性剣セクシーソード

cure456

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三章~魔界冒険譚~

初夜

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 完全に覚醒した相棒を慰めてやろうと思ったのだが、お湯につかっているうちに再び眠りについていた。
 全く気分屋である。
 お風呂をあがった後は、しばらくアミルと雑談を交わし、床につくことに。

「それじゃあ、おやすみ」

 部屋を出ようとした、その時だった。

「ん? 何を言っておる。一緒に寝るのではないのか?」


 二階の半分を占めるこの部屋には、寝室が二つある。
 大きなベッドが一つだけ置かれた部屋と、ベッドが沢山ある部屋だ。
 この間取りから見れば、まぁ大体分かるだろう。
 アミルの部屋と、その従者達の部屋。
 そして僕は、その従者の方に行こうと思っていた。

「あの娘達とは、いつもそうしておったのだろう? それとも、余じゃ不満だと言うのか?」

 少しだけ怒りを含んだ物言いに、慌てて言い訳をする。

「ち、違うよ! そうじゃなくて、その――ニーヤ達といた時は、ほら、力を溜めなきゃいけなかったから……」

 そう、セクシーソードを使うには女性の精を、魔力を溜める必要がある。
 そのため就寝時でも溜められるようにと、旅の最中は彼女達と一緒に寝ていたのだ。

 僕の名誉のために言っておくが、決してやましい気持ちではない。効率を重視した結果だ。
 その証拠に、僕はまだ未経験チェリーなのだから。
 それは誇ることではなく、ただチキンなだけと言う指摘はスルーさせて頂く。

 ってか、何でその事をアミルが知っているんだ。
 一体僕が死んでいる間に、彼女達はどんな情報共有をしたのか。

「確かに、今は魔力を蓄える必要はない。だからと言って、ねやを共にせぬ理由にはならんだろうが」

「あ、アミルがそれで良いのなら……」

 是非お願いします。と構える男気は、まだ僕には備わっていない。

「決まりだな」

 僕の腕をとる彼女の満足気な表情と、押し付けられた柔らかい膨らみ。
 男になるのは――それほど遠くない気はした。



 二人でも余りあるベッドの中、僕は誘惑と必死に戦っていた。
 石鹸の香りなどかき消してしまう彼女自身の強い香りは、この世界のみならず、僕が生まれて初めて嗅いだ女性のソレなのだ。

 甘美で、妖艶で、どこか温かく。
 時間が経てば経つほど濃密になるその香りに、僕は『呪い』の発動を抑える。

 セクシーアーマーの呪い。

 それは女性のフェロモンを欲しようと、無意識下で起こる暴走である。
 心の中にある『触れたい』『舐めたい』『揉みたい』などの欲望が増幅され、歯止めが利かなくなる。
 自分の意志とは無関係に、身体が勝手に動くのだ。
 酷い時は、記憶すら飛んでしまう位だ。

 そして後で聞かされて、自己嫌悪に陥る。
 やってしまったと言う後悔と、何で覚えていないんだと言う無念さを味わうのだ。
 しかし――呪いは発動する気配を見せなかった。


「眠れぬのか?」

「う、うん。ちょっとね」

 向けられた紫水晶色の瞳に、若干の気恥ずかしさを覚える。

「嫌なら――良いのだぞ。無理強いはすまい」

「ちっ、違うよ!」

 微笑んだアミルの瞳が少しだけ哀しげに見えて、思わず声が出た。

「その、呪いが発動しないか心配なんだ。後は、す、少し緊張してる」

「そうか。考えてみれば、お前と閨を共にするのは初めてだな」

 改めて考えてみればその通りだ。
 一緒に寝ようという意思を持ってベッドを共にした事は、今まで一度もない。

「しかし呪い――か。それも可笑しな表現ではないか? 男にとっては、逆に喜ばしいモノであろう?」

「そ、そうかもしれないけどさ。やっぱりその、自分の意思に反してってのは、やっぱり呪いだよ。相手にだって迷惑がかかるしさ」

「ふむ。意思に反して――な。まぁ案ずるな、先程も言っただろう? 魔力を蓄える必要は無いのだ。その呪いも起こらぬ」

 アミルの言葉に、少しだけ安心した。
 
「あの時、余を抱くのは、勝負で余に勝ったら――と言ったな?」

「え? う、うん……」

 抱く。
 その単語だけで反応してしまうのは、僕が未熟者だからだろうか。
 成り行き任せで言ったのだが、考えてみるととんでもない台詞だ。

 そして、畳み掛けるように彼女は言葉を続けた。

「今なら――余に勝てるぞ?」
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