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第3話:公爵邸への招待
翌朝、私はたった一つのトランクを手に、実家の門の前に立っていました。
「二度とその顔を見せるな! 伯爵家の顔に泥を塗りおって!」
背後で父の怒鳴り声と共に、重たい鉄扉がガシャンと閉ざされました。
予想通りの結末でした。
昨夜の夜会の騒動は、すぐに父の耳に入りました。
父にとって重要なのは、私が無実かではなく、ローズベリー伯爵家との縁が切れたという事実だけでした。
庭師のように扱われていた私には、もとより居場所などなかったのです。
「……さようなら、お父様、お母様」
私は小さく頭を下げ、歩き出しました。
トランクの中身は、数着の地味なワンピースと、父がゴミと呼んだ植物図鑑、そして剪定鋏などの道具だけ。
行く当てがないわけではありません。
昨夜、あの変人公爵様――アルフレッド様が残した、「家を追い出されるなら来い」という言葉。
あれが冗談や気まぐれでないことを祈るばかりです。
王都の外れ、鬱蒼とした森に囲まれたその場所に、リンネ公爵邸はありました。
街の人々が幽霊屋敷と噂するのも頷ける外観です。
蔦が外壁を覆い尽くし、庭木は勝手気ままに枝を伸ばしているように見えます。
けれど、門の前に立った私は、恐怖ではなく感嘆の吐息を漏らしました。
「すごい……! これ、ただの雑草じゃないわ」
壁を這う蔦は、希少な『キヅタ』の変種。
足元に茂る草むらも、よく見れば薬効成分の高いハーブが計算されて混植されています。
一見すると荒れ放題に見えるこの庭は、実は極めて高度な知識によって管理された自然共生型の庭園だったのです。
「――門の前でニヤニヤしている不審者がいると思えば、君か」
錆びついた門の隙間から、銀髪の青年が顔を覗かせました。
昨夜と同じ白衣姿で、目の下には少し隈があります。
「あ、アルフレッド様! おはようございます。その、昨夜のお言葉に甘えて……」
「入るがいい。鍵は開いている」
アルフレッド様は素っ気なく言うと、背を向けてスタスタと歩き出しました。
私は慌ててトランクを抱え、その後を追います。
屋敷の中に通されると、そこは生活空間というより、巨大な博物館のようでした。
廊下にはガラス瓶に入った標本がずらりと並び、壁には細密な植物画が飾られています。
埃っぽい書物の匂いと、乾燥ハーブの香りが混ざり合い、私にとってはどんな香水よりも落ち着く空間でした。
「君の仕事について説明する。まずはこれに着替えたまえ」
通された部屋で、アルフレッド様が放り投げてきたのは、彼とお揃いの白い実験着と、作業用のエプロンでした。
「こ、これは……?」
「私の助手兼、屋敷の管理人の制服だ。当家に使用人はいない。週に一度、通いの清掃員が来るだけだ。他人が入ると研究の邪魔になるのでね」
使用人がいない?
公爵家なのに?
驚く私に、彼は黒板の前で指示棒を振るいました。
「君の任務は三つ。第一に、私の身の回りの世話。食事は適当でいいが、コーヒーだけは切らすな。第二に、屋敷と薬草園の管理。そして第三に――」
アルフレッド様は眼鏡の奥の瞳を光らせ、私を真っ直ぐに見つめました。
「私の研究をサポートすることだ。君の観察眼と知識、昨夜見せてもらったスケッチの腕前。あれを私のために使え」
それは、生まれて初めて私が必要とされた瞬間でした。
飾り人形としての婚約者でもなく、ただ働きをする庭師代わりでもなく……。
私の知識と能力を求めてくれる人がいる。
「……私で、よろしいのですか? 要領が悪くて、地味で、何の取り柄もない女ですが」
「謙遜は非論理的だ。私は君という個体の特性を評価して採用した。君が自分を卑下する必要はない」
彼はぶっきらぼうにそう言うと、「ついて来い」と手招きしました。
屋敷の裏口から外に出た瞬間、私の視界いっぱいに緑の楽園が広がりました。
「わあぁっ……!」
そこには、見たこともないような植物たちがひしめき合っていました。
南国の巨大な葉を持つ植物、砂漠の多肉植物、そして寒冷地の高山植物までもが、ガラス張りの巨大温室の中でゾーニングされ、共存しています。
市場では金貨数枚で取引されるような希少な薬草が、まるで雑草のように無造作に生えていました。
「ここは私の実験場だ。管理が追いつかず荒れ始めていたが、君がいれば立て直せるだろう」
「はい……! はいっ! 私、頑張ります!」
私はトランクを地面に置き、その場を駆け回りたい衝動を必死に抑えました。
ここは天国だわ。
エドワード様の屋敷で、流行の薔薇ばかりを植えさせられ、「センスがない」と罵られた日々が嘘のようです。
「ふん。いい顔をするようになったじゃないか」
アルフレッド様が、口の端をほんの少しだけ緩めていました。
昨夜の冷徹な表情とは違う、皮肉屋だけど、どこか温かい眼差し。
「フローラ。君は今日から、このリンネ植物研究所の正式な一員だ。……歓迎するよ」
「ありがとうございます、所長……、いえ、閣下!」
「アルフレッドでいい。堅苦しいのは嫌いだ」
私は胸がいっぱいになり、何度も頷きました。
こうして、勘当された元男爵令嬢と、変わり者の天才植物学者による奇妙な共同生活が始まりました。
この時の私はまだ知りませんでした。
この楽園での穏やかな日々が、すぐ隣の屋敷に住むあの二人によって、再び騒がしいものになることを。
「ところでフローラ。歓迎会といってはなんだが、隣家から面白い招待状が届いている」
「隣家……、からですか?」
「ああ。ローズベリー伯爵家だ。最高級の果物を自慢するパーティーだとか。……行ってみたくはないか?」
アルフレッド様の目が、楽しそうに、そして悪戯っぽく光りました。
私はごくりと唾を飲み込みました。
それは、私を捨てたエドワード様の屋敷への里帰りならぬ、殴り込みのお誘いだったのです。
「二度とその顔を見せるな! 伯爵家の顔に泥を塗りおって!」
背後で父の怒鳴り声と共に、重たい鉄扉がガシャンと閉ざされました。
予想通りの結末でした。
昨夜の夜会の騒動は、すぐに父の耳に入りました。
父にとって重要なのは、私が無実かではなく、ローズベリー伯爵家との縁が切れたという事実だけでした。
庭師のように扱われていた私には、もとより居場所などなかったのです。
「……さようなら、お父様、お母様」
私は小さく頭を下げ、歩き出しました。
トランクの中身は、数着の地味なワンピースと、父がゴミと呼んだ植物図鑑、そして剪定鋏などの道具だけ。
行く当てがないわけではありません。
昨夜、あの変人公爵様――アルフレッド様が残した、「家を追い出されるなら来い」という言葉。
あれが冗談や気まぐれでないことを祈るばかりです。
王都の外れ、鬱蒼とした森に囲まれたその場所に、リンネ公爵邸はありました。
街の人々が幽霊屋敷と噂するのも頷ける外観です。
蔦が外壁を覆い尽くし、庭木は勝手気ままに枝を伸ばしているように見えます。
けれど、門の前に立った私は、恐怖ではなく感嘆の吐息を漏らしました。
「すごい……! これ、ただの雑草じゃないわ」
壁を這う蔦は、希少な『キヅタ』の変種。
足元に茂る草むらも、よく見れば薬効成分の高いハーブが計算されて混植されています。
一見すると荒れ放題に見えるこの庭は、実は極めて高度な知識によって管理された自然共生型の庭園だったのです。
「――門の前でニヤニヤしている不審者がいると思えば、君か」
錆びついた門の隙間から、銀髪の青年が顔を覗かせました。
昨夜と同じ白衣姿で、目の下には少し隈があります。
「あ、アルフレッド様! おはようございます。その、昨夜のお言葉に甘えて……」
「入るがいい。鍵は開いている」
アルフレッド様は素っ気なく言うと、背を向けてスタスタと歩き出しました。
私は慌ててトランクを抱え、その後を追います。
屋敷の中に通されると、そこは生活空間というより、巨大な博物館のようでした。
廊下にはガラス瓶に入った標本がずらりと並び、壁には細密な植物画が飾られています。
埃っぽい書物の匂いと、乾燥ハーブの香りが混ざり合い、私にとってはどんな香水よりも落ち着く空間でした。
「君の仕事について説明する。まずはこれに着替えたまえ」
通された部屋で、アルフレッド様が放り投げてきたのは、彼とお揃いの白い実験着と、作業用のエプロンでした。
「こ、これは……?」
「私の助手兼、屋敷の管理人の制服だ。当家に使用人はいない。週に一度、通いの清掃員が来るだけだ。他人が入ると研究の邪魔になるのでね」
使用人がいない?
