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【第3章】恋愛フラグ、そして身悶える
第5話
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伊勢崎先輩から逃げて教室へ。
教室に入るやいなや、クラス中でこそこそ話が聞こえる。
「伊勢崎先輩と何かあったのかな」
「告白とか?」
「え~! ないでしょ!」
「伊勢崎先輩と手を繋いでただろ! 羨ましい! いや、恨めしい!」
「ていうか、あいつの名前、太田っていうのか。あんな奴いたっけ?」
さすがに名前くらいは憶えててくれよ。あと勝手に恨まないでくれ。2カ月も一緒に過ごしてきたクラスメイトだろ?
まぁいいや。
走ったせいなのか、先ほどの出来事のせいなのかは分からないが、心臓の鼓動が未だに鳴り止まない。
「おいおい、なんだったんだよ、さっきのあれは? ふんすふんす 」
後ろの席にいる友助が、先ほどの伊勢崎先輩と同じくらいの近さまで接近してくる。
前のめり過ぎ! あと鼻息も荒過ぎ!
俺は近づいてくる顔を懇切丁寧に押しのける。
「いろんな出来事が重なった結果だ。お前には関係ない」
「そんなこと言うなよ、俺たち親友だろ? で? 何があったの? 告白?」
「んなわけあるか! 俺も心の整理がついていないんだ。ちょっと黙っててくれ」
手でバッテンを作り、これ以上はもう勘弁という合図を送る。
そのまま黒板の方を振り返るが「あとで教えてくれよ?」という言葉を残し、友助はそのまま何も聞かずにいてくれた。
相手が踏み込んでほしくないところを、ちゃんとわきまえて接することができるのが、こいつのいいところだ。人との距離感が絶妙。
だからこそ、いろんな女の子と付き合うことができるのだろう。長くは続かないが。
ちなみに、さっきからずっと、俺の頭にパンチを繰り出し続けている前橋さんは無視している。
目にハイライトが宿っていない。
ごめんよ前橋さん。
また急に走って負担をかけることになっちゃって……
そして怖いです……
でもしかたないじゃん。
あれはさすがにレベルが高すぎる試練だったよ?
声には出さないものの、口の動きだけで「ごめんなさい」と謝った。
「いくじなし」
そう吐き捨て、前橋さんは教室の一番後ろにあるロッカーの上にちょこんと腰かけた。
いまやそこが彼女の定位置になっている。
ひとまず頭を整理しないと。
ほどなくして、朝のホームルーム開始を告げるチャイムが鳴り、同タイミングで安中先生がやってくる。
口を動かしながら何やら喋っていることは分かるが、今の俺の耳には届かない。
視界をわざとぼやかせ、先ほどの伊勢崎先輩との出来事を思い起こす。
いい匂いだったなぁ~。
あとなんか柔らかかった~。
迫りくるレモンとスイカ。
それらが俺の全身を優しく包み込む。
あ~幸せ。
そこへ女の人の声が耳元で囁かれる。
『私は、君がほしいの』
『私は! ずっと待ってるから! 君が陸上部に来てくれることを! 絶対に!』
レモンとスイカだったものが伊勢崎先輩に代わる。
目の前にはぷるんとした唇。
ゆっくりとその唇が開かれ————
『直行君』
「うおっ!」
と、そこで、我に返る。
「太田、朝から締まりのない声を出すな」
安中先生がややご立腹気味だ。
「すみません……」
「本日の最後の授業は、私の英語だ。たくさん資料を持ってくるつもりだったし、手伝ってくれ。
その締まりのない顔を少しでも引き締めてやる」
「う……はい」
頭を整理するつもりが、変なことを思い浮かべてしまい、挙句の果てにはそのせいでこの体たらく。
はぁ。朝から何やってんだよ、俺は。
こんなんじゃ、2週間後の期末試験で1位を死守できなくなってしまう。
切り替え切り替え!
ペチペチと軽く頬を両手でたたき、気合を入れ直す。
せめて勉強だけでも意地を見せてやる。
そして、ゆくゆくは恋にだって真正面からぶつかってやる!
その後の俺は、朝の出来事を頭の片隅に追いやり、なんとか授業を乗り切ることができた。
教室に入るやいなや、クラス中でこそこそ話が聞こえる。
「伊勢崎先輩と何かあったのかな」
「告白とか?」
「え~! ないでしょ!」
「伊勢崎先輩と手を繋いでただろ! 羨ましい! いや、恨めしい!」
「ていうか、あいつの名前、太田っていうのか。あんな奴いたっけ?」
さすがに名前くらいは憶えててくれよ。あと勝手に恨まないでくれ。2カ月も一緒に過ごしてきたクラスメイトだろ?
まぁいいや。
走ったせいなのか、先ほどの出来事のせいなのかは分からないが、心臓の鼓動が未だに鳴り止まない。
「おいおい、なんだったんだよ、さっきのあれは? ふんすふんす 」
後ろの席にいる友助が、先ほどの伊勢崎先輩と同じくらいの近さまで接近してくる。
前のめり過ぎ! あと鼻息も荒過ぎ!
俺は近づいてくる顔を懇切丁寧に押しのける。
「いろんな出来事が重なった結果だ。お前には関係ない」
「そんなこと言うなよ、俺たち親友だろ? で? 何があったの? 告白?」
「んなわけあるか! 俺も心の整理がついていないんだ。ちょっと黙っててくれ」
手でバッテンを作り、これ以上はもう勘弁という合図を送る。
そのまま黒板の方を振り返るが「あとで教えてくれよ?」という言葉を残し、友助はそのまま何も聞かずにいてくれた。
相手が踏み込んでほしくないところを、ちゃんとわきまえて接することができるのが、こいつのいいところだ。人との距離感が絶妙。
だからこそ、いろんな女の子と付き合うことができるのだろう。長くは続かないが。
ちなみに、さっきからずっと、俺の頭にパンチを繰り出し続けている前橋さんは無視している。
目にハイライトが宿っていない。
ごめんよ前橋さん。
また急に走って負担をかけることになっちゃって……
そして怖いです……
でもしかたないじゃん。
あれはさすがにレベルが高すぎる試練だったよ?
声には出さないものの、口の動きだけで「ごめんなさい」と謝った。
「いくじなし」
そう吐き捨て、前橋さんは教室の一番後ろにあるロッカーの上にちょこんと腰かけた。
いまやそこが彼女の定位置になっている。
ひとまず頭を整理しないと。
ほどなくして、朝のホームルーム開始を告げるチャイムが鳴り、同タイミングで安中先生がやってくる。
口を動かしながら何やら喋っていることは分かるが、今の俺の耳には届かない。
視界をわざとぼやかせ、先ほどの伊勢崎先輩との出来事を思い起こす。
いい匂いだったなぁ~。
あとなんか柔らかかった~。
迫りくるレモンとスイカ。
それらが俺の全身を優しく包み込む。
あ~幸せ。
そこへ女の人の声が耳元で囁かれる。
『私は、君がほしいの』
『私は! ずっと待ってるから! 君が陸上部に来てくれることを! 絶対に!』
レモンとスイカだったものが伊勢崎先輩に代わる。
目の前にはぷるんとした唇。
ゆっくりとその唇が開かれ————
『直行君』
「うおっ!」
と、そこで、我に返る。
「太田、朝から締まりのない声を出すな」
安中先生がややご立腹気味だ。
「すみません……」
「本日の最後の授業は、私の英語だ。たくさん資料を持ってくるつもりだったし、手伝ってくれ。
その締まりのない顔を少しでも引き締めてやる」
「う……はい」
頭を整理するつもりが、変なことを思い浮かべてしまい、挙句の果てにはそのせいでこの体たらく。
はぁ。朝から何やってんだよ、俺は。
こんなんじゃ、2週間後の期末試験で1位を死守できなくなってしまう。
切り替え切り替え!
ペチペチと軽く頬を両手でたたき、気合を入れ直す。
せめて勉強だけでも意地を見せてやる。
そして、ゆくゆくは恋にだって真正面からぶつかってやる!
その後の俺は、朝の出来事を頭の片隅に追いやり、なんとか授業を乗り切ることができた。
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⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
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