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二章
何が出来るのか
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「どうにか――ならないかな?」
思わず口をついた僕のそんな言葉に、ニーヤが答える。
「見たわけじゃないから何とも言えないけど、その契約自体に不備はないんだと思うわ。証人を入れての公的なモノだと思うし、期日までに払えなかったら担保をとられて当然ね。
でも、その袋。お金と一緒に入ってるその紙って宿の権利書じゃない? これはアタシの想像なんだけど、借りたお金とは別に、宿の権利書も渡すから娘を返してくれ――とか言ったんじゃないかしら」
ニーヤの指摘にトートさんが頷く。その鋭い観察眼に、僕は少しだけ感心した。
「で断られたと――」
呟くように言って、こめかみに手を上げて熟考する。
「……分からないわね」
「分からないって?」
「どうして娘だったのかってことよ。言い方が悪いかもしれないけど、貴族の娘ならまだしも、宿屋の町娘にそんな高値はつかない。そもそも借金の担保なら宿の方を押さえるはずよ。どう考えたってつりあわないもの」
「確かに、ニーヤの言うとおりですね。貴族側には何の特もなさそうな感じはしますが……」
貸した金を回収することもせず、店も取り上げず。貴族はどうして娘だけを求めたのか。
少し考えると、ある可能性が頭をよぎった。
「あのさ――もしかしてなんだけど、その貴族は娘さんの事が好きで、無理矢理にでも自分のモノに――って可能性はないかな?」
権力者が気に入った女性を無理矢理に――なんて話は結構ありそうなモノだし、それだったら利益度外視で娘をさらった貴族の行動に説明がつくような気もする。
だけど、僕の推理はトートさんにあっさりと否定された。
「それは考えられません。私の娘は十《とう》になったばかりの子供です。そう、その子と丁度同じくらいでして」
トートさんがちらりとペロ様を見た。
やはり誰の目にもペロ様は子供に見えるのだろう。
実は僕と、正確には僕達四人共同じ十八歳なのだが、ペロ様の場合はあまりにも外見と実年齢がかけ離れすぎている。
「いや、そうとは言い切れないわよ。幼女に欲情する変態もいるわけだし――」
そう言ったニーヤが冷たい目で僕を見た。
「ちょっと待って! それじゃあ僕が幼女に欲情する変態みたいじゃないか! 発言の撤回を要求する!」
ペロ様は幼女であって幼女ではないわけで、同じ歳の女性に欲情するのは多感なお年頃の男子なら極々自然な現象であって。幼女に欲情する事はない。
見た目が幼女なだけで、幼女の見た目に欲情しているわけではない。
そもそも欲情の定義はなんだ。ウィキはどこだ。
「多分それは……いや……でも趣味は人それぞれですしなぁ……」
ううむ、と軽く唸ったトートさんと目が合った。その目は完全に誤解している眼差し。
そんな時、僕達のやりとりを眺めていた店の女性が口を開いた。
「あの……流石にそれはないと思いますよ? ヴィクトラード様は奥様が亡くなった後も独身を貫かれている愛妻家です。そもそもそんな特殊な性癖を持っているならすぐに噂は広まるものですよ。トートさん、まだお酒が抜けていないんですか?」
呆れ顔で言う女性に、トートさんは苦笑を浮かべ頭をかいた。
「そうだな。だが、理由が思いつかないんだよ。何か言ってくれれば、せめて理由を聞かせてくれれば――」
そう言って、再びテーブルに視線を戻す。
困っている人を目の前に、僕には何が出来るんだろうと考えていた。
思わず口をついた僕のそんな言葉に、ニーヤが答える。
「見たわけじゃないから何とも言えないけど、その契約自体に不備はないんだと思うわ。証人を入れての公的なモノだと思うし、期日までに払えなかったら担保をとられて当然ね。
でも、その袋。お金と一緒に入ってるその紙って宿の権利書じゃない? これはアタシの想像なんだけど、借りたお金とは別に、宿の権利書も渡すから娘を返してくれ――とか言ったんじゃないかしら」
ニーヤの指摘にトートさんが頷く。その鋭い観察眼に、僕は少しだけ感心した。
「で断られたと――」
呟くように言って、こめかみに手を上げて熟考する。
「……分からないわね」
「分からないって?」
「どうして娘だったのかってことよ。言い方が悪いかもしれないけど、貴族の娘ならまだしも、宿屋の町娘にそんな高値はつかない。そもそも借金の担保なら宿の方を押さえるはずよ。どう考えたってつりあわないもの」
「確かに、ニーヤの言うとおりですね。貴族側には何の特もなさそうな感じはしますが……」
貸した金を回収することもせず、店も取り上げず。貴族はどうして娘だけを求めたのか。
少し考えると、ある可能性が頭をよぎった。
「あのさ――もしかしてなんだけど、その貴族は娘さんの事が好きで、無理矢理にでも自分のモノに――って可能性はないかな?」
権力者が気に入った女性を無理矢理に――なんて話は結構ありそうなモノだし、それだったら利益度外視で娘をさらった貴族の行動に説明がつくような気もする。
だけど、僕の推理はトートさんにあっさりと否定された。
「それは考えられません。私の娘は十《とう》になったばかりの子供です。そう、その子と丁度同じくらいでして」
トートさんがちらりとペロ様を見た。
やはり誰の目にもペロ様は子供に見えるのだろう。
実は僕と、正確には僕達四人共同じ十八歳なのだが、ペロ様の場合はあまりにも外見と実年齢がかけ離れすぎている。
「いや、そうとは言い切れないわよ。幼女に欲情する変態もいるわけだし――」
そう言ったニーヤが冷たい目で僕を見た。
「ちょっと待って! それじゃあ僕が幼女に欲情する変態みたいじゃないか! 発言の撤回を要求する!」
ペロ様は幼女であって幼女ではないわけで、同じ歳の女性に欲情するのは多感なお年頃の男子なら極々自然な現象であって。幼女に欲情する事はない。
見た目が幼女なだけで、幼女の見た目に欲情しているわけではない。
そもそも欲情の定義はなんだ。ウィキはどこだ。
「多分それは……いや……でも趣味は人それぞれですしなぁ……」
ううむ、と軽く唸ったトートさんと目が合った。その目は完全に誤解している眼差し。
そんな時、僕達のやりとりを眺めていた店の女性が口を開いた。
「あの……流石にそれはないと思いますよ? ヴィクトラード様は奥様が亡くなった後も独身を貫かれている愛妻家です。そもそもそんな特殊な性癖を持っているならすぐに噂は広まるものですよ。トートさん、まだお酒が抜けていないんですか?」
呆れ顔で言う女性に、トートさんは苦笑を浮かべ頭をかいた。
「そうだな。だが、理由が思いつかないんだよ。何か言ってくれれば、せめて理由を聞かせてくれれば――」
そう言って、再びテーブルに視線を戻す。
困っている人を目の前に、僕には何が出来るんだろうと考えていた。
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