祝福のカンパネラ

たちばな

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外からの波紋

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 穏やかな日々が続いたある午後、離れの扉が強く叩かれた。
現れたのは、鮮やかな紅のドレスを纏った若い女性だった。
「あなたが、あの人のお飾りの妻?」
彼女の声には棘があった。
「……ええ、そうですが」
リリアーナは視線を逸らさず答える。

ゆっくりとリリアーナの全身を値踏みするように見て、唇をきゅっと結ぶ。
その視線は冷ややかに光りながらも、どこか落ち着かない。

「そう、なら、あの人に近づかないでちょうだい。あの人は私のものよ」
その言葉は、嫉妬というよりも不安の裏返しに聞こえた。

リリアーナはわずかに微笑み、静かに返す。
「ご安心ください。伯爵様とは契約に基づき結婚したまでであり、それ以上でも以下でもありません。それに私は――大切な人とここで静かに暮らしたいだけですから」
後ろに控えているセリーヌを見遣り、それ以上の説明はしなかった。

そのやり取りを傍で聞いていたセリーヌは、胸が熱くなる。
“大切な人”――それが自分を指していると、確信できてしまったからだ。

胸に灯る温かさに、笑みがこぼれそうになる。

けれど視線を落とした先にあったのは、真っ白なエプロンと黒いスカート。
身分の壁を目の前にして、一瞬にして心が沈む。
釣り合わない――その現実が、喉の奥で苦く転がった。
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