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第16話:禁じられた果実とナッジ理論
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(※ヘリオス視点)
「――なんだと!? エリーゼが支払いを拒否しただと!?」
王城の執務室で、僕の怒声が響き渡った。
逃げ帰ってきたボルゾイ子爵の報告を聞き、僕は手にしていた羽ペンをへし折った。
「は、はい……。あろうことか、法の不遡及などという小賢しい理屈を並べ立て、一銭も払わぬどころか、私を脅迫して追い返しました!」
ボルゾイが脂汗を流しながら訴える。
僕は苛立ちで爪を噛んだ。
あの女、どこまで僕を愚弄すれば気が済むんだ。
僕が捨ててやった分際で、大人しく泣き寝入りしていればいいものを……。
「それに、殿下……、信じられません。あのノルト領が、凄まじい活気に満ちているのです」
「活気だと? あんな岩だらけの荒野がか?」
「はい。なんでも、王都から出た廃材を使って奇妙な街を作り、巨大な鉄の機械が唸りを上げ、畑には見たこともないほど野菜が茂っておりました……」
ボルゾイの話に、ソファーで爪を磨いていたリリィが「ぷっ」と吹き出した。
「やだぁ。廃材ですって? つまりゴミで作ったお家ってことでしょう? やっぱりエリーゼ様、貧乏がお似合いですわね」
リリィの言葉に、僕の胸のつかえが少し取れた。
そうだ。
所詮はゴミの街だ。
僕たちが住む、この歴史ある石造りの王都とは格が違う。
「しかし、リリィ様。そのゴミの街に、王都の職人たちがこぞって逃げ出しているのです。このままでは王都の産業が空洞化してしまいます」
「だったら、行かせなきゃいいじゃない」
リリィは退屈そうに言った。
「法律で禁止しちゃえばいいのよ。王都から出る人は裏切り者てことにして、罰金を取ればいいわ。そうすれば、みんな怖がって残るでしょう?」
その言葉に、僕はハッと顔を上げた。
リリィ、君は天才か!
「素晴らしいアイデアだ! そうだ、王命で禁止してしまえばいい!」
僕は新しい紙を取り出し、勢いよく署名した。
「直ちに人材流出防止令を発布する! 今後、許可なく王都を出てノルト領へ向かう者は国家反逆罪とみなす! 街道に関所を設け、徹底的に取り締まれ!」
これでいい。
国民は僕のものだ。
勝手に移動することなど許さない。
北への道を閉ざせば、エリーゼのところへ行く職人もいなくなる。
あの女の計画もそこまでだ。
*
「――というわけで、王都から移住禁止令が出されました」
ノルト領の執務室。
マリーが持ち帰った報告を聞き、私は紅茶のカップをソーサーに置きました。
「予想通り、いえ、予想以上に短絡的な反応ですね」
向かいの席で、ルーカス閣下が渋い顔をしています。
「笑い事ではないぞ、エリーゼ嬢。これで人の流れが止まる。職人は確保したが、農地の拡大やインフラ整備には、まだまだ単純労働力が足りない。供給を絶たれるのは痛手だ」
閣下の懸念はもっともです。
武力を持った衛兵が街道を封鎖すれば、普通の市民は恐れをなして足を止めるでしょう。
恐怖による統治は、短期的には効果がありますから。
「ええ。普通に『来てください』と募集しても、もう誰も来ないでしょうね」
私は眼鏡の位置を直し、ニヤリと笑いました。
「ですが、人間というのは面白い生き物です。『ダメだ』と言われると、かえってその選択肢が魅力的に見えてしまう心理バイアスを持っています」
「……カリギュラ効果、あるいは心理的リアクタンスか?」
「ご名答です。特に禁止された情報や希少な機会に対して、人は過剰な価値を感じます」
私は手帳を開き、新しい作戦のページを開きました。
タイトルはナッジ。
肘で軽く突くように、相手の行動を強制せず、望ましい方向へ誘導する行動経済学の手法です。
「マリー、裏のルートを使って、王都の酒場や井戸端に噂を流してください」
