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サフィール侯爵家の人々
ラジェルの初恋
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アダマンティ王国のサフィール侯爵家には長男ラジェルを筆頭に長女リリウム、双子の次女イリスと三女シンディの一男三女の計4人の子供がいる。
ラジェルが6歳のときに長女のリリウムが11歳のときに双子の妹たちが生まれている。
歳の離れた妹たちをラジェルは事のほか可愛がっている。
それはもう両親がドン引きするほどに。
そんな超シスコン兄貴になってしまったラジェルの初恋は11歳のとき、妹のリリウムが第2王子ジェリクの婚約者候補を集めたお茶会が王宮で開かれたときである。
同い年で幼馴染でもあるルピリアから、このお茶会をコッソリ覗き見してみないかと誘われた。
「ルピリア様?第一王女である貴女が弟の婚約者選びのお茶会を覗き見とは・・・」
「何を言うんだラジェル!将来私の弟妹の伴侶となる者を選ぶ茶会だぞ?変な令嬢が義妹になることだけは避けなければならないじゃないか!」
もう、溜息しかでないラジェルと、大義名分を掲げてウキウキとした足取りでお茶会の会場が見渡せそうな場所を探し始めるルピリア第一王女。
護衛の騎士の視線が同情をたっぷりと含んだ生温くなるのは仕方がない。
この王女様の暴走は、親である国王も王妃も止められないのだから。
王妃主催であるこのお茶会には、第2王子と釣り合う年齢の高位貴族令嬢が集められていた。
お茶会の輪は大きく分けて2つ。
ジェリク王子を中心とした子供たちの輪と、王妃を中心とした親たちの輪である。
ラジェルは心配だったのでコッソリとリリウムを探す。
(?何だか顔色が悪いな・・・具合でも悪いのか?)
可愛い妹の顔色の悪さに、お茶会に乗り込んで屋敷に連れ帰ろうかと考え始めるラジェル。
そんな様子をこの国の第一王女は嗜める。
「ラジェル・・・妹のリリウム嬢の顔色が悪いから今すぐにでも連れ帰ろうかと考えてないか?」
「・・・そんなことはないですよ?」
「っは!どうだかな?そなたのシスコンっぷりは有名だぞ?サフィール侯爵家の長男の婚約者は誰になるのかと、貴族どもが騒ぎ始めているくらいだからな」
「・・・ルピリア様?その様な根も葉もない噂を信じるのですか?」
「実際問題、そなたには婚約者がいないだろう?サフィール侯爵家に縁談の申し入れをしても断られてばかりだとな。・・・まぁ侯爵の判断だからな」
「それで言えば、ルピリア様こそ婚約者がいらっしゃらないじゃないですか」
「それは父上の意向だな。まぁ私も自身より弱い男との結婚はゴメンこうむるが」
この時の二人は知らない。
ちょくちょくルピリアに呼び出されているラジェルが婚約者候補と見なされていたことを。
お茶会が進むにつれ、子供たちの輪に変化が出てきた。
積極的に王子に自身をアピールする子と、控えめにアピールする子である。
積極アピールにタジタジになっているジェリクに同情してしまうラジェルであった。
(幼くても女は女ってことか・・・ちょっとジェリク王子が可哀相だな)
ラジェルも母親に連れられて貴族夫人のお茶会などに参加すると、ラジェル同様に母親に連れられてきた令嬢たちに取り囲まれる。
このお茶会に参加している令嬢より年齢があがるため、積極具合も段違いである。
ぶっちゃけトラウマにならないのが不思議なくらいの怖さである。
そんなことを考えていると、ふと一人の令嬢がめに止まる。
リリウムを含めて、参加している令嬢はジェリク王子の周りに集まっているのに、一人のんびりとテーブルでお茶をしている令嬢がいた。
ラジェルが6歳のときに長女のリリウムが11歳のときに双子の妹たちが生まれている。
歳の離れた妹たちをラジェルは事のほか可愛がっている。
それはもう両親がドン引きするほどに。
そんな超シスコン兄貴になってしまったラジェルの初恋は11歳のとき、妹のリリウムが第2王子ジェリクの婚約者候補を集めたお茶会が王宮で開かれたときである。
同い年で幼馴染でもあるルピリアから、このお茶会をコッソリ覗き見してみないかと誘われた。
「ルピリア様?第一王女である貴女が弟の婚約者選びのお茶会を覗き見とは・・・」
「何を言うんだラジェル!将来私の弟妹の伴侶となる者を選ぶ茶会だぞ?変な令嬢が義妹になることだけは避けなければならないじゃないか!」
もう、溜息しかでないラジェルと、大義名分を掲げてウキウキとした足取りでお茶会の会場が見渡せそうな場所を探し始めるルピリア第一王女。
護衛の騎士の視線が同情をたっぷりと含んだ生温くなるのは仕方がない。
この王女様の暴走は、親である国王も王妃も止められないのだから。
王妃主催であるこのお茶会には、第2王子と釣り合う年齢の高位貴族令嬢が集められていた。
お茶会の輪は大きく分けて2つ。
ジェリク王子を中心とした子供たちの輪と、王妃を中心とした親たちの輪である。
ラジェルは心配だったのでコッソリとリリウムを探す。
(?何だか顔色が悪いな・・・具合でも悪いのか?)
可愛い妹の顔色の悪さに、お茶会に乗り込んで屋敷に連れ帰ろうかと考え始めるラジェル。
そんな様子をこの国の第一王女は嗜める。
「ラジェル・・・妹のリリウム嬢の顔色が悪いから今すぐにでも連れ帰ろうかと考えてないか?」
「・・・そんなことはないですよ?」
「っは!どうだかな?そなたのシスコンっぷりは有名だぞ?サフィール侯爵家の長男の婚約者は誰になるのかと、貴族どもが騒ぎ始めているくらいだからな」
「・・・ルピリア様?その様な根も葉もない噂を信じるのですか?」
「実際問題、そなたには婚約者がいないだろう?サフィール侯爵家に縁談の申し入れをしても断られてばかりだとな。・・・まぁ侯爵の判断だからな」
「それで言えば、ルピリア様こそ婚約者がいらっしゃらないじゃないですか」
「それは父上の意向だな。まぁ私も自身より弱い男との結婚はゴメンこうむるが」
この時の二人は知らない。
ちょくちょくルピリアに呼び出されているラジェルが婚約者候補と見なされていたことを。
お茶会が進むにつれ、子供たちの輪に変化が出てきた。
積極的に王子に自身をアピールする子と、控えめにアピールする子である。
積極アピールにタジタジになっているジェリクに同情してしまうラジェルであった。
(幼くても女は女ってことか・・・ちょっとジェリク王子が可哀相だな)
ラジェルも母親に連れられて貴族夫人のお茶会などに参加すると、ラジェル同様に母親に連れられてきた令嬢たちに取り囲まれる。
このお茶会に参加している令嬢より年齢があがるため、積極具合も段違いである。
ぶっちゃけトラウマにならないのが不思議なくらいの怖さである。
そんなことを考えていると、ふと一人の令嬢がめに止まる。
リリウムを含めて、参加している令嬢はジェリク王子の周りに集まっているのに、一人のんびりとテーブルでお茶をしている令嬢がいた。
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