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第13話 嘘が本当になる瞬間
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二週間。
長いようで短かった。
今日で終わりだ。
放課後、理央からメッセージが届く。
《屋上に来て》
短い。
俺はすぐに向かう。
階段を上る足が重い。
扉を開けると、夕方の光が広がる。
理央はフェンスの前に立っていた。
「期限終了」
「うん」
距離は三メートル。
触れない。
「結論を出すわ」
心臓が速い。
どくん、どくん。
「まず確認」
「何」
「この二週間、体調は?」
「安定してる」
「倒れそうになった?」
「いや、一度もない」
理央は小さく頷く。
「仮説はほぼ確定」
「何の」
「あなたの体質は、単純な恋愛刺激依存ではない」
胸がざわつく。
「じゃあ?」
「感情抑圧による心因性の可能性」
「難しい言葉使うな」
「あなたはずっと、強い感情を避けてきた」
思い当たる。
部活もやめた。
本気で何かに向き合ったことがない。
「私と出会って、感情が動いた」
「それで?」
「抑えきれず、心拍に影響した」
どくん。
理屈は分からない。
でも。
「じゃあ、俺はもう倒れない?」
「可能性は高い」
ほっとする。
でも同時に。
「……じゃあ、契約は」
「不要になるわ」
胸が強く打つ。
「でも」
理央は続ける。
「それでも私は、あなたと距離を置いた二週間、落ち着かなかった」
視線が絡む。
「効率が悪いと分かっているのに、あなたのことを考えた」
鼓動が速い。
「それは合理的ではない」
「うん」
「だから結論」
一歩、彼女が近づく。
「私は、あなたを実験対象としては見られない」
息が止まる。
「じゃあ」
「でも」
間。
「まだ“好き”と言い切る勇気がない」
胸が締まる。
「怖いから?」
「そう」
正直だ。
「じゃあ俺が言う」
言葉が勝手に出る。
「俺は好きだ」
風が止まった気がした。
どくん。
どくん。
「契約違反」
「もう契約いらないだろ」
理央の目が揺れる。
「朝比奈」
「何」
「その言葉は、命のため?」
「違う」
迷わない。
「一ノ瀬がいないと、つまらない」
「前にも聞いた」
「それより重い」
一歩近づく。
「選びたい」
理央の指が震える。
「私が重くても?」
「受け止める」
「将来の保証は?」
「ない」
「非合理」
「それでもいい」
沈黙。
夕日が沈みかける。
「……ずるい」
理央が呟く。
「何が」
「私に決断を迫る」
「逃げるなって言っただろ」
数秒。
彼女が深呼吸する。
「朝比奈」
「うん」
「私は」
喉が動く。
「あなたといると、嬉しい」
鼓動が跳ねる。
「あなたが三宅を気にしたとき、少し嬉しかった」
「は?」
「独占欲を向けられて」
顔が熱くなる。
「重い?」
「少し」
「なら」
理央はゆっくり言う。
「私はあなたが好き、かもしれない」
かもしれない。
でも十分だ。
どくん、どくん。
今までで一番強い。
「それでいい」
俺は言う。
「嘘でも」
「嘘じゃない」
理央は首を振る。
「最初は実験だった」
「うん」
「でも今は」
彼女が一歩近づく。
距離がゼロになる。
「嘘が本当になりかけている」
風が吹く。
「朝比奈」
「何」
「正式に、やり直す?」
「何を」
「恋愛」
鼓動が暴れる。
「契約なしで」
迷わない。
「やろう」
理央が小さく笑う。
今までで一番自然な笑顔。
「ただし」
「また条件か」
「感情から逃げない」
「了解」
彼女が手を差し出す。
握る。
温かい。
どくん。
安定して、強い。
その瞬間。
ポケットの中でスマホが震えた。
着信。
病院から。
画面を見た瞬間、胸がざわつく。
「どうした」
理央が聞く。
「鷹宮先生」
嫌な予感。
電話に出る。
『朝比奈くん、検査結果が出た。早めに来てほしい』
声が低い。
「……何かあったんですか」
『来てから話す』
通話が切れる。
夕焼けが完全に沈む。
理央が俺を見る。
「何」
「分からない」
でも。
鼓動が、不自然に速い。
喜びとは違う。
不安。
二人の関係が始まった直後。
何かが動き出した。
長いようで短かった。
今日で終わりだ。
放課後、理央からメッセージが届く。
《屋上に来て》
短い。
俺はすぐに向かう。
階段を上る足が重い。
扉を開けると、夕方の光が広がる。
理央はフェンスの前に立っていた。
「期限終了」
「うん」
距離は三メートル。
触れない。
「結論を出すわ」
心臓が速い。
どくん、どくん。
「まず確認」
「何」
「この二週間、体調は?」
「安定してる」
「倒れそうになった?」
「いや、一度もない」
理央は小さく頷く。
「仮説はほぼ確定」
「何の」
「あなたの体質は、単純な恋愛刺激依存ではない」
胸がざわつく。
「じゃあ?」
「感情抑圧による心因性の可能性」
「難しい言葉使うな」
「あなたはずっと、強い感情を避けてきた」
思い当たる。
部活もやめた。
本気で何かに向き合ったことがない。
「私と出会って、感情が動いた」
「それで?」
「抑えきれず、心拍に影響した」
どくん。
理屈は分からない。
でも。
「じゃあ、俺はもう倒れない?」
「可能性は高い」
ほっとする。
でも同時に。
「……じゃあ、契約は」
「不要になるわ」
胸が強く打つ。
「でも」
理央は続ける。
「それでも私は、あなたと距離を置いた二週間、落ち着かなかった」
視線が絡む。
「効率が悪いと分かっているのに、あなたのことを考えた」
鼓動が速い。
「それは合理的ではない」
「うん」
「だから結論」
一歩、彼女が近づく。
「私は、あなたを実験対象としては見られない」
息が止まる。
「じゃあ」
「でも」
間。
「まだ“好き”と言い切る勇気がない」
胸が締まる。
「怖いから?」
「そう」
正直だ。
「じゃあ俺が言う」
言葉が勝手に出る。
「俺は好きだ」
風が止まった気がした。
どくん。
どくん。
「契約違反」
「もう契約いらないだろ」
理央の目が揺れる。
「朝比奈」
「何」
「その言葉は、命のため?」
「違う」
迷わない。
「一ノ瀬がいないと、つまらない」
「前にも聞いた」
「それより重い」
一歩近づく。
「選びたい」
理央の指が震える。
「私が重くても?」
「受け止める」
「将来の保証は?」
「ない」
「非合理」
「それでもいい」
沈黙。
夕日が沈みかける。
「……ずるい」
理央が呟く。
「何が」
「私に決断を迫る」
「逃げるなって言っただろ」
数秒。
彼女が深呼吸する。
「朝比奈」
「うん」
「私は」
喉が動く。
「あなたといると、嬉しい」
鼓動が跳ねる。
「あなたが三宅を気にしたとき、少し嬉しかった」
「は?」
「独占欲を向けられて」
顔が熱くなる。
「重い?」
「少し」
「なら」
理央はゆっくり言う。
「私はあなたが好き、かもしれない」
かもしれない。
でも十分だ。
どくん、どくん。
今までで一番強い。
「それでいい」
俺は言う。
「嘘でも」
「嘘じゃない」
理央は首を振る。
「最初は実験だった」
「うん」
「でも今は」
彼女が一歩近づく。
距離がゼロになる。
「嘘が本当になりかけている」
風が吹く。
「朝比奈」
「何」
「正式に、やり直す?」
「何を」
「恋愛」
鼓動が暴れる。
「契約なしで」
迷わない。
「やろう」
理央が小さく笑う。
今までで一番自然な笑顔。
「ただし」
「また条件か」
「感情から逃げない」
「了解」
彼女が手を差し出す。
握る。
温かい。
どくん。
安定して、強い。
その瞬間。
ポケットの中でスマホが震えた。
着信。
病院から。
画面を見た瞬間、胸がざわつく。
「どうした」
理央が聞く。
「鷹宮先生」
嫌な予感。
電話に出る。
『朝比奈くん、検査結果が出た。早めに来てほしい』
声が低い。
「……何かあったんですか」
『来てから話す』
通話が切れる。
夕焼けが完全に沈む。
理央が俺を見る。
「何」
「分からない」
でも。
鼓動が、不自然に速い。
喜びとは違う。
不安。
二人の関係が始まった直後。
何かが動き出した。
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