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【第2章】加入! 幼女戦隊‼
第3話
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こうして、今のドキドキお風呂シーンへと至ったのである。
杏沙は、思ったよりも人の話をろくに聞かずにドンドン話を進めてしまう。
まるで、ろくに口をきかない息子の反応を無視して話しかけまくるオカンだ。
ちなみに、ここは杏沙さんのおばあちゃんが経営している銭湯らしい。
まだ夕方前だからなのか、俺たち以外にお客はいない。
貸し切り状態だ。
「ほら! 武能さんもこっちおいでよ!」
「喜んで!」
姿は幼女であれど、中身は健全な22歳の男。
本能に抗うことなんてできない。できるわけがない。
心臓をバクバクさせながら杏沙と一葉のところまで移動してお湯につかる。
カメラのシャッターを切るがごとく、目をパチパチさせて脳内保存。
しかし……
ちきしょう!
この銭湯、湯気がすごくて肝心なところがよく見えないぞ……。
一生懸命目を凝らしていると、
「ん? 私の顔に何かついてる? 泡とか?」
「ヒェ!」
あまりの無防備な状態に胸の鼓動が収まらない。
思わず声が上ずってしまった。
それにしても、すっぴんでこの美貌とは……。
このままだと少年漫画にありがちな鼻血ブー展開になりかねないので、ガン見ではなく、目線だけチラチラさせていると、
「武能さん」
「へい!」
まずい……エッティな視線を向けていたのを気付かれたか?
しかし、杏沙から出た質問は、至極当然のものだった。
「なんで武能さんは、まだ変身したままなの?」
……まずい。
……非常にまずい。
なんとかしてごまかさないと……!
必死に言い訳を思い浮かべるが、こういうときに限って言葉が口から出てくれない。
おそらく世界水泳にも出られるんじゃないかってくらいのスピードで目が泳ぎまくっていることだろう。
次の言葉が出ずに口をパクパクさせていると、
「あっ! もしかして、初めて変身したから解除の仕方が分からないとか? 私も最初はそうだったなぁ。あのときはダピルに解除してもらったんだよね~。ねぇダピル!」
「なんダピ~?」
お湯に浮かんでいる桶から声が聞こえた。
目を凝らしてよく見てみると、ネコ型ぬいぐるみが桶の中にお湯を入れて気持ち良さそうにくつろいでいる。
お湯につかって大丈夫なのか? 身体がお湯を吸って重くならないのだろうか?
いや、今はそんなことを心配してる場合じゃねぇ!
この流れはまずいぞ……!
「武能さんが変身を解除できないみたいなの。解除してあげて————」
「どぅわあいじょうぶです!」
「きゃっ! びっくりしました……」
「どうしたの? 急に叫んで」
必死でごまかそうとしたが、そのせいで訳の分からない言葉を叫んでしまった。
なんとか体裁を取り繕う。
「いや、この身体、意外と気に入ってるんですよね……。だからもう少しこのままでもいいかなって……」
「え~、でも元の姿の武能さんも見てみたいよ。今のままでもすごく可愛いんだから、きっと元の姿も可愛い女の子のはず! ね? 一葉ちゃん♪」
「はい……。武能さんはその……可愛くてどこかカッコいいところもあるので、元のお姿もきっと素敵な女性だと思い……ます!」
ありがたい! 超嬉しい!
仮の姿に対しての言葉だとしても、そんなことをこんな美女二人に言ってもらえることなんて二度とないだろう。
でも違うんだ!
そもそも、なんで二人とも俺が女だと思ってるんだ?
そりゃ、今は幼女の姿だから変身を解除しても女のままという可能性もある。
でもあまりにも決めつけすぎだろ。
そのとき、ふと変身する直前の出来事を思い出す。
『君は性別学的に女性か?』
たしか、ダピルが最初に俺に話しかけてきたとき、こんな素っ頓狂なことを聞いてきた。
なぜそんなことを確認する必要があったんだ?
まさか……!
もし、変身するためには〈女〉である必要があったなら?
もし、〈男は変身できない〉と決まっていたのだとしたら?
これが真実なら、二人が俺の元の姿が女であると疑わない理由にも納得だ。
だとしたら、かなりやばいんじゃねぇか?
このまま変身を解除されたら、俺はとんだ犯罪者じゃねぇか!
でも、さすがにダピルも変身を解除したらゴートゥーヘル案件になることは分かっているだろう。
ダピルに「君なら分かってくれるだろ?」という笑顔を向ける。
するとダピルも、愛くるしい笑顔を返してくれた。
『分かってるピ。相棒』
そう言ってくれている気がした。
サンキュー、相棒。
たとえ出会ってからまだ1時間くらいしか経ってないとしても、こうして分かり合うことができる。
そうか、これが友情なんだな……。
久しぶりの温かい感情に浸っていると、
「さすがにずっと変身したままだとパワーの消費が心配ダピ。YOJOパワー、リムーブ!」
あれ……?
リムーブ……?
それってどんな意味だったっけ……?
その答えに行きつく前に、身体が光に包まれる。
そして……
パオーン!
お湯の中から象が現れた。
「キャー――――――‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
ペチン!
ドカッ! ドスッ!
バキバキ!
バゴーンッ!
