらりと言われ、カルダンの眉が寄る。
「勝手に」
「勝手ではない。許しは得ている」
「父上が?」
「そうだ」
その瞬間、自分の足元からまたひとつ何かが抜けるような気がした。
王都屋敷の出入り。人の配置。
つまり、使用人たちや金の流れや、客の扱いまで、この男が見始めるということではないか。
カルダンは何か言おうとして、やめた。ここで怒れば負けだと、かろうじてわかったからだ。
「……わかりました」
「うむ」
叔父はそれだけ言って通り過ぎた。その背はまっすぐで、慌ても気負いもない。
まるで前からここにいるべき人みたいに、静かに廊下を歩いていく。
カルダンはその後ろ姿を見て、初めてはっきりと理解した。自分の席のすぐ横に、もう一つ椅子が置かれたのだと。
しかもその椅子は、ただの飾りではない。必要なら、いつでももっと前へ出られる位置にある。
その頃、アーシャはようやく子のいる部屋へ向かっていた。
乳母は恭しく頭を下げたが、その顔に困惑がある。子は泣き疲れて顔を真っ赤にしていた。
「……もう」
アーシャは腕を伸ばした。
「私によこしなさい」
抱き上げると、子は少しだけ泣き方を変えた。でもすぐには収まらない。
あやしながら、アーシャはぼんやりと思う。
自分にはもう、この子しかないのだろうか。でもその子ですら、屋敷の中では“確かな切り札”ではなくなりつつあるのではないか。
そう思った瞬間、胸の奥がひどく冷えた。
座ったはずの椅子は、思っていたよりずっと冷たい。そしてその冷たさは、これからもっと増していくのだろう。
ドルメーユ侯爵家の広い屋敷は、その日も変わらず整っていた。けれどその整い方は、もうカルダンにもアーシャにも、少しも味方には見えなかった。
ようやくカルダンが言う。
「だから何だって?」
「親族が入ろうが、一時のことだ」
「へえ」
「私はこの家の跡取りだ」
「だったらどうして、そんな顔をしているの?」
それは、たぶん言わないほうがよかったのだろう。でも言ってしまった。
カルダンの表情が変わる。怒ったというより、強ばった。
「……お前は最近、ずいぶんとうるさいな」
「最近?」
「前はそんな女じゃなかった」
「前は、あなたがもっと私を見ていたもの」
「……」
「今は違うじゃない。何よ、あの家へ行ってからずっと」
アーシャの喉が熱くなる。言いたくなかったのに、言葉は止まらない。
「まだパールのことが気になるの?」
「違う」
「違わないわ。だって、あなた、あの人の名前を出されると顔が変わるもの」
「違うと言っている」
「じゃあ何なのよ!」
「……自分の愚かさが腹立たしいだけだ」
その答えに、アーシャは一瞬だけ黙った。
愚かさ。自分でそう言うのは初めて聞いた。
でも、その愚かさの中に自分も含まれていると気づいて、余計に腹が立った。
「勝手ね」
アーシャは言った。
「何もかも勝手だわ。欲しい時だけ私を選んで、今になってその選び方が悪かったみたいな顔をして」
「そうは言っていない」
「同じことよ!」
その声に、子供が隣室で泣き出した。
甲高い泣き声。乳母があやす声。それでもすぐには収まらない。
アーシャは目を閉じた。こめかみが痛い。
正妻になれば、全部が落ち着くと思っていた。名分も立場も手に入る。だから、少々冷たくされても、最終的には自分が家の女主人になるのだと。
でも現実は違った。立場だけでは足りない。
座った椅子を温めてくれるものが、何ひとつなかった。
人望も、教養も、使用人たちの信頼も、親族の後ろ盾もない。あるのは子だけ。
けれどその子ですら、今では「だから大丈夫」とは言ってくれない。
「お子様が」
外から侍女が言った。
「泣いておりますが」
「聞こえてるわ!」
アーシャが叫ぶ。扉の向こうが、しんと静かになる。その静けさがまた、彼女の神経を逆撫でした。
カルダンはもうこちらを見ていなかった。窓の外を向き、顎に手を当てている。
考えているふうの姿勢だったが、アーシャにはただ逃げているようにしか見えない。
「行けばいいでしょう」
彼女は吐き捨てた。
「どうせあなたは、何が泣いても自分が一番可哀想なんだから」
「アーシャ」
「行って。顔も見たくないわ」
カルダンは、その言葉に少しだけ肩を動かした。だが言い返さず、そのまま部屋を出ていった。
去り際に、子の泣き声が一段高くなる。なのに彼はそちらにも行かなかった。
アーシャはしばらく立ったまま、その閉じた扉を睨んでいた。
睨んだところで何も変わらない。わかっている。でも、そうするしかなかった。
一方、カルダンは長い廊下を歩きながら、ひどく気分が悪かった。
アーシャの言葉が耳に残っている。パールの目も残っている。
親族の名も、若い養子候補の噂も、全部が同じように頭の中を回っていた。
窓の外では庭師が枝を整えていた。庭はいつも通り整っている。屋敷もきれいだ。何ひとつ壊れてなどいないように見える。
なのに、自分だけがじわじわ削られていく感覚があった。
父は最近、以前ほど屋敷のことを相談してこない。母は冷たい。親族は勝手に動き始めた。
アーシャは不満ばかりで、子は泣く。ベルジャン家は署名まで取った。王都では噂が流れている。
何ひとつ思うようにいかない。
それでも、ほんの少し前までは、自分はまだ立て直せると思っていた。
パールに会えば。ベルジャン家が少しでも態度を和らげれば。親族へも上手く言えば。
けれど今は、どこへ手を伸ばしても先に冷たいものがある。
その時、廊下の先から叔父が歩いてくるのが見えた。
四十前後の男だ。無駄のない服装で、どこか領地の土の匂いがしそうな落ち着きを持っている。
王都ふうの派手さはないが、目の前の帳面と人をきちんと見て、淡々と片づけていくタイプだと一目でわかる。
「カルダン」
「……叔父上」
父の歳の離れた弟。親しみを込めた呼び方をしたくなかったが、他に呼びようがない。
「今、兄上に呼ばれていてな」
「そうですか」
「お前も後で来なさい」
「何を」
「王都屋敷の出入りと、来月からの人の配置だ」
「人の配置?」
「ああ。少し手を入れる」
さらりと言われ、カルダンの眉が寄る。
「勝手に」
「勝手ではない。許しは得ている」
「父上が?」
「そうだ」
その瞬間、自分の足元からまたひとつ何かが抜けるような気がした。
王都屋敷の出入り。人の配置。
つまり、使用人たちや金の流れや、客の扱いまで、この男が見始めるということではないか。
カルダンは何か言おうとして、やめた。ここで怒れば負けだと、かろうじてわかったからだ。
「……わかりました」
「うむ」
叔父はそれだけ言って通り過ぎた。その背はまっすぐで、慌ても気負いもない。
まるで前からここにいるべき人みたいに、静かに廊下を歩いていく。
カルダンはその後ろ姿を見て、初めてはっきりと理解した。自分の席のすぐ横に、もう一つ椅子が置かれたのだと。
しかもその椅子は、ただの飾りではない。必要なら、いつでももっと前へ出られる位置にある。
その頃、アーシャはようやく子のいる部屋へ向かっていた。
乳母は恭しく頭を下げたが、その顔に困惑がある。子は泣き疲れて顔を真っ赤にしていた。
「……もう」
アーシャは腕を伸ばした。
「私によこしなさい」
抱き上げると、子は少しだけ泣き方を変えた。でもすぐには収まらない。
あやしながら、アーシャはぼんやりと思う。
自分にはもう、この子しかないのだろうか。でもその子ですら、屋敷の中では“確かな切り札”ではなくなりつつあるのではないか。
そう思った瞬間、胸の奥がひどく冷えた。
座ったはずの椅子は、思っていたよりずっと冷たい。そしてその冷たさは、これからもっと増していくのだろう。
ドルメーユ侯爵家の広い屋敷は、その日も変わらず整っていた。けれどその整い方は、もうカルダンにもアーシャにも、少しも味方には見えなかった。
あなたにおすすめの小説
(完結)殿下との婚約は私には破棄できませんの。……どうしてもというなら、署名活動なさったら?
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ハル君を自由にしてあげて!」
「貴族の署名(サイン)が五十も集まれば、王家も無視できないでしょう。がんばってくださいませ」
生徒会室に突撃してきたローズは全く話を聞かない。行動力だけは異常で、妙なカリスマのある彼女。署名活動は成功するのだろうか?
婚約者は妹のことが好きなようです。妹に婚約者を譲ったら元婚約者と妹の様子がおかしいのですが・完結
まほりろ
恋愛
※小説家になろうにて日間総合ランキング6位まで上がった作品です!2022/07/10
私の婚約者のエドワード様は私のことを「アリーシア」と呼び、私の妹のクラウディアのことを「ディア」と愛称で呼ぶ。
エドワード様は当家を訪ねて来るたびに私には黄色い薔薇を十五本、妹のクラウディアにはピンクの薔薇を七本渡す。
エドワード様は薔薇の花言葉が色と本数によって違うことをご存知ないのかしら?
それにピンクはエドワード様の髪と瞳の色。自分の髪や瞳の色の花を異性に贈る意味をエドワード様が知らないはずがないわ。
エドワード様はクラウディアを愛しているのね。二人が愛し合っているなら私は身を引くわ。
そう思って私はエドワード様との婚約を解消した。
なのに婚約を解消したはずのエドワード様が先触れもなく当家を訪れ、私のことを「シア」と呼び迫ってきて……。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?
風見ゆうみ
恋愛
ネイロス伯爵家の次女であるわたしは、幼い頃から変わった子だと言われ続け、家族だけじゃなく、周りの貴族から馬鹿にされ続けてきた。
そんなわたしを公爵である伯父はとても可愛がってくれていた。
ある日、伯父がお医者様から余命を宣告される。
それを聞いたわたしの家族は、子供のいない伯父の財産が父に入ると考えて豪遊し始める。
わたしの婚約者も伯父の遺産を当てにして、姉に乗り換え、姉は姉で伯父が選んでくれた自分の婚約者をわたしに押し付けてきた。
伯父が亡くなったあと、遺言書が公開され、そこには「遺留分以外の財産全てをリウ・ネイロスに、家督はリウ・ネイロスの婚約者に譲る」と書かれていた。
そのことを知った家族たちはわたしのご機嫌伺いを始める。
え……、許してもらえるだなんて本気で思ってるんですか?
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】
小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」
ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。
きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。
いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。
婚約した幼馴染の彼と妹がベッドで寝てた。婚約破棄は嫌だと泣き叫んで復縁をしつこく迫る。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のオリビアは幼馴染と婚約して限りない喜びに満ちていました。相手はアルフィ皇太子殿下です。二人は心から幸福を感じている。
しかし、オリビアが聖女に選ばれてから会える時間が減っていく。それに対してアルフィは不満でした。オリビアも彼といる時間を大切にしたいと言う思いでしたが、心にすれ違いを生じてしまう。
そんな時、オリビアは過密スケジュールで約束していたデートを直前で取り消してしまい、アルフィと喧嘩になる。気を取り直して再びアルフィに謝りに行きますが……
許嫁が「愛する人ができた」と告白してきたのでお別れします~そのあと元許嫁の家が没落したようですが関係ありません~
明衣令央
恋愛
許嫁に「他に愛する人ができた」と告げられ、婚約を解消したヒルデガルド。
深く傷ついた彼女を支えてくれたのは、誠実な青年カーチスだった。
彼の優しさに触れ、ヒルデガルドは少しずつ笑顔を取り戻していく。
一方で、彼女と別れた元許嫁の家には、静かに崩壊の兆しが――。
誰も傷つけない、穏やかなざまぁと再生の恋物語。
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)