「どのような噂でしょう?」
「こうです。『ノルト領は今、希望者が殺到しすぎて、入国審査が厳しくなったらしい』。『選ばれた優秀な人間しか入れない、秘密の楽園があるそうだ』と」
私は悪戯っぽくウィンクしました。
「そして、こう付け加えて。『夜中の三時に、裏門の衛兵が交代する一瞬の隙間だけが、唯一の抜け道らしい』とね」
*
数日後の王都。
深夜の裏通りは、かつてないほどの熱気に包まれていました。
「おい、聞いたか? ノルト領に行けば、毎日肉が食えて、冬でもTシャツ一枚で過ごせるらしいぞ」
「でも、禁止令が出てるんだろ?」
「だからこそだよ! 王家が必死に止めるってことは、それだけあっちが良い場所って証拠じゃねえか!」
「それに、今夜なら裏門から抜けられるって噂だ。選ばれた運の良い奴だけが辿り着けるんだと」
禁止されたことでノルト領への移住は、単なる出稼ぎから選ばれし者の冒険へと変わりました。
人々は損得勘定だけでなく、体制に隠された真実を掴む喜びに突き動かされ始めたのです。
衛兵たちが交代のために詰所へ戻った、その一瞬。
闇に紛れて、数十人の家族連れが、息を潜めて城門を抜け出していきます。
衛兵の中には、実は私の手によって買収され、わざと目を逸らしている者がいることも知らずに……。
*
翌朝、ノルト領。
朝日の中、街道の向こうから歩いてくる人々の列を見て、ルーカス閣下は呆れたように笑いました。
「……増えているな」
「ええ。禁止令が出る前より、二割増しです」
私はカウンターを片手に、到着した人々の数を数えました。
「人間は、自分で選んだ、あるいは勝ち取ったと思う選択には、強い愛着を持ちます。苦労して抜け出してきた彼らは、これまで以上に熱心に働いてくれるでしょう」
これがナッジ理論による行動デザイン。
ヘリオス殿下の禁止令という強風は、私の風車を回すためのエネルギーに変換されました。
「さて、人が増えれば消費も増える。次は彼らの生活を支えるための商業圏の確立です。……物流の準備はよろしくて? ルーカス閣下」
「ああ。君の描いた新しい地図の準備は万端だ」
王都が関所を閉じるなら、私たちは道そのものを変えてしまう。
次なる一手は、王国の血管である物流を根底から書き換える大手術です。
「――なんだと!? エリーゼが支払いを拒否しただと!?」
王城の執務室で、僕の怒声が響き渡った。
逃げ帰ってきたボルゾイ子爵の報告を聞き、僕は手にしていた羽ペンをへし折った。
「は、はい……。あろうことか、法の不遡及などという小賢しい理屈を並べ立て、一銭も払わぬどころか、私を脅迫して追い返しました!」
ボルゾイが脂汗を流しながら訴える。
僕は苛立ちで爪を噛んだ。
あの女、どこまで僕を愚弄すれば気が済むんだ。
僕が捨ててやった分際で、大人しく泣き寝入りしていればいいものを……。
「それに、殿下……、信じられません。あのノルト領が、凄まじい活気に満ちているのです」
「活気だと? あんな岩だらけの荒野がか?」
「はい。なんでも、王都から出た廃材を使って奇妙な街を作り、巨大な鉄の機械が唸りを上げ、畑には見たこともないほど野菜が茂っておりました……」
ボルゾイの話に、ソファーで爪を磨いていたリリィが「ぷっ」と吹き出した。
「やだぁ。廃材ですって? つまりゴミで作ったお家ってことでしょう? やっぱりエリーゼ様、貧乏がお似合いですわね」
リリィの言葉に、僕の胸のつかえが少し取れた。
そうだ。
所詮はゴミの街だ。
僕たちが住む、この歴史ある石造りの王都とは格が違う。
「しかし、リリィ様。そのゴミの街に、王都の職人たちがこぞって逃げ出しているのです。このままでは王都の産業が空洞化してしまいます」
「だったら、行かせなきゃいいじゃない」
リリィは退屈そうに言った。
「法律で禁止しちゃえばいいのよ。王都から出る人は裏切り者てことにして、罰金を取ればいいわ。そうすれば、みんな怖がって残るでしょう?」
その言葉に、僕はハッと顔を上げた。
リリィ、君は天才か!
