95 / 154
二章
変態の目撃者
しおりを挟む
「ペロ……早く帰ろう。ペヌスリン……貰ってきてよ……」
ニーヤがうつぶせたまま、力なく呟く。
「それと……アイツも……。あの女の下敷きになってるアイツもっ! 早く連れてきてよっ……!」
悲痛な願い。
本当ならニーヤ自身、今すぐにでも駆け出して行きたかった。
でも――出来ない。
事切れた彼を、尚も蹂躙《じゅうりん》するように。
息絶えた彼の上に座り込むミルネルドトーリの姿をみて、冷静でいられる自信はなかった。
自分がどうなっても構わない。でも、彼の想いを無駄にはしたくない。
彼女に出来るのは、身を焼くような怒りを、必死に押し殺すだけ。
「いってくる」
ペロが声を発した。その時だった。
突然。周囲が光に包まれた。
目も満足に開けられぬ程の、激しい光。
「なっ!? 何なの!? ペロ! アンタ何したの!?」
ニーヤが叫ぶ。顔を伏せていた彼女は、何が起こったのか分からない。
だが、それは彼女だけではなかった。
「何も……してない……」
彼の元に向かおうとした時、突然光が生まれた。
何が起こったのか、ペロにも分からない。
只一つ分かるのは、光を放ったのは彼の身体だという事。
そして彼女達は目撃する。
光と共に現れた、彼の姿を。
「な、ケ、ケンセイさん……?」
自分自身に確認するように、モミが口を開いた。
間違いなく――死んだはず。殺されたはず。
生死を見誤るほど、彼女達は平穏に暮らしていたわけではない。
なのに、目の前の彼は立ち上がっている。
しかし、彼女達が驚いているのはソレだけじゃなかった。
「な、なんなのよ……アレ……」
知らない。
目の前にいる彼は、明らかに様子が違っている。
彼を守っていたセクシーアーマーは姿形もなく、全身の肌が露出している。
その代わり、全身が光のオーラに包まれていた。
その中でも目を引くのが、激しく輝いている下腹部。
まるでそれは、股間からセクシーソードが生えているかのよう。
角度は六十九度。天を仰ぐように――猛《たけ》っていた。
「あれは、まさか……変態……」
モミの言葉に、ニーヤが反応する。
「へ、変態って! いや、確かにアイツ、胸より脇を選ぶような男だけど……」
何かを思い出したのか、少し顔を赤らめるニーヤ。
だが、モミの反応は違う。
「いえ。聞いた事があるんです。特別な魔装具は、強大な魔力を注ぐ事によってその姿を変える事がある――と。魔装具に秘められた真の力。それが変態だと」
「きょ、強力な魔力って。アイツに魔力なんかこれっぽちもないはずよ!」
「ええ、ケンセイさんに魔力はありません。でも、あれはまさに変態です」
「ど、どうなってんのよ……。アレがセクシーアーマーの真の姿だっていうわけ?」
モミとニーヤのやりとりも、ペロの耳には入らなかった。
目の前で起きている事、死んだはずの彼が立ち上がっている事。
そして、彼の身体を包むソレ。
誰から聞いたのか、それとも神の知識として身についていたものなのか。
全ては不確かで、不透明ではあったが。ペロは知っていた。
「――聖衣《せいい》」
言葉が口をついた。
「「性衣《せいい》……?」」
これから何が起こるのか、それは神でも分からない。
ニーヤがうつぶせたまま、力なく呟く。
「それと……アイツも……。あの女の下敷きになってるアイツもっ! 早く連れてきてよっ……!」
悲痛な願い。
本当ならニーヤ自身、今すぐにでも駆け出して行きたかった。
でも――出来ない。
事切れた彼を、尚も蹂躙《じゅうりん》するように。
息絶えた彼の上に座り込むミルネルドトーリの姿をみて、冷静でいられる自信はなかった。
自分がどうなっても構わない。でも、彼の想いを無駄にはしたくない。
彼女に出来るのは、身を焼くような怒りを、必死に押し殺すだけ。
「いってくる」
ペロが声を発した。その時だった。
突然。周囲が光に包まれた。
目も満足に開けられぬ程の、激しい光。
「なっ!? 何なの!? ペロ! アンタ何したの!?」
ニーヤが叫ぶ。顔を伏せていた彼女は、何が起こったのか分からない。
だが、それは彼女だけではなかった。
「何も……してない……」
彼の元に向かおうとした時、突然光が生まれた。
何が起こったのか、ペロにも分からない。
只一つ分かるのは、光を放ったのは彼の身体だという事。
そして彼女達は目撃する。
光と共に現れた、彼の姿を。
「な、ケ、ケンセイさん……?」
自分自身に確認するように、モミが口を開いた。
間違いなく――死んだはず。殺されたはず。
生死を見誤るほど、彼女達は平穏に暮らしていたわけではない。
なのに、目の前の彼は立ち上がっている。
しかし、彼女達が驚いているのはソレだけじゃなかった。
「な、なんなのよ……アレ……」
知らない。
目の前にいる彼は、明らかに様子が違っている。
彼を守っていたセクシーアーマーは姿形もなく、全身の肌が露出している。
その代わり、全身が光のオーラに包まれていた。
その中でも目を引くのが、激しく輝いている下腹部。
まるでそれは、股間からセクシーソードが生えているかのよう。
角度は六十九度。天を仰ぐように――猛《たけ》っていた。
「あれは、まさか……変態……」
モミの言葉に、ニーヤが反応する。
「へ、変態って! いや、確かにアイツ、胸より脇を選ぶような男だけど……」
何かを思い出したのか、少し顔を赤らめるニーヤ。
だが、モミの反応は違う。
「いえ。聞いた事があるんです。特別な魔装具は、強大な魔力を注ぐ事によってその姿を変える事がある――と。魔装具に秘められた真の力。それが変態だと」
「きょ、強力な魔力って。アイツに魔力なんかこれっぽちもないはずよ!」
「ええ、ケンセイさんに魔力はありません。でも、あれはまさに変態です」
「ど、どうなってんのよ……。アレがセクシーアーマーの真の姿だっていうわけ?」
モミとニーヤのやりとりも、ペロの耳には入らなかった。
目の前で起きている事、死んだはずの彼が立ち上がっている事。
そして、彼の身体を包むソレ。
誰から聞いたのか、それとも神の知識として身についていたものなのか。
全ては不確かで、不透明ではあったが。ペロは知っていた。
「――聖衣《せいい》」
言葉が口をついた。
「「性衣《せいい》……?」」
これから何が起こるのか、それは神でも分からない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる