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三章~魔界冒険譚~
ワンタッチじゃ外せない
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宿のカウンターでぷるぷる震えているスライムを尻目に、僕達は部屋へと戻った。
彼が安息できるのはもう少し後だろう。
城から手紙が届くまでは、きっと三割増しでぷるぷるしているはずだ。可哀想だけど。
「明日は早い、湯浴みをして寝ると良い」
アミルの言葉に窓の外を見上げると、月がその紅さを増していた。
時間の感覚が良く分からなくなってきてはいるが、そう言われると突然眠気がやってくるから不思議だ。
「あ、うん。僕は後でいいから、先にアミルが入りなよ」
「ふむ。お前が言うのならば、そうさせてもらおう――」
言うが早いか、アミルは突然上着を脱いだ。
「!?」
軽く背中を向けてはいるが、その腋の脇から、檻から抜け出した獣が身体を震わせるように揺れているサイド・パイ・サイドに、僕は慌てて首を背けた。
「ふう。やはりこの服はキツ過ぎるな。これではまるで拘束具だ。ん? どうした? 首でも痛めたか?」
「ちょ、ちょっと……ね」
可動範囲を振り切った首を押さえながら、その痛みに耐えつつ。
背後で聞こえる布ずれの音を、耳が自動的に集音する。
そして、相棒が完全に目を覚ました。
極限まで飢えているはずなのに、逆に逞しくなっていくのは何でだろう。
そんなの決まっている。
彼は飢えながらにして、溜め込んでいるのだ。
ストレスは身体に悪い。定期的に発散する必要がある。
だが、その機会を与えてはやれなかった。
この世界に来るまでは、もうぐったりとしてしまうほど遊びまわしていたのにも関わらず、半年もおあずけをさせてしまっている。
何て身勝手な話だろう。
でも、もう大丈夫。待たせて悪かった。
「――では、先に頂くとしよう」
「ご、ごゆっくり――」
アミルの足音が遠ざかっていくのを確認して、僕は顔を上げた。
さぁ。イこうか――。
――結果。僕達は何処にもいけなかった。
相棒と手をたずさえることすら出来なかった。
それはなぜか。
単純な話だ。
この鎧は、一人では外せないからだ。
魔装具セクシーアーマー。
その形態は二つ。鎧と腕輪だ。
腕輪から鎧に展開する事はできるが、その逆、鎧を解除して腕輪に戻すことは出来ない。
僕には不可能なのだ。
それはなぜか。
これも単純な話だ。
僕には魔力がないからだ。
鎧を解除するには、魔力を持って股間のプレートに触れる必要がある。
この世界の人間じゃない僕には、これっぽっちの魔力すらない。
今はアミルの魔力を有しているから何とかなるモノだと思ってはいたが、そんなに甘くはないようだ。
魔力はセクシーソードに供給されているだけで、僕自身に流れているわけではないのだろう。
残念ながら魔法使いにはなれないらしい。別の意味で成りたくは無いけれど。
――結局、相棒もすっかり落ち込んでしまい、不貞寝である。
「ふぅ。中々良い湯だったな」
「あ、おかえ――りっ!?」
ソコには、バスタオル一枚巻いただけのアミルが居た。
布を押し出さんとする胸も。
太ももの上、しゃがみこめば全てが見えるであろう短い丈も。
両手で髪を拭いているため、がら空きになった、まるで見せ付けるような腋も。
隙だらけなのに、隙が無い。
こんな単純なトラップにひっかかってしまうとは!
「ああ、そう言えば鎧を解除するのを忘れておったわ。不憫な思いをさせてすまなかったな」
不憫な思いをしているのは、僕より相棒の方だ。
そんな事を言えるはずもなく、そのまま近寄ってくるアミルから少しだけ目をそらしたまま、伸ばされたその手に身を委ねる。
「――っ!」
思わず漏れそうになった声を必死で抑えた。
この鎧、なぜか股間だけ鋭敏なのだ。
確かに鎧の上。
決してソレには触れられていないはずなのに、直接触られている感覚。
その上、手を添えるだけではなく、上下にこすらないと解除されないのだからたまらない。
風呂上り、熱を帯びた彼女の手は、マグマを誘発させるように熱く。
悪魔の囁きに負けた僕は、その目を開けてしまった。
さきほどのサイド・パイ・サイド、からの、トップ・オブ・トップ。
谷間に出来た、理性すら吸い込んでしまいそうな深い闇。
ダメだ! 耐えろ! と自己暗示をかける僕は、息も絶え絶え。
「ふふ。相変わらず。元気が良い」
光と共に鎧が消え、代わりに現れたソレを見て妖しく微笑むアミルから、僕は逃げるようにお風呂へと向かった。
彼が安息できるのはもう少し後だろう。
城から手紙が届くまでは、きっと三割増しでぷるぷるしているはずだ。可哀想だけど。
「明日は早い、湯浴みをして寝ると良い」
アミルの言葉に窓の外を見上げると、月がその紅さを増していた。
時間の感覚が良く分からなくなってきてはいるが、そう言われると突然眠気がやってくるから不思議だ。
「あ、うん。僕は後でいいから、先にアミルが入りなよ」
「ふむ。お前が言うのならば、そうさせてもらおう――」
言うが早いか、アミルは突然上着を脱いだ。
「!?」
軽く背中を向けてはいるが、その腋の脇から、檻から抜け出した獣が身体を震わせるように揺れているサイド・パイ・サイドに、僕は慌てて首を背けた。
「ふう。やはりこの服はキツ過ぎるな。これではまるで拘束具だ。ん? どうした? 首でも痛めたか?」
「ちょ、ちょっと……ね」
可動範囲を振り切った首を押さえながら、その痛みに耐えつつ。
背後で聞こえる布ずれの音を、耳が自動的に集音する。
そして、相棒が完全に目を覚ました。
極限まで飢えているはずなのに、逆に逞しくなっていくのは何でだろう。
そんなの決まっている。
彼は飢えながらにして、溜め込んでいるのだ。
ストレスは身体に悪い。定期的に発散する必要がある。
だが、その機会を与えてはやれなかった。
この世界に来るまでは、もうぐったりとしてしまうほど遊びまわしていたのにも関わらず、半年もおあずけをさせてしまっている。
何て身勝手な話だろう。
でも、もう大丈夫。待たせて悪かった。
「――では、先に頂くとしよう」
「ご、ごゆっくり――」
アミルの足音が遠ざかっていくのを確認して、僕は顔を上げた。
さぁ。イこうか――。
――結果。僕達は何処にもいけなかった。
相棒と手をたずさえることすら出来なかった。
それはなぜか。
単純な話だ。
この鎧は、一人では外せないからだ。
魔装具セクシーアーマー。
その形態は二つ。鎧と腕輪だ。
腕輪から鎧に展開する事はできるが、その逆、鎧を解除して腕輪に戻すことは出来ない。
僕には不可能なのだ。
それはなぜか。
これも単純な話だ。
僕には魔力がないからだ。
鎧を解除するには、魔力を持って股間のプレートに触れる必要がある。
この世界の人間じゃない僕には、これっぽっちの魔力すらない。
今はアミルの魔力を有しているから何とかなるモノだと思ってはいたが、そんなに甘くはないようだ。
魔力はセクシーソードに供給されているだけで、僕自身に流れているわけではないのだろう。
残念ながら魔法使いにはなれないらしい。別の意味で成りたくは無いけれど。
――結局、相棒もすっかり落ち込んでしまい、不貞寝である。
「ふぅ。中々良い湯だったな」
「あ、おかえ――りっ!?」
ソコには、バスタオル一枚巻いただけのアミルが居た。
布を押し出さんとする胸も。
太ももの上、しゃがみこめば全てが見えるであろう短い丈も。
両手で髪を拭いているため、がら空きになった、まるで見せ付けるような腋も。
隙だらけなのに、隙が無い。
こんな単純なトラップにひっかかってしまうとは!
「ああ、そう言えば鎧を解除するのを忘れておったわ。不憫な思いをさせてすまなかったな」
不憫な思いをしているのは、僕より相棒の方だ。
そんな事を言えるはずもなく、そのまま近寄ってくるアミルから少しだけ目をそらしたまま、伸ばされたその手に身を委ねる。
「――っ!」
思わず漏れそうになった声を必死で抑えた。
この鎧、なぜか股間だけ鋭敏なのだ。
確かに鎧の上。
決してソレには触れられていないはずなのに、直接触られている感覚。
その上、手を添えるだけではなく、上下にこすらないと解除されないのだからたまらない。
風呂上り、熱を帯びた彼女の手は、マグマを誘発させるように熱く。
悪魔の囁きに負けた僕は、その目を開けてしまった。
さきほどのサイド・パイ・サイド、からの、トップ・オブ・トップ。
谷間に出来た、理性すら吸い込んでしまいそうな深い闇。
ダメだ! 耐えろ! と自己暗示をかける僕は、息も絶え絶え。
「ふふ。相変わらず。元気が良い」
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