上 下
75 / 81
婚約編

男子会(笑)の裏事情

しおりを挟む
公務を放り出して、訓練場を覗き見していた陛下を回収しにきた宰相様・・・
そういえば、以前ジェリク様がサフィール侯爵家でのお茶会にリリウム様が出席するからと、陛下と同じように公務を放り出して参加していたなぁ~
そして、ジェリク様の尻拭いをしたらしいのが、宰相子息のジョージ様・・・
親子揃って王族の尻拭いって・・・・・・これも遺伝なのかしら?だとしたらイヤすぎるわ。

「しかし、不思議なのがなぜボーナイト騎士団長と陛下が、ヘリオス皇太子と現役騎士団員との手合わせを許可したのでしょう?」

「あぁ。それはサリエル殿がボーナイト騎士団長子息のライアン殿を瞬殺したからですよ」

ラジェル様・・・そんな爽やかな笑顔で仰るセリフではございませんよ?
ライアン様が瞬殺されたのは、エリカ嬢の妄想発言にイライラしたお兄様の八つ当たりの面が強かったのですよ?

「ラジェル殿?それは一体どういうことなのでしょうか?」

ウンウン。私も気になるよ!ふと視線をずらせばリリウム様も私と同じなのか『気になります!』って目が物語っています。

「陛下はルピリア様に唯一勝利したサリエル殿の名前は知っていたのですが、本人に会ったのはライアン殿との決闘の時が初めてでした。その時は変な令嬢の発言があり早々に決着がつきました。サリエル殿の実力を正確に把握したいと陛下もボーナイト騎士団長も考えたようです。そこにルピリア様が夫であるヘリオス皇太子と共に里帰りするとロベリア様経由で知り、なおかつサリエル殿との手合わせを皇太子本人が希望していると知った陛下が、ボーナイト騎士団長に訓練場の利用許可を出すように伝えたのです」

あ・・・お兄様がちょっと遠い目をしてる。
まぁ、そうだよね~まさか王女姉妹の手紙のやり取りからそんな話しになるなんて普通は思わないよね~
リリウム様は若干呆れた様子だし。

「陛下から訓練場の利用について話しを受けたボーナイト騎士団長は、もし団員たちがサリエル殿との手合わせを希望した場合、ヘリオス皇太子との手合わせの後に希望者は手合わせをさせても良いか陛下に確認したそうです。陛下はとっても良い笑顔で許可したそうですよ?」

ひぃぃっ!お兄様のお怒り再び!!
ラジェル様~お願いですから、お兄様のお怒りを煽るような事を仰らないで頂きたいです~

「そうですか・・・陛下が許可を出されたと・・・我が家にはその様な確認は一切なかったのですが?」

「まぁ。確認して断られたら困るのと、フローライト辺境伯からの抗議が怖いので言わなかったのだと思いますよ」

・・・ラジェル様マジでお兄様のお怒りを気にしないなぁ~
妹である私でさえ、お兄様のお怒りモードには堪えられないのに・・・
正直、リリウム様と一緒に二人でここから逃げたい。

「まぁ。そういう訳で、ボーナイト騎士団長が騎士団員に希望者を募ったところ、ライアン殿との決闘の日に非番だった団員たちだけがサリエル殿との手合わせを希望したそうですよ」

「お兄様。なぜあの日非番だった団員の方たちだけが希望されたのですか?」

「ん?リリウム。それはね、あの日のサリエル殿の事を見て知っている騎士団員たちは『自分たちでは勝てない。でも、学生には負けたくない』というプライドから希望しなかったんだよ」

希望しなかっただけで、不戦敗じゃないのかな?
そう思ったのは私だけじゃないようで、リリウム様も同じように感じたのだろう。
ビミョ~な表情をしている。

「それでだったのですね。手合わせした騎士団員の人数が少なかったのは・・・」

おぉ?お兄様のお怒りが少し収まった?
完全に納得はしていないけど、終わったことと割り切ってくれたのかな?
しっかし、ラジェル様はなぜこんな裏事情に詳しいんだろうか・・・
まるで見てきたように話してるけど。

「あの・・・お兄様はなぜそんなにお詳しいのでしょうか?」

「あぁ。サルファー宰相から相談されたんだよ。サリエル殿とフローライト辺境伯の逆鱗に触れはしないか?と」

あぁ・・・ラジェル様ならお兄様のお怒りもどこ吹く風ですものね。
それに、ヘリオス皇太子様とは学園でご一緒でしたでしょうし、ルピリア様に至っては幼馴染のような存在ですからねぇ・・・
宰相様の相談相手のチョイスは的確ですね。

「それで、お兄様はサルファー宰相様になんとお答えしたのですか?」

「ん?『既に陛下が許可を出してしまったのなら、諦めるしかない思います』と答えたよ。あと、『陛下が見学したいと仰ると思いますので、それは絶対に阻止したほうが良いと思います』とも」

なるほど。確かに陛下が見学なんてしたら、お兄様のお怒りはさらに凄まじいモノになっていたでしょう。
ラジェル様・・・よくわかってらっしゃる。
まぁ。ラジェル様の気遣いは陛下がマルッと無駄にしてくれたようですが・・・

「ですが、陛下はこっそりと見学していらしたのですよね?」

「そうだね。だからサルファー宰相も訓練場に陛下を回収しに来たんだよ。執務室に陛下が居なければ訓練場にいることが分かっているからね」

きっと、陛下は宰相様から騎士団の訓練場に見学しに行かないように、散々釘をさしていたのでしょう。
それなのに、陛下は宰相様の目を盗んで、こっそりと見学にいらしたと。
・・・なるほど。宰相様の良い笑顔だった理由が分かりました(笑)
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

腹黒上司が実は激甘だった件について。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:418pt お気に入り:139

王子の次は師匠が婚約者!? 最強夫婦になりまして

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:356

大好きなあなたを忘れる方法

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:13,981pt お気に入り:1,006

異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》アルファ版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:584

消滅した悪役令嬢

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:6,795

処理中です...