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第7章 大陸編

助人~ジルネイ共和国の場合①~

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 「んー!敵はこちらの弱いところを攻めてきてますねぇ!」

 「ええ…うちはどうしても魔法攻撃の手数が少ないから…」

 「獣人は魔法を使えないし、国土的にも広く集落が点在していて騎馬隊のように機動力重視な兵がどうしても多くなってしまうから…遠距離は弓がメインになるのは仕方ないわ」

 結界をはり敵2陣の攻撃を見ながらメディー、メル、リレイが話し合っていた。

 「ん?どなたですか?」

 「え?」

 戦況を見ていた3人だったが急にメディーが後ろを振り返り声をかけた。

 「ふむ…シャドウほどではないが私もそれなりだと思ったんだが勘の鋭いお嬢さんだ」

 「なっ!コーウェル!」

 メディーの声に驚きながら二人が振り返ると何もなかった空間がゆがみ真っ白なローブをきた細身で長身、右半分が金で左半分が黒い髪で顔を仮面ですっぽり隠した男が仮面から覗かせている目で興味深そうにメディーを見つめながら現れた。

 「やぁリレイ、それにメルも久しいね」

 「お久しぶりですコーウェル様」

 「ああ、二人とも元気そうでなによりだよ。それでそちらのお嬢さんはどなたかな?」

 「コーウェル様?はじめまして私はメディーと申します!」

 リレイとメルに朗らかに挨拶をする間もメディーを探るように見ていたコーウェルにメディーがいつものようにはつらつに挨拶をした。

 「それで?コーウェル…あなたが人の前に現れるなんて珍しいじゃない、どういう風の吹き回しなの?」

 「どうもこうも…コールを受けたからきたんだがね?」

 「え!?まさかコーウェル様が助っ人として来てくださったと?」

 リレイとメルがコーウェルの視線を遮るようにメディーとの間にたち尋ねるとコーウェルは頭を掻きながら心底めんどくさそうに答えた。

 「リレイ様、コールということはコーウェル様も?」

 「え、えぇ…彼もナンバーズよ」

 「メディー…この方にかぎり二つ名が先行して名前はあまり世間にしられてないの…」

 「ほー!」

 「No10…禁術使いフォーディンエランドのコーウェルよ…」

 「え!?あの島壊しの禁術使いさんなんですか!?」

 「ええ…」

 メルの説明をききなぜかメディーが興味津々で興奮気味にコーウェルをみた。

 「君は私を知っても怖がらないのだな」

 「えっ?怖いなんてとんでもないですよっ!」

 「え?メディー?」

 コーウェルが自身に向けられたメディーからの視線に意外そうに尋ねメディーの言葉を聞きリレイは驚きの声を上げメルとコーウェルは驚いた顔のまま固まった。

 「島を跡形もなく壊したと言っても岩場だらけで生物どころか植物すら自生していない無人島ですし!逆にあの島がなくなり海流が整ったのか海の生態系もよくなり海辺の村の漁師さんたちは喜んでましたし航海もしやすくなったんですよ?」

 「え、えぇ…そうね」

 「手段が禁術だったとで、すばらしいことをなさった方じゃないですか!」

 「だけって…」

 興奮気味にいうメディーにメルが力なくつぶやいた。

 「その後に影響のある術ではなかったですし迷惑した方はいないんですから、コーウェル様がどのような意図でやったのかはわかりませんが禁術だからと変なイメージだけで結果まで悪いことのように思われるのは気に入りません!」

 「メディー…あなた…」

 フンスと憤慨しながら言いきったメディーになぜかリレイが優しい目を向けた。

 「…リレイ…随分面白い子のようだね」

 「ふふ…そうでしょ?周りに流されず事実を事実としてちゃんと見れる私たちの自慢の妹よ」

 「ほぅ?」

 あっけにとられていたコーウェルが力なく笑うとリレイはメディーを抱きしめながら答えメルも嬉しそうにメディーの頭を撫で頷いた。

 「君たち二人がそのように優しい顔ができることに私はいま驚愕しているよ」

 「なっ!あなたねぇ!」

 「ふふっ…すまない冗談だ…前線にはサイとスカーレットがでているんだね?」

 「もう!…ええそうよ!」

 「ふむ、それであの二人とともに暴れているバトルホースは?」

 「ああ、迅風のことね?」

 「迅風?」

 「ナンバーズ私達のあたらしい仲間の愛馬よ」

 「ジルネイの生きる守り神の迅風です!どうですか?あの神々しいまでの…」

 「メディーおちついて…ね?」

 「守り神?…ふむ…あたらしい仲間がでできたことはエイシャから聞いたがどういう方なんだい?」

 「そこが知れないわ…色々とね」

 「ほう…」

 「詳しくはこれが終わったら話すわ」

 「ふむ…そうだな…では敵陣の後方からちまちまと攻撃している輩達を私に任せてもらおうか」

 「え?」

 ローブの腕をまくり上げ窓につかつかと歩いていくコーウェルにリレイが意外そうな声をあげた。

 「サイたちがいるんだ、あの中途半端な魔法攻撃を止めてやればどうとでもなるだろう?」

 「やってくれるの?」

 「ああ、そのためにコールを受けたからね。まぁ任せて頂こう」

 リレイの横をとおりすぎるコーウェルはニコリと笑いメディーの頭をポンポンと優しくなで答えると窓から外へ飛び降りた。

 「優しいいい方ですね!」

 「ええ…優しすぎたのよ」

 「??」

 「とりあえず今回もあなたに救われそうですね」

 「ええ、そうね」

 「私はなにもしてませんよ?」

 メルがメディーを笑顔で抱きしめリレイも嬉しそうに困惑しているメディーの頭をなでた。


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 「ちぃ!忌々しいな!」

 「はい!ちまちまちまちまと煩わしいです!」

 縦横無尽に駆け巡り矢や魔法をかわしながらも敵本陣へと進んでいくサイとスカーレットだったが威力や速度は大したことがない攻撃だが手数が微妙に多く思ったように進めずイライラを募らせていた。

 「サイ様!本部から伝令です!」

 「なんだ?」

 「コーウェル様?という方が攻撃参加なさるそうなので巻き添えをくらうなと!我々にも後方へさがるよう命令が下りました!」

 「なに!?スカーレットきいたな!下がるぞ!貴様たちもさっさとさがれ!」

 「はい!迅風!一度さがるわ!」

 「ヒヒィーーン!」

 ジルネイの兵からの伝令をきき焦ったようにサイとスカーレットが迅風にのりその場をはなれた。

 「ふむ。味方はあらかたさがったようだな…では…」

 前線がさがるのを半径10メートルはあるであろう光り輝く魔法陣の中心にたつコーウェルが確認すると杖をかざし敵座標ロックオンするかのように狙いをさだめ禁術の1つを発動した。

 「命をはぐくむ恵みに焼き尽くされろ…」

 呪文のようにコーウェルが呟くと空に大小さまざまな水でできたレンズのようなものが浮かび上がり一番大きく高い場所にある水のレンズが太陽の光を集めいくつものレンズでまるで虫眼鏡で光を収束していくかのようだった。

 「ソーラーカノン!」

 最後のレンズが光を集め始めるのを見たコーウェルが術の名前をいうとレンズは一直線に圧倒的な熱量で敵を焼き切った。

 「これでいいだろう」

 光が収まりレンズが上空からきえ光が照射された地面がブスブスと焼けこげるのを確認したコーウェルが満足げに頷いた。
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