ブクブクブク……
……チーン
父さん。母さん。そして妹よ。
女風呂って、ロマンと殺気にあふれてることを初めて知りました……。
杏沙は、思ったよりも人の話をろくに聞かずにドンドン話を進めてしまう。
まるで、ろくに口をきかない息子の反応を無視して話しかけまくるオカンだ。
ちなみに、ここは杏沙さんのおばあちゃんが経営している銭湯らしい。
まだ夕方前だからなのか、俺たち以外にお客はいない。
貸し切り状態だ。
「ほら! 武能さんもこっちおいでよ!」
「喜んで!」
姿は幼女であれど、中身は健全な22歳の男。
本能に抗うことなんてできない。できるわけがない。
心臓をバクバクさせながら杏沙と一葉のところまで移動してお湯につかる。
カメラのシャッターを切るがごとく、目をパチパチさせて脳内保存。
しかし……
ちきしょう!
この銭湯、湯気がすごくて肝心なところがよく見えないぞ……。
一生懸命目を凝らしていると、
「ん? 私の顔に何かついてる? 泡とか?」
「ヒェ!」
あまりの無防備な状態に胸の鼓動が収まらない。
思わず声が上ずってしまった。
それにしても、すっぴんでこの美貌とは……。
このままだと少年漫画にありがちな鼻血ブー展開になりかねないので、ガン見ではなく、目線だけチラチラさせていると、
「武能さん」
「へい!」
まずい……エッティな視線を向けていたのを気付かれたか?
しかし、杏沙から出た質問は、至極当然のものだった。
「なんで武能さんは、まだ変身したままなの?」
……まずい。
……非常にまずい。
なんとかしてごまかさないと……!
必死に言い訳を思い浮かべるが、こういうときに限って言葉が口から出てくれない。
おそらく世界水泳にも出られるんじゃないかってくらいのスピードで目が泳ぎまくっていることだろう。
次の言葉が出ずに口をパクパクさせていると、
「あっ! もしかして、初めて変身したから解除の仕方が分からないとか? 私も最初はそうだったなぁ。あのときはダピルに解除してもらったんだよね~。ねぇダピル!」
「なんダピ~?」
お湯に浮かんでいる桶から声が聞こえた。
目を凝らしてよく見てみると、ネコ型ぬいぐるみが桶の中にお湯を入れて気持ち良さそうにくつろいでいる。
お湯につかって大丈夫なのか? 身体がお湯を吸って重くならないのだろうか?
いや、今はそんなことを心配してる場合じゃねぇ!
この流れはまずいぞ……!
「武能さんが変身を解除できないみたいなの。解除してあげて————」
「どぅわあいじょうぶです!」
「きゃっ! びっくりしました……」
「どうしたの? 急に叫んで」
必死でごまかそうとしたが、そのせいで訳の分からない言葉を叫んでしまった。
なんとか体裁を取り繕う。
「いや、この身体、意外と気に入ってるんですよね……。だからもう少しこのままでもいいかなって……」
「え~、でも元の姿の武能さんも見てみたいよ。今のままでもすごく可愛いんだから、きっと元の姿も可愛い女の子のはず! ね? 一葉ちゃん♪」
「はい……。武能さんはその……可愛くてどこかカッコいいところもあるので、元のお姿もきっと素敵な女性だと思い……ます!」
ありがたい! 超嬉しい!
仮の姿に対しての言葉だとしても、そんなことをこんな美女二人に言ってもらえることなんて二度とないだろう。
でも違うんだ!
そもそも、なんで二人とも俺が女だと思ってるんだ?
そりゃ、今は幼女の姿だから変身を解除しても女のままという可能性もある。
でもあまりにも決めつけすぎだろ。
そのとき、ふと変身する直前の出来事を思い出す。
『君は性別学的に女性か?』
たしか、ダピルが最初に俺に話しかけてきたとき、こんな素っ頓狂なことを聞いてきた。
なぜそんなことを確認する必要があったんだ?
まさか……!
もし、変身するためには〈女〉である必要があったなら?
もし、〈男は変身できない〉と決まっていたのだとしたら?
これが真実なら、二人が俺の元の姿が女であると疑わない理由にも納得だ。
だとしたら、かなりやばいんじゃねぇか?
このまま変身を解除されたら、俺はとんだ犯罪者じゃねぇか!
でも、さすがにダピルも変身を解除したらゴートゥーヘル案件になることは分かっているだろう。
ダピルに「君なら分かってくれるだろ?」という笑顔を向ける。
するとダピルも、愛くるしい笑顔を返してくれた。
『分かってるピ。相棒』
そう言ってくれている気がした。
サンキュー、相棒。
たとえ出会ってからまだ1時間くらいしか経ってないとしても、こうして分かり合うことができる。
そうか、これが友情なんだな……。
久しぶりの温かい感情に浸っていると、
「さすがにずっと変身したままだとパワーの消費が心配ダピ。YOJOパワー、リムーブ!」
あれ……?
リムーブ……?
それってどんな意味だったっけ……?
その答えに行きつく前に、身体が光に包まれる。
そして……
パオーン!
お湯の中から象が現れた。
「キャー――――――‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
ペチン!
ドカッ! ドスッ!
バキバキ!
バゴーンッ!
ブクブクブク……
……チーン
父さん。母さん。そして妹よ。
女風呂って、ロマンと殺気にあふれてることを初めて知りました……。
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