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【第5章】時の悪戯、そして決意する

第6話

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 7月10日、土曜日。高崎家玄関前。

 3回目の高崎家訪問。
 女の子の家ってだけで、その緊張感は倍増する。たとえ小さい妹さんがいたとしても。

 ピンポーン

 玄関のチャイムを鳴らし、雫ちゃんが来るのを待つ。

 ガチャ

「こんにちは」
「おにぃちゃん、だーれ? 」
「お兄ちゃんは、お姉ちゃんのお友達だよ」
「そっか! おねぇちゃん! かっこいいおにぃちゃんがきたよ~!」

 あぁ、雫ちゃん、マジ可愛い。
 もう癒しです。

 この年にして俺の良さを分かってくれるなんて、将来はきっと高崎さんにも負けないマドンナになりそうだ。

「いきなり妹がごめんねぇ」
「そんなことないよ、俺にも妹がいるから慣れっこ」
「そっか、ならよかった♪ 雫を膝に乗せたままでも大丈夫?」
「うん、問題ない。雫ちゃん、お兄ちゃんたち今からお勉強だから、静かにしててね」
「は~い! しずくね、おにぃちゃん好きなのぉ~」
「この子ったら。いきなりこんなに懐くなんて珍しい。じゃあお言葉に甘えて、このまま勉強しよっか♪」
「……そうだね」

 そういえば、雫ちゃんにも好きって言ってもらってたんだっけ……
 でも《巻き戻し》は起こらない。

 なんかちょっと……訳が分からなくなってきた。
 いったい俺が何をしたっていうんだよ。

 学園のマドンナと一つ屋根の下にいるドキドキのシチュエーションのはずなのに、心のモヤモヤの方が大きくなっているのを感じた。
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