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第1章 降り立つ
全身全霊と異世界テンプレ⑦
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目の前で盛大にセナの嘔吐を見て。
「うっ! セナ殿大丈夫……うっぷっ!!……大丈夫ですかっ!」
自身もセナからもらいそうになりながらも、騎士としての矜持なのか必死に耐えつつ、ガルハルトがセナの背中をさすりながら、とりあえず一度ドアを閉めセナを休ませる。
「うっ……ずびばぜん(すいません)」
セナが嗚咽をあげ苦しそうに謝ってくる中、自身も限界が近い中笑顔を向けたガルハルトは騎士の鏡なのかもしれない。
そして、セナが落ち着いたところで。
「セナ殿無理をせず……どのみち王城へ報告されます。
確認のため王国騎士団が調査に来ますので、そちらに任せては?」
ガルハルトが聞くが、セナは涙目でまだ少し荒い呼吸のまま顔を横に振り。
「なぜかですが……自分で確認しなきゃいけない気がするんです……」
そういわれてはガルハルトも無碍にはできず。
「わかりました……ただ次にこのようになった場合は引き返すことを了承していただきたい」
ガルハルトがセナの目を見ながらいい、セナも了承したところで再度、ガルハルトがドアを気合と共に押し開けた。
先ほど体験し身構えていたが、ドアの隙間から漏れ出す臭いに再び激しい吐き気を催したが、セナは何とか耐えガルハルトに目で合図をして、ガルハルトは更にドアを開けやっと部屋の全貌を二人は目にすることができた。
「……なに……これ……」
「これは……ひどい!……あの外道共めっ!!」
そこには天井から床まで伸びた鎖に両手を縛られ、目隠しと猿轡をかまされ、ずた袋を服の代わりに着せられた
一人の少女が部屋の中心に居た。
ただセナとガルハルトが絶句したのは、その少女の姿があまりにもひどかったからだ、少女は薄汚れくすんでぼさぼさになった灰色の髪に、食事も満足に与えられていなかったのかガリガリにやせており、手枷と足枷が擦れているのか触れている部分がグジュグジュに膿んで痛々しいのを通り越していた。
そして排泄もそのままなのか床は少女の排泄物で汚れており部屋に充満していた臭いの原因のようだった。
なにより異様だったのは、彼女の首や両手両足に巻き付かれた細いワイヤーが彼女の足元に広がる魔方陣のようなものに繋がっており、先ほどの扉よりも強力で異様な魔力を感じさせることだった。
その魔方陣のせいでセナとガルハルトが少女に近づけずに絶句しているところに。
「団長!……んっ!?」
「セナ!……って!っくっせぇ!!!……なっ! なんだよこれっ!!??……うっぷ!」
宝を探し終えたのかスタインとライズが入ってきて、セナたちがいる部屋を一目見て異様さに気づき驚き固まると。
「どう思う?」
ガルハルトがスタインに聞くと、スタインは顔をしかめながらも魔方陣と彼女を交互に見つめた後。
「推測ですが、おそらくその少女の魔力を魔方陣で吸収してそこにあるデカい水晶に込めているかと思われます。」
「彼女を開放する方法はありますかっ?」
スタインが自身の推測を口にするとセナが勢いよくスタインに詰め寄り気味にいうと、先ほどまでどちらかというと引っ込み思案だと思っていたセナの思わぬ剣幕にスタインは驚きつつも。
「おそらく……莫大な魔力を込めた攻撃であの水晶を壊すと行けると思いますが……我々全員の魔力を集めても……行けるかどうかというところではないでしょうか」
スタインが目線をセナからそらし伝えるとセナは黙り込み下を向いてしまった。
3人はセナがショックを受けていると思い声をかけようとしたが、どのようにどんな言葉をかければいいのかわからずにいるが当のセナ本人は。
『スタインさんの話では力任せにあの水晶を壊せばいいってことだよね?彼女への負担もきっとないからそういったんだと思うし……ダメもとでやってみたほうがいいよね?……ダメだったら素直に王国の騎士団にまかせよう……』
3人が顔を見合わせ困っていると、考えがまとまったセナが急に顔をガバッとあげて。
「と……とりあえず! 今の僕の全力で……や……やってみていいですか?」
言葉は頼りなさげにガルハルト達の態度を探るように言っているが、目は覚悟を決めた目でいうと。
「はぁ~……意外とセナ殿は強情な方のようだな……一度やってみてダメだったら王国騎士団にまかせるということでよいだろうか?」
ガルハルトがため息交じりに苦笑し、そうセナに伝えるとセナは未だに悪い顔色でニコっと笑い頷き。
「今の僕の……掛け値なしの全力でやってみようと思っているので……皆は部屋の外に出てもらえますか?」
セナの言葉で3人が頷き部屋の外から見守る中、セナは一度深い深呼吸をした。
集中力を限界まで高めているのか目を閉じ臭いも気にせず深呼吸をしたあと、刀を抜き中段で構え極端な前傾姿勢で全身の力を刀の先端に集めるイメージで力を込めていき、力のすべてを刀の先端に集めたとイメージできた瞬間、目をカッと見開き全開で地面を蹴り顔の前で刀を構え渾身の突きを魔方陣の中にある水晶めがけ繰り出す。
バチィーーン!!!
パリーーーーン!!
魔方陣にあたったのか刀が魔方陣の上まで来た時に激しい静電気に感電したような音が響き渡り、同時に青白い眩い光が部屋全体に広がり、あまりのまぶしさに部屋の外のガルハルト達が目をつぶったり手を目にかざして光を遮ったりした時、勢いよくガラスが割れたような音がして同時に先ほどの光が弱まっていき、完全に光が消えガルハルト達が目線を再び部屋の中心に向けるとそこには少女の目の前に刀を構え肩で息をしているセナがいた。
ピキピキ・・・・パリーーーン
そして、その奥にあった水晶にヒビが広がった後、粉々に砕けた。
「うっ! セナ殿大丈夫……うっぷっ!!……大丈夫ですかっ!」
自身もセナからもらいそうになりながらも、騎士としての矜持なのか必死に耐えつつ、ガルハルトがセナの背中をさすりながら、とりあえず一度ドアを閉めセナを休ませる。
「うっ……ずびばぜん(すいません)」
セナが嗚咽をあげ苦しそうに謝ってくる中、自身も限界が近い中笑顔を向けたガルハルトは騎士の鏡なのかもしれない。
そして、セナが落ち着いたところで。
「セナ殿無理をせず……どのみち王城へ報告されます。
確認のため王国騎士団が調査に来ますので、そちらに任せては?」
ガルハルトが聞くが、セナは涙目でまだ少し荒い呼吸のまま顔を横に振り。
「なぜかですが……自分で確認しなきゃいけない気がするんです……」
そういわれてはガルハルトも無碍にはできず。
「わかりました……ただ次にこのようになった場合は引き返すことを了承していただきたい」
ガルハルトがセナの目を見ながらいい、セナも了承したところで再度、ガルハルトがドアを気合と共に押し開けた。
先ほど体験し身構えていたが、ドアの隙間から漏れ出す臭いに再び激しい吐き気を催したが、セナは何とか耐えガルハルトに目で合図をして、ガルハルトは更にドアを開けやっと部屋の全貌を二人は目にすることができた。
「……なに……これ……」
「これは……ひどい!……あの外道共めっ!!」
そこには天井から床まで伸びた鎖に両手を縛られ、目隠しと猿轡をかまされ、ずた袋を服の代わりに着せられた
一人の少女が部屋の中心に居た。
ただセナとガルハルトが絶句したのは、その少女の姿があまりにもひどかったからだ、少女は薄汚れくすんでぼさぼさになった灰色の髪に、食事も満足に与えられていなかったのかガリガリにやせており、手枷と足枷が擦れているのか触れている部分がグジュグジュに膿んで痛々しいのを通り越していた。
そして排泄もそのままなのか床は少女の排泄物で汚れており部屋に充満していた臭いの原因のようだった。
なにより異様だったのは、彼女の首や両手両足に巻き付かれた細いワイヤーが彼女の足元に広がる魔方陣のようなものに繋がっており、先ほどの扉よりも強力で異様な魔力を感じさせることだった。
その魔方陣のせいでセナとガルハルトが少女に近づけずに絶句しているところに。
「団長!……んっ!?」
「セナ!……って!っくっせぇ!!!……なっ! なんだよこれっ!!??……うっぷ!」
宝を探し終えたのかスタインとライズが入ってきて、セナたちがいる部屋を一目見て異様さに気づき驚き固まると。
「どう思う?」
ガルハルトがスタインに聞くと、スタインは顔をしかめながらも魔方陣と彼女を交互に見つめた後。
「推測ですが、おそらくその少女の魔力を魔方陣で吸収してそこにあるデカい水晶に込めているかと思われます。」
「彼女を開放する方法はありますかっ?」
スタインが自身の推測を口にするとセナが勢いよくスタインに詰め寄り気味にいうと、先ほどまでどちらかというと引っ込み思案だと思っていたセナの思わぬ剣幕にスタインは驚きつつも。
「おそらく……莫大な魔力を込めた攻撃であの水晶を壊すと行けると思いますが……我々全員の魔力を集めても……行けるかどうかというところではないでしょうか」
スタインが目線をセナからそらし伝えるとセナは黙り込み下を向いてしまった。
3人はセナがショックを受けていると思い声をかけようとしたが、どのようにどんな言葉をかければいいのかわからずにいるが当のセナ本人は。
『スタインさんの話では力任せにあの水晶を壊せばいいってことだよね?彼女への負担もきっとないからそういったんだと思うし……ダメもとでやってみたほうがいいよね?……ダメだったら素直に王国の騎士団にまかせよう……』
3人が顔を見合わせ困っていると、考えがまとまったセナが急に顔をガバッとあげて。
「と……とりあえず! 今の僕の全力で……や……やってみていいですか?」
言葉は頼りなさげにガルハルト達の態度を探るように言っているが、目は覚悟を決めた目でいうと。
「はぁ~……意外とセナ殿は強情な方のようだな……一度やってみてダメだったら王国騎士団にまかせるということでよいだろうか?」
ガルハルトがため息交じりに苦笑し、そうセナに伝えるとセナは未だに悪い顔色でニコっと笑い頷き。
「今の僕の……掛け値なしの全力でやってみようと思っているので……皆は部屋の外に出てもらえますか?」
セナの言葉で3人が頷き部屋の外から見守る中、セナは一度深い深呼吸をした。
集中力を限界まで高めているのか目を閉じ臭いも気にせず深呼吸をしたあと、刀を抜き中段で構え極端な前傾姿勢で全身の力を刀の先端に集めるイメージで力を込めていき、力のすべてを刀の先端に集めたとイメージできた瞬間、目をカッと見開き全開で地面を蹴り顔の前で刀を構え渾身の突きを魔方陣の中にある水晶めがけ繰り出す。
バチィーーン!!!
パリーーーーン!!
魔方陣にあたったのか刀が魔方陣の上まで来た時に激しい静電気に感電したような音が響き渡り、同時に青白い眩い光が部屋全体に広がり、あまりのまぶしさに部屋の外のガルハルト達が目をつぶったり手を目にかざして光を遮ったりした時、勢いよくガラスが割れたような音がして同時に先ほどの光が弱まっていき、完全に光が消えガルハルト達が目線を再び部屋の中心に向けるとそこには少女の目の前に刀を構え肩で息をしているセナがいた。
ピキピキ・・・・パリーーーン
そして、その奥にあった水晶にヒビが広がった後、粉々に砕けた。
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