「素晴らしいアイデアだ! そうだ、王命で禁止してしまえばいい!」
僕は新しい紙を取り出し、勢いよく署名した。
「直ちに人材流出防止令を発布する! 今後、許可なく王都を出てノルト領へ向かう者は国家反逆罪とみなす! 街道に関所を設け、徹底的に取り締まれ!」
これでいい。
国民は僕のものだ。
勝手に移動することなど許さない。
北への道を閉ざせば、エリーゼのところへ行く職人もいなくなる。
あの女の計画もそこまでだ。
*
「――というわけで、王都から移住禁止令が出されました」
ノルト領の執務室。
マリーが持ち帰った報告を聞き、私は紅茶のカップをソーサーに置きました。
「予想通り、いえ、予想以上に短絡的な反応ですね」
向かいの席で、ルーカス閣下が渋い顔をしています。
「笑い事ではないぞ、エリーゼ嬢。これで人の流れが止まる。職人は確保したが、農地の拡大やインフラ整備には、まだまだ単純労働力が足りない。供給を絶たれるのは痛手だ」
閣下の懸念はもっともです。
武力を持った衛兵が街道を封鎖すれば、普通の市民は恐れをなして足を止めるでしょう。
恐怖による統治は、短期的には効果がありますから。
「ええ。普通に『来てください』と募集しても、もう誰も来ないでしょうね」
私は眼鏡の位置を直し、ニヤリと笑いました。
「ですが、人間というのは面白い生き物です。『ダメだ』と言われると、かえってその選択肢が魅力的に見えてしまう心理バイアスを持っています」
「……カリギュラ効果、あるいは心理的リアクタンスか?」
「ご名答です。特に禁止された情報や希少な機会に対して、人は過剰な価値を感じます」
私は手帳を開き、新しい作戦のページを開きました。
タイトルはナッジ。
肘で軽く突くように、相手の行動を強制せず、望ましい方向へ誘導する行動経済学の手法です。
「マリー、裏のルートを使って、王都の酒場や井戸端に噂を流してください」
「どのような噂でしょう?」
「こうです。『ノルト領は今、希望者が殺到しすぎて、入国審査が厳しくなったらしい』。『選ばれた優秀な人間しか入れない、秘密の楽園があるそうだ』と」
私は悪戯っぽくウィンクしました。
「そして、こう付け加えて。『夜中の三時に、裏門の衛兵が交代する一瞬の隙間だけが、唯一の抜け道らしい』とね」
*
数日後の王都。
深夜の裏通りは、かつてないほどの熱気に包まれていました。
「おい、聞いたか? ノルト領に行けば、毎日肉が食えて、冬でもTシャツ一枚で過ごせるらしいぞ」
「でも、禁止令が出てるんだろ?」
「だからこそだよ! 王家が必死に止めるってことは、それだけあっちが良い場所って証拠じゃねえか!」
「それに、今夜なら裏門から抜けられるって噂だ。選ばれた運の良い奴だけが辿り着けるんだと」
禁止されたことでノルト領への移住は、単なる出稼ぎから選ばれし者の冒険へと変わりました。
人々は損得勘定だけでなく、体制に隠された真実を掴む喜びに突き動かされ始めたのです。
衛兵たちが交代のために詰所へ戻った、その一瞬。
闇に紛れて、数十人の家族連れが、息を潜めて城門を抜け出していきます。
衛兵の中には、実は私の手によって買収され、わざと目を逸らしている者がいることも知らずに……。
*
翌朝、ノルト領。
朝日の中、街道の向こうから歩いてくる人々の列を見て、ルーカス閣下は呆れたように笑いました。
「……増えているな」
「ええ。禁止令が出る前より、二割増しです」
私はカウンターを片手に、到着した人々の数を数えました。
「人間は、自分で選んだ、あるいは勝ち取ったと思う選択には、強い愛着を持ちます。苦労して抜け出してきた彼らは、これまで以上に熱心に働いてくれるでしょう」
これがナッジ理論による行動デザイン。
ヘリオス殿下の禁止令という強風は、私の風車を回すためのエネルギーに変換されました。
「さて、人が増えれば消費も増える。次は彼らの生活を支えるための商業圏の確立です。……物流の準備はよろしくて? ルーカス閣下」
「ああ。君の描いた新しい地図の準備は万端だ」
王都が関所を閉じるなら、私たちは道そのものを変えてしまう。
次なる一手は、王国の血管である物流を根底から書き換える大手術です。
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