お姉様と離れるなんて無理ですの!

ぺんたごん

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「おはよう!クリス、ステフ!…あ、今日はその子起きてるのね!」


本人曰く、極上の食事を早朝に終わらせた私たちは、一足先に支度を済ませて教室に来ていた。

そして、たった今元気よくエルが教室に入ってきた。


「ご機嫌よう、エル!」


「ご機嫌よう、エル。」


「…ん、おはよぉ。」


そう、今日は珍しく、お姉様が起きている。

実は、昨晩のやり方は初めてで、今まではお姉様に飲んでもらうだけか、私が頂くかという一方的なやり方だった。

…あのやり方の方がいっぱい飲めるのでは?要検討ですわね。



お姉様は、現在、お気に入りになったのか、あの魔法勇者伝説という黒い本を膝に乗せて読んでいる。


そういえば、今までここまで本に没頭している姿を見たことはなかった。意外な一面を知ってしまった。


「お姉様にも好きな本が有った…と。」


「どうしたのクリス?その子が本を読んでるのがそんなに珍しいことなの?」


「ええ。とっても。」


「わたくしも、お姉様が本を熟読してるのを見るのは初めてですわ。」


「…え、じゃあその子、家での授業はどうしてたの?アタシ、先生に、次までに何ページまでは読んでおくようにってよく言われてたよ?」


「お姉様は受けてませんわ。」


「え、そうなの?」


「受けられる体調では無かったので。」


「ふーん。大変ね。」





「おい、シェルお前、今…アタシも体調不良で授業受けるのやめようかな…とか思っただろ?」



「は?そんなこと思ってないもん!朝っぱらからそういうこと言うのやめて!というか、思ったのはフェデリの方でしょ?」



「ギクッ…おおお思ってねえよ!」


「目が泳いでるじゃない!」


…混ぜるなキケン?そんな二人はガミガミと言い合いながらそれぞれの席に向かっていった。


「…はぁ、なんとまぁ…あのお二人は一日中あんな感じなのかしら?」


「昨日も、あの様な言い合いになっておりましたもの、きっと、いつものことなのでしょう。」


出会って2日と経っていないが、今までの様子が安易に想像できてしまった私は、ステフと一緒に呆れてしまう。


すると、静かにドアを開けて、男子生徒が一人入ってきた。
ステフが挨拶がてら声をかけた。

「ご機嫌よう。…確かウーイル侯爵令息様でしたわね。」


「ああ、ご機嫌よう。アードラー公爵令嬢。…フランチェス侯爵令嬢もご機嫌よう。」


「ご機嫌よう。ウーイル侯爵令息様。」


「その…今日は起きているんだな。」


「どうしても本が読みたい様ですの。」


「…授業中には授業を受ける様にしていただけるとこちらも気が散らなくて済む。」


「…あら、それは失礼致しましたわ。」


「…では。」


そう言い、スタスタと自席に歩いて行った。

静かに言っていたが、彼にとっては相当気になったのだろう。

しかし、きっと、保ったとしても午前中だけだろう。


「…お姉様、その本は面白いですか?」



「…うん。おもしろいよ。」


お姉様は、返事もそこそこに、ぺらりぺらりとページをめくっていく。


それなりに分厚い本なのだが、半分と少しほど読み終わっていた。

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