性剣セクシーソード

cure456

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二章

生が終わる音

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 片腕で僕を宙吊りにするほどの力。圧倒的な力。
 僕が勝てるはずは無く。彼女が負ける事もない。
 どう足掻いても覆《くつがえ》す事の出来ない戦力差。
 だが、そんな状況だからこそ生まれる心の隙。
 慢心。強さゆえの驕り。自惚《うぬぼ》れ。
 そんな感情が、彼女から神器を手放させた。
 彼女がした事は、僕の左腕と右足を潰しただけ。
 僕はまだ生きている。剣を握る右腕も。

「神の目は良く見えそうだけど……何でもお見通しってわけじゃ……なさそうだ……」
「何だと?」
 刀身が輝きを増す。
 僕の持てる全ての力を、最後の希望を光に変えて。

「きっ、貴様!?」
 今更気づいても、もう遅い。
 この至近距離。手を伸ばせば触れられる程の距離なら、外す事はない。 
「くらええええええええええええええええええええ!」
 セクシーソードが、眩い光を放った。 

 彼女の左手は僕を掴んでいる。彼女の身を守る神器はない。
 よける余裕もない。
 光の軌跡は、その身体を切断する――はずだった。
 だが、彼女はおもむろに空いている右手をソレに。
 セクシーソードから放たれた衝撃波につき立てた。

「くっ……! おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 彼女の咆哮に、呼吸さえも許さぬほどの力に、大地が震える。
 そして、希望は砕かれた。
 物質ですらないその光は、まるでガラスを粉砕したかのように儚く、風に散った。

「ま、まさか……こんな力を隠していた……とはな……」
「嘘……だろ……」
 全力で放った衝撃波は、彼女の息を乱し、掌を焦がしただけ。
 光が消え、刀身が消え、柄だけになったセクシーソード。
 残ったのは――絶望だけ。


「ハハハハハハ! 楽に殺してやろうと思ったが! やめだ! お前にはたっぷりとつきあってもらうぞ!」
 力任せに放り投げられ、木に激突した。
 全身の骨が砕けるような激痛。
 意識を失ってくれればどれだけ楽だろうか。慣性的に落下する身体を、それを許さぬといわんばかりに、彼女が僕の足を掴み、そのまま、再度、木に叩きつける。
 何度も。何度も。
 いつのまにか痛みは消え、感じるのは単純な衝撃だけ。
 空があった。
 目の前に、大きく広がる空が。
 死んだんじゃない。放り投げられたんだ。
 それを理解できるくらいには、意識はあった。

「さて終焉といこう! 中々愉しませてもらったぞ! 想像以上だ!」
 彼女の声が聞こえた。
 死ぬ――のか。地面に落ちて――僕は死ぬ。
「最後に、お前の首の骨が折れる音を聞かせてくれ! 私の身体に感じさせてくれ!」
 顔に密着する柔らかい感触。
 彼女の――お尻か。
 死ぬときはおっぱいの上がいい――と願っていたが、お尻の下でも悪くない。


 ニーヤ。モミさん。ペロ様。皆――ゴメン。
 そして――ありがとう。 
 ナギさんがあの姉妹と幸せに暮らせるなら、そのために死ねるなら満足だ。
 アミル――怒るかな。待ってるって言ってたしな――。
「余を倒したお前は次期魔王で夫だ」なんて言われた時は困ったけど、もし、アミルと夫婦になったら――って想像したり。本当はすごい嬉しかった。
 ワーワルツに来てよかった。彼女達に出会えてよかった。
――願わくば、彼女達の未来が、明るいものでありますように。

 そして、僕は自分の首が折れる音を聞いた。
 
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