公爵家なのに?
驚く私に、彼は黒板の前で指示棒を振るいました。
「君の任務は三つ。第一に、私の身の回りの世話。食事は適当でいいが、コーヒーだけは切らすな。第二に、屋敷と薬草園の管理。そして第三に――」
アルフレッド様は眼鏡の奥の瞳を光らせ、私を真っ直ぐに見つめました。
「私の研究をサポートすることだ。君の観察眼と知識、昨夜見せてもらったスケッチの腕前。あれを私のために使え」
それは、生まれて初めて私が必要とされた瞬間でした。
飾り人形としての婚約者でもなく、ただ働きをする庭師代わりでもなく……。
私の知識と能力を求めてくれる人がいる。
「……私で、よろしいのですか? 要領が悪くて、地味で、何の取り柄もない女ですが」
「謙遜は非論理的だ。私は君という個体の特性を評価して採用した。君が自分を卑下する必要はない」
彼はぶっきらぼうにそう言うと、「ついて来い」と手招きしました。
屋敷の裏口から外に出た瞬間、私の視界いっぱいに緑の楽園が広がりました。
「わあぁっ……!」
そこには、見たこともないような植物たちがひしめき合っていました。
南国の巨大な葉を持つ植物、砂漠の多肉植物、そして寒冷地の高山植物までもが、ガラス張りの巨大温室の中でゾーニングされ、共存しています。
市場では金貨数枚で取引されるような希少な薬草が、まるで雑草のように無造作に生えていました。
「ここは私の実験場だ。管理が追いつかず荒れ始めていたが、君がいれば立て直せるだろう」
「はい……! はいっ! 私、頑張ります!」
私はトランクを地面に置き、その場を駆け回りたい衝動を必死に抑えました。
ここは天国だわ。
エドワード様の屋敷で、流行の薔薇ばかりを植えさせられ、「センスがない」と罵られた日々が嘘のようです。
「ふん。いい顔をするようになったじゃないか」
アルフレッド様が、口の端をほんの少しだけ緩めていました。
昨夜の冷徹な表情とは違う、皮肉屋だけど、どこか温かい眼差し。
「フローラ。君は今日から、このリンネ植物研究所の正式な一員だ。……歓迎するよ」
「ありがとうございます、所長……、いえ、閣下!」
「アルフレッドでいい。堅苦しいのは嫌いだ」
私は胸がいっぱいになり、何度も頷きました。
こうして、勘当された元男爵令嬢と、変わり者の天才植物学者による奇妙な共同生活が始まりました。
この時の私はまだ知りませんでした。
この楽園での穏やかな日々が、すぐ隣の屋敷に住むあの二人によって、再び騒がしいものになることを。
「ところでフローラ。歓迎会といってはなんだが、隣家から面白い招待状が届いている」
「隣家……、からですか?」
「ああ。ローズベリー伯爵家だ。最高級の果物を自慢するパーティーだとか。……行ってみたくはないか?」
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