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三章~魔界冒険譚~
爆弾を抱えて
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「今なら――余に勝てるぞ?」
その台詞は、単に事実を述べているようにも思えるが――違う。
僕は病院をオススメするレベルの鈍感系主人公じゃないから――気づく。
その台詞の意味。彼女の真意に。
これは――完全に誘っている。
「そうかも……しれない……」
心臓の鼓動が早まる。
ともすればショックで止まってしまうのではないのかと思うほど。
その吸い込まれそうな瞳に。口唇に。
互いを重ね合うことが出来れば、きっと幸福を享受できる。
「――でも、それは僕の実力じゃないよ」
そうだ。僕の実力ではない。
彼女の好意ですら、魔装具の力だと疑ってしまうくらい。
今の僕は、自分に自信を持ててはいない。
僕がここに居る理由は、まさにソレだ。
彼女達の好意が魔装具の所為でも関係ない――そう言い切れるだけの、自信と実力を得る為に、僕は魔界に留まったんだ。
「頑固な奴だな」
「ゴメン。でも――ぉっ!?」
突然、股間に刺激が走った。
具体的に言えば――アンダーの方に。
「その矜持は褒めるべきモノだろう。だからと言って、易々と引き下がっては余の面目も立たぬ」
服の上から弄ぶように、アミルの細い指が、僕の双子を刺激する。
五本の指が奏でる不規則な調べは、今まで感じたどの快感よりも強烈だ。
「欲しいモノは力ずくでも奪う。奪えなければ――壊してしまえばいい」
ピタリと止まった指先と、笑みを浮かべたアミルの言葉に、双子がヒュウンと鳴いた――気がした。
「そ、それは……出来ればご勘弁願いた――いぃっ!?」
指は再び動きだす。
双子を優しく蹂躙し尽くすと、新たな獲物を探すように、その道を渡り出した。
「『彼方立てれば此方が立たぬ』とは良く言ったモノだ。だがコレはそんな気も知らず、呑気に立っておる」
呑気――かどうか分からないが、もちろん立っている。
いや、例え板ばさみになっていたとしても、彼は立たずには居られないのだ。
「『双方立てれば身が立たぬ』。ならば、折るか折れるかだがな――」
Jアラートが鳴り響く。
折られてはたまらない。
普段なら身の危険を感じれば直ぐに防衛体制に移行するはずが、絶え間なく与えられる刺激に、彼の自衛能力は麻痺している。
その上、僕の薄弱な意思などはすっかり折れていた。
彼女の指が下着を滑り落ちて行くのを、止める気はなくなっていた。
そして燃料棒に触れた――その瞬間。
部屋に激しい閃光が走った。
「くっ!?」
「――!?」
眩む目の隙間から見えたアミルの表情は、苦痛に歪んでいる。
その手からは――煙が上がっていた。
「かっ、噛まれたぞ!」
「か、噛まないでしょ!?」
珍しく困惑したアミルに、思わずつっこんだ。
亀ならば噛むかもしれないが、僕の亀は噛まない。
それに、今のはどちらかと言えば――爆発だ。
「アミル……その手……」
鼻を刺す、肉の焦げた臭い。
彼女のしなやかな指は、無残にも焼け爛れている。
「問題ない。このくらいならば、余の魔力でも治せる。お前は大丈夫か?」
その言葉で――僕の身体を恐怖に固まった。
視線を落とすことは出来ない。
リア充爆発しろ――とは良く言ったが。
そして今の僕はどちらかと言えばリア充だが、本当に爆発されてはたまったものではない。
メルトダウンした燃料棒がどうなっているのか、怖くて見られない。
一度も女性を知らぬまま、男の娘として生きるのは――辛い。
恐る恐る手を伸ばすと、ソコには――ちゃんとあった。
跡地になどなってはいなかった。
気絶したようにぐったりしているが、その姿は何も変わっていないし、外傷もない。
冷静になって考えてみれば、僕は一度も痛みなど感じてはいないのだ。
「顔に似合わず凶悪なモノを持っていると思ってはいたが、肌を焼かれるほど凶暴だとはな」
「いや、凶悪じゃないし! 普通だし!」
僕のモノはあくまで一般的で、平々凡々だ。
名前をつけるなら凡太、いや、ポコ太だろうか。
でも、どうしてだ? どうして爆発した?
今までそんな事は無かった。何も変わってはいないはず――。
「魔装具――」
変わっている。
変わったモノを着けている。
「そのようだな。直に触れば、魔力が暴発する仕組みになっておるのだろう。危険を感じて引いたつもりでコレだ。下手をすれば、腕を持っていかれていたわ」
ドミィさんの言葉を思い出す。
――自分で装着しようとすれば、謎の力によって跡形もなく吹き飛びます――
アレは完全に嘘だったけれど、全てが嘘だと言うわけではない。
まさかあんな台詞が伏線になっていたなんて、気づくはずもないじゃないか。
「まぁ、お前が無事であるならば支障はあるまい。興が削がれたな――寝るとするか」
そう言ってさっさとベッドに潜り込むその姿は、どこか苛立っているようにも見える。
旅が始まった時、不安など無かった。
今は――不安しかない。
僕は改めて自分の股間にとんでもない爆弾を抱えている事実を認識し、恐ろしくて眠るどころではなかった。
その台詞は、単に事実を述べているようにも思えるが――違う。
僕は病院をオススメするレベルの鈍感系主人公じゃないから――気づく。
その台詞の意味。彼女の真意に。
これは――完全に誘っている。
「そうかも……しれない……」
心臓の鼓動が早まる。
ともすればショックで止まってしまうのではないのかと思うほど。
その吸い込まれそうな瞳に。口唇に。
互いを重ね合うことが出来れば、きっと幸福を享受できる。
「――でも、それは僕の実力じゃないよ」
そうだ。僕の実力ではない。
彼女の好意ですら、魔装具の力だと疑ってしまうくらい。
今の僕は、自分に自信を持ててはいない。
僕がここに居る理由は、まさにソレだ。
彼女達の好意が魔装具の所為でも関係ない――そう言い切れるだけの、自信と実力を得る為に、僕は魔界に留まったんだ。
「頑固な奴だな」
「ゴメン。でも――ぉっ!?」
突然、股間に刺激が走った。
具体的に言えば――アンダーの方に。
「その矜持は褒めるべきモノだろう。だからと言って、易々と引き下がっては余の面目も立たぬ」
服の上から弄ぶように、アミルの細い指が、僕の双子を刺激する。
五本の指が奏でる不規則な調べは、今まで感じたどの快感よりも強烈だ。
「欲しいモノは力ずくでも奪う。奪えなければ――壊してしまえばいい」
ピタリと止まった指先と、笑みを浮かべたアミルの言葉に、双子がヒュウンと鳴いた――気がした。
「そ、それは……出来ればご勘弁願いた――いぃっ!?」
指は再び動きだす。
双子を優しく蹂躙し尽くすと、新たな獲物を探すように、その道を渡り出した。
「『彼方立てれば此方が立たぬ』とは良く言ったモノだ。だがコレはそんな気も知らず、呑気に立っておる」
呑気――かどうか分からないが、もちろん立っている。
いや、例え板ばさみになっていたとしても、彼は立たずには居られないのだ。
「『双方立てれば身が立たぬ』。ならば、折るか折れるかだがな――」
Jアラートが鳴り響く。
折られてはたまらない。
普段なら身の危険を感じれば直ぐに防衛体制に移行するはずが、絶え間なく与えられる刺激に、彼の自衛能力は麻痺している。
その上、僕の薄弱な意思などはすっかり折れていた。
彼女の指が下着を滑り落ちて行くのを、止める気はなくなっていた。
そして燃料棒に触れた――その瞬間。
部屋に激しい閃光が走った。
「くっ!?」
「――!?」
眩む目の隙間から見えたアミルの表情は、苦痛に歪んでいる。
その手からは――煙が上がっていた。
「かっ、噛まれたぞ!」
「か、噛まないでしょ!?」
珍しく困惑したアミルに、思わずつっこんだ。
亀ならば噛むかもしれないが、僕の亀は噛まない。
それに、今のはどちらかと言えば――爆発だ。
「アミル……その手……」
鼻を刺す、肉の焦げた臭い。
彼女のしなやかな指は、無残にも焼け爛れている。
「問題ない。このくらいならば、余の魔力でも治せる。お前は大丈夫か?」
その言葉で――僕の身体を恐怖に固まった。
視線を落とすことは出来ない。
リア充爆発しろ――とは良く言ったが。
そして今の僕はどちらかと言えばリア充だが、本当に爆発されてはたまったものではない。
メルトダウンした燃料棒がどうなっているのか、怖くて見られない。
一度も女性を知らぬまま、男の娘として生きるのは――辛い。
恐る恐る手を伸ばすと、ソコには――ちゃんとあった。
跡地になどなってはいなかった。
気絶したようにぐったりしているが、その姿は何も変わっていないし、外傷もない。
冷静になって考えてみれば、僕は一度も痛みなど感じてはいないのだ。
「顔に似合わず凶悪なモノを持っていると思ってはいたが、肌を焼かれるほど凶暴だとはな」
「いや、凶悪じゃないし! 普通だし!」
僕のモノはあくまで一般的で、平々凡々だ。
名前をつけるなら凡太、いや、ポコ太だろうか。
でも、どうしてだ? どうして爆発した?
今までそんな事は無かった。何も変わってはいないはず――。
「魔装具――」
変わっている。
変わったモノを着けている。
「そのようだな。直に触れば、魔力が暴発する仕組みになっておるのだろう。危険を感じて引いたつもりでコレだ。下手をすれば、腕を持っていかれていたわ」
ドミィさんの言葉を思い出す。
――自分で装着しようとすれば、謎の力によって跡形もなく吹き飛びます――
アレは完全に嘘だったけれど、全てが嘘だと言うわけではない。
まさかあんな台詞が伏線になっていたなんて、気づくはずもないじゃないか。
「まぁ、お前が無事であるならば支障はあるまい。興が削がれたな――寝るとするか」
そう言ってさっさとベッドに潜り込むその姿は、どこか苛立っているようにも見える。
旅が始まった時、不安など無かった。
今は――不安しかない。
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