「君は自分の利益しか考えてないのか?」と私の成果をタダで配る偽善者の浮気夫。〜やりがい搾取に疲れたので、すべての権利をいただいて去ります〜

水上

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第42話:かつて夫が妻に放った言葉

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「あ……、ああ……」

 セドリックは、床に散らばった図案を見つめ、完全に言葉を失った。

「そして特許の権利は、すでに法的に私個人のものとなっております。あなたが返すも返さないもありません。……私は今日、このウィンザー伯爵家から離縁し、独立いたします。すでに王都の法律家を通じて、離縁状の手続きは進めております」

「り、離縁……? 嘘だ、君が僕から離れられるはずがない! 僕が君を拾ってやったんだぞ! 借金まみれの男爵家から……!」

「その借金は、私がこの三年間の特産品の売り上げで、すでに何倍にもして完済しております」

 オリヴィアは、彼らの希望を一つ一つ、論理的に、そして完璧に叩き潰していった。

「私はもう、あなたたちの名声という実体のないもののために、自分の命を削ることはいたしません。……どうぞ、ステラ様とご一緒に、王宮で素晴らしい愛と奉仕』の言い訳をなさってきてくださいませ」

「オリヴィア……! お願いだ、見捨てないでくれ!」

 セドリックが、嗚咽を漏らしながら再びすがりつこうとした。
 彼にとって、オリヴィアの実務能力を失うことは、自分の存在意義そのものを失うことと同義だったのだ。

 しかし、オリヴィアの心には、もう一片の同情も、情けも湧かなかった。
 彼女は、冷え切った眼差しで、かつて愛したと思い込んでいた夫を見下ろした。

「セドリック様。あなたが私に言った言葉を、お返しいたしますわ」

 オリヴィアは、はっきりと告げた。

「あなたは本当に、目先の利益にこだわるのですね。少しは、ステラ様のように、見返りを求めない純粋な無私の心を持たれてはいかがですか?」

「……っ!」

 完璧なしっぺ返し。

 道徳という鎖でオリヴィアを縛り続けてきたセドリックは、自らが放ったその言葉によって、完全に息の根を止められた。

「さあ、王宮の迎えの馬車が到着したようです」

 オリヴィアは、窓の外を顎で示した。

「私は、あなたが『過労で精神が不安定だ』と宣言してくださったおかげで、この部屋から一歩も出る必要がありません。……お二人で、ご立派な社会貢献の結末を見届けに行ってください」

 オリヴィアは、床にへたり込むセドリックと、青ざめて震えるステラに背を向け、窓際の椅子に優雅に腰を下ろした。

 彼女の顔には、長年の理不尽な労働と精神的支配から完全に解放された、清々しく、そして恐ろしいほどに美しい自由の微笑みが浮かんでいた。

 偽善者たちの最も輝かしい舞台が、最も悲惨な公開処刑の場へと変わる。

 その残酷な劇の幕が、今、完全に上がり切ったのだ。
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