異世界転移でのちに大陸最強の1人となった魔剣士 ~歌姫の剣と呼ばれし男~

ひぃ~ろ

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第二章 小話

第2章閑話③ 英雄が家にやってきた

 パレードから一週間が過ぎ、だいぶ落ち着いてきた街中を、セナとレイファが旅の準備のため買い物などをして歩いていた。

 「おっ!?セナ様!飯食っていきませんか?おごりますぜ!?」

 「えっ!?あ、今はまだ大丈夫です、ありがとうございます。また今度ちゃんとお客としてきますね」

 

 街を歩くと声をかけられ、セナは律儀に返事を返しながら歩いていた。

 「あっ!いた!!セナ様ぁん!これ!受け取ってくださぁい!!」

 「へっ?あ、ありがとうござ…」

 「すいませんが、セナ様への贈り物は、一度私どもにお渡しいただき、危険がないか確かめた物以外、渡せないことになっております」

 中にはこのように、若い女性からのプレゼントなどもあるが、すべてレイファの鉄壁のガードが発動していた。

 そんな中、串焼きを焼いている屋台の前で、ガタイのいい男達が何か話しており、たまたまセナ達の耳に会話が届いた。

 「あぁ!あんときは焦ったぜぇ、なんてったって、おめぇ!セナ様の愛馬だぜ?あのでっけぇのが風のようにつっこんできたんだからよ!」

 「てめぇは無駄にビビりすぎなんだよ!セナ様の愛馬だぜ?俺らに怪我なんてさせっかよ!」

 「てめぇなんて、悲鳴上げてギムの店に突っ込んでたじゃねぇか!」

 「うっせぇよ!」

 「ギムっていえばよ!ギムの息子も危なかったな!」

 「おぉ!俺もみてたけど、間一髪で頭の上飛び越していったもんな!息子も嫁も腰ぬかして泣いてたもんな」

 話の流れ的に、迅風がセナの元へ向かった際の話のようで、セナは顔を蒼くしながら、話していた男たちに声をかけた。

 「あ、あの、すいません。その話詳しく聞かせていただけませんか?」

 「あぁ?って!?セ、セナ様!?」
 
 「あ、いや!なんでもない話なんで…」

 「いやいや、そんな!ぜひ聞かせてください」

 セナの話をしていたところに本人が現れ、盛大におどろく男たちをよそにセナは話を聞いた。

 「あ、ありがとうございました」

 「い、いえ!あの!誰も怪我なんてしてねぇんで!お気になさらず!!」

 話を聞いてる間に、どんどんセナの顔色が悪くなっていき、男たちが心配した。そして、礼をいいセナ達がその場をさったあと。

 「……悪いことしちまったな…」

 「てめぇが馬鹿正直にいうからだろうが…」

 「おめぇだって…」

 男たちは気まずそうに醜い擦り付けあいをしていたが…。

 「おめぇら、今日はもう帰んな!どっちみち、しばらくはおめぇらに誰も何も売っちゃくれねぇよ」

 屋台の店主がため息交じりにいいながら、親指を立て周りを指すと、様子が見えていた屋台の店主と客から、冷ややかな目線が男たちに集まっており、男たちは気まずさに冷や汗をかきながら逃げるように帰っていった。

 「レ、レイファさん…あの…」

 「はい。ギムさんの店は、野菜と果物を取りそろえたお店なので、お菓子や肉、魚などがよろしいかと思います」

 言いづらそうに声をかけてきたセナに対し、レイファはすべて察しているかのように言葉を返した。

 「え?あ、ありがとうございます!」

 「いえ、それでは、最近王都で人気のお菓子屋へまいりましょう、その後、セナ様のお持ちの肉の中から見繕い包んでから、ギムさんのお宅へとむかいましょう」

 「な、なにからなにまで、ありがとうございます」

 「いえ、メイドとして当然でございます」

 セナが驚きながら礼を述べるが、レイファはいたって当然とばかりに答えた。

 そして、二人がお菓子屋へ行くと、店の店主がセナの来店に感動し、大量のお菓子を手渡してきたが、レイファがうまく対応してくれ、セナのお金できちんと代金を支払った。
 ちなみに、次の日から…そのお菓子屋の前には、英雄ご用達の店 とちゃっかり掲げられていた。

 その後、レイファがセナのバッグから肉をいくつか多めに見繕い、どこからか出した紙で包み、綺麗に包装したのち、ギムの家へと向かった。

 コンコン!


