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【第3章】いつも彼女のそばで
第1話
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カチ、カチ、カチ、カチ
エアコンの効いた自分の部屋で、ただひたすら目の前のカーテンを眺める。
カチ、カチ、カチ、カチ
何も話さず、動こうともしない。
物音一つ立たないため、普段だったらまったく気にも留めない置時計の針の音だけが部屋中に響く。
時間を確認してみると、もう16時を回ろうとしていた。
今日は遅めで14時くらいに起きたから、2時間はこうしてずっとぼーっとしていたことになる。
カーテンはあれ以来、締め切ったままにしているため、朝になろうが夜になろうがボクには分からない。
ただ、もう9月上旬にも関わらず外はまだまだ暑いらしく、エアコンなしでは部屋がサウナ状態になるのは確かだ。
だから外には出たくない。部屋からもできる限り出たくない。
まぁ、外が暑いから出たくないというのは後付けの理由にしか過ぎないのだけど。
今日もこうして一日が終わっていく。
こうして何もせず、ただぼーっとするだけ。
でも、この沈黙を破るかのように、傍にずっといてくれている女の子が口を開く。
「今日も暇だねぇ」
ローテーブルにぐったりと倒れながら気だるげにそう話すのは、ボクの幼馴染の朱宮結葉。
「暇だねぇ」
「ねぇ柊、こっちにおいでよ。お姉さんとちょっと遊ばないかい?」
「なにその誘い方?」
「いいでしょ~。いいからこっちにおいでよ」
結葉は座っている位置を後ろにずらし、空いた空間にポンポンと合図をしている。
自分の目の前に座れということかな。
ボクはベッドから結葉の前に移動し、ちょこんと座る。
頭には温かく心地いい感触。
「ふふっ、ちょっと寝癖がついてる」
「最近気にしてないし、どうせ癖ですぐはねちゃうし」
「柊、可愛い」
「可愛いって言うな」
「いいじゃん。可愛いものに可愛いって言って何がいけないの?」
「こういうのはカッコいいとか言ってくれた方が嬉しいものなの」
「あっ、ちょっと拗ねてる~。やっぱり柊は可愛いよ」
「もう。好きにしてくれ」
「わーい♪」
嬉しそうに反応しながら後ろから抱き着かれる。
いつも思うことだけど、こうやって抱き着いてもらえることが何よりも心を安らかにしてくれる。
結葉の声のトーンは決してハキハキとは言えない。いつもダルそうだ。
でも、そのダルさは不快にはならない。
仕草はダルそうなのに、声はどこか甘えん坊のようで、色気すら感じてしまう。
そんな彼女の行動にいつもドキッとしてしまうんだ。
彼女と再会してから半年以上が経過している今ですら、それは変わらない。
抱きしめられていた力が弱まり、結葉の手が後ろからボクの両頬に触れる。
すっと力が入ったかと思うと、天井の方に向かされる。
向いた先には当然天井があると思っていた。
でも、そこには結葉の綺麗な顔があった。
まっすぐボクを見下ろしている。お互いの顔の向きは上下逆さまだ。
それでも結葉の大きな目はボクだけをとらえている。
こうして見てみると、ちょっと垂れ目なのがよく分かる。
「柊が見える」
「うん。結葉の目の中にボクがいるのが分かる」
「そのまま閉じ込めたいなぁ。いい?」
「うーん。それは遠慮しておく」
「けちんぼ」
そう囁いたかと思うと、ボクの視界に入っていた結葉の面積がだんだん大きくなる。
思わず目をつぶる。
ピト
何かがおでこに触れたと思い、目を開けると、結葉のおでこもそこにあった。
「あったかいね」
「うん、あったかい」
「ねぇ、柊」
「なに?」
「なにがあっても、柊は絶対に私が守ってあげる」
「うん。ありがとう」
おでこに感じる温かさと結葉の優しさ。
周りから見れば、ただ暇を持て余しているだけに見えるかもしれない。
でも、今のボクにとってこの時間は、ものすごく大切で、絶対に手放したくない時間なんだ。
エアコンの効いた自分の部屋で、ただひたすら目の前のカーテンを眺める。
カチ、カチ、カチ、カチ
何も話さず、動こうともしない。
物音一つ立たないため、普段だったらまったく気にも留めない置時計の針の音だけが部屋中に響く。
時間を確認してみると、もう16時を回ろうとしていた。
今日は遅めで14時くらいに起きたから、2時間はこうしてずっとぼーっとしていたことになる。
カーテンはあれ以来、締め切ったままにしているため、朝になろうが夜になろうがボクには分からない。
ただ、もう9月上旬にも関わらず外はまだまだ暑いらしく、エアコンなしでは部屋がサウナ状態になるのは確かだ。
だから外には出たくない。部屋からもできる限り出たくない。
まぁ、外が暑いから出たくないというのは後付けの理由にしか過ぎないのだけど。
今日もこうして一日が終わっていく。
こうして何もせず、ただぼーっとするだけ。
でも、この沈黙を破るかのように、傍にずっといてくれている女の子が口を開く。
「今日も暇だねぇ」
ローテーブルにぐったりと倒れながら気だるげにそう話すのは、ボクの幼馴染の朱宮結葉。
「暇だねぇ」
「ねぇ柊、こっちにおいでよ。お姉さんとちょっと遊ばないかい?」
「なにその誘い方?」
「いいでしょ~。いいからこっちにおいでよ」
結葉は座っている位置を後ろにずらし、空いた空間にポンポンと合図をしている。
自分の目の前に座れということかな。
ボクはベッドから結葉の前に移動し、ちょこんと座る。
頭には温かく心地いい感触。
「ふふっ、ちょっと寝癖がついてる」
「最近気にしてないし、どうせ癖ですぐはねちゃうし」
「柊、可愛い」
「可愛いって言うな」
「いいじゃん。可愛いものに可愛いって言って何がいけないの?」
「こういうのはカッコいいとか言ってくれた方が嬉しいものなの」
「あっ、ちょっと拗ねてる~。やっぱり柊は可愛いよ」
「もう。好きにしてくれ」
「わーい♪」
嬉しそうに反応しながら後ろから抱き着かれる。
いつも思うことだけど、こうやって抱き着いてもらえることが何よりも心を安らかにしてくれる。
結葉の声のトーンは決してハキハキとは言えない。いつもダルそうだ。
でも、そのダルさは不快にはならない。
仕草はダルそうなのに、声はどこか甘えん坊のようで、色気すら感じてしまう。
そんな彼女の行動にいつもドキッとしてしまうんだ。
彼女と再会してから半年以上が経過している今ですら、それは変わらない。
抱きしめられていた力が弱まり、結葉の手が後ろからボクの両頬に触れる。
すっと力が入ったかと思うと、天井の方に向かされる。
向いた先には当然天井があると思っていた。
でも、そこには結葉の綺麗な顔があった。
まっすぐボクを見下ろしている。お互いの顔の向きは上下逆さまだ。
それでも結葉の大きな目はボクだけをとらえている。
こうして見てみると、ちょっと垂れ目なのがよく分かる。
「柊が見える」
「うん。結葉の目の中にボクがいるのが分かる」
「そのまま閉じ込めたいなぁ。いい?」
「うーん。それは遠慮しておく」
「けちんぼ」
そう囁いたかと思うと、ボクの視界に入っていた結葉の面積がだんだん大きくなる。
思わず目をつぶる。
ピト
何かがおでこに触れたと思い、目を開けると、結葉のおでこもそこにあった。
「あったかいね」
「うん、あったかい」
「ねぇ、柊」
「なに?」
「なにがあっても、柊は絶対に私が守ってあげる」
「うん。ありがとう」
おでこに感じる温かさと結葉の優しさ。
周りから見れば、ただ暇を持て余しているだけに見えるかもしれない。
でも、今のボクにとってこの時間は、ものすごく大切で、絶対に手放したくない時間なんだ。
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