お姉様と離れるなんて無理ですの!

ぺんたごん

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「…うぅん……」

モゾモゾと起き上がる気配がした。


「…おねぇさま?」


「ふぁあ~…んぅ…」


「ねむれませんか?」


「いま…なんじ?」


「夜の0時ごろです。」


「よる…。」


「はい。夜です。」


「おなかすいた。」


「…まあ、昨日は余り召し上がっておりませんでしたものね。」



空腹で、目が覚めてしまったようだ。

薄暗い部屋の中で、お姉様の紅い目が鈍く光っている。


吸血鬼は、普通ならば、この状態で我慢できる種族では無い。


しかし…お姉様は自分から摂ろうとは思わないらしい。ただ、ジッとこちらを見つめているだけだ。





そっと手を伸ばし、頬を撫でる。そして、軽く抱き寄せると、腕を背中に回されて、ピッタリとくっついてくる。



「お姉様。」


「……いや。」


「…そう言われましても。」


「でも…いや。」


「そんなに嫌ですか。」


「…うん。」


「…………お姉様の肌は、綺麗ですね。」


「…?」


「…お姉様がそんなに嫌なら…わたくしが先に頂いても?」


「…え?」


少し強く抱きしめ、ふわふわな御髪を払い、首筋をゆっくりと撫でていく。


「ふあっ…くすぐったい。」


「ふふ、まだ撫でただけだというのに…気持ちいいですか?」


「そんなの…っ……わかんないよ。」


眉間を歪ませて、震えているお姉様。

とっても、美味しそうだ。


「いただきますね。」


「…うっ…はぁっ……」


陶器のように滑らからな肌に熱い牙を立てる。

そこから溢れた甘く濃厚なモノが、口いっぱいに広がっていく。

痛みか、快感か、お姉様はうわごとのように小さく呻いている。


(大丈夫ですよ。お姉様も、しっかりと味わってください。)



緩んだ口にゆっくりと親指を入れ、歯をなぞり、その小さな犬歯にあてがえば、嫌々ながらも舐め始める。

「…んぅ……はふ…」


お姉様の口から、飲み込みきれなかった唾液が溢れてくる頃には、ベッドに押し倒しても抵抗はなかった。


「お姉様かわいい。もっと、しっかり飲んでください。」



耳元でそう囁けば、小さな手を添えて、私の指をしっかりと咥えてくれる。

紅く光る瞳は潤み、気持ちよさそうに眉を下げている。





お姉様の意識が無くなるまで、真夜中の食事は続いた。














翌朝。まだ日も登り切らない時間に扉がノックされた。

やって来たのはステフだった。

部屋に入って早々、とても羨ましそうな表情をしている。


「………クリスだけズルいですわ。」


「何がですか?」


「…こんな、こんな甘~い匂いが残っているのに!」


「お姉様のだとよくわかりますね。」


「あら、あなたたちのは、味も匂いも一緒だけれど、全体的にお姉様の方が濃いのよ?だから、わたくしにはわかるわ。」


「そうですか。」


思わず笑顔になってしまう。いわゆるドヤ顔というものでしょうか?


「う、羨ましいぃ!」



「ふふ、わたくしでよろしければ差し上げますが?」


「是非欲しいですわ!」



そう言い終わらないうちに、私の肩に手を伸ばし、壁に押しつけて膝の上に跨ってくる。


「わたくしもお腹が減っておりますの、遠慮なくいただきますわ!」


そして、首筋に軽く唇が触れて、温かく柔らかいものが押しつけられる。


「ステフ、くすぐったいですわ。」


「…でも…ん…ちゅ…クリス美味しいですわ。」


「そ、そう…。」


暫く舐め続け満足したのか、動きが止まり、歯が突き立てられる。


ピリッと痛みが走り、その後はふわっとする様な、なんとも言えない感覚が続く。




血を飲み込む喉の音、時折挟む息継ぎの音。



時間にすれば、5分間ほどの短い間だったが、友人は、無言で私を貪り続けた。




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