 「おーい!かあちゃん!誰かきたみてぇだぞ!?」

 「あんたぁ!あたしは今ちょっと手が離せないんだよ!かわりにでとくれよ!」

 「ちっ!しかたねぇなぁ…、誰だよ!この飯時に………へっ!?」

 ギムがめんどくさそうにドアをあけ、訪ねてきた人物を見て固まった。

 「あ、あの…、食事時に不躾な訪問申し訳ありません。ギムさんのお宅でしょうか?」

 玄関の外にたっていたセナが、申し訳なさそうに声をかえるが、ギムは固まったまま動かずにいた。

 「あ、あの?」

 「へっ!?あ、はい!ギムは自分であります!」

 心配そうにセナに見つめられたギムが、我に戻り慌てて返事をし、そこに家の奥から妻が現れた。

 「あんた?そんな大声だしてどうしたんだい?誰がきたんだい?」

 「あ?あ、あぁ…その…セナ様だ…」

 「はぁ?何寝ぼけてんだい?うちになんてセナ様がくるわけ……へっ!?」

 「あ、あの…夜分に申し訳ありません」

 夫の言葉に、妻がツッコみながら玄関を覗き、さきほどのギムとまったく同じく固まった。

 「あ、あの?急に来てしまい申し訳ありません。都合が悪ければ出直しますので…」

 「い!いえ!!暇です!!ぜんっぜん都合なんて悪くありません!!」

 セナの申し出に妻が顔を真っ赤にし、大声で否定した。

 「そ、そうですか…ならよかったです」

 「ははっ…そ、それでセナ様、なんでまたこんな時間にこんなとこに?」

 セナが安堵の息を吐くと、ギムが乾いた笑いを浮かべながら訪問の理由を聞いた。

 「はい、それは私のほうから、申し遅れました、私はブレイダー家のメイドでレイファと申します」

 「はっ?公爵様の?」

 「はい、それで突然の来訪についてですが…」

 レイファの挨拶にさらに驚いたギム夫妻だったが、説明をきき、さらに驚いた。

 「あ、あの!この度は…私の従魔が、奥様とご子息様に大変なことをしてしまい…大変申し訳ありませんでした!」

 「え!えぇ~!!」

 レイファの話が終わると、セナが申し訳なさそうな顔をしながら謝罪をし、深々と頭をさげた。突然、セナに頭をさげられ、盛大に驚く二人にレイファが包みを2つ差し出した。

 「お詫びになるかわかりませんが、是非お納めください」

 「え!えぇ~!?」

 「お、お父さん?お母さんも何かあったの?」

 盛大に驚く夫婦に、叫び声をきいた息子のクリスが部屋からでてきて声をかけた。

 「こんばんわ、晩御飯時にごめんね?」

 「へ?セ、セナ様だ!なんでセナ様がうちにきてるの?」

 「今日はクリス君に謝りに来たんだ、この間、うちの従魔が怖い思いをさせちゃったみたいでごめんね?」

 セナの挨拶と謝罪に驚いた顔をしたクリスだったが、レイファが手渡したお菓子をみて笑顔で喜んだ。

 「え?これもらってもいいの!?やったぁ!!ありがとう!セナ様!おねえさん!!」

 「こ、こら!はしたない!!す、すいません…」

 「いえ、こちらのほうこそ、この度はご迷惑を」

 はしゃぐクリスをたしなめつつ、セナに謝罪をする妻だったが、セナが再度謝罪をしてきたことに、ギムが話しかけた。

 「セナ様、もういいですって!うちのも息子も怪我もありませんでしたし、こんなすげぇもんまでもらっちまって、かえってこっちが恐縮しちまいますよ」

 「そ、そうですか?」

 「セナ様?あまり長居をしては、かえってご迷惑ですよ?」

 苦笑気味にいうギムと、レイファの言葉でセナが慌てて謝った。

 「あ、そうですね!すいません!晩御飯時に!」

 「いえいえ!こちらこそ玄関先ですいません!」

 「ねね!?セナ様!今度あのおっきい馬みせてもらってもいい?」

 「こっ!こら!クリス!!失礼だろっ!」

 「ん?迅風のこと?もちろんいいよ?」

 「やったぁ!!あっ!ちょっとまっててね!帰っちゃだめだよ!?」

 セナの了承を得てテンションが上がったクリスが自室へとかけていった。

 「あいつ何しに行ったんだ?」

 「あ、あのすいません…」

 ギム夫妻が申し訳なさそうにしていると、クリスが走って戻ってきた。

 「え?」

 「ふふっ…かわいい」

 そして、戻ってきたクリスの格好を見て両親は恥ずかしそうに天を仰ぎ、セナは驚き、レイファは、優しい笑顔をむけた。

 「へへっ!お父さんとお母さんに作ってもらったんだ!」

 そういいながら、木を削ってつくった日本刀らしきものを構え、上下セナと似たような服をきたクリスが笑顔で自慢げに言ってきた。

 「もしかして…」

 「すいやせん…こいつセナ様にあこがれてるらしくて、ずっとせがまれてつい」

 セナのつぶやきに、ギムが恥ずかしそうに言った。すると、レイファがクリスの前に行きかがんで、目線を合わせながら話しかけた。

 「よくお似合いですよ?ただ、セナ様のようになりたければ、ならなければなりませんよ?」

 「うん!」

 レイファの言葉にクリスが力強く頷いた。

 「言い返事ですね。いいですね?優しく強くです。順番を間違えてはいけませんよ?優しさの中にある強さがなければ、セナ様のようにはなれません。まずは、ご両親の言うことをよく聞き、頑張ってくださいね?」

 「んー…むずかしくてよくわからないけど…いい子になるようにがんばるよ!」

 「はい。楽しみにしてます」

 レイファの言葉にクリスは力強く約束をし、ギム夫妻が、うんうんと頷いた。

 「いや…もっとすごい人を目指したほうが…」

 セナのつぶやきは誰にも届いてはいなかった……。

 




 

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