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第7章 大陸編

知らぬは本人のみ

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 「ということでございまして、セナ様には申し訳ございませぬが」

 「エイシャ様からの呼び出しなら是非行ってあげてください」

 「主を離れることまことに申し訳ございませぬ」

 「ヤオ様とタオ様が不在の間、私たちがセナ様へ御付きいたしますのでご安心ください」

 「よろしくお願いします。ですがたまにゆっくり制作でもしながらいますので大丈夫ですよ」

 アイリーンから報告を受けたヴァルキューレの面々が話し合いレイファとオリファがヤオとタオ不在の間セナに付き、アキラからの許可が下りなかったものがさらにセナの元に来るということで話がまとまり、セナには内容をふせヤオとタオがセナからの許可をもらった。

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 「ふむ、カトリーヌ君、メディー君は申し訳ないが魔素への抵抗力が低いようだ、それとリレイ君も耐えれないだろう」

 「なっ!?」

 「くっ!……しかたないわね……」

 「いえ!私は行きます!」

 ドラニスタの城内でアキラが魔大陸への適応を視て3人に告げたがメディーだけは自信ありげについていくことを口にした。

 「メディー、残念ですが私たちは……行けば皆さんにご迷惑しか…」

 「いえ!大丈夫です!!お二人も行けます!」

 「メディー?」

 「パラドイネで魔剣の呪いを解除するお手伝いをしたときに私実感したんです」

 「何をですの?」

 「あの時、セナ様、アキラ様そしてヤオさんタオさんそれにアイリーンさんたちの力に抵抗力のない私は耐えるだけで精いっぱいでした。しかもそれはセナ様がさりげなく魔力で私をまもってくれてです」

 「ふむ、あの時の結界は見事だったね」

 「ありがとうございます!魔力が少ない私がますますお強くなっていくセナ様とご一緒するためにはそこを対策しなくてはとずっと研究と試作を繰り返していたんです」

 「メディー…あなた……」

 「そして簡易結界の発動時間の速さ、強度、持続性、そして小型化をセナ様だけでなくヤオさんタオさんの呪術、アイリーンさんの魔界独自の闇の結界、あの時見たアキラ様の多重結界すべてを参考に作った試作品がこれです!」

 「ほぉ!すばらしいね!」

 「これならば私たちも魔素の濃い場所でも活動できます!ですから私たちもお連れください!!」

 メディーがマジックポーチからとりだしたネックレスをみせた。

 「これは装着者のごく狭いからだがすっぽり収まる程度の結界を張り続けるというものです」

 「ほぅほぅ」

 「結界といっても攻撃などは防げませんが魔力などへの抵抗力のみに特化することで持続時間も画期的に伸ばせました」

 「リレイ様!カトリーヌ!これをつけて私たちも連れて行っていただきましょう!!」

 「アキラ殿…どうでござりまするか?」

 メディーのネックレスを眼鏡をはずしたアキラがしばらく調べるようにみた。

 「うん、これならば問題なさそうだ3人分あるのであれば問題なく連れていけるよ」

 「ありがとうございます!!9つあるので数の心配はありません!大丈夫です!!」

 「メディーどうしてそんなに数をご用意なさったの?」

 「え?エリスもこちらの魔大陸には行けないと判断されましたよね?」

 「え、ええ」

 「コニーとエイケン様はいけたので魔力適正が高い方と燐気の強い方はいけるけど獣気の方はいけないと思ったんですよ」

 「え?じゃあ…」

 「はい!サイ様、エリス、スカーレットそれに私とリレイ様、そしてカトリーヌあとは神聖魔法がどう作用されるかわからないのでアリアやアディオン様、マインの分を一応作っておいたんですよ」

 「あっはっはっはっは!さすがメディーだね!」

 「ふふふっ!すごいでしょ?」

 当然のように答えたメディーの言葉に名前を呼ばれたメンバーは目を丸くし驚いている中、アディオンは声を上げ笑いリレイはメディーを抱きしめ自慢するように言った。

 「しかしアリアは連れてけねぇからここで待機だ」

 「えぇ!?」

 「ゲイリー、サナリア、たのむぜ?」

 「お任せを!」

 「歌姫様とここドラニスタは命に代えて守ってみせるわ!」

 「そんなぁ…」

 「アリアおめぇが行ったらコルネが動けねぇだろ?」

 「え?」

 「俺らの中でもしかしたら一番はらわた煮えくりかえってるのはそいつだと思うぜ?」

 「そうね、自分の身代わりにセナ様があのようになったんですもの」

 「アリア友達なら察してやれ」

 「そうだったんだ……うん!コルネ私の分までエターニャとセナにあんなことしちゃった人たちをおもいっきりとっちめてきてあげてね!もうどこも誰もあんな悲しいことが起こらないようにお願い!」

 「アリア……任せて……必ず借りを返して今後の憂いを断ち切ってくる」

 「うん!」

 アリアは笑顔でコルネをぎゅっと抱きしめコルネは決意を秘めた目で頷いた。

 「それではそろそろ行こうか、エイコたのむよ」

 「やっとおわったの?それじゃ行くわよ」

 興味なさそうにお茶を飲んでいたエイコが立ち上がると全員つれて転移していった。

 「皆がんばって!」

 アリアが誰も居なくなった場所をみつめながら祈りをささげた。

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 「セナ様、本日はどのようにお過ごしになられますか?」

 「んーそうですねぇ、久しぶりにゆっくり街を探索してみようかと思います」

 「ではご一緒致します」

 「え?お仕事は大丈夫なんですか?」

 「ブレイダーから数名きておりますので大丈夫です」

 「そうなんですか?では久しぶりにお願いしようかな」

 「はい!」

 「あ、セナ様わたしもご一緒させてください」

 「オリファさんもお休みですか?」

 「はい!セナ様がこちらに滞在なさっている間ギルドの依頼をおうけしないかぎりお休みです!」

 「そうなんですね、なんか気を使っていただいて申し訳ないです」

 「いえ!私とお姉ちゃんはセナ様最優先といわれておりますので全然大丈夫です!」

 「なんか悪いなぁ…でもせっかくですしじゃあ、お二人ともお願いします」

 「「 はい! 」」

 嬉しそうな顔をしたセナを姉妹が左右から挟むように3人で街に出かけた。

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 「うん、無事についたようだね」

 「なんか……さびれてますね」

 エイコの転移で訪れた場所は見渡す限り枯葉てた山やなにもない平原だった。

 「あなたどっち?」

 「ふむ、向こうのようだ。ここからはグラニールにお願いして飛んでいこう」

 「そうね、グラニールお願いね」

 「グルワァ」

 「ふふ、セナちゃんに似て優しくいい子ね」

 エイコに頼まれたグラニールが手を差し出しエイコが乗るとゆっくり優しく自身の頭の上にのせエイコは満足げにグラニールをなでた。

 「あいかわらず不思議ね」

 「ああ、これだけのスピードで飛んでいるのに全く風があたらないからねぇ」

 グラニールの頭の上で腕を組み周りを見ているエイコにアキラが朗らかに笑っていた。

 「終わったらこういう風に旅をするのも風情があっていいかもしれないね」

 「そうね、グラニールで飛ぶのも迅風に馬車を引いてもらってもすてきかもね」

 「いいねスレイヤー領には素敵な温泉が沢山あるようだ」

 「あらいいわね」

 「さすが魔王様と先生です…敵の本拠地で容赦なくイチャイチャしてますよ」

 アキラの腕に抱き着つき笑顔で答えるエイコをみてコニーが恐れおののいていた。

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 「お?エイコ、みんなも見えたようだ」

 グラニールに乗って15分アキラが指さした先には立派な古城が建っていた。

 「グラニール?あの城吹き飛ばしてくれるかしら?」

 「グルワァ!」

 エイコが優しくグラニールを撫でながらいうとグラニールをその場でホバリングをし自身の頭上と城の真上に巨大な魔法陣を描いた。

 「ブルルル……」

 「迅風?」

 グラニールの背で大人しくしていた迅風がとんとグラニールの背から飛び降り蒼い炎をまとい頭上にある魔法陣へと蒼い炎の球をとばし吸収させた。

 「グルルルルワァァァァ!」

 「ヒヒィーーーーン!!!」

 二頭が同時に激しく鳴くと頭上の魔法陣が激しい点滅をし砕け散った瞬間、古城の上の魔法陣から城をすっぽり覆うほどの巨大な雷と蒼い火柱がたった。

 「あら、迅風もてつだってくれたの?いい子ね」

 「ブルルル」

 「ほんとあなた達気が利くいい子達だわぁ」

 優しい目で言ったエイコに迅風が鼻を鳴らし首を縦にふったの空中で立ち止まるとグラニールがエイコに手を差し出しエイコが乗るとゆっくり迅風の背中にエイコを送り届けエイコは満足げに2頭を褒めた。

 「……し、師匠……まさか今ので終わってしまったということはないですよね」

 「なっ!グラニールと迅風の合体魔法!?私のアイデンティティが!」

 ブスブスと煙を上げて更地になった城跡みてエリスがエイケンにあっけにとられたまま尋ね、コニーは自身があみだした合体魔法をさらにパワーアップさせ披露した二頭に憤慨していた。

 「コニー豚は足がはえぇんだろ?」

 「え?あ!ほんと速いみたいですね!」

 エイケンの言葉に不思議に思いながらもコニーがあたりを見渡すと城跡地から少し離れた場所に小太りの男を取り囲むように兵が100人以上いるのが目に入った。

 
 
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