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第7章 大陸編

統べる力

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 「失礼いたします」

 「どうなさったの?アイリーン」

 「カトリーヌ、今すぐ全軍を退かせてくださいませ」

 「え!?なんですの突然!?」

 帝国のカトリーヌのもとへ突如現れたアイリーンの指示にその場にいたコニーや皇帝レオも困惑していた。

 「先ほど、賢王エイシャ様ならびに我が神、魔王エイコ様よりセナ様へすべての戦場の敵をことごとく一掃せよとのお達しがございまして、それによりセナ様みずからが…」

 「今すぐ全軍を撤退させなさい!急いで!!」

 アイリーンが最後まで言い切る前に盛大に焦りながらカトリーヌが全帝国軍へと伝令を走らせた。

 「迅速な指示さすがですわね」

 「セナ様が自ら打って出るのでしたら当然ですわ!」

 「ではもう一つ、セナの配下我らもすべてセナ様にご同行するようとのことにございます。それでカトリーヌはどうなさいますか?」

 「お父様には申し訳ありませんが…当然セナ様の元へ」

 「よろしいのですか?」

 「かまいませんわ、セナ様はまずこちらにお越しになられるのでしょう?でしたら帝国の戦は終わりますもの」

 「もうお越しになられておりますわ。皇帝陛下様わが主セナ様の参戦ご許可ねがえますでしょうか」

 「もちろんだ…ただわが軍が下がり切るまでまっていてほしい」

 「心得ております」

 粛々とアイリーンがレオへと話をしている最中、ちらっとレオを見てレオがうなずくのを確認したカトリーヌがコニーとともに城のバルコニーにでると上空にはヤオとタオ、そしてエリスをしたがえたセナがグラニールの背に乗り戦場を見ていた。

 「セナ様!」

 「セナ様ぁ~!おーーい!エリスぅ~!」

 カトリーヌとコニーが声をかけると瞬時に二人はセナによってグラニールの上へと転移した。

 「へ?」

 「はやっ!」

 余りに一瞬のできごとに二人が驚いた。

 「やぁカトリーヌ、コニー。ケガはしてない?」

 「はい」

 「大丈夫です!」

 ニコッとやわらかな笑顔でセナに問われ二人は嬉しそうに返事を返した。

 「セナ様そろそろ頃合いかと」

 「カトリーヌとエリスは我らの後ろへ」

 「はい!」

 呪術で結界をはったヤオとタオの後ろにカトリーヌとエリスが回った。

 「コニーはグラニール殿と合わせ敵に攻撃を」

 「まかせてください!グラニール、セナ様の手をわずらわせる必要などないです!私たちで終わらせてしまっちゃいましょう!」

 「グルワァ」

 「ええ!やってやりましょう!!」

 眼帯をはずし魔力をどんどん高めていくコニーにグラニールも力をため始めた。

 「グラニール、中央から右にかけて攻撃してください!コニーは中央手前を!」

 今まさに先制攻撃をしようとした瞬間カトリーヌから指示が飛びコニーとグラニールが見ると中央と右陣が追手により撤退が遅れているようだった。

 「流石ですねカトリーヌ!少々不本意ですがいいでしょう…セナ様の露払いをさせてもらいましょう」

 「グルワァ」

 「グラニール、では今度こそいきますよ!」

 「セナ様がいらっしゃるので後先かんがえませんよぉ!いきなり極限大魔法!『雷炎龍ライトニングフレイムドラゴン!!』 」

 「グルルルル…グワァァァァァ!!!」

 上空からコニーが帯電する炎の巨龍を撃ちだし同時にグラニールがバチバチと放電するブレスを撃ちだした。

 「流石…グラニール…です…ね」

 ふらふらと倒れた後、ぐったりしながらグラニールの背中をコニーが撫でながら眠りについた。

 「セナ様、撤退完了いたしましたわ!」

 「じゃあ、全開で広範囲攻撃をしてみますね…」

 カトリーヌの言葉にセナは自信の持てるすべての力を刀に集め始めた。

 「くっ!アイリーン!結界を!!」

 「心得ております!!」

 セナが力をため始めると発射の衝撃に耐えるためグラニールは龍気と燐気をまとい、ヤオとタオもそれぞれ闇の属性化をした力をまとい呪術を強化したが耐えれずと判断し急遽アイリーンを呼び出しアイリーンも力の限り魔力で結界を貼った。

 「カトリーヌ!コニーと私の後ろに!」

 「は、はい!」

 エリスが愛刀を抜き獣気を全開にし二人の盾となった。

 「ヨーチェ!ヤバいぞ!急げ!」

 「ああ!わかっている!!」

 撤退命令をきき殿をつとめていた二人はセナの力の高まりが尋常でなはいことに焦りながらも必死に撤退をした。

 「どこまであがるというのだ!?」

 「そんなもの知らん!城へ急げ!!」

 いまだ上がり続けるセナの力に驚愕しながらもクロウとヨーチェは城まで全速力で駆け抜け、敵のアルドラ軍は城の上空にいるグラニールから恐ろしいほどの力があふれ出て大気が微妙に揺れ始めていることに戸惑い足を完全に止めていた。

 「ここまでが今の限界だ…」

 「セナ様いつでも!」

 「いえ!ここからの力を開放します!」

 「なっ!?」

 セナの言葉を聞いたタオだったがセナがここからさらに魔眼、龍眼そして鬼のピアスの力を開放した。

 「セ、セナ様!このままではグラニールも我らも耐えきれませぬ!!」

 「え?では!カトリーヌ避難は終わってるね?」

 「は、はい!」

 「グラニール少し頭にきをつけてね?」

 カトリーヌの言葉を聞きセナはグラニールの上空へと転移した。

 『雷風波斬サンダーストーム

 セナが超高速で刀を十字に振ると雷をまとった疾風波斬が見渡す範囲すべてを覆うように飛び斬撃が通った後にバチバチと放電する巨大な竜巻が起こり戦場場所を一瞬で飲み込んだ。

 「「「「「 ………… 」」」」」

 グラニールの上に着地したセナをよそにヤオ達は全員竜巻を見つめたまま言葉を失っていた。

 「グラニール、少し下がろうか。おもったより土煙がひどいみたいだ」

 「グ…グルワァ…」

 さしものグラニールも目の前で起こっていることとセナとのギャップがひどすぎて一瞬硬直したが言われた通り後退した。

 「んー、さすがにこれだけの範囲だと…日に2発いや3発くらいしか撃ちだせないなぁ」

 「っ!?セナ様!あれを連続にございますかっ!?」

 「ん?そうですねぇ、あれで6割くらいなので回復量とあわせるとそんなものじゃないですかね」

 「……そ、そうにございますか」

 「さすがに掛け値なしだと1発でおわってしまいますよ」

 ヤオに体を向け朗らかに笑うセナの背後ではいまだすべてを飲み込む竜巻が荒れ狂っていて全員がいまだ現実を受け入れれず硬直していた。

 それから30分以上たち竜巻が収まり徐々に土煙が収まっていくとそこには竜巻の中心部だけが盛り上がったように小高く残りそれいがいは見渡す限り真っ平の土色をした地面だけしか残っていなかった。

 これでストラトス帝国での戦はひとまずの終戦を迎えた。
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