11 / 37
【第3章】 チャージ! YOJOパワー‼
第2話
しおりを挟む
ウァラクを倒した俺たちは、三人での初勝利の余韻に浸るかのように、海に沈む夕日を眺めている。
この島の海は本当に綺麗だ。
見ているだけで心が洗われる。
この光景を見れば魔法少女とやらも心が浄化されて、この世界を滅ぼそうだなんて気は起こさないんじゃないか?
そんなことを思っていたが、一匹のネコ型AIは、どこか釈然としていないみたいで、
「全然ダメダピ! 君たちはまだ現状で満足してちゃダメダピ!」
と、勝利をしても満足は許さない少年野球の監督みたいなことを言い出した。
「何がダメなんだよ。三人で掴んだ初めての勝利だぞ? 少しは余韻に浸ってもいいじゃねぇか」
「そう言いながらダピルの鼻をつまむのはやめてほしいピ!」
「おっとすまない」
「それで? なんでダメなの? そりゃ新斗は幼女戦隊に入ってからまだ間もないし、私と一葉だって戦い慣れてるわけじゃないから、手こずってはいるけど」
「はい……もっと……頑張らないとですよね」
「確かに戦い慣れていくことは必要ダピ! でも、ダピルが懸念してることはもっと深刻な問題ダピ」
急に重々しい雰囲気になってしまい、思わず三人とも息を飲む。
ダピルは海を眺め、寂しそうな背中でこう言った。
「このままだと、魔法少女はおろか、これから出てくるであろう悪魔にも勝てなくなるピ」
波が堤防に衝突する音だけがこだまする。
沈黙を破ったのは杏沙。
「どういうことよそれ? だって、さっきは少し手こずっちゃったけど、全員無傷で倒せたのよ? 魔法少女の力がどれくらいなのかは分からないけど、あれくらいの悪魔ならこれからだって余裕で倒せるに決まってる。そうだよね? 新斗、一葉ちゃん?」
「お、おう」
「……そうですね」
杏沙の言う通り、魔法少女がどれだけ強いかは分からないが、俺たちの力が合わされば、きっと大丈夫なはずだ。
しかし、ダピルの口から聞かされた真実は驚くべきものだった。
「さっきの敵……ウァラクは、悪魔の中でも最弱の部類に入る低級悪魔ダピ。本来ならあの程度なら一人でも一発で倒さないといけないレベルダピ」
「……嘘……だろ」
驚くべき真実に思わず動揺する俺。
かまわずダピルは続ける。
「ウァラクは最初に名乗ったピ。『悪魔72柱の一つ』だと。そう、悪魔は全部で72体いるピ。そして、ウァラクのランクは62。ランクが上がるごとに強さはどんどん上がっていく。そしてそのトップに君臨する魔法少女の強さはもはや未知数。このままの君たちの強さじゃ到底かなう相手じゃないことは確かダピ」
「マジか……。じゃあどうすればいいんだよ?」
「YOJOパワーの底上げが必要ダピ」
「えっ、パワーって鍛えられるの?」
杏沙が質問する。
「当然ダピ。強くなりたければひたすらバットを振り続けるしかないピ」
「その少年野球監督ネタ、続いてたのかよ」
「野球も同じダピ。ひたすらバットを振り続けることは前提条件。これに加えて、もっと効率よく実力をつけるために、スイングスピードを速めるために腕の筋力をつけたり、体幹を鍛えてしっかりと下半身の力をバットに伝えられるようにしないといけないんダピ」
「詳しいな」
「YOJOパワーも同じダピ。持続と効率なんダピ。効率よくパワーアップするために、君たちにはとても大切な二つのポイントを教えるピ!」
「「「おお!」」」
三人が一斉に感嘆の声を上げる。
すかさず俺は続きを聞く。
「ずばりその2つのポイントとは……?」
「ダピ。その2つのポイントとは」
「「「ポイントとは……?」」」
この島の海は本当に綺麗だ。
見ているだけで心が洗われる。
この光景を見れば魔法少女とやらも心が浄化されて、この世界を滅ぼそうだなんて気は起こさないんじゃないか?
そんなことを思っていたが、一匹のネコ型AIは、どこか釈然としていないみたいで、
「全然ダメダピ! 君たちはまだ現状で満足してちゃダメダピ!」
と、勝利をしても満足は許さない少年野球の監督みたいなことを言い出した。
「何がダメなんだよ。三人で掴んだ初めての勝利だぞ? 少しは余韻に浸ってもいいじゃねぇか」
「そう言いながらダピルの鼻をつまむのはやめてほしいピ!」
「おっとすまない」
「それで? なんでダメなの? そりゃ新斗は幼女戦隊に入ってからまだ間もないし、私と一葉だって戦い慣れてるわけじゃないから、手こずってはいるけど」
「はい……もっと……頑張らないとですよね」
「確かに戦い慣れていくことは必要ダピ! でも、ダピルが懸念してることはもっと深刻な問題ダピ」
急に重々しい雰囲気になってしまい、思わず三人とも息を飲む。
ダピルは海を眺め、寂しそうな背中でこう言った。
「このままだと、魔法少女はおろか、これから出てくるであろう悪魔にも勝てなくなるピ」
波が堤防に衝突する音だけがこだまする。
沈黙を破ったのは杏沙。
「どういうことよそれ? だって、さっきは少し手こずっちゃったけど、全員無傷で倒せたのよ? 魔法少女の力がどれくらいなのかは分からないけど、あれくらいの悪魔ならこれからだって余裕で倒せるに決まってる。そうだよね? 新斗、一葉ちゃん?」
「お、おう」
「……そうですね」
杏沙の言う通り、魔法少女がどれだけ強いかは分からないが、俺たちの力が合わされば、きっと大丈夫なはずだ。
しかし、ダピルの口から聞かされた真実は驚くべきものだった。
「さっきの敵……ウァラクは、悪魔の中でも最弱の部類に入る低級悪魔ダピ。本来ならあの程度なら一人でも一発で倒さないといけないレベルダピ」
「……嘘……だろ」
驚くべき真実に思わず動揺する俺。
かまわずダピルは続ける。
「ウァラクは最初に名乗ったピ。『悪魔72柱の一つ』だと。そう、悪魔は全部で72体いるピ。そして、ウァラクのランクは62。ランクが上がるごとに強さはどんどん上がっていく。そしてそのトップに君臨する魔法少女の強さはもはや未知数。このままの君たちの強さじゃ到底かなう相手じゃないことは確かダピ」
「マジか……。じゃあどうすればいいんだよ?」
「YOJOパワーの底上げが必要ダピ」
「えっ、パワーって鍛えられるの?」
杏沙が質問する。
「当然ダピ。強くなりたければひたすらバットを振り続けるしかないピ」
「その少年野球監督ネタ、続いてたのかよ」
「野球も同じダピ。ひたすらバットを振り続けることは前提条件。これに加えて、もっと効率よく実力をつけるために、スイングスピードを速めるために腕の筋力をつけたり、体幹を鍛えてしっかりと下半身の力をバットに伝えられるようにしないといけないんダピ」
「詳しいな」
「YOJOパワーも同じダピ。持続と効率なんダピ。効率よくパワーアップするために、君たちにはとても大切な二つのポイントを教えるピ!」
「「「おお!」」」
三人が一斉に感嘆の声を上げる。
すかさず俺は続きを聞く。
「ずばりその2つのポイントとは……?」
「ダピ。その2つのポイントとは」
「「「ポイントとは……?」」」
0
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる