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第6章 エターニャ神皇国編

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 「おお、これはこれはペドロ殿、随分と久しいですなぁ」

 「こ、これはイース大司教殿、お久しぶりでございます」

 「ふむ。それで?そのような格好をなさってどうなされた?」
 
 「こ、これは…その急に部屋に衝撃がきましてな…地震かと思いつい…」

 にこやかに声をかけるイースに冷や汗を垂らしながらも忌々しそうにみながらペドロが愛想笑いを浮かべていた。

 「そ、それでイース殿、此度はどのようなご用件で遠路はるばるお越しになられたのか」

 「ふむ。実はに話があるという方々をご案内してきたのじゃ」

 「ほ、ほぅ。それはどなたですかな?」

 「この方々じゃ」

 誰を連れてきたのか尋ねられたのでイースは自身の後ろに控えていたメンバーに道を譲るように横にそれペドロへと紹介した。

 「えっへん!ボク達さ!」

 「代理とはいえ、よもや一国の代表が我々が誰であり、真贋不明ということはあるまいな?」

 「え、えぇ…もちろんにございます」

 「そのわりにゃぁ出迎えもねぇようだったけどな」

 「それは…急なご来訪に対応できず申し訳ございませんでした…」

 アディオンが胸を張る中、サイが少々殺気を込め尋ね、ペドロの回答を聞いたエイケンが意地の悪い笑顔を浮かべた。

 「あら出迎えはしてもらったじゃない?しつこいくらいにね」

 「ああ、それもそうだなぁ。武器をつきつけ偽物め!ってな」

 冷や汗がとまらないペドロにリレイが皮肉たっぷりにいうとエイケンも笑みをふかめペドロをみながら答えた。

 「そ、それはその…下から襲撃者と報告をうけておりまして…その…」

 「あら?教皇代理様が偽物とおっしゃったからだと兵はいっておりましたが?」

 「そっ!そのようなことは…その…」

 リレイの追及に顔を真っ青にし冷や汗をかき必死に言い訳をかんがているのが丸わかりなペドロがしどろもどろしはじめた。

 「まぁ、挨拶はその辺でよかろう?とりあえず座ってもよろしいかのぉ?」

 「も、もちろんです!どうぞお座りになられてください」

 「この邪魔なをかたずけてくれると助かる」

 苦笑しながらイースが助け舟を出した形で声をかけるとあからさまにホッとした表情をペドロが浮かべていたがサイが倒れている兵のあたまをつま先でこづくと焦ったように人を呼び倒れているもの達を連れていかせお茶を用意させた。

 「お見苦しいところをお見せして申し訳ございません。いまは新教皇様選出等で」

 「いやかまわん。それより話をすすめろ」

 汗を拭きながら言うペドロの言葉を遮りどっかりと高そうなソファーに足を組み深々と座りふんぞり返りながらサイがいった。

 「うむ。それもそうじゃな、新教皇様選出で忙しい様じゃてはなしをすすめようかのぉ」

 「では、単刀直入に。シルティアは今回、被害を与えたリネア王国、ジルネイ共和国、ストラトス帝国へどのような対応をなさるおつもりかお聞かせください」

 イースが頷くとメイが眼鏡をクイっとあげ淡々と尋ねた。

 「それは新教皇様選出が終わり次第、新教皇様がお決めになられる問題ですゆえ」

 「それはそちらの都合、事がおこりこれまで我らはそちらの出方を随分まったが、そちらから謝罪も対応をいつするとも何ら連絡もないが?」

 「そ、それは…」

 ペドロの言い訳をゲオルグが断ち切った。

 「そこでこちらからわざわざ出向きこちらの要望をお伝えしに来ました」

 「へ?」

 「こちらは、そちらへの配慮での引き渡しも行ったが、そちらがあまりにも不義理を働くのでな」

 「うぐっ!ち、ちなみにそちらのナンバーズの方々は…その…どのような経緯で?」

 「証人だ」

 「え?それはどういう…」

 メイとゲオルグの言葉に追い詰められたペドロがなんとかかわそうとサイをみながら尋ね答えを聞き困惑した。

 「簡単だ。wは帝国での出来事の一部始終を見ているからだ」

 「ボクに至ってはアリアが王国にされた時からだけどねぇ」

 「というわけで、俺らの目の前で言った言わねぇ、やったやらねぇは、なしだぜ?」

 サイ、アディオン、エイケンがニヤリとそれぞれ笑いながら言った。

 「では、まず事実確認から始めます。前教皇は権力を使い大陸を支配しようとしました。そして自身の手のうちにおり意のままに扱えるものを歌姫とするため、アリアをはじめとした候補者たちを亡き者にしていった。ここまでは間違いありませんね?」

 「いや…我々はそれは関与して…」

 「事実か事実ではないのかという問いだ」

 「じ、事実です」

 「次に、盗賊に処分させたはずのアリアが欲を出した盗賊たちに利用され生き延びていたとしった前教皇はリネア王国の貴族を言葉巧みに利用し、魔吸石を利用したスタンピードを巻き起こさせ亡き者としようとした」

 「………………っ!?ま、間違いありません」

 リレイが淡々と語る中、ペドロが口ごもるたび殺気のこもったサイの視線を受け滝のような冷や汗を流しながら一つずつ事実を認めていった。

 「と、は前教皇の行ったことですね?」

 「はい…そのとおりにございます」

 ストラトス帝国での出来事まで確認しおえるとペドロはそれをすべて認め一息つきそうになった。

 「では、これより先はシルティアの起こした件についてです」

 「へ?」

 「ではまず」

 「ちょっとおまちください!現シルティア!?現にございますかっ!?」

 「はい。そうです」

 「我らは何もしておりませ…」

 「黙って聞け。リレイつづけろ」

 取り乱すペドロを睨みつけ黙らせたサイが話を進める様に言った。

 「では、先の教皇の起こしたことに対しなんら謝罪の姿勢も見せなかったこと、それにより我らがここまで足を運ばねばならなかったことで起こる各国の不利益、そしてシルティア領に到着してから今ここにくるまでの数々の無礼と各国主要人物への殺害未遂」

 「それは!アポイメントを取らずにお越しになられたそちらにも!」

 「なぜそれを問わなかったのですか?」

 「ってか領に入るときに俺らはちゃんと正規の方法で入国してるぜ?」

 「当然、その際全員身分を証明しているが?」

 ペドロが興奮気味に言う言葉にリレイ、エイケン、サイが答えるとペドロは言葉に詰まった。

 「それにこの街に入る前にも、大聖堂へ入る際も含め事あるごとに名乗っておりました、そもそも各国要人を襲撃した時点で知らなかったでは1国を預かるものとしてそれは通用しないこと、どれだけ重大なことかご理解しているはずですが?」

 「うぐっ!」

 リレイがキツイ態度できっぱりと告げるとペドロはもはや何も言えなくなった。

 「さて、ここまでを踏まえてサクサクっと本題に移ろうか?」

 「なにを……」

 「簡単だよ?3国からの要望を受け入れてもらうだけの話さ」

 「なっ!?」

 「この国は自らが仕掛けた侵略戦争に敗北した敗戦国なのだぞ?それは仕方あるまい」

 「あれは前教皇が勝手にっ!」

 「違うね!君らの代表が国の名前を背負って行った行為だよ!」

 「それはこの国の総意ということだ」

 「そもそも、こいつらが変な気を使うから敗戦国だって自覚がたりねぇんだよ」

 ケンオウ2人とアディオンに言われペドロと口をパクパクさせるだけで、ゲオルグ達は決まづそうな顔をした。

 「各国に大勢の信者のいる!神に選ばれ長い歴史があるこの聖地シルティアが大罪を犯したといわれ!それだけではなく言うことを聞けともうされるのですかっ!?」

 「いや、いくつか訂正があるね!」

 「どこですか!?」

 「まずこの国は神になど選ばれておらん」

 「なっ!?」

 「それと聖地って決まってるわけでもねぇ」

 「そうね。本当に長い歴史をもつリネア王国の初代国王がシルティアを選んだだけの話だしね」

 「なっ!なんと罰当たりな!」

 「事実だ」

 「んーどちらかと言うと史実ね」

 「なんたる言い草…」

 サイとリレイに言われペドロが最早呆れるしかないといわんばかりに驚きながらつぶやいた。

 「それに君はさっき前教皇がと言ったけど君だって一枚どころかずっぷり噛んでいただろ?」

 「なにを証拠にそんなことを!」

 アディオンが人の悪い笑顔を浮かべいうと、濡れ衣だといわんばかりにペドロが激高し立ち上がった。

 「証人なら?」

 「でたらめを!」

 「本当だよ」

 「ならその証人とやらはどこにいるのですか!居るのならぜひ連れてきてください!今すぐに!」

 「うん。いいよ?」

 「なっ!」

 激高やまぬペドロの言葉にニヤリとわらってアディオンが答えた。

 「世界の影シャドウ呼んでるよぉ~」

 「ちっ!アディオン…俺を巻き込むな」

 「なっ!いつの間に!そもそも誰ですかっ!?」

 アディオンが何もなく誰もいない天井の角へと声をかけると全身黒ずくめで同色のマスクをかぶり表情の見えない男が音もなくアディオンの横に現れた。

 「いやぁシャドウ、見ているだけだとつまらないかと思ってね」

 「ちっ!ぬかせ」

 「シャドウ!?もしやナンバーズの……」

 「そうだよ?彼はナンバーズ9位、闇に紛れ闇に生きる男シャドウってやつさ」

 「安っぽくダサイ言い方をするな」

 驚くペドロにおかしそうに笑みを浮かべるアディオンにマスクの上からでも不機嫌そうなのがわかるシャドウが言った。

 「それでシャドウは当然知ってるんでしょ?教えて」

 「俺が見返りもなく情報をいうわけないだろう」

 リレイの言葉をシャドウがつっぱねた。

 「あれがシャドウか」

 「ああ、俺は数回みたことがある」

 初めて見た伝説のアサシンを感心したようにみながらいうゲオルグに何度か依頼をしたことがあるレオが答えた。

 「叔父さんあの方もナンバーズなのはわかったけど…どんな方なの」

 「あぁ、あいつは情報収集から暗殺までこなす大陸一のアサシンってやつだ」

 「すごいね……でもなんでそんなすごい人がたまに僕のことみてたんだろう」

 「あぁ?おめぇ気づいてたのかよ」

 「うん、サイさんとアディオンさんに修行をつけてもらう少し前からだけどね」

 最後にしれっと言ったセナの言葉にその場にいたすべての人たちが驚いた。

 「セナおめぇそれを今言ったらダメだろ、シャドウがかわいそうじゃねぇか」

 「くふっ……バレバレだったみたいだねシャドウ!ダッサ!」

 「腕が鈍ってるんじゃないの?」

 「慢心か?」

 「くっ!居場所をばらされた挙句のこの屈辱……」

 エイケン、アディオン、リレイ、サイからの辛辣な言葉にシャドウがプルプルと震え怒りに耐えていた。

 「なんかすいません…」

 「あはははっ!セナ君謝るのは傷に塩を塗り込むのと同じだよ!」

 「くっ!」

 「あ…ああ、そうだ!シャ、シャドウさんとシスターコルネさんはどういったご関係なんですか?」
 
 「え?」

 「何言ってんだおめぇ」

 きまづくなって話題を変えたセナの言葉にコルネが驚きエイケンが要点が見えず呆れたように尋ねた。

 「いや、最初にあってからここまで時々コルネさんから感じる視線がシャドウさんと似てるから…」

 「はぁ~?あのボケたシスターがシャドウと一緒なわけ…」

 「ぷふっ!あはははははっ!なにもかもばれてるじゃないかっ!あはははははっ!セナ君最高!!」

 「ちっ!やはり消しておけばよかったか」

 エイケンが呆れる中、突然アディオンが腹を押さえ爆笑し、シャドウは苦々しく後悔を口にしたのをききリレイ達がコルネをみると目を見開いて驚いていた。

 「本当なの?」

 「ああ、やつは我が弟子にして唯一の後継者だ」

 「シルティア内部を探らせてたのね」

 「ああそうだ」

 リレイの問いにシャドウが投げやりに答えた。

 「それで?あの時とはどういう意味だ?」

 「リネアの英雄と歌姫披露の場での暗殺だ」

 「それで依頼主は?おっと、さすがに甥っ子の話だ…いくらおめぇでも…喋らなきゃ…斬るぜ?」

 「シルティアだ。正確に言えば前教皇がその男に命をくだし、その男から受けた仕事だ」

 「随分、素直にはくじゃねぇか」

 「こんな屈辱を受け…こんなやつらのために死ねるか」

 殺気をたぎらせたエイケンが察知し距離を取ろうとしたシャドウに剣先を向けると両手を上げ、あっさりとペドロを見ながら依頼者を告げた。

 「おめぇを斬らずに済んでよかったぜ?」

 「ぬかせ」

 剣を肩に担いだエイケンが笑いながらいった。

 「んじゃシャドウ、ついでにこの一連の件について知ってることを順番に話していってもらえるかい?」

 「断るなら断ってもいいけど…」

 「今後はしてやらんぞ?」

 「…わかった…くそっ!」

 アディオン、リレイ、サイの言葉に肩を落とし悔しそうにしながらもシャドウが頷き、これまで自身が集めた情報を話始めた。

 「ねぇカトリーヌ?やっぱりナンバーズの皆さんってすごいのね…」

 「んー…というよりナンバーズの女性陣が怖すぎるとおもいますわ」

 「ふふ」

 これまでの流れをただただ見ているしかなかったアリアが小声でカトリーヌと話すと話が聞こえたメイも笑いをこらえた。

 「ふふっ。そこ全部聞こえてるからね?」

 「3人ともあとでお話しきいてあげるわ」

 アディオンとリレイがチラッと3人をみながらいうと3人はびくっと肩を震わせた後、おとなしくしていることを選んだ。
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