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第2章 リネア王国 ― 【王都リストニア編】

厄介な依頼③

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 セナとレイファが治療院へと着いた。

 「あっ!スターシャさん!こんにちわ」

 「あら?セナ様。レイファも、今日は早いのね」

 治療院の中へ入り、たまたま歩いていたスターシャを見かけたセナが挨拶をした。

 「はい。実はギルドから指名依頼を受けまして、明日から少し、東の森に行くことになったんです」

 「あらそうなの?なら、明日の薬学の時間は無しね?気を付けて行ってくるのよ?」

 セナの話にスターシャが、全然心配などしていなのが、まるわかりな態度で、一応、心配を口にした。

 「はい。それでお願いします。あと…。アリアのところへ、今から行っても大丈夫ですか?一応、アリアにも伝えたいので」

 「えぇ、もちろん」

 セナが、ここへきた一番の目的を聞いたスターシャが、苦笑気味に了承した。

 「ありがとうございます。依頼を終えて、帰ってきたら顔を出しますので、薬学の日程は、その時にでも、改めてお願いいたします」

 「はい、はぁ~い。了解ですよぉ。ほら、さっさと行くがよい!」

 スターシャが、適当な返事をし、手で追い払うようなしぐさをして、セナへと言った。

 「はい!ありがとうございます。では、また」

 「あっ。セナ様?私は少々、スターシャ様とお話がありますので、お一人でお会いになってきてくださいませんか?」

 セナが挨拶をし、アリアのいる病室へと向かおうとすると、レイファがセナへと急に言ってきた。

 「二人っきりにさせてあげるなんて、優しいとこもあるのねぇ」

 「えぇ。私は、気が利くメイドでしたから」

 ニヤニヤするスターシャへ、氷のような笑顔を浮かべた、レイファが言った。

 「わかりました。帰りに寄りますので」

 セナは少し意外そうな顔をし、レイファへと言い、病室へと向かっていった。

 「じゃぁ、話を聞くわ?こっちにきて」

 セナを見送った2人だったが、セナが見えなくなると、スターシャが真剣な表情に変わり、レイファへと言ってきた。

 その後、レイファとスターシャは、個室へと移動した。

 「それで?改まって話って何かしら?」

 ソファーにお互い向かい合うように座ると、スターシャが話を振ってきた。

 「はい、セナ様が明日から向かう依頼についてです。」

 レイファがそう話だし、東の森に他種同士の混成の群れが発見され、ギルドへ調査依頼がきたこと。その依頼主が、国王とギルスの連名であること、ジェノスとサーシェスのせいで、セナへの指名依頼になってしまったこと。
 自身の知る情報をすべて話した。

 バン!

 「なっ!なんですって!?セナ様一人で行くの?危険すぎるじゃないっ!!」

 レイファの話が終わると同時に、スターシャが、テーブルを叩きながら、興奮気味に立ち上がり叫んだ。

 「スターシャ様。落ち着いてください」

 「落ち着けるわけないじゃない!あんの、脳筋の剣馬鹿ジェノスと!性悪魔法士サーシェスめぇ~!なんてこと言ってくれてんのよ!」

 レイファがなだめるも、スターシャの怒りは増すばかりで、とうとう、国王へ進言した2人への、辛辣な言葉まで出てきた。

 「まぁ、お二人が馬鹿で性悪なのは、否定できません。が、」

 「まぁ、あの2人には、あとで私が罰を与えるとして…。今、私たちができるのは、納得いかないし、歯がゆいけど彼の無事を祈るだけだね…」

 「……そうですね」

 レイファとスターシャが天井を見上げながら、セナの身の無事を祈った。


 そのころ、病室でアリアに明日からのことを伝えるため、入室をした。

 「やぁ、アリア。調子はどうだい?」

 柔らかな笑顔で挨拶してきたセナを見て、アリアが嬉しそうな顔で頷いた。

 「そっか。そうだ!昨日、ギルス様に聞いたんだけど、リネア国王がエターニャ神皇国の教皇様に親書として、君が攫われて、リストニアで保護されてるって、知らせを送ってくれたそうだよ」

 セナの話を聞いた瞬間、アリアは驚きの顔を浮かべた。

 「まぁ、結構離れている国同士だから、返答が来るまで結構かかるみたいだけどね。それでね?君に1つ聞きたいことがあるんだ…。いいかな?」

 アリアの驚いた顔を見ながら、苦笑しつつも、少し言いずらそうに、セナが話をきりだし、アリアが頷いた。

 「うん。ありがとう。あのね?国同士の話にもよるとは思うけど、君はこれからどうしたいのかなって…。できれば、教えてほしいんだ…。たとえばほら、国に帰りたいとかさ?」

 セナがそういうと、アリアは少し考えた後、手に持った紙にペンを走らせた。

 『いずれ、国には1度は帰りたいと思ってる。けど、この足じゃ帰れない。それに、国には私の家族は、もういないの。正直、今はわからないわ』

 彼女の見せてくれた紙をみたセナは、一瞬、悲しそうな顔を浮かべたが、すぐに笑顔を作りながら、話をした。

 「そっか、君が国に帰りたいというのなら、僕が送っていくよ?僕も落ちついたら、旅に出ようと思ってたし、それにね?昨日、東の森で助けて従魔になってくれた、バトルホースの迅風もいるから、遠慮なくいってね?」

 セナが笑顔でそういうと、アリアは再び、驚いた顔をし、震える手で何かを書きだした。

 『バトルホースを?』

 セナの言葉を、どうやら信じられなかったようで、わざわざ文字にしてまで、アリアは聞き直した。

 「え?うん。バトルホースらしいよ?正直、僕はよくわからないんだけど、みんながそういってたよ。とても賢くて、大人しいから、今度、アリアにも紹介するよ」

 アリアは、セナの言葉を聞き、聞き間違いじゃなかったと確認はとれたが、バトルホースがおとなしい?と不思議そうな表情を浮かべた。

 「大丈夫だよ?ほんとに大人しいから。それと、もう一つ、僕。明日から指名依頼で少し東の森に行くから、顔を出せないかもしれない。帰ってきたらすぐに顔をだすから」

 セナが笑顔で、なんでもないかのように話をすると、土地勘のないアリアは、指名依頼とはいえ、危険ではないのかと思い、笑顔で頷いた。

 『わかった。気を付けてね?くれぐれも無理しないでね』

 アリアの書いた紙をみたセナは、笑顔で頷いた。

 「うん、ありがとう。無理はしないから大丈夫だよ」

 セナの言葉を聞くが、自身を助け出した後の話を聞いているアリアは、ほんとうかな?という疑いの目をセナへと向けた。

 「え?信用されてない?ほんとだよ?無理は絶対しないよ」

 アリアの顔をみたセナが、困った顔で両手を振りながら必死に訴えた。

 その姿が面白く、アリアが思わず笑うと。

 「笑うなんてひどいなぁ」

 セナもつられて笑いあったあと、病室を後にした。

 

